大統領暗殺未遂に対する報復攻撃をスクープした記者の権力との戦いを描く、主演ケイト・ベッキンセール、マット・ディロン、アンジェラ・バセット、アラン・アルダ、ヴェラ・ファーミガ他共演、監督ロッド・ルーリーによる社会派ドラマ。 |
■ スタッフ キャスト ■
監督:ロッド・ルーリー
製作
ロッド・ルーリー
マーク・フライドマン
ボブ・ヤーリ
脚本:ロッド・ルーリー
撮影:アリク・サカロフ
編集:サラ・ボイド
音楽:ラリー・グループ
出演
レイチェル・アームストロング:ケイト・ベッキンセール
パットン・デュボワ:マット・ディロン
ボニー・ベンジャミン:アンジェラ・バセット
アルバート・バーンサイド:アラン・アルダ
エリカ・ヴァン・ドーレン:ヴェラ・ファーミガ
レイ・アームストロング:デヴィッド・シュワイマー
アヴリル・アーロンソン:ノア・ワイリー
ティミー・アームストロング:プレストン・ベイリー
ホール判事:フロイド・エイブラムズ
オハラ:コートニー・B・ヴァンス
アメリカ 映画
配給 ヤーリ・フィルム・グループ
2008年製作 107分
公開
北米:2008年12月19日
日本:未公開
製作費 $11,500,000
北米興行収入 $3,050
世界 $186,700
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
ワシントンD.C.。
アメリカ大統領の暗殺未遂事件が起き、関与されたと思われるベネズエラに対し、報復措置とし軍事基地の空爆が実施される。
”キャピタル・サン=タイムズ”の野心的な記者レイチェル・アームストロング(ケイト・ベッキンセール)は、編集長のボニー・ベンジャミン(アンジェラ・バセット)から、手がけている記事を翌日の朝刊に載せると言われる。
政府が関わる大スクープだったため、レイチェルは興奮するが、法務部のアヴリル・アーロンソン(ノア・ワイリー)は、取材不足を指摘する。
レイチェルは、CIAの秘密作戦に関わると思われる女性エリカ・ヴァン・ドーレン(ヴェラ・ファーミガ)を、子供が一緒の学校に通うために、早速、取材しようとする。 ”サッカー・マム”のエリカに声をかけたレイチェルは、CCIAのスパイである彼女が、ベネズエラでの調査を担当したことを確認しようとする。 大統領暗殺未遂事件に関し、ベネズエラ政府の関与がなかったとことを自分が報告したと言うレイチェルに対して、全てを否定したエリカは憤慨してその場を去る。 社に戻ったレイチェルは、ベンジャミンに励ませられながら、夜遅くまで残り原稿を仕上げる。 CIAのオハラ(コートニー・B・ヴァンス)に呼び出されたエリカは、今回の件で責任を追求され、リークしたかを疑われる。 それを否定したレイチェルは、内通者が誰であるか見つけることを考える。 10月6日。 レイチェルは、記事を見た夫レイ(デヴィッド・シュワイマー)にピューリッツァー賞がとれると言われ、息子のティミー(プレストン・ベイリー)を学校に送る。 その場でレイチェルは、FBI捜査官に声をかけられて同行を求められる。 特別検察官パットン・デュボワ(マット・ディロン)の元に連れて行かれたレイチェルは、今回の記事の情報源は明らかに犯罪者だと言われる。 大陪審でそれを聞かれて、拒否すれば拘置所送りだとデュボワに言われたレイチェルは、公表の許可を情報源から取るよう半ば強要される。 エリカはマスコミに追われ、各メディアが記事を大きな問題として扱う中、FBIに連行された報告を怠ったことを、レイチェルはアーロンソンに非難される。 更にアーロンソンは、特別検察官が情報源を知ろうとしていることが難題で、情報源を守れるかが問題だと指摘する。 10月10日。 しかし、あくまで情報源を教える気のないレイチェルに、エリカは再び憤慨して彼女を罵倒する。 レイチェルは、正式な取材に応じるなら考えるとエリカに伝える。 10月12日。 レイチェルは、記事の信憑性は認めるものの、憲法に基づく表現の自由を理由に回答を拒否する。 デュボワは、CIA秘密捜査官の素性を知って、公表することは違法だと言って情報源を教えるよう迫る。 質問を終えたレイチェルだったが、2週間後の地方裁判所への出廷が2時間後と言われ、それを知ったアーロンソンは、デュボワに言い寄る。 デュボワはアーロンソンの話を聞き入れず、レイチェルには、弁護士アルバート・バーンサイド(アラン・アルダ)がつき地方裁判所に向かう。 辣腕弁護士バーンサイドは、審議の延期を求めるのだが、ホール判事(フロイド・エイブラムズ)はそれを認めず、レイチェルは情報源の開示を求められる。 