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ノクターナル・アニマルズ Nocturnal Animals (2016)

1993年に発表された、オースティン・ライトの小説”Tony and Susan”を基に製作された作品。
成功者であるアート・ギャラリーのオーナーが別れた夫から送られてきた著作に惹きつけられながら混乱していく姿を描く、製作、監督、脚本トム・フォード、主演エイミー・アダムスジェイク・ギレンホールマイケル・シャノンアーロン・テイラー=ジョンソンアイラ・フィッシャーアーミー・ハマーローラ・リニーマイケル・シーンアンドレア・ライズボロー他共演の心理スリラー。

アカデミー賞 ■ ストーリー ■ 解説


スリラー/ホラー

エイミー・アダムス / Amy Adams / Pinterest


スタッフ キャスト
監督:トム・フォード

製作
トム・フォード
ロバート・サレルノ
原作:オースティン・ライトTony and Susan
脚本:トム・フォード
撮影:シェイマス・マクガーヴェイ
編集:ジョーン・ソーベル
音楽:アベル・コジェニオウスキ

出演
スーザン・モロー:エイミー・アダムス
トニー・ヘイスティングス/エドワード・シェフィールド:ジェイク・ギレンホール
ボビー・アンディーズ警部補:マイケル・シャノン
レイ・マーカス:アーロン・テイラー=ジョンソン
ローラ・ヘイスティングス:アイラ・フィッシャー
ハットン・モロー:アーミー・ハマー
アン・サットン:ローラ・リニー
カルロス・ホルト:マイケル・シーン
アレシア・ホルト:アンドレア・ライズボロー
インディア・ヘイスティングス:エリー・バンバー
ターク/スティーヴ・アダムズ:ロバート・アラマヨ
サマンサ・ヴァン・ヘルシング:クリスティン・バウアー・ヴァン・ストラテン
ルー・ベイツ:カール・グルスマン
セイジ・ロス:ジェナ・マローン
アレックス:ゾウイ・アシュトン
サマンサ・モロー:インディア・メニューズ
グレイヴス警部補:グレアム・ベッケル
クリストファー:ニール・ジャクソン

アメリカ 映画
配給 フォーカス・フィーチャーズ
2016年製作 115分
公開
北米:2016年11月18日
日本:2017年11月3日
製作費 $22,500,000
北米興行収入 $10,663,360
世界 $30,311,860


アカデミー賞
第89回アカデミー賞

・ノミネート
助演男優賞(マイケル・シャノン


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー
ロサンゼルス
アート・ギャラリーのオーナーであるスーザン・モロー(エイミー・アダムス)は、何不自由ない生活を送っていたものの、夫ハットン(アーミー・ハマー)との結婚生活は冷めきっていた。

ある日、小包が届いたことをアシスタントのクリストファー(ニール・ジャクソン)から知らされたスーザンは、それを開けようとして指を切ってしまう。

開封を頼んだクリストファーに、中に入っていた手紙を読んでもらったスーザンは、19年前に別れた夫で小説家のエドワード・シェフィールドから送られたものだと知る。

それは、自分との別れが着想となった、以前とは作風が違うという出版前の校正刷りだった。

仕事で水曜までロサンゼルスにいるので、ぜひ会いたいという内容が手紙には書かれていた。
...全てを見る(結末あり)

その件をハットンに話したスーザンは、昨夜の展覧会に来なかった理由を尋ね、少しでも顔を出してほしかったと伝える。

仕事が忙しかったと言うハットンは謝罪し、寝室にも来なかったと言うスーザンは、週末をビーチハウスで過ごすことを提案する。

ハットンがスーツを着ていたために不思議に思ったスーザンは、これから会社に行き、その後ニューヨークに向かうと言われる。

厳しい状況なので契約を結ばないといけないと言うハットンに、アートのことはどうでもいいと考えているスーザンは、新進画家の絵を買いあされば破産寸前だとは思われず、面目が保てると伝える。

ハットンと共に友人のカルロス・ホルト(マイケル・シーン)の家のパーティーに出席したスーザンは、妻のアレシア(アンドレア・ライズボロー)にハットンとの関係を話す。

アレシアから、カルロスがゲイであるためにかえって夫婦円満だと言われたスーザンは、価値観が違う自分達は無理だと伝える。

スーザンは、空港に向かうハットンを見送る。

食事の際にスーザンは、昨夜のイベントは素晴らしかったと絶賛するカルロスから、不条理な世の中を楽しむようにと助言される。

帰宅したスーザンはベッドに入り、エドワードの小説”ノクターナル・アニマルズ”(夜の野獣たち)を読む。
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テキサス
マーファで休暇を過ごそうとするトニー・ヘイスティングス(ジェイク・ギレンホール)は、妻のローラ(アイラ・フィッシャー)と娘のインディア(エリー・バンバー)と共に車で出発する。

