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ノーマ・レイ Norma Rae (1979)

無学の女工が組合から派遣された青年と共に待遇改善のために尽くし自立していく姿を描く、監督マーティン・リット、主演のサリー・フィールドが渾身の演技でオスカーを受賞した社会派ヒューマン・ドラマの秀作。

アカデミー賞 ■ ストーリー ■ 解説


ドラマ(社会派)


スタッフ キャスト ■
監督:マーティン・リット

製作
タマラ・アセイエフ
アレックサンドラ・ローズ
脚本
アーヴィング・ラヴェッチ
ハリエット・フランクJr.
撮影:ジョン・A・アロンゾ
編集:シドニー・レヴィン
音楽:デヴィッド・シャイア
作詞:ノーマン・ギンベル
主題歌:ジェニファー・ウォーンズIt Goes Like It Goes

出演
サリー・フィールド:ノーマ・レイ・ウェブスター
ロン・リーブマン:ルーベン・ウォショウスキー
ボー・ブリッジス:ソニー・ウェブスター
パット・ヒングル:ヴァーノン
バーバラ・バクスレー:レオナ
ゲイル・ストリックランド:ボニー・メイ
モーガン・ポール:ウェイン・ビリングス
フランク・マクレー:ジェームズ・ブラウン
グレゴリー・ウォルコット:ミラー保安官
ロニー・チャップマン:ガーデナー
ジェームズ・ルイジ:ジョージ・ベンソン
ジョン・カルヴィン:エリス・ハーパー
バート・フリード:サム・デイキン

アメリカ 映画
配給 20世紀FOX
1979年製作 114分
公開
北米:1979年3月2日
日本:1979年9月
北米興行収入 $22,228,000


アカデミー賞 ■
第52回アカデミー賞

・受賞
主演女優(サリー・フィールド
歌曲賞
・ノミネート
作品・脚色賞


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー ■
1978年夏、アメリカ南部。
O・P・ヘンリー紡績工場で働くノーマ・レイ・ウェブスター(サリー・フィールド)は、高校を出てすぐに結婚して子供が生まれるが、夫を酒場の喧嘩で亡くし、もう一人私生児を抱える、男にだらしのない無学な女工だった。

ノーマの両親ヴァーノン(パット・ヒングル)とレオナ(バーバラ・バクスレー)も、組合のない工場で過酷な労働を課せられ疲れきっていた。

ある日、ノーマの家にニューヨークに本部のある全米繊維組合から派遣された、ルーベン・ウォショウスキー(ロン・リーブマン)が下宿を探し訪ねてくる。

自分を共産主義者呼ばわりするヴァーノンに、低賃金で過重労働を強いられ、経営者に搾取されていると告げたルーベンは、追い返されてしまう。
...全てを見る(結末あり)