レイチェルはそれを拒み、国家安全保障上の問題ありと判断され、法廷侮辱罪とみなされて拘置所へ送致される。 判事とは旧知だと言って自信を見せていたバーンサイドは動揺するが、仕方なくそれに従う。 バーンサイドは”サン=タイムズ”に向かい、ベンジャミンとアーロンソンと共に対策を考える。 デュボワは、エリカや関係者が嘘発見器の検査を受け入れたことでそれを実施する。 その後デュボワは、情報源を知っているかをエリカに尋ね、知るはずもないと答える彼女は、レイチェルの意志の強さを指摘する。 1日目。 2日目。 自分の今の姿を見せたくないレイチェルは、ティミーを二度と連れて来ないようにとレイに頼む。 情報源を自分が知ることで、解決できるかもしれないことをレイチェルに伝えたレイだったが、彼女は当然それを拒む。 15日目。 CIA長官に会ったエリカは、レイチェルとの関係などを聞かれ、嘘発見器の訓練を受けている自分が、まだ疑われていることに気づく。 自分を陥れようとしている、CIA側の考えを知ったエリカは、辞職することを伝える。 しかし長官は、ベネズエラを調査した何人かの内、エリカだけが暗殺関与を否定したことを重要視していることを伝え、彼女はそれを知り、ショックを受けながらその場を立ち去る。 111日目。 所持品検査でノートを没収されたレイチェルは、それに抗議して懲罰房に入れられる。 198日目。 210日目。 記者であれば信念を貫くのは当然だと言うレイチェルは、セレブ相手の番組に皮肉を込めて意見し、収監者達の喝采を受ける。 バーンサイドは、レイチェルのかたくなな態度に同調できなくなったレイが、他の女性と付き合い妻を見捨てようとしていることを知る。 買物から帰ったエリカは、ある住人の家を尋ねる男に射殺される。 228日目。 ホール判事に呼ばれたレイチェルは、悲劇を招いた事件を見過ごすことができない大統領が、真相解明を指示したことを知らされるが、態度を変える考えはなかった。 デュボワは、ホワイトハウスとCIAの職員が、情報源だった場合に、それを開示するという証書をレイチェルに見せる。 レイチェルは、それが強制されたものだと言って閲覧を拒否する。 バーンサイドは、もはや味方をしていたマスコミまで報道をしない状況下では、戦いができないことをレイチェルとアーロンソン伝える。 こんなことになるなら記事は書かなかったと、本音を言うレイチェルだったが、それが世に出てしまった以上、後戻りできないことを伝える。 レイチェルは、情報源も事の重大さが分かっていなかったと付け加える。 そこに、ある証人が証言することになったことをデュボワが知らせ、その男が情報源だと認めた場合、レイチェルは釈放されることになる。 デュボワに質問された証人は、情報源であることを認め、エリカと夫に恨みを持っていたのが理由だと語る。 証人はあるパーティーで、レイチェルに情報を提供した時の状況を説明するのだが、デュボワは、彼女がその時点でエリカがCIAだと知っていたことを確認する。 230日目。 244日目。 レイに、以前のような愛情がないことを悟ったレイチェルは、ティミーに会いたいことだけを伝えて彼を追い払う。 347日目。 348日目。 355に目。 これにより、政府や政治家は強大な権力を握り続け、このままでは、情報提供する者がいなくなってしまい、新聞社は機能せずに、表現の自由は失われてしまうことを語る。 そのような状況下で、大統領や軍による不正を見抜くことができるのかを問い、国を動かす者達には、国民の信用は必要ないものとなることもバーンサイドは付け加える。 主義を貫くことこそ、偉大な人物にとって必要なことだと、それを依頼人に教わったと言って、バーンサイドは発言を締め括る。 359日目。 国家の安全と表現の自由を比べた結果、5対4で被告人は敗訴したのだが、判事は、レイチェルを釈放することを伝える。 判事は、レイチェルが情報源を明かさないだろうと判断したのだった。 レイチェルの行為が犯罪だと言って反論するデュボワに、判事は、彼女が現段階では犯罪者ではないと答える。 360日目。 レイチェルは、ベンジャミンに迎えられて拘置所を出るものの、現れたデュボワに、法廷侮辱罪で逮捕される。 362日目。 367日目。 レイチェルは、レイに連れて行かれるティミーを見送り、涙しながら連行され、情報を得た時のことを思い出す。 ティミーの学校のボランティアとして引率したレイチェルは、エリカの娘から、母親がベネズエラに関連した秘密の仕事をしている話を聞く・・・。
...全てを見る(結末あり)
早朝のジョギングを終えたエリカは、自分の新聞記事を確認し、マスコミが押しかけたために家に入る。
