1946年に発表された、ケネス・フィーリングの小説”The Big Clock”を基に製作された作品で、同じ原作で1948年に公開された”TheBig Clock”のリメイク。 ペンタゴンを舞台に、国防長官の愛人殺しの犯人にされそうになる海軍将校の孤独な戦いと米ソ冷戦下でのスパイ活動を絡めて描く、監督ロジャー・ドナルドソン、主演ケヴィン・コスナー、ジーン・ハックマン、ショーン・ヤング、ウィル・パットン他共演のサスペンス。 |
■ スタッフ キャスト ■
監督:ロジャー・ドナルドソン
製作総指揮:メイス・ニューフェルド
製作
ロバート・ガーランド
ローラ・ジスキン
原作:ケネス・フィーリング
脚本:ロバート・ガーランド
撮影:ジョン・オルコット
編集
ウィリアム・ホイ
ニール・トラヴィス
音楽:モーリス・ジャール
出演
ケヴィン・コスナー:トム・ファレル
ジーン・ハックマン:デヴィッド・プライス国防長官
ショーン・ヤング:スーザン・アトウェル
ウィル・パットン:スコット・プリチャード
ハワード・ダフ:デュヴァル上院議員
イマン:ニーナ
ジョージ・ズンザ:サム・ヘッセルマン
フレッド・トンプソン:マーシャルCIA長官
ジェイソン・バーナード:ドノヴァン少佐
ブラッド・ピット:空港の警官
アメリカ 映画
配給 オライオン・ピク チャーズ
1987年製作 114分
公開
北米:1987年8月14日
日本:1988年2月
製作費 $15,000,000
北米興行収入 $35,509,520
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
アメリカ海軍少佐トム・ファレル(ケヴィン・コスナー)は、国防長官デイヴィッド・ブライス(ジーン・ハックマン)の法律顧問を務める友人のスコット・プリチャード(ウィル・パットン)の招きで、長官の留任パーティーに招待される。
ファレルは会場で、美しい女性スーザン・アトウェル(ショーン・ヤング)と出逢い恋に落ちる。
その後、フィリピンの任務に就いたファレルは、英雄的行為で新聞に載り、それを見たブライスは、彼を自分のスタッフにすることをプリチャードに伝える。
ワシントンD.C.。 帰国したファレルはペンタゴン勤務となり、CIAとのつながりが深い、デュヴァル上院議員(ハワード・ダフ)が推進する潜水艦建造計画を阻止するため、彼が掴んだと思われる、ソ連側の情報を収集するのが任務だった。 ブライスの直属となり、使命感に燃えるファレルは、早速、情報部に配属され、旧友のサム・ヘッセルマン(ジョージ・ズンザ)と再会する。 ある日、遠出をしてセーリングを楽しんだファレルとスーザンが帰宅すると、そこにブライスが現れる。 ファレルは、スーザンから裏口から出るよう言われ、彼女はブライスから浮気について追求されてしまう。 嫉妬したブライスは、勢いあまってスーザンを2階から突き落として殺してしまう。 ブライスは動揺するが、相談を受けたプリチャードは、事件を隠し、彼らが知らない、スーザンの交際相手(ファレル)を、国防機密を盗んだスパイに仕立て上げようとする。 そして、そのスパイ捜索をファレルが担当することになり、 彼は犠牲者がスーザンだと知らされて愕然とする。 ファレルは、自分の行方を突き止める責任者に指名されてしまい、スーザンの元に残した証拠品などで、自分の身がバレることを恐れて動揺する。 CIA長官マーシャル(フレッド・トンプソン)は、スーザンが、ブライスかプリチャードの愛人だということを察知する。 プリチャードは同性愛者だということで、ブライスが何かを企んでいると考え、マーシャルは、デュバル上院議員に連絡を取る。 情報部のコンピューター責任者のサムが、スーザンの家に残された現像前のポラロイド写真の解析を始め、写真に写っているのが自分だと知るファレルは焦り始める。 さらにファレルは、一度会ったことがあるスーザンの友人ニーナ(イマン)を訪ねる。 同行したプリチャードが、ニーナから、スーザンの愛人を聞き出そうとするのを見てファレルは不安になるが、彼女は何も明かさなかった。 ニーナの身の危険を知ったファレルは、彼女の安全を確保するが、プリチャードに捜査妨害を指摘されて対立する。 スーザンの証拠品の中に、ブライスから贈られた宝石箱を見つけたファレルは、その贈り主である外国の要人を突き止めようとする。 写真の解析や宝石箱の贈り主捜しなど、必要以上に自分の仕事に関与してくるファレルに対し、サムは疑問を抱き彼を追求する。 