モーテルで男と会っていたノーマは、別れ話を持ち出して殴られてしまい、そこを宿にしていたルーベンに介抱され、2人は親しくなる。

翌日、ルーベンは早速、出社前の社員にビラ配りを始め、ノーマの小言を気にした上司は、彼女を抜き打ち検査係に昇進させる。

ノーマは、職場で工員ソニー・ウェブスター(ボー・ブリッジス)にからかわれるが、その夜、彼はノーマに謝りに来る。

暫くするとノーマは、”会社の犬”と言われ、工員達から無視されるようになり、彼女は、自発的に元の仕事に戻ってしまう。

そしてノーマは、離婚して子持ちのソニーから求婚され結婚することになる。

ルーベンの努力が実り、集会に参加する工員も現れるようになり、彼は工場視察なども積極的に行う。

そんなルーベンに感心したノーマは、組合に興味を持ち始め、ついに組合員になることを決意する。

教会での組合の集会を断られたノーマは、自宅で会合を開くが、組合員はなかなか集まらず、ルーベンと共に苦悩する。

家庭を放って活動を続ける、ノーマに不満を持つソニーを一蹴し、彼女は人が変わったように猛烈な組合員勧誘運動を始める。

しかし、ルーベンらの活動で工員達の労働条件は返って悪くなってしまい、結果ノーマの父ヴァーノンは亡くなってしまう。

やがて、組合員は徐々に増え始めるが、ノーマは仲間達に高圧的な態度をとってしまう。

そんなノーマをうまくなだめるルーベンだったが、会社側の陰謀で、彼女に対する誹謗中傷を気にする組合本部の者達と揉めてしまう。

会社の組合員への嫌がらせは続き、ノーマは、会社を訴えられる内容の、掲示板の張り紙を書き写すようルーベンに指示され、彼女はクビを覚悟でそれを実行する。

ノーマは、幹部から即刻、工場の敷地内から退去することを命ぜられるが、”UNION”(組合)という文字を書いたボードを掲げて工員達に示す。

それを見たノーマの母レオナを筆頭に、工員達は次々と機械の電源を切り、全ての機械が停止する。

ミラー保安官(グレゴリー・ウォルコット)に連行され、逮捕されてしまったノーマは、ルーベンが保釈金を払い釈放されるが、ショックを受けてしまう。

自宅に帰ったノーマは、子供達に自分の犯してきた過ちを洗いざらい話し、信じる道を歩む覚悟も伝える。

ソニーは、今後のノーマとの生活に不安を感じるが、彼女は自立した女性になり、それを受け入れるかが問題だとルーベンに言われ、ノーマの元に歩み寄る。

そして、組合を組織することが投票により決まり、使命を終えたルーベンは、ノーマに感謝して別れを告げる。


解説 評価 感想 ■

*(簡略ストー リー)
1978年夏、アメリカ南部。
紡績工場で働くノーマ・レイ・ウェブスターは、男にだらしのない無学な女工だった。
ノーマは、両親ヴァーノンとレオナと共に、組合のない工場で過酷な労働を課せられいた。
ある日、ニューヨークに本部のある、全米繊維組合から派遣されたルーベンという青年が町に現れる。
ルーベンは、男に殴られたノーマを介抱したことで彼女と親しくなる。
翌日からルーベンは行動を開始し、低賃金で過重労働を強いられ、経営者に搾取されていることを従業員に理解させようと、ビラ配りから始める。
その後ノーマは、職場の工員ソニーから求婚され、2人は結婚することになる。
そんな時、ノーマは、ルーベンの活動に感心して組合に興味を持ち始め、ついに組合員になることを決意するのだが・・・。
__________

1970年代初頭に活躍した、組合のオルガナイザークリスタル・リー・ジョーダンの実話を基にした作品。

1950年代初頭、共産党に関わり赤狩りに遭ったマーティン・リットが、人間の意志の強さや正義感を力強く描き、感動に頼り過ぎない作風が、実に爽やかな作品。

特にラスト、主人公2人の別れのシーンの、無理矢理に盛り上げようとしない描写が実にいい。

第52回アカデミー賞では、主演女優(サリー・フィールド)と歌曲賞を受賞し、作品と脚色賞にノミネートされた。

オープニングの、デヴィッド・シャイア作曲、ノーマン・ギンベル作詞、ジェニファー・ウォーンズの歌う、アカデミー賞を受賞した、しみじみとした主題曲”It Goes Like It Goes”で、ドラマチックな予感を感じる。

快活なお転婆娘で、軽い感じのイメージしかなかったサリー・フィールドが、突然、演技派に転身して、アカデミー賞まで受賞してしまったのには、当時驚いたものだが、5年後にも「プレイス・イン・ザ・ハート」(1984)で同賞を受賞し、実力派女優の地位を築くきっかけになった、彼女にとって転機となった記念すべき作品。

ふしだらな女から組合運動に目覚め、形振りかまわず生き抜き、自立して真の母親へと成長する女性を見事に演じきっている。

主人公のノーマからすると、かなりインテリのロン・リーブマンが、クライマックスでは、彼女に人間の強さや真の美しさを教えられて、満足して去っていく姿も実に清々しい。

家庭を犠牲にしてまで運動を続ける妻を、決して見捨てない、主人公の再婚相手ボー・ブリッジス、娘の行動を監視しながらも愛情を注ぐ父親パット・ヒングルと母バーバラ・バクスレー、同僚ゲイル・ストリックランドフランク・マクレー、保安官グレゴリー・ウォルコットなどが共演している。


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