まったく新しい音楽としてジャズを世間に広めようとした人々の努力と一組の男女のロマンスを描く、監督アーサー・ルービン、主演アルトゥーロ・デ・コルドヴァ、ドロシー・パトリック、マージョリー・ロード、アイリーン・リッチ、リチャード・ヘイゲマン、ルイ・アームストロング”サッチモ”、ビリー・ホリデイ、ウディ・ハーマン他共演のミュージカル・ドラマ。 |
■ スタッフ キャスト ■
監督:アーサー・ルービン
製作
ジュールス・レヴィ
ハーバート・J・ビーバーマン
原作
エリオット・ポール
ハーバート・J・ビーバーマン
脚本
エリオット・ポール
ディック・アーヴィング・ハイランド
撮影:ルシアン・アンドリオ
音楽
ナサニエル・フィンストン
ウディ・ハーマン
出演
ニック・デュケイン:アルトゥーロ・デ・コルドヴァ
ミラリー・スミス:ドロシー・パトリック
グレース・ヴォイセル:マージョリー・ロード
ラトリッジ・スミス:アイリーン・リッチ
マカードル大佐:ジョン・アレクサンダー
ヘンリー・ファーバー:リチャード・ヘイゲマン
ビフ・ルイス:ジャック・ランバート
本人:ルイ・アームストロング”サッチモ”
エンディ:ビリー・ホリデイ
本人:ウディ・ハーマン
ドラム奏者:ズティ・シングルトン
クラリネット奏者:バーニー・ビガード
トロンボーン奏者:キッド・オリー
ギタリスト:バド・スコット
ベース奏者:レッド・カレンダー
ピアノ奏者:チャーリー・ビール
ピアノ奏者:ミード・ルクス・ルイス
トランペット奏者:マット・キャリー
ホームブライト:シェリー・ウィンタース
トミー・レイク:バート・コンウェイ
コンスタンス・ヴィジル:ジョアン・ブレア
アメリカ 映画
配給 ユナイテッド・アーティスツ
1947年製作 90分
公開
北米:1947年4月18日
日本:未公開
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
1917年、ニューオリンズ、ストーリーヴィル、ベイスン・ストリート。
”オーフィウム・キャバレー”の経営者であるニック・デュケイン(アルトゥーロ・デ・コルドヴァ)は、ルイ・アームストロング”サッチモ”と彼のバンドの演奏を聴く。
ニックは、現れた部下のトミー・レイク(バート・コンウェイ)から、客のマカードル大佐(ジョン・アレクサンダー)が、街に住むことになった富豪夫人ラトリッジ・スミス(アイリーン・リッチ)に湿地帯を売りつけようとしていることを知らされる。
蒸気船の事業者であるボルチモアから来たラトリッジを大佐から紹介されたニックは、彼女から負けた1万ドル分の小切手を受け取るものの、挽回のチャンスを与える。
負けたニックはラトリッジに小切手を返し、彼女を見送る。
蒸気船で到着したラトリッジの娘ミラリー(ドロシー・パトリック)は、船に乗ろうとしたニックとぶつかってしまい謝罪する。
大佐と共に現れたラトリッジは、ミラリーを迎える。
蒸気船に乗り込んだニックは、ギャンブラーのビフ・ルイス(ジャック・ランバート)と話し、彼を牽制する。
街に到着したラトリッジらだったが、大佐の車が故障してしまい、通りがかったニックが彼女らを自分の車で送ろうとする。
ラトリッジからニックを紹介されたミラリーは、紳士的な彼に惹かれてしまう。 ギャンブルの件があったためにラトリッジは戸惑い、その件を知らないミラリーは、ニックの店にも興味を持つ。 屋敷に着いたラトリッジは、メイドのエンディ(ビリー・ホリデイ)がピアノを弾いて歌っていることに気づき、彼女を叱る。 エンディが弾いていた今まで聴いたことがない曲が気になるミラリーは、それが”ブルース”であり、サッチモの存在を知らされる。 オペラ歌手のミラリーは公演を提案され、伴奏者のヘンリー・ファーバー(リチャード・ヘイゲマン)を紹介される。 その場にいた良家の子女グレース・ヴォイセル(マージョリー・ロード)は、ミラリーに楽しい夜だったことを伝える。 ニックの店に向かったファーバーは、サッチモと共にラグタイムを演奏する。 現れたニックに挨拶したファーバーは、やがてラグタイムは世界中に広がると伝えるものの、理解してもらえないためにその場を去る。 ラトリッジは公演に向かい、外出するエンディについて行く気のミラリーは支度をする。 ニックの店に着いたミラリーは、エンディから、サッチモやニックがいることを知らされる。 ファーバーもいたために驚いたミラリーは、エンディから、彼は内緒で来ていると言われる。 サッチモに迎えられたエンディは、バンドの演奏で歌う。 ミラリーに気づいたニックとファーバーは驚く。 焦るファーバーは、ミラリーから内緒にしておくと言われてその場を去る。 ニックと話したミラリーは、ファーバーがいたことで気が楽になったと言って、母はクラシック以外の音楽は認めないと伝える。 トラブルが起きる前にミラリーを帰そうとするニックは、始まったサッチモの演奏を聴く。 サッチモは、歌いながらバンドのメンバーを紹介する。 