互いを運命の人と考えながら結婚した男女に生ずる亀裂と関係改善に努力する姿を描く、監督ビル・デューク、主演モリス・チェスナット、タラジ・P・ヘンソン、ミーヴ・クインラン他共演のドラマ。 |
■ スタッフ キャスト ■
監督:ビル・デューク
製作:T・D・ジェイクス他
原作:T・D・ジェイクス”Not Easily Broken”
脚本:ブライアン・バード
撮影:ギアリー・マクレオド
編集:ジョッシュ・リフキン
音楽:カート・ファークアー
出演
デイヴ・ジョンソン:モリス・チェスナット
クラリス・クラーク=ジョンソン:タラジ・P・ヘンソン
ジュリー・ソイヤー:ミーヴ・クインラン
ツリー:ケヴィン・ハート
ダーネル・グッデン:ウッド・ハリス
ブライソン・ソイヤー:キャノン・ジェイ
ブロック・ハウスマン:エディ・シブリアン
メアリー”ママ”クラーク:ジェニファー・ルイス
ミシェル:ニーシー・ナッシュ
ウィルキス司教:アルバート・ホール
アメリカ 映画
配給 スクリーン・ジェムズ
2009年製作 99分
公開
北米:2009年1月9日
日本:未公開
製作費 $5,000,000
北米興行収入 $10,572,740
世界 $10,726,910
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
1995年、ロサンゼルス。
デイヴ・ジョンソン(モリス・チェスナット)は、運命の人クラリス(タラジ・P・ヘンソン)と結婚式を挙げる。
メジャー・リーガーを目指していたデイヴは大学時代の怪我でそれを諦め、個人経営の建築業者として働いていた。
キャリアを磨くため不動産会社で働くクラリスとはすれ違い気味の生活が続くデイヴは、友人のツリー(ケヴィン・ハート)ブロック・ハウスマン(エディ・シブリアン)と共にバスケットボールの試合に向い、プレイ中、自分を妬むダーネル・グッデン(ウッド・ハリス)と揉める。
帰宅したデイヴは、ベッドに入っていたクラリスを求めるが相手にしてもらえない。 少年野球チームのコーチもするデイヴは、酔って息子の練習を見に来たダーネルを注意する。 帰宅したデイヴは、表彰式に行く約束だったクラリスから、遅れたために非難され続ける。 クラリスに謝罪しても受け入れないデイヴは気が散り、交差点で追突される。 デイヴは無事だったが、意識を失ったクラリスは病院に運ばれる。 足を複雑骨折して重傷を負ったクラリスは、何か月もリハビリをする必要があるため、彼女を説得するようデイヴは医師に言われる。 ツリーとブロックが病院に駆けつけてデイヴを励まし、クラリスの母メアリー(ジェニファー・ルイス)も現れる。 クラリスが無事で相手が赤信号を無視したと聞いたメアリーだったが、早く電話をしなかったことや、子供と野球をしていて遅れたデイヴのせいだと言って非難する。 夫として失格だとだと感じながら、デイヴは、車椅子で退院したクラリスを連れて帰宅する。 その場で待っていたメアリーに自分で面倒はみれると言うデイヴだったが、彼女は聞く耳を持たなかった。 体育館で見かけていた理学療法士ジュリー・ソイヤー(ミーヴ・クインラン)が訪ねてきたため、クラリスに紹介したデイヴだったが、気力を失い心を閉ざすクラリスは、彼女の話を聞こうともしない。 それでも、献身的に尽くすジュリーの指導を受けたクラリスはリハビリを続け、やがて彼女は心を開く。 しかし、デイヴは経済的に追い込まれ、それをクラリスには黙っていた。 何とか歩けるようになったクラリスとメアリーは、ジュリーに感謝する。 帰ろうとしたジュリーは車が故障してしまい、デイヴが彼女を送って行くことになる。 ブロックが好意を持っていることをジュリーに伝えたデイヴだったが、離婚訴訟中の相手とは付き合いたくないと言ってそれを断る。 水泳選手として期待されるジュリーの息子ブライソン(キャノン・ジェイ)を迎えに行ったデイヴは、野球チームに入ることを勧める。 ジュリーの車を直したブロックは、彼女の家に向かい鍵を渡し、一応は感謝される。 デイヴの事業の話で上司と共に会食をしたクラリスは、デイヴの積極性のなさと、クレジットカードが無効で食事代も払えないことなどで恥をかいてしまう。 帰宅して口論になったデイヴは、破産寸前なのはクラリスが組んだ住宅ローンのせいだと指摘するが、メアリーも加わり二人から非難されたためにうんざりする。 ジュリーが連れて来たブライソンを野球チームで練習させたデイヴは、バッティングで全く打てない彼に優しく助言する。 