戦争神経症の夫と彼を見限った妻の相容れぬ関係を描く、製作、脚本チャールズ・ブラケット、監督ヘンリー・ハサウェイ、主演マリリン・モンロー、ジョゼフ・コットン、ジーン・ピーターズ他共演のサスペンス。 |
・マリリン・モンロー / Marilyn Monro / Pinterest
■ スタッフ キャスト ■
監督:ヘンリー・ハサウェイ
製作:チャールズ・ブラケット
脚本
チャールズ・ブラケット
ウォルター・ライシュ
リチャード・L・ブリーン
撮影:ジョゼフ・マクドナルド
編集:バーバラ・マクリーン
音楽:ソル・カプラン
出演
ローズ・ルーミス:マリリン・モンロー
ジョージ・ルーミス:ジョゼフ・コットン
ポリー・カトラー:ジーン・ピーターズ
レイ・カトラー:ケーシー・アダムス(マックス・ショウウォルター)
スターキー警部:デニス・オデア
ケタリング:ドン・ウィルソン
パトリック:リチャード・アラン
タクシー・ドライバー:ハリー・ケリーJr.
アメリカ 映画
配給 20世紀FOX
1953年製作 88分
公開
北米:1953年1月23日
日本:1953年4月
製作費 $1,250,000
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
ナイアガラの滝に近いキャビン・ホテル。
夫ジョージ・ルーミス(ジョゼフ・コットン)への思いが冷め切っているローズ(マリリン・モンロー)は、悶々とした毎日を送っていた。
そこに、若いカップル、レイ・カトラー(ケーシー・アダムス)とポリー(ジーン・ピーターズ)が会社の懸賞旅行でやって来る。
レイ達はルーミス夫妻のロッジを予約していたのだが、ローズはジョージの具合が悪いことを理由に、引き続き滞在を希望する。
それを了承したレイとポリーは、他のロッジに移り、早速ナイアガラの名所巡りを始める。
しかし、ポリーは、買い物に出かけたはずのローズが、滝の近くで若い男性パトリック(リチャード・アラン)と密会しているのをが目撃してしまう。 ジョージも、ロッジに戻ったローズが、滝のトンネルに行ったことを知る。 その夜、ロッジでは宿泊客がダンスを踊り集まっていたが、そこに現れたローズの妖艶な姿に、男達の眼差しは釘付けとなる。 それをロッジの中から見ていたジョージは、ローズが選んだ曲のレコードを割ってしまう。 手を怪我したジョージの治療に向かったポリーは、彼がローズの行動を嫉妬していることを知る。 さらに、朝鮮戦争から帰ったジョージを、ローズが神経症だと思っていることを聞かされる。 その間も、ローズはパトリックと連絡を取り、翌日、ある計画を実行することを確認する。 翌朝、ジョージとローズはロッジを出ることになり、彼女がバスのチケットをターミナルに買いに行くと言い出す。 それを疑ったジョージはローズの後をつけ、待ち構えていたパトリックは、彼女の合図で、滝のトンネルに向かったジョージを追う。 ローズはロッジに帰り、レイとポリーにジョージの行方が分からなくなったことを告げ、レイは警察に捜索願を出す。 連絡を受けたスターキー警部(デニス・オデア)は、トンネルに向かったジョージの痕跡を、ローズやレイ、そしてポリーと共に確認して捜索を始める。 ローズはレイとポリーに送られるが、パトリックの、計画成功の合図であるベルタワーの音色を聞き、そそくさと2人の元から去っていく。 やがて川岸で遺体が見つかり、ローズはスターキー警部と、夫ジョージの遺体を確認するが、彼女はそれを見て卒倒してしまう。 病院に運び込まれたローズを見舞ったポリーは、彼女達がいたロッジに移りレイの帰りを待つ。 そこに、死亡したと思われたジョージが戻ってくる。 ローズと間違え、ポリーを殺そうとしたジョージは彼女に気づく。 ポリーが叫び声をあげたため、ジョージはその場から逃げ去る。 戻って来たレイに、ジョージの存在を話すポリーだったが、レイはそれを信じるはずもなく、彼女は、スターキー警部に連絡を入れる。 懸賞旅行を祝いに現れた、会社の副社長ケタリング(ドン・ウィルソン)夫妻と共に、滝に向かったレイとポリーだったが、そこにジョージが姿を現す。 