1952年に発表された、ハリー・グレイの小説”The Hoods”を基に製作された作品。 貧しいストリート・キッズから成り上がったギャングの40年以上にも及ぶ友情と苦悩を描く、監督、脚本セルジオ・レオーネ、主演ロバート・デ・ニーロ、ジェームズ・ウッズ、エリザベス・マクガヴァン、ジェニファー・コネリー、ジョー・ペシ、チューズデイ・ウェルド、バート・ヤング他共演のドラマ。 |
・ドラマ
■ スタッフ キャスト ■
監督:セルジオ・レオーネ
製作総指揮:クラウディオ・マンシーニ
製作:アーノン・ミルチャン
原作:ハリー・グレイ”The Hoods”
脚本
セルジオ・レオーネ
レオナルド・ベンヴェヌーティ
ピエロ・デ・ベルナルディ
エンリコ・メディオーリ
撮影:トニーノ・デリ・コリ
編集:ニーノ・バラーリ
音楽:エンニオ・モリコーネ
出演
デヴィッド”ヌードルス”アーロンソン:ロバート・デ・ニーロ
マキシミリアン”マックス”バーコヴィッチ/クリストファー・ベイリー:ジェームズ・ウッズ
デボラ・ゲリー:エリザベス・マクガヴァン
デボラ・ゲリー(少女期):ジェニファー・コネリー
ジェームズ・コンウェイ・オドネル:トリート・ウィリアムズ
キャロル:チューズデイ・ウェルド
フランキー・マノルディ:ジョー・ペシ
パトリック”パッツィ”ゴールドバーグ:ジェームズ・ヘイドン
フィリップ”コックアイ”スタイン:ウィリアム・フォーサイス
モー”ファッツ”ゲリー:ラリー・ラップ
イヴ:ダーラン・フューゲル
ジョー・ミナルディ:バート・ヤング
バグジー:ジェームズ・ルッソ
ヴィンセント・アイエロ:ダニー・アイエロ
チルドレン・ジョー:リチャード・ブライト
アメリカ/イタリア 映画
配給 ワーナー・ブラザーズ
1984年製作
初回劇場公開版:144分
劇場再公開版:205分
完全版:229分
公開
北米:1984年6月1日
日本:1984年10月6日
製作費 $30,000,000
北米興行収入 $5,300,000
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
1933年、ローワー・イーストサイド、マンハッタン、ユダヤ人居住地区。
貧しい少年時代を生き抜き、ギャングとなった青年デヴィッド”ヌードルス”アーロンソン(ロバート・デ・ニーロ)は、当初の計画通りに警察に電話をかける。
その後ヌードルスは、フィリップ”コックアイ”スタイン(ウィリアム・フォーサイス)、パトリック”パッツィ”ゴールドバーグ(ジェームズ・ヘイドン)、そして、マキシミリアン”マックス”バーコヴィッチ(ジェームズ・ウッズ)の死を確認して阿片窟に向かう。
ヌードルスを追う組織の男達は、彼の恋人イヴ(ダーラン・フューゲル)を殺し、仲間のモー”ファッツ”ゲリー(ラリー・ラップ)を痛めつける。
翌日、ファッツの元に向かったヌードルスは危険を察知し、コインロッカーに隠してあった大金が消えていることを確認して、ニューヨークから姿を消す。
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1968年。 35年間、金の行方を考えていたとモーに伝えたヌードルスは、かつての思い出に耽る 1923年。 ヌードルスは、パッツィ、コックアイ、ドミニクらと悪事を重ねていたが、それを邪魔した、ブロンクスから来たマックスと親しくなる。 ヌードルスとマックスは順調に荒稼ぎしていたが、それに言いがかりをつける、チンピラのバグジー(ジェームズ・ルッソ)に痛めつけられてしまう。 そんなヌードルスに好意を持ちながらも、夢のあるデボラは、悪事から手が引けない彼を避けようともする。 やがて、ヌードルス達は、禁酒法を利用して稼いだ金を、駅のロッカーに隠しておくことを誓い合う。 しかし、ヌードルスらはバグジーの襲撃に遭い、幼いドミニクが射殺されてしまう。 激怒したヌードルスは、仕返しにバグジーを刺殺し、刑務所で実刑を受ける。 1968年。 