サイトアイコン That's Movie Talk!

スタンドアップ North Country (2005)

高校生で出産し人々から侮辱されながらも2人の子供を育てようとする女性がセクハラや孤立する立場に苦しみながら闘う姿を描く、主演シャーリーズ・セロンフランシス・マクドーマンドシシー・スペイセクウディ・ハレルソンショーン・ビーンミシェル・モナハンリチャード・ジェンキンスジェレミー・レナー共演、監督ニキ・カーロによる感動のドラマ。

アカデミー賞 ■ ストーリー ■ 解説


ドラマ(社会派)

シャーリーズ・セロン / Charlize Theron 作品一覧
フランシス・マクドーマンド / Frances McDormand / Pinterest


スタッフ キャスト ■
監督:ニキ・カーロ
製作:ニック・ウェクスラー
製作総指揮
ヘレン・バートレット
ナナ・グリーンウォルド
ダグ・クレイボーン
ジェフ・スコール
原作
カーラ・ビンガム
ローラ・リーディ・ギャンスラー
脚本:マイケル・サイツマン
撮影:クリス・メンゲス
編集:デヴィッド・コウルソン
音楽:グスターボ・サンタオラヤ

出演
シャーリーズ・セロン:ジョージー・エイムズ
フランシス・マクドーマンド:グローリー・ダッジ
シシー・スペイセク:アリス・エイムズ
ウディ・ハレルソン:ビル・ホワイト
ショーン・ビーン:カイル・ダッジ
ミシェル・モナハン:シェリー
リチャード・ジェンキンス:ハンク・エイムズ
サンダー・バークレー:アーレン・パヴィッチ
ジェレミー・レナー:ボビー・シャープ
ラスティ・シュウィマー:ビッグ・ベティ
ジリアン・アルメナンテ:ペグ
リンダ・エモンド:レスリー・コンリン
ジェームズ・キャダ:ドン・ピアーソン
トーマス・カーティス:サミー・エイムズ
エル・ピーターソン:カレン・エイムズ

アメリカ 映画
配給 ワーナー・ブラザーズ
2005年製作 126分
公開
北米:2005年10月21日
日本:2006年1月14日
製作費 $35,000,000
北米興行収入 $18,324,240
世界 $25,211,180


アカデミー賞 ■
第78回アカデミー賞
・ノミネート
主演女優(シャーリーズ・セロン
助演女優賞(フランシス・マクドーマンド


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー ■
1989年、ミネソタ州北部。
夫の暴力に絶えかねて家を出た、ジョージー・エイムズ(シャーリーズ・セロン)は、息子のサミー(トーマス・カーティス)と娘カレン(エル・ピーターソン)を連れて故郷の町に戻る。

男遊びの絶えなかったジョージーは、10代で父親が分からないサミーを産み、それがきっかけで、父親ハンク(リチャード・ジェンキンス)との仲は冷え切り、母親アリス(シシー・スペイセク)も、娘に対する周囲の目を気にしてばかりいた。

ある日ジョージーは、鉱山会社でトラックの運転手をしている、グローリー・ダッジ(フランシス・マクドーマンド)に再会する。

グローリーは、賃金のよい鉱山で働くことをジョージーに勧めるが、同じ鉱山で働く父ハンクに反対され、母アリスは、娘に夫と寄りを戻すことを望む。

しかし、ジョージは鉱山で働くことを決意し、グローリーと夫カイル(ショーン・ビーン)の家に居候することになる。
...全てを見る(結末あり)

ジョージーは、鉱山が男の世界だとグローリーから聞いていたのだが、同じ新人シェリー(ミシェル・モナハン)を含めた、他の女性達に対する、男達からの想像以上の厳しい視線や態度に驚いてしまう。