娘を離婚寸前の夫に預けたエリカは、レイチェルを訪ねて取り乱したことを謝罪する。
前日、夜中に呼び出されたレイチェルは、大陪審でデュウボワの質問を受ける。
拘置されたレイチェルは、集団で生活することになる。
レイとティミーはレイチェルと面会し、彼女は、ニュースなどを見られないために情報を得るが、政府の反応がないことを知らされる。
裁判所に向かったレイチェルだったが、考えを変えることはなく、デュボワは彼女を支援し続けるサン=タイムズに対して、1日1万ドルの罰金を科すことを申請し認められる。
レイチェルは、記事がピューリッツァー賞にノミネートされたことを知らされる。
ベンジャミンと面会したレイチェルは、ノートを没収されて、文章を書けないため苛立っていることを伝え、取材要請があることを知らされる。
テレビ取材を受けたレイチェルは、インタビュアーに味方だと言われながら、情報源が誰かを聞かれる。
右翼過激派によるエリカ殺害を、ベンジャミンから知らされたレイチェルは、大きなショックを受けて自分が正しいか迷う。
他の情報源がいることが分かったことで、レイチェルは同じ状況が続くことになり苛立つ。
面会に来たレイと、許可されて愛し合ったレイチェルは、彼に浮気をした理由を聞く。
ベッドに戻ったレイチェルは、自分の場所を奪った収監者とトラブルを起こし、叩きのめされてしまう。
レイチェルを見舞ったバーンサイドは、最高裁判所が、今回の件を裁くことになったことを知らせる。
バーンサイドは、最高裁判所が、記者の大陪審に対する証言拒否権を否定し、政府が記者を投獄できるようになった5対4の際どい判決の例をあげる。
ホール判事は、デュボワとバーンサイドを呼び出して、判決より以前に最高裁判所の決定を伝える。
権利を行使し仕事をしたまでだと、レイチェルに釈放されることを伝えたデュボワは、権利と権力を混同していると彼女に非難される。
司法妨害で懲役5年、協力すれば2年の減刑、裁判になったら徹底的に争う姿勢を見せるデュボワに、レイチェルは条件を出す。
レイチェルはティミーに会うことを許されて、刑務所に向かうことを伝える。
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*(簡略ストー リー)
アメリカ大統領の暗殺未遂事件が起きて、ベネズエラの関与を断定した政府は報復攻撃を実行する。
”キャピタル・サン=タイムズ”記者レイチェル・アームストロングは、ある情報源による裏付けで、CIAのベネズエラの暗殺関与を否定する報告書の存在を知る。
それを記事にするとになったレイチェルは、大スクープ発表の前に、報告をしたCIAのエリカ・ヴァン・ドーレンと接触する。
子供が同じ学校に通っていたことでエリカに会ったレイチェルだったが、全てを否定されてしまう。
記事は翌日に発表されて大きな問題となり、エリカはマスコミに追われる。
レイチェルはFBIに連行され、特別捜査官デュボワの元に連れて行かれる。
レイチェルは、国家安全保障に関わる問題として、情報源を教えるよう強要される。
しかしレイチェルは、記者としての信念を貫きそれを拒み続け、拘置所に送致されてしまう・・・。
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国家反逆罪が適用される裏切り行為に絡む、権力と正義を追求する者の戦い・・・。
重々しいアメリカ人好みの内容に加えて、豪華スター競演も注目の作品ではある。
評価も悪くなく、魅力的なキャスティングにも拘らず、拡大公開もされず、商業ベースに乗らなかったのは残念。
日本では劇場未公開で、主人公の、信念と”真実だけ”を追い求める姿をストレートに伝える原題を全く表現していない邦題には、いつもながら言葉も出ない。
本作を更に骨太に描いたような内容である、イラク戦争の正当性を追求したお勧め作品「フェア・ゲーム」(2010)を参考にされると、興味深く鑑賞できると思う。
ややオーバーだが、美貌に加えた気高さも感じられる、スクープを記事にした結果起きる現実で、厳しい人生を送ることになる主人公を熱演するケイト・ベッキンセール、彼女を追求す特別検察官マット・ディロン、主人公を支える編集長のアンジェラ・バセットと法務部のノア・ワイリー、ベテランらしい重厚な演技が光る弁護士アラン・アルダ、暗殺関与を否定するCIAの報告者ヴェラ・ファーミガ、主人公の夫デヴィッド・シュワイマー、息子のプレストン・ベイリー、実際に法律家である判事役のフロイド・エイブラムズ、A・バセットの夫でCIAのコートニー・B・ヴァンス等が共演している。