街道を走るトニーは、道を塞ぐ追い越し車線の車に苛立ちクラクションを鳴らす。

車が道を開けたために追い越したトニーだったが、インディアが挑発したために相手は追ってくる。

運転するレイ・マーカス(アーロン・テイラー=ジョンソン)、ルー・ベイツ(カール・グルスマン)とターク(ロバート・アラマヨ)の車は並走し、トニーらを睨み威嚇する。

追い越して乱暴な運転をするレイの車に衝突したトニーは、停まれと言われながら彼らを追い越す。

携帯電話が通じるかをインディアに確かめさせたトニーは、つながらないがナンバーは控えたと言われる。

再び追いつかれたトニーは、車をぶつけらて割り込まれて、路肩に強引に停められる。

後方から追いついた車は走り去る。

車を降りたレイはトニーに言いがかりをつけ、ローラから自分のせいだと言われたために、タークとルーを呼ぶ。

動揺するローラを落ち着かせたトニーは、警察に連絡するべきだとレイに伝えるが、タイヤがパンクしていると言われる。

ローラがそれを信じないために車を動かしたトニーは、パンクしていることを確認する。

タイヤ交換をしてやると言うレイは、その後に警察に行くことを提案し、車を降りたトニーはトランクを開ける。

ジャッキアップするためにローラとインディアを車から降ろしたレイは、自分達の車を傷つけたことでトニーに因縁をつける。

そこにパトカーが通りがかり、トニーらは助けを求めるものの通り過ぎてしまう。

まともに話しても相手にならないトニーは戸惑い、苛立ち言い寄ってきたインディアをレイはからかう。

娘を放せと言うトニーはもみ合いになり殴られてしまい、インディアを車に乗せようとしたレイは逃げられてしまう。

インディアに寄り添ったローラは二人で車に乗り込むが、レイが運転して走り去ってしまう。
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その内容に動揺したスーザンはハットンに電話をするが、ホテルに着いたと言う彼が女性といることに気づく。
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残ったルーに車を運転するようにと指示されたトニーは、街道を外れた荒れ地に連れて行かれて置き去りにされる。

その場に戻ってきたレイらに気づいたトニーは、身を隠していることしかできなかった。

歩き続けて何とか街道まで出ることができたトニーは、民家にたどり着いて警察に電話をする。

警察署に向かったトニーは、事件のことをグレイヴス警部補(グレアム・ベッケル)に話し、モーテルに泊り連絡を待つことになる。

休んでいたトニーは、グレイヴスからの連絡を受けて、谷で車が見つかったことを知らされる。

妻子はいなかったことも知らされたトニーは、ボビー・アンディーズ警部補(マイケル・シャノン)に本件が引き継がれるので、迎えに行くと言われる。

アンディーズと共に歩いてきた道を辿ることになったトニーは、ルーに置き去りにされたことを話す。

戻ってきたレイらに呼ばれたにも拘らず、出て行かなかった理由を訊かれたトニーは、明確な答えを返せない。

街道に出た場所に着いたトニーは、パトカーを降りて歩き、置き去りにされた場所に向かうことになる。

ある場所で、全裸でソファーの上に横たわっているローラとインディアを発見したトニーとアンディーズは、二人の死を確認する。
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その内容に動揺するスーザンは、娘のサマンサ(インディア・メニューズ)に電話をして、声が聞きたかったと伝える。

日曜の朝だったためにボーイフレンドと寝ていたサマンサは、ベッドの中なのでかけ直すと伝えて、様子がおかしいスーザンのことを気にしながら電話を切る。

スーザンは、ニューヨークでエドワード(ジェイク・ギレンホール)と再会した学生時代のことを思い出す。
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街角でスーザンから声をかけられたエドワードは、コロンビア大学の奨学金の面接で来ていることを伝える。