さらにジョージーは、高校時代に関係したことのある、男友達ボビー・シャープ(ジェレミー・レナー)も、職場にいることを知り、それを気にする。

鉱山で働いていたが腰を痛め、時計ばかりいじっているカイルを、サミーは変人扱いする。

ある日、ジョージーはレストランで子供達との食事中に、鉱山会社社長ドン・ピアーソン(ジェームズ・キャダ)に声をかけられる。

何か困ったことがあれば来るようにと、ピアーソンに言われたジョージーは、希望を抱き、子供達のことを思いながら仕事を始める。

やがて、ジョージーらに対する、男達のセクハラが始まり、彼女は、上司アーレン・パヴィッチ(サンダー・バークレー)それをに報告する。

しかし、少ない仕事を女達が横取りしている現実があり、ジョージーは、我慢して働くしかないことを告げられる。

度を越してきた男達の行動に、ショックを受けて気落ちするジョージーだったが、グローリーは、弱音を吐く彼女を励ます。

同じ頃、カイルの親友で、弁護士のビル・ホワイト(ウディ・ハレルソン)が、ニューヨークから町に戻ってくる。

グローリーに、ジョージーを誘うよう促されたビルだったが、うまく彼女を誘えない。

ようやく仕事も落ち着いてきたジョージーは、ローンを組み、新居を購入して子供達と新たな生活を始める。

しかし、ジョージーに対するボビーらの嫌がらせは続き、彼女は、父ハンクの理解を未だに得られない。

サミーのホッケーの試合の際、ジョージーは、グローリーから、高校時代ホッケー選手として活躍したビルを紹介される。

試合中のサミーも嫌がらせを受け、ジョージーは、夫に近づくなと、ボビーの妻から身に覚えのないことで罵倒され、それを両親や子供にも聞かれてしまう。

ジョージーは、ビルに相談してみるものの、騒ぎを起こさないことが得策だと言われてしまう。

住民や家族の前で中傷や侮辱を受けたジョージーは孤立してしまう。

仕方なくジョージーは、シェリーやビッグ・ベティ(ラウスティ・スクウィマー)、ペグ(ジリアン・アルメナンテ)らと対策を考え、社長ピアーソンの元を訪れることを提案するものの話はまとまらない。