それは、40年以上前に、仲間達と金を隠したロッカーの鍵だった。 ヌードルスはロッカーの中から、大金と、次の仕事に対する前金だというメモの入った鞄を見つけて持ち帰る。 1932年。 ヌードルスは、大人の女性に成長したデボラ(エリザベス・マクガヴァン)と再会し、彼女への愛情を再び呼び起こす。 早速、ヌードルスらは、ボスのフランキー・マノルディ(ジョー・ペシ)からの紹介で、デトロイトのギャング、ジョー・ミナルディ(バート・ヤング)に宝石店襲撃の仕事を任される。 襲撃は実行され簡単にことは済むが、密通者である店主の妻のキャロル(チューズデイ・ウェルド)は、怪しまれることを恐れ、ヌードルスに自分を痛めつけるよう指示し犯される。 その後、ヌードルスらは、当初からのフランキーの命令で、ジョーを抹殺する。 1968年11月10日。 テレビ報道を見ていたヌードルスは、労働組合の大物であるジェームズ・コンウェイ・オドネル(トリート・ウィリアムズ)の姿を見て、かつての彼を思い出す。 禁酒法時代は終わりに近づき、ヌードルス達は労働組合の揉め事を裏で片付ける仕事などをしていた。 裏で組織と通じている、警察署長ヴィンセント・アイエロ(ダニー・アイエロ)が、スト破りで警官隊を派遣したことで、ヌードルスらは彼を脅して話をつける。 そんな時、デトロイトの宝石店襲撃を手引きしたキャロルが現れ、マックスは彼女を愛人にする。 ヌードルスは、デボラへの思いを募らせていたが、彼女は女優をめざしハリウッドへ旅立とうとする。 それに納得いかないヌードルスは、車の中でデボラを無理矢理に犯してしまい、後悔しながら彼女と別れることになる。 ● ”インターミッション” ヌードルスが姿を現さなかった間、組合のオドネルはマックスらに歩み寄っていた。 組合を利用した事業に、投資することを勧められたマックスだったが、ヌードルスはそれに反対し、仲間と暫く別れてフロリダに向かおうとする。 しかし、ヌードルスと固い絆で結ばれていたマックスは、彼に同行して現地で鋭気を養う。 やがて、禁酒法が廃止されることになり、マックスは、兼ねてからから考えていた、”連邦準備銀行”の襲撃計画をヌードルスに伝える。 ヌードルスは、全米一の警備を誇る銀行の襲撃に当然反対するが、マックスは聞く耳を持たなかった。 マックスの愛人キャロルは、警察に密告して計画を潰す以外には、彼の命を救う方法がないことをヌードルスに伝える。 そして、ヌードルスは、恋人イヴに逮捕される覚悟と別れを告げて、警察に情報を流す。 1968年。 ヌードルスは、ベイリー財団の写真にデボラが写っているのに気づき、大女優になっていた彼女に会いに行く。 デボラの知人で、自分をパーティーに招いたベイリー長官が何者かをヌードルスは尋ねるが、彼女は何も語らなかった。 ベイリーの愛人だったデボラの息子が、若い頃のマックスに似ていることを確認したヌードルスは、その場を立ち去る。 翌日、パーティーに現れたヌードルスは、ベイリー/マックス(ジェームズ・ウッズ)と35年ぶりに再会する。 ベイリーは、自分の汚職に絡んだ人間よりも、ヌードルスに殺されたいという望みを彼に伝え、ロッカーの金はその報奨金だったことを話す。 それを断ったヌードルスは、マックスに対し最後までベイリーとして接し屋敷を去る。 そして、ヌードルスの後を追って来たベイリーは、清掃車の中に自ら身を投ずる。 1933年。
初老のヌードルスは、墓地の改葬通知を受け取り、旧友モーの元に姿を現す。
...全てを見る(結末あり)
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ユダヤ系移民のヌードルスは、モーの妹で、心を寄せるデボラ(ジェニファー・コネリー)に、ついつい冷たい態度をとってしまう。
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ヌードルスは、マックス、パッツィ、コックアイが眠る墓で、ある鍵をみつける。