それによりブライソンは長打を放ち、ブライソンやジュリーは喜び、デイヴも満足する。 ブロックはジュリーに連絡先を渡すが、彼女はブライソンの父親になれる男性としか付き合う気のないことを伝える。 息子に野球チームを止めさせたダーネルに意見したデイヴは、自分を恨んでいることを理由に、子供の未来まで奪うなと言って忠告する。 帰宅したデイヴはジュリーからの電話を受け、ブライソンに水泳大会を見に来てほしいと言われる。 外で電話をしているデイヴが誰と話しているのかを、メアリーとクラリスは気にする。 家では自分だけの世界でいるしかないデイヴは、関係改善を考えるクラリスの提案にも気のない返事しかしない。 結婚式も執り行ってくれたウィルキス司教(アルバート・ホール)に相談したクラリスは、デイヴの前で彼の批判を繰り返す。 ウィルキスに意見を聞かれたデイヴは、話し合っても無駄だと答え、嫌われている義母とクラリスにとって自分は部外者だと語る。 二人の意見は噛み合うはずもなく、結婚式で話した苦難はあるという言葉を思い出させたウィルキスは、主とも結ばれている繋がりは、自分達が絶たない限りは続くと助言する。 その後、デイヴはジュリーのことを考えてしまい、クラリスは彼の携帯電話をチェックし、ジュリーと連絡し合っていることを知ってしまう。 同僚ミシェルと共に判事との豪邸購入契約をまとめたクラリスは、手放しで喜ぶことができない。 浮かない顔のクラリスを心配するミシェルは、彼女からデイヴが浮気しているという話を聞かされる。 相手がジュリーだと知り驚いたミシェルは、彼女を追求して認めさせるべきだであり、確証がないと言うクラリスに徹底的に戦うよう助言する。 自分が浮気して夫婦の危機を乗り越えたミシェルは、デイヴを逃がすなと言って譲らない。 ブライソンの水泳の予選会を見に行ったデイヴは、ジュリーから個人的な話をされる。 リハビリ中にクラリスと話したと言うジュリーは、素晴らしい男性だということで一致したことをデイヴに伝える。 デイヴが怪我でメジャーリーグを諦めたため、子供達に夢を託していることなどを聞いたジュリーは、ブロックが花を贈るために現れたため、彼を避けてその場を去る。 ブロックにジュリーとの関係を疑われたデイヴは、人生を大事にしろと言われるが、夫婦間の亀裂は修復不可能だと伝える。 帰宅したデイヴは、ムード作りをして求めるクラリスを拒む。 ジュリーと寝ているのかと聞かれたデイヴは、それを否定するものの惹かれてはいると答える。 ショックを受けるクラリスはどうしたいのかを聞かれるが、分からないとしか言えない。 翌日、ジュリーの家に怒鳴り込んだクラリスは、夫婦間の問題は家で解決するべきで、デイヴとは単なる友人だあり無関係だと言われる。 自分の”男”には近づくなと念を押すクラリスに、ジュリーは答えを返せない。 数日後、ブライソンは水泳大会の決勝で優勝するが、ストロークを数えていなかったためにゴールの壁に激突する。 ダーネルとバスケットボールで勝負したデイヴは、引き分けで終わる。 特待生になれなかったことでデイヴを恨んでいたダーネルは、自分が選ばれるべきだったと彼に言われる。 それでも自分が勝っていたと言うデイヴは、皆、問題は抱えているが、素晴らしい息子がいるだけで幸せ者だとダーネルに伝える。 デイヴの言葉を理解したダーネルは、何も語らずにその場を去る。 帰宅したデイヴは、自分の荷物を外に放り出すメアリーにジュリーのことで罵られ、クラリスが何も意見しないため出て行くことを伝える。 そこに現れたブロックから、ブライソンが壁に頭をぶつけて病院に運ばれ危険な状態だと知らされたデイヴは、ブロックと共に病院に向かう。 ブライソンは亡くなり、ジュリーのことを心配するブロックに、デイヴは自分達が付いていると伝える。 ウィルキス司祭によるブライソンの葬儀は行われ、デイヴとブロック、そしてクラリスも出席してジュリーを慰める。 式の後でウィルキスは、主はデイヴとを繫ぐ三本目の綱であったかをクラリスに問う。 クラリスはそれを否定し、それ故にこの場に一人でいるとウィルキスに指摘され、結婚を母親に委ねている自分がいるべき場所を考えるようにと言われる。 モーテル住まいを始めたデイヴは、ジュリーに電話をするものの繋がらず、悲しみに耐えるだけで精一杯の彼女は、それに出る気にはなれなかった。 メアリーに父を追い出した時の話をしたクラリスは、夫婦の問題に干渉するなと言われるが、自分達には口出ししてデイヴを追い出したと反論する。 