関節炎が悪化したと思われるグローリーは、ジョージーらを手助けできずに、男達のセクハラはエスカレートして、シェリーが酷い仕打ちを受ける。

我慢の限界に達したジョージーは、ピアーソンの元に直談判に行く。

しかし、上司パヴィッチも同席した席で、ジョージーは意見も述べることができず、逆にピアーソンに言いくるめられてしまう。

反抗するサミーの理解も得られず苦悩するジョージーは、暫く会っていない、風邪だというグローリーの家を訪れる。

そこでジョージーは、グローリーが、筋萎縮性側索硬化症のために外出できなかったことを知る。

その後、仲間のシェリー、ペグ、ビッグ・ベティらも、仕事を失いたくないために、ジョージーから遠ざかっていく。

現場でボビーに襲われ、脅迫されたジョージーは、辞職して会社を訴える決意をして、ビルの元に向かう。

ビルは、訴訟の辛さをジョージーに説明し、他の仕事での再出発を勧める。

しかし、考えを変えないジョージーのために、ビルは仲間を集められることを条件に、セクハラの集団訴訟に踏み切る準備を始める。

入院したグローリーは、ジョージーの考えを無謀な行為だと非難する。

審理が始り、裁判長は、原告を3人集めれば集団訴訟を認めることを、会社側の弁護士レスリー・コンリン(リンダ・エモンド)に伝える。

ビルは、言葉を発することもできなくなったグローリーに、無理を承知で証言をしてほしいことを伝える。

ジョージーは、シェリーの元を訪ねるが、彼女の協力は得られない。

コンリンは、集団訴訟になった場合、会社が痛手を受けることは避けられないと、ピアーソンに指摘する。

しかし、ジョージーが、シングル・マザーで男好きだと見下すピアーソンは、ボビーを利用して対抗しようとする。

ジョージーの母アリスは、職を失った娘を気遣うのだが、父ハンクは、変わらず娘を毛嫌いする。

それに耐え切れないアリスは、娘を守ろうとしないハンクを見限り、家を出てしまう。

組合の集会に、ビルと現れたジョージーは、男達の罵声を浴びながら発言を始めるが、彼女への非難は続く。

それを見たハンクは、ジョージーをかばい、彼女のために発言し、この場には友はなく、誇れる者は娘だけだと言って会場から立ち去るが、その場には賛同する男達もいた。

その後ハンクは、モーテルにいたアリスを迎えに行く。

ビッグ・ベティらは、最悪の環境の仕事場に限界を感じ始めるが、更に酷い嫌がらせを受ける。

裁判は始まり、ボビーから話を聞いていたコンリンは、ジョージーが、高校時代に教師にレイプされたことまで明らかにする。

ボビーはそれに気づくのだが、その場から逃げ去ったのだった。

コンリンは、ジョージーの男性遍歴から、それがレイプでなかったのではないかとまで言い切る。

法廷にいたハンクは、証人として呼ばれた教師に襲いかかり、サミーのことが心配なジョージーは退廷してしまう。

自分の出生の秘密を知ったサミーは家出してしまい、息子を案じ涙するジョージーを、父ハンクは優しく抱きしめる。

母ジョージーを恨むサミーだったが、家に来ていたことに気づいたカイルが、10代で辛い目に遭いながらも、子供を見捨てずに育て、今も待っている彼女の心情を伝える。

カイルは、大切にしている時計を、友としてサミーに渡す。

サミーはジョージーの元に戻り、全てを告白し自分を愛する母と固く抱き合う。

法廷の証言台に立ち、ジョージーの件はレイプではないと断言するボビーは、ビルから問い詰められる。

動揺するボビーは、あの状況では何もできなかったことを伝えながら、ジョージーが教師からレイプされ、それを知りながら逃げたことを証言する。

さらに、言葉も発せなくなっていたグローリーも法廷に現れ、夫カイルの代読で、ジョージー側につくことを告げる。

グローリーに視線を向けられたシェリーやビッグ・ベティ、更に男達もそれに続く。

その後サミーは、元ホッケー選手のビルとの親交を深め、彼は、訴訟で勝ち取った賠償金で車を買ってほしいことを母ジョージーに伝える。

ジョージーは、運転はまだ早いと言いながら、帰り道で車を止めて、サミーに運転を教える。
__________

メサビ鉄山の女性社員は勝訴し、賠償金を得た。

彼女達が勝ち取ったセクシャルハラスメント規定は、後に続く女性達を守ることになる。


解説 評価 感想 ■

*(簡略ストー リー)
1989年、ミネソタ州北部。
夫の暴力に絶えかねて家を出たジョージー・エイムズは、幼い子供二人を連れて故郷の町に帰る。
男遊びの絶えなかったジョージーは、10代で出産し、父親ハンクとの仲は冷え切り、母親アリスは周囲の目を気にしてばかりいた。
そんなジョージーは、鉱山会社で働く知人のグローリーと再会し、賃金のよい鉱山で働くことを勧められる。
同じ鉱山で働くハンクには反対され、アリスは夫と寄りを戻すことをジョージーに望むが、結局、彼女は鉱山で働くことを決意しする。
グローリーと夫カイルの家に居候することになったジョージーは、男の世界である鉱山での、想像以上の厳しい視線や態度に驚いてしまう。
さらにジョージーは、高校時代に関係していた、同じ職場のボビーの存在も気になる。
その後、容赦しない仕打ちにショックを受けるジョージーは、グローリーに励まされながら、何とか新居を構える。
しかし、嫌がらせは子供達にまで及び、彼女らへのセクハラはエスカレートし、孤立してしまう・・・。
__________

1988年にミネソタメサビ鉄山で実際に起きた、セクシャルハラスメント事件”ジェンソン対エベレス・タコナイト会社”(この件に関する世界初の集団訴訟)及び2002年に発表された、カーラ・ビンガムとローラ・リーディ・ギャンスラーの共同著書”Class Action”(集団訴訟)を基に製作された社会派ドラマ。

第78回アカデミー賞では、主演女優(シャーリーズ・セロン)、助演女優賞(フランシス・マクドーマンド)にノミネートされた。

実際に悲惨な貧困生活の経験もあるシャーリーズ・セロンは、2年前のアカデミー主演賞受賞作「モンスター」(2003)に続く”汚れ役”と言っていい役柄を、体を張った迫真の演技で演じている。
スーパーモデルのような美しさから一転し、このような役を演じ切れる彼女の真の実力と、力強さを感じられる作品でもある。

注目は、ハリウッドを代表する演技派を集めた共演陣の素晴らしさで、地味な作品ながら重みのあるストーリーに仕上がっている。

病魔に倒れながらも、主人公を助けようとする同僚フランシス・マクドーマンドの精神的な逞しさ、娘をあくまで温かく見守るシシー・スペイセクと、孤立する娘を助けずにいられなくなる、不仲だった父リチャード・ジェンキンスとの親子愛の修復、息子トーマス・カーティスとの和解なども感動を呼ぶ。

ややイメージに合わない慎重な弁護士役ではあるが好演するウディ・ハレルソン、公平な立場でものを見る、冷静なグローリー(F・マクドーマンド)の夫役ショーン・ビーンセクハラに耐えながら、主人公の勇気に賛同する同僚のミシェル・モナハン、会社の上司役サンダー・バークレー、主人公のかつての恋人で、嫌がらせを繰り返すジェレミー・レナーなどが共演している。


モバイルバージョンを終了