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出所したヌードルスは、表向きは葬儀屋ということになっている仲間達の酒場で、マックス(ジェームズ・ウッズ)、コックアイ(ウィリアム・フォーサイス)、パッツィ(ジェームズ・ヘイドン)、モーらに迎えられる。
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世の中は、不正やマフィアとの癒着が噂される”クリストファー・ベイリー商務長官疑惑”の話題で持ちきりだった。
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年老いたキャロルに会ったヌードルスは、連邦準備銀行襲撃の裏切りは、マックスが精神異常の家系を恐れ、自ら命を絶つために仕組んだ計画だったことを知らされる。
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警察に、マックス達の襲撃を通報したヌードルスは、阿片窟に向い、阿片を吸い全てから解放された安堵の表情を浮かべる。
*(簡略ストー リー)
ユダヤ人居住区で、貧しい不良少年として育ったヌードルスは、その地に越してきたマックスと意気投合して成り上がっていく。
街を支配するギャングの配下で活躍するヌードルスとマックスは、禁酒法を利用して大金を手に入れて、仲間達とそれを隠しておくことを誓い合う。
子供時代から心を寄せていたデボラが、女優を目指しハリウッドに向かうことを知ったヌードルスは失望し、それをきっかけに仕事への意欲も失い欠ける。
血気盛んなマックスは、禁酒法の廃止を知り、兼ねてから計画していた”連邦準備銀行”襲撃を実行しようとする。
しかしヌードルスは、失敗の可能性が高いその計画に反対し、マックスを守るために警察に密告するのだが・・・。
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製作者側の意図でズタズタにカットされ、ロバート・デ・ニーロ主演などで話題を呼んだにも拘らず、初公開時にはアメリカ国内では酷評され、興行的にも大失敗に終わった作品。
エンニオ・モリコーネの、哀愁漂う素晴しい音楽なども挿入されず、後から考えると信じ難いとしか言いようがないかたちで公開された、曰く付きの作品でもある。
ショックを受けたセルジオ・レオーネは自ら編集し直し、229分という、初公開版より90分も長い完全版を作り再び公開し、一転大絶賛され、結局本作は彼の代表作、そして遺作になった。
ユダヤ系とイタリア系との違いはあるが、作風や雰囲気、音楽まで同じような大叙事詩のドラマ「ゴッドファーザー」(1972)を思い起こさせる。
「ゴッドファーザーPartⅡ」(1974)から10年、ハリウッドでも指折りの演技派となっていた主演のロバート・デ・ニーロは、早くも円熟の域に達しているという感じを受ける。
さらに、30年以上の時の流れを表現したメイクは見事で、青年期と35年後では体形も変え、初老の男性らしく体重を増やしているところなどは、いかにも役に入れ込む彼らしい。
存在感のある共演者として、物語の中で才能を発揮するジェームズ・ウッズの熱演も印象に残る。
ロバート・デ・ニーロに比べると、老け役がいかにも作り物に見えるが、知的で冷酷さを感じる顔つきがなかなかいい。
見た目が幼く見えるために、デ・ニーロとは釣り合わないデボラ役のエリザベス・マクガヴァン、その少女時代を演じた、映画デビュー作となるジェニファー・コネリー、組合のリーダーのトリート・ウィリアムズ、マックス(J・ウッズ)の愛人役チューズデイ・ウェルド、友情出演的な端役ジョー・ペシ、少年のような風貌の主人公の仲間ウィリアム・フォーサイスとジェームズ・ヘイドン、同じくラリー・ラップ、呆気なく殺されてしまうギャング役のバート・ヤング、悪徳警官役のダニー・アイエロ、主人公の恋人ダーラン・フューゲル、労使のゴタゴタを処理しようとする組織の男役リチャード・ブライトなどが共演している。