レイ達とはぐれ、ジョージから逃げようとするポリーは、橋から落ちそうになるが、ジョージがそれを助ける。 今回の事件の事情を話したジョージは、自分の生存を知るポリーに、自分が死んだことにしてくれと頼む。 ロッジに戻ったポリーをスターキー警部が待ち受けて、彼女は、ローズが病院から消えたことを聞かされる。 ポリーはスターキー警部に、ジョージがローズの命を狙っていることを伝える。 バス・ターミナルからこの地を去ろうとしていたローズは、警察の動きを察知し、歩道を歩いてアメリカ側に向かう。 しかし、ローズはジョージに見つかり、ベルタワーに追い詰められて絞殺されてしまう。 ベルタワーを抜け出したジョージは、逃亡のためのボートを探し、レイとポリーがケタリングと釣りをするはずのボートに忍び込む。 戻って来たポリーに、ボートから降りるよう指示したジョージだったが、2人は揉み合いになりポリーは気を失ってしまう。 ボートを出したジョージだったが、それがスターキー警部に知られ、彼はアメリカの河川巡視艇に連絡を取りボートを追わせる。 意識を取り戻したポリーは、ジョージに自首するよう説得するが、彼はローズを殺してしまい、もう逃げることが出来ないことを彼女に話す。 その時、ボートは燃料切れで漂流してしまい本流に流されて行く。 巡視艇の追跡も不可能となり、ジョージは船底に穴を開けてボートを沈めようとする。 滝つぼが迫ったことに気づいたジョージは、ポリーを岩に避難させて自らは滝に転落する。 そして、ポリーは到着したヘリコプターに救助される。 ポリーはスターキー警部に感謝し、レイと共にナイアガラを去って行く。
...全てを見る(結末あり)
*(簡略ストー リー)
ナイアガラの滝に近いキャビン・ホテルに宿泊する、ジョージ・ルーミスへの思いが冷めている妻ローズは、現れた若いカップルの、レイとポリーに出会う。
到着したばかりの2人は、早速ナイアガラの名所巡りを始めるが、ポリーは、ローズが若い男性パトリックと密会しているのを目撃してしまう。
それに気づいていたジョージは、その夜の、男達の眼差しを集めるローズの様子に、感情を高ぶらせてしまう。
そんなジョージと話をしたポリーは、ローズの行動に嫉妬し、朝鮮戦争帰りで神経症と思われている彼の悩みを聞く。
一方、ローズはパトリックと共謀し、ジョージの殺害計画を実行しようとするのだが・・・。
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いよいよ、スターとしてその実力を評価され始めたマリリン・モンローの魅力、そして彼女の神話が始まった、記念すべき作品とも言える。
伝説となったモンロー・ウォークが誕生した作品としてあまりにも有名。
それは、左右のハイヒールのかかとの高さ変えたことで生み出された。
そのモンローの魅力ばかりが先行する作品だが、お馴染みのナイアガラの絶景や迫力、または名所を映し出した見事な映像を生かし、二度起こる殺人事件とクライマックスの手に汗握る展開は、アクションを得意とする、いかにもヘンリー・ハサウェイらしい演出だ。
ジーン・ピーターズが、平凡な女性に見えてしまう、モンローの登場場面はため息が出るほどで、わずか数年で精神的不安定になってしまう彼女だが、既にこの頃から、その兆候があったのではと思わせる表情も、今観ると気になるところだ。
劇中、神経症を患う夫役のジョゼフ・コットンは、年齢的にモンローとはミスマッチに見えるが(21歳差)、それが逆にミステリアスである彼女の人物像を描写する上で効果を上げ、善人でありながら、精神的に追い詰められて、殺人を犯してしまう役を熱演している。
終盤で命を奪われてしまうモンローに代わり、次第に美しさが際立ってくる、事件に関与する女性ジーン・ピーターズの活躍も、ドラマを語る上で見逃せない存在だ。
彼女の夫ケーシー・アダムス、警部のデニス・オデアなどの他、わずかな出演だがハリー・ケリーJr.の登場が分かる方は、かなりの映画通だ。(タクシー・ドライバー)
ファンにとっては、あまりに端役過ぎて残念ではあるが・・・。