ファレルは、この件のことをサムに正直に話し、スパイはでっち上げだということも告白する。 そんな時、スーザンの胃の内容物から、セーリングのヨットを貸した場所と人物が判明する。 その人物はペンタゴンに呼ばれ、彼がファレルを見かけ、内部に容疑者がいることが、ブライスらに報告される。 さらに、二人で滞在したホテルのボーイも証人として現れ、ファレルは窮地に立たされ、ペンタゴンは容疑者捜しで騒然となる。 大スキャンダルのプレッシャーに絶えられなくなったサムは、プリチャードは真相を知らされ、全てを知った彼は射殺される。 証人の目から必死に逃れようとするファレルは、ようやく、スーザンの宝石箱が、モロッコからブライスに贈られたという証拠を掴む。 追っ手から逃れたファレルは、ブライスの元に向い宝石箱の事実を突きつける。 しかし、現れたプリチャードは、ファレルが殺人を犯したソ連側のスパイであるとブライスに報告する。 ファレルとプリチャードは揉みあいになるが、ブライスは、サムを殺した同性愛者プリチャードが、自分とスーザンの仲を妬んで犯した犯行に仕立てようとする。 プリチャードは、ブライスに裏切られて絶望し、自ら命を絶ち、ブライスは、その場に駆けつけた、保安担当官のドノヴァン少佐(ジェイソン・バーナード)に、プリチャードが犯人だったことを伝える。 ファレルは、マーシャルCIA長官宛てに、宝石箱の証拠を送りペンタゴンを離れるが、写真の解析が終わり、彼の顔がモニターに映しだされる。 しかし、実はファレルはソ連側のスパイだった。 現地のKGBに、帰国を勧められるエフゲーニ(ファレル)はそれを断り、逃げ場のないことを知りながら、その場を立ち去る。
スーザンに連絡を入れたファレルだったが、 実は彼女はブライスの愛人だったのだ。
...全てを見る(結末あり)
*(簡略ストー リー)
アメリカ海軍少佐トム・ファレルは、国防長官のデイヴィッド・ブライスの留任パーティーに招待される。
ファレルは、会場で美しい女性スーザンと出逢い恋に落ちる。
その後、ファレルはブライスのスタッフとなるのだが、実はスーザンは彼の愛人だった。
ファレルはペンタゴン勤務となり、あるソ連側の情報を収集する任務を命ぜられる。
そんな時、ブライスはスーザンの浮気を疑い、誤って彼女を殺してしまう。
ブライスは動揺するものの、彼の法律顧問であるプリチャードが、誰も知らないスーザンの交際相手(ファレル)を、国防機密を盗んだスパイに仕立て上げようとする。
そして、そのスパイ捜索をファレルが担当することになり、 彼はスーザンが犠牲となったことを知らされて愕然とする。
自分の行方を捜査する責任者となったファレルは、スーザンの元に残した証拠品で、自分の身がバレることを恐れ、動揺してしまう・・・。
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監督のロジャー・ドナルドソンは、周囲には知られぬまま、”自分を追う”任務を受けた将校の孤軍奮闘する様子や、当時としては先端をいくコンピューター解析や細かな小道具(写真や宝石箱)などをうまく使い、ドラマに緊迫感を与え、サスペンスとしての醍醐味を感じさせる演出を見せてくれる。
結局は、女にだらしのない国防長官の不始末で、国家の中枢にスパイを侵入させてしまうという、”お粗末”な話なのだが、公開当時、衝撃的ラストが話題にもなった。
モーリス・ジャールの音楽が、今回は、あまり彼らしさを感じられなかったのは残念だ。
直前に公開されてヒットした「アンタッチャブル」(1987)に比べると、やや不評に終わった作品ではあるが、当時、主演のケヴィン・コスナーは、スターの地位を掴み最盛期に向かっていた頃で、その彼の魅力は見ものだ。
情けない側面もあるが、貫禄で演じきるジーン・ハックマンの、変幻自在の演技はさすがで、現在は見る影もないケヴィン・コスナーとは違い、長きに渡り、ハリウッドのトップスターとして君臨する実力は際立っている。
事故死する国防長官の愛人ショーン・ヤング、国防長官を愛する同性愛者の法律顧問を熱演するウィル・パットン、 国家の利益と友情の狭間で苦悩して、結局は殺害されるジョージ・ズンザ、国防長官と対立する上院議員ハワード・ダフとCIA長官のフレッド・トンプソン、スーザン(S・ヤング)の友人で、主人公の窮地を救う女性イマン、そして保安主任ジェイソン・バーナードなどが共演している。