口答えを認めないメアリーは、夫が卑劣な男だったことを伝え、結婚しても心が離れていれば男は残酷になると言って、そうなる前にデイヴを追い出したことは正解だったと断言する。 それを否定するクラリスは、デイヴはそうならないと言って、彼を追い出したのは間違いだったと伝える。 メアリーは、この件で議論し合うつもりはないとクラリスに伝え、黒人女は強くなくてはいけないと言い切る。 苦しみや辛さは分かるが忘れるべきだと言うクラリスは、誰かを思い許すという、人の愛し方を知らないとメアリーに伝える。 クラリスに対し当然その気持ちを抱いていたメアリーは、全てをデイヴに奪われたと言って、努力はしたと伝えながら涙する。 それで理解されないなら同情するしかないと言うメアリーに、自分も同じ考えだと語るクラリスは、非難する気はなかったとことを伝える。 独り立ちすることを決めたクラリスは、出て行ってほしいとメアリーに伝え、恋しく思うデイヴとやり直したいことを語る。 メアリーのようにはなりたくないと言うクラリスは、彼女のために祈ることと愛を伝えて母を抱きしめる。 自分のために祈るよう伝えたメアリーは、出て行くと言ってクラリスを突き放す。 モーテルに戻ったデイヴは、妻に追い出されたツリーがいたため、彼に家に戻るよう伝えて追い払う。 数日後、ジュリーからの連絡を受けたデイヴは彼女の家に向かう。 ブライソンを失った辛さに耐え切れないジュリーを慰めようのないデイヴは、互いに求め合うものの、それができないことを彼女に伝える。 ジュリーはそれを理解し、デイヴは謝罪してその場を去る。 教会で祈りを捧げたデイヴはモーテルに戻り、そこにクラリスが現れる。 話をしたいと言うクラリスは、結婚生活についてメアリーに干渉させないことと、本当の意味でのパートナーになりたいと言って気持を伝える。 デイヴを愛し失うことは考えられないと伝えるクラリスを、デイヴは受け入れる。 その後、グラウンドを整備していたデイヴは、現れたダーネルから息子をチームに復帰させたいと言われる。 自分なら息子を良い方向に導けると言われたデイヴは、共に導こうとダーネルに伝える。 デイヴに握手を求めたダーネルは、何も語らずにその場を去る。 チームに戻れることを息子に知らせたダーネルは、愛も伝える。 グラウンドに現れたクラリスに驚くデイヴは、いい父親になれると言われ、それを望むと答える。 7か月半後になる気はあるかと聞かれたデイヴは感激し、神に導かれていることを考えながら感謝する。
...全てを見る(結末あり)
*(簡略ストー リー)
ロサンゼルス。
デイヴ・ジョンソンと妻クラリスは、互いを運命の人として考え結婚する。
やがて、個人経営の建築業者として地道に働くデイヴと、キャリアにこだわり不動産会社で働くクラリスとは考え方の違いもあり、夫婦関係に亀裂が生じ始める。
そんな時、交通事故でクラリスが重傷を負い、彼女の母メアリーはそれをデイヴのせいにして非難する。
家に住み込みクラリスの面倒をみ始めたメアリーは、理学療法士のジュリーと共に娘のリハビリに協力する。
部外者扱いされるデイヴは悩み、クラリスから完全に心が離れてしまう。
そんなデイヴは、息子ブライソンを愛するジュリーとの関係に安らぎを求め、やがて心惹かれるようになる・・・。
__________
2006年に発表された、T・D・ジェイクスの小説”Not Easily Broken”を基に製作された作品。
アクション映画などの俳優、そして監督としても「天使にラブ・ソングを2」(1993)「奴らに深き眠りを」など話題作を手掛けるビル・デュークの監督作品。
幸せの絶頂として結婚した夫婦の多くが経験する問題を切実に描いた、ビル・デュークの深い演出が見所の作品。
悶々とする雰囲気で展開するドラマなのだが、苦しみぬく男女が互いを理解し将来に希望を抱かせるラストは実に心地よい。
”Not Easily Broken”という原題は、本作が言おうとする意味を見事に表現している素晴らしいタイトルだ。
苦悩する主人公を好演するモリス・チェスナット、愛を理解できずに過ごすものの、夫と共に苦難を乗り越えようと努力するタラジ・P・ヘンソン、その母親ジェニファー・ルイス、二人に関係する理学療法士ミーヴ・クインラン、その息子キャノン・ジェイ、主人公の友人ケヴィン・ハートとエディ・シブリアン、過去のわだかまりで主人公を恨み続けるものの、理解し合う仲になるウッド・ハリス、クラリス(タラジ・P・ヘンソン)の同僚ニーシー・ナッシュ、主人公と妻に的確な助言をする司祭アルバート・ホールなどが共演している。