イェール大学を卒業してコロンビアの美術史専攻の修士課程にいると伝えたスーザンは、エドワードを食事に誘う。

初恋の人だとスーザンに伝えたエドワードは、会いたくて彼女の兄と友達になったと告白する。

兄の初恋の相手が自分だと知ったエドワードは、兄がゲイだと知り驚く。

それを気にしないエドワードは、保守的な人種差別主義者の両親に勘当された兄を気遣うスーザンから、自分も”同類”だと思われていると言われる。

そんな両親、特に母の考えを認める気のないスーザンは、エドワードから、母が好きだったと言われて驚く。

父親が死んだ時に世話になったと言うエドワードは、スーザンの瞳に母親と同じ悲しみを感じると伝える。

悲しくて、そして美しいと言われたスーザンは、母に似たくないと伝えて、エドワードは偉大な作家になれると考える。

スーザンから、自分を架空の人物に創り上げている言われたエドワードそれを否定し、彼女に芸術家を諦めた理由を尋ねる。

物事の味方を皮肉として捉え過ぎるために、芸術家に必要な心の奥底に秘めた衝動がないと話すスーザンは、自分を過小評価していると言われる。

エドワードをアパートに誘ったスーザンは大胆だと言われ、かつて夢中だったと話す彼女に、エドワードは知っていたと伝える。
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警察署に戻ったアンディーズは、昨夜、同じように嫌がらせに遭った者がいることをトニーに伝えて、妻子の死因について話す。

ハンマーかバットで殴られたローラは頭蓋骨骨折で、インディラは絞殺され片手が骨折し、二人共レイプされていたことを知ったトニーは、トレーラーの話は正しかったと言われる。

その場にローラの指紋があったと言うアンディーズは、トレーラーの持ち主はエルパソに住んでいて、犯人が勝手に侵入したらしいとトニーに伝える。
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訪ねて来た母親アン・サットン(ローラ・リニー)と話したスーザンは、今後のことを訊かれたためにエドワードと結婚することを伝えるものの、馬鹿げた話だと言われる。

社会的にではなく、意志の強いスーザンと弱過ぎるエドワードでは合わないと言うアンは、彼は”繊細”だと訂正される。

数年後にはブルジョワ的な生活の大切さが理解できると言われたスーザンは、意欲、野心、財力もないエドワードでは無理だと断言される。

エドワードと結婚するなら父親の援助はないとも言われたスーザンは、意欲はないが、彼はいろいろな意味で自分より強いとアンに伝える。

その意味を訊かれたスーザンは、エドワード自身と自分を信じる力だと答える。

エドワードと暮らすのは構わないが結婚だけはしないでほしいと伝えたアンは、彼はロマンチストだが神経が細過ぎると言いながら、父親の死の際に動揺していたので分かると話す。

結婚だけは後悔するのでやめとほしいと言うアンは、彼を傷つけて、長所まで憎むようになるとスーザンに伝える。

自分達が似ていると言われたスーザンはそれを否定するものの、アンは譲らない。
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エドワードにメールをしたスーザンは、著作の内容を絶賛して、火曜の夜に会いたいことを伝える。
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アンディーズからのメールに添付されていた男の写真を確認したトニーは、動揺しながらアンディーズからの電話を受ける。

男に見覚えないと言うものの、記憶が曖昧だと伝えたトニーは、車とトレーラーに指紋があった”スティーヴ・アダムズ”だと言われる。

不起訴のレイプ容疑もあると伝えたアンディーズは、動揺するトニーの返答に苛立つものの、事件のことをよく思い出せないということだった。

その後、男が犯人の一人だと思うとアンディーズに伝えたトニーは、居場所が掴めず進展がないため、証拠がなければ、解決には数か月か数年かかると言われる。

翌年、久しぶりにアンディーズに会ったトニーは、スーパーの強盗未遂事件で捕まった男の面通しをすると言われ、死んだ仲間の男がスティーヴ・アダムズだと知らされる。

スティーヴ・アダムズが、昨年、写真を送ったタークだと言われたトニーは、部屋に連れて来られたルーを見て、犯人だとアンディーズに伝える。

しらを切るルーにアンディーズは、去年の夏、仲間が妻子を連れ去り、自分を荒れ地に置き去りにして、その後、妻子は遺体で発見された話をする。

アンディーズに問い詰められて動揺するルーは、その件もトニーも知らないと伝える。

レイとタークのことを訊かれたルーは、二人のことも知らないと答えて、留置場に連れて行かれる。

ルーが犯人であることは間違いなく、法廷で証言できることをトニーに確認したアンディーズは、裁判を待つよう指示して、自分はレイを捜すことを伝える。
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アシスタントのアレックス(ゾウイ・アシュトン)から睡眠不足ではないかと言われたスーザンは、それを否定しない。

スーザンは、大学時代に結婚していた別れた夫のことを考えていたら、自分に捧げられた”ノクターナル・アニマルズ”という著作が送られてきたことをアレックスに話す。

愛していたが、彼の作家としての才能を認めなかったと言うスーザンは、彼を捨ててハンサムで精力的なハットンに乗り換えたことをアレックスに伝える。

人生が思わぬ方向に向かうことを感じたことはあるかと訊かれ、ないと答えたアレックスは、スーザンがねていないことを再び確認する。

会議に向かうスーザンは、壁に掛けてあるアートの前で立ち止まり、通りがかったスタッフのセイジ・ロス(ジェナ・マローン)から、8年ほど前に自分が購入したものだと言われるものの、記憶になかった。

セイジから、自分の娘を携帯電話で監視できるアプリのことを知らされたスーザンは、その映像を見せてもらう。

一瞬、男(レイ)が映ったように思えたスーザンは、驚いて携帯電話を落としてしまいセイジに謝罪する。

弁償しようとしたスーザンは、来週、買い替える予定だったと言うセイジと共に会議に向かう。

会議でスーザンは、変化ばかり追うのは良くない考えだと思えるようになったことを、セイジやサマンサ・ヴァン・ヘルシング(クリスティン・バウアー・ヴァン・ストラテン)に伝える。

帰宅したスーザンは、暗闇の中で夜景を眺める。
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トニーと共にレイの家に向かったアンディーズは、ルーとタークの仲間である彼が、パートの電気修理工で配管工だと伝える。

事件の共犯者である証拠がないと言うアンディーズに、犯人に間違いないと伝えたトニーは、レイに話を聞くことになる。

レイを連行しトニーに運転させたアンディーズは、車とトニーに見覚えがないかを問う。

何も知らないと答えるレイに確かめさせるために、アンディーズは車を止めるようにとトニーに指示する。

トニーから、去年の夏、妻子を殺したと言われたレイはそれを否定し、信じないアンディーズは彼に手錠をかける。

トレーラーに向かったトニーは、妻子をレイプして殺した件をレイに問い詰め、怒りがこみ上げて彼を殴り倒す。
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修正した原稿を読んだスーザンは、自分以外のことを書くべきだとエドワードに意見し、才能を疑っていると考える彼と口論になる。

本屋でアルバイトをして小説を書いている、こんな生活でいいのかと言われたトニーは、母親と同じだとスーザンに伝える。

その言い方が気になるスーザンは反論し、苦労して書いたものを気に入ってもらいたかったと言うトニーは部屋を出る。

そんな時、スーザンはハットンと出会ったのだった。
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証拠不十分でレイが釈放されることをアンディーズから知らされたトニーは驚き、他に方法があるので来てほしいと言われる。

アンディーズから、肺癌で1年以内に死ぬと言われたトニーは、ルーは起訴されることを知るものの、レイが不起訴なら無意味だと伝える。

親展のない捜査から自分に手を引かせようとしていると言うアンディーズに、身内がいるのか尋ねたトニーは、娘がいるが何もできないとことを知る。

正義を遂行する気があることをトニーに確認したアンディーズは、レイをどうしてほしいか尋ねる。

失うものはないと言うアンディーズは、最後の事件を邪魔させるつもりはなく、悪党どもを葬り去るため、法を無視する覚悟はあるかをトニーに問い、それを確認する。

レイが酒場に現れたという連絡を受けたアンディーズは、捕まえて自分の家に連れて行き、脅して様子を見ることをトニーに伝える。
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別れ話を切り出したスーザンは、エドワードに説得されるものの、不幸せであることを伝える。

自分の弱さを指摘されているようなエドワードは、愛はあるがこれ以上は無理だと言われ、スーザンはその場を去る。
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バーでレイを逮捕して連行したアンディーズは自分の家に連れて行き、気分が悪くなったために、トニーに銃を渡して見張らせる。

違法逮捕だと言い張るレイだったが、そこにルーが連れて来られ、アンディーズは二人に銃を向けて脅す。

二人の手錠を外したアンディーズは、銃を渡したトニーに、彼らをどうしたいか尋ねる。

アンディーズが吐き気を催した隙に逃げようとした二人は、家を飛び出す。

トニーから銃を奪ったアンディーズはルーを銃撃し、苦しむ彼を射殺する。
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堕胎したスーザンは、車の中でハットンに慰めらえるが、一生、後悔すると言ってエドワードの子供だったために彼のことを気遣う。

エドワードは気がつかないと言うハットンは、涙するスーザンに自分がついていると伝える。

しかしスーザンは、雨の中、エドワードが自分達を見つめていることに気づく。
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アンディーズから撃つしかなかったと言われたトニーは、動揺しているのではなく、ルーが死んで嬉しいと興奮しながら伝える。

事件のことを思い出し、奴らから妻子を守れなかったことを悔やむトニーは、自分は善良な人間だと言うアンディーズの言葉で落ち着く。

レイを捕まえると言うアンディーズに迷惑がかかることを気にするトニーだったが、どうせ死ぬので心配いらないと言われる。

トレーラーでレイを見つけたトニーは、アンディーズから渡された銃を向ける。

ルーが死んだことを知ったレイは、善人のトニーが人殺しのアンディーズと一緒にいる理由を尋ね、去年の件は事故だと伝える。

人殺しは楽しいと言われたトニーは苛立ち、レイが鉄棒を隠し持っていることに気づかない。

腰抜けだと言われたトニーはレイを銃撃するものの、鉄棒で殴られて意識を失う。

夜が明けて意識が戻ったトニーは、レイが死んでいることを確認して表に出る。

上空に向かい銃を放ち居場所を知らせようとしたトニーは、しばらく歩いたところで倒れて、脳内出血のために息を引き取る。
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著作を読み終えて入浴したスーザンは、エドワードのことを想う。

ベッドに入るものの眠れないスーザンは、エドワードからのメールに気づき、火曜の夜の時間と場所は任せるという内容を確認する。

火曜の夜。
約束したレストランに向かったスーザンだったが、エドワードは現れない。

他の客はいなくなるものの、スーザンは一人でエドワードを待つ。


解説 評価 感想

*(簡略ストー リー)
ロサンゼルス
アート・ギャラリーのオーナーであるスーザン・モローは、成功者として何不自由ない生活をしていたが、夫ハットンとの関係も冷めて満たされない日々を送っていた。
そんなスーザンは、19年前に別れた夫で作家を志していたエドワードから送られてきた著作を読み始める。
エドワードの才能を認めることができずに別れたスーザンだったが、家族が悪党に嫌がらせを受けて殺人事件にまで発展する著作の内容に、衝撃を受けると共に惹きつけられる。
過去を想いながら著作を読み続けるスーザンは、出版前の著作を自分に送ったエドワードの真意が理解できずに、次第に不安が募り苦悩する・・・。
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ファッション界など各方面に多大な影響を与えるトム・フォードが、「シングルマン」(2009)に続き製作、監督、脚本を担当した作品。

現在と過去、そして小説の中の物語が入れ替わりながら描かれる内容であり、過去の行いを後悔する主人公が、元夫が送ってきた著作に惹きつけられるものの、その真意が理解できずに混乱していく姿を描く心理スリラー。

オースティン・ライトの原作のタイトルが”Tony and Susan”であることがポイントで、主人公のスーザンは、著者である別れた夫の”エドワード”の真意を探るために、著作の登場人物である”トニー”に彼を投影して読み進めるために次第に混乱していく様が、繊細なタッチで描かれている。

恐ろしい内容が展開する著作の物語と、トム・フォードらしい洗練されたセンスで描かれる現実の世界との対比に注目したい。
著作の中の妻子の死体が発見される場面で、廃棄物である真っ赤なソファーに横たわる遺体のショットの美しさは、悲惨な現場であるにも拘らず、まるで芸術作品のようだ。

第89回アカデミー賞では、肺癌による死期を知りながら、正義を貫こうとして被害者に協力する警部補を好演したマイケル・シャノンが助演男優賞にノミネートされた。

第73回ヴェネツィア国際映画祭金獅子賞にノミネートされ、審査員大賞を受賞した。

シングルマン」(2009)でも音楽を担当した、アベル・コジェニオウスキの美しい楽曲も印象に残る。

主演のエイミー・アダムスは、満たされぬ日々の中で、送られてきた元夫の著作を読み、衝撃を受けて惹きつけられながら、彼の真意が理解できずに苦悩する女性を見事に演じている。

主人公の元夫エドワードと、彼女がエドワードを投影しながら読み進める著作の主人公を熱演するジェイク・ギレンホール、彼に嫌がらせをして妻子(アイラ・フィッシャーエリー・バンバー)を殺害する物語の中の犯人アーロン・テイラー=ジョンソン、主人公の夫アーミー・ハマー、主人公の母親ローラ・リニー、主人公の友人である夫妻マイケル・シーンアンドレア・ライズボロー、物語の中の犯人ロバート・アラマヨカール・グルスマン、ギャラリーのスタッフ、クリスティン・バウアー・ヴァン・ストラテンジェナ・マローンゾウイ・アシュトン、主人公の娘インディア・メニューズ、警部補のグレアム・ベッケル、主人公のアシスタントのニール・ジャクソンなどが共演している。


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