ピアノのチャーリー・ビール、トロンボーンのキッド・オリー、ドラムのズティ・シングルトン、クラリネットのバーニー・ビガード、ギターのバド・スコット、ベースのレッド・カレンダーを紹介したサッチモはコルネットを演奏する。 まったく新しい音楽に興味を持ったミラリーに説明しようとしたニックだったが、彼女を帰そうとする。 教えてくれるまでは帰らないと言うミラリーに、広めようとしても越えられない壁があると伝えたニックは、自分の求める音楽を見つけたと興奮する彼女の話を聞く。 そこにグレースが現れ、ミラリーを気にする彼女に二階に向かうようにと合図したニックは、レイクを呼びミラリーを屋敷に送らせる。 ニックに相手にされないグレースはミラリーのことなどを話し、彼が去った後で、ラトリッジに電話をしてミラリーがニックの店に行ったことを知らせる。 翌日、ニックのカジノに向かい彼と話したラトリッジは、ミラリーを出入りさせないことを頼み1万ドルを渡す。 ミラリーが自分に興味があるようだと言われたニックは、彼女が興味があるのは音楽だと伝える。 この店のような環境に娘を関わらせたくないと言うラトリッジは、1万ドルを置いて去ろうとする。 ミラリーには出入り禁止を言い渡してあると伝えたニックは、1万ドルを返してラトリッジを見送る。 数か月が経ち、ファーバーと共に店を訪れたミラリーは、音楽への興味を失っていないことなどを話し、それを察したニックは彼女を送る。 サッチモに楽譜を見せたファーバーは、リクエストされてピアノを演奏し、酔って現れたグレースのことを気遣う。 ミラリーが忘れて行ったバッグに気づいたグレースは、ファーバーが彼女を連れて来たことを知り、今夜限りで来ないと言われるものの、気分を害してその場を去る。 裏町をミラリーに見せたニックは彼女を屋敷に送り、自分の故郷だと言って、ラグタイムは忘れるべきだと伝える。 ミラリーが、音楽だけではなく自分に興味を持っていることを悟ったニックは、付き合うような相手でないと伝える。 それでも考えを変えないミラリーは、ニックにキスする。 その様子をラトリッジは見つめていた。 大佐を屋敷に招いたラトリッジは、オペラハウスを建てる夢がある彼に、資金援助をする条件として、ニックを街から追い出してほしいと伝える。 それを承知した大佐は、ストーリーヴィルの秩序を乱している者がいるという新聞記事を掲載させる。 公安委員長に呼ばれた大佐は、ラトリッジの顔色を窺って行動し、ニックを追い出そうとしていることを見抜かれてしまい、その場から追い払われる。 その後、大佐は、警察署長を連れてベイスン・ストリートの現状を視察させる。 カジノに記事を書いた新聞記者がいることを知ったニックは、彼女を牽制する。 酔ったグレースを強引に帰そうとしたニックは、それを記事を書いた記者に見られてしまう。 その場を去ったグレースは、通りに出たところで車に轢かれてしまい息を引き取る。 良家の子女であるグレースの事故死は問題視され、ニックは裁判所に呼ばれるものの嫌疑は晴れる。 市の委員会はベイスン・ストリートの調査を始め、海軍が地域の一掃を行うことになり、ストーリーヴィルは封鎖される。 窮地に立たされたニックは、訪ねて来たファーバーから、街を出る自分にミラリーがついて来ることを決めたと言われる。 ニックは、自分のために公演をキャンセルしたミラリーが、2度と歌わないとまで言っていることを知らされる。 そうなればミラリーのオペラ歌手としての道は閉ざされると言うファーバーは、釣り合わない相手だが考えてほしいとニックに伝える。 ニックから、公演を見に行くとミラリーに伝えてほしいと言われたファーバーは、それを承知してその場を去る。 最後の時間を楽しもうとしたサッチモは仲間たちに提案し、演奏を始めてエンディが歌い、取り締まりが始まったベイスン・ストリートを去る。 ミラリーが公演中の劇場に向かったニックは、舞台裏にいたラトリッジと話し、街を離れることを伝える。 シカゴで生活するための資金援助について話したニックは、以前の交換条件のことを伝えるものの、無効だと言われる。 ミラリーを連れて行くと言われたラトリッジは、2万ドルを払えば娘は置いて行く考えのニックから、即、取引することを要求される。 現金を持ち合わせていないと言われたニックは、ラトリッジからブレスレットを受け取り、その場を去ろうとする。 歌い終えたミラリーを抱きしめたニックは、何も知らない彼女に、自分のためにアンコールに応えるようにと伝える。 ミラリーは、この街で生まれた曲であることを観客に伝えて、ファーバーのピアノの演奏でラグタイムを歌う。 驚き不満に思う観客は席を立ち、ラトリッジは嘆く。 歌い終わったミラリーは、残っていた観客から拍手を受け、ファーバーに見送られてその場を去る。 憤慨する大佐はファーバーを責めるが、演奏は自分の辞意表明だと言われる。 ファーバーは、ニックからの手紙とブレスレットを受け取る。 ニックが旅立ったことをラトリッジから知らされたミラリーは信じようとしないが、その場に現れたファーバーが、彼女にニックの手紙を見せる。 母がニックを追い払ったことを知ったミラリーは納得せず、ファーバーから、彼は自分の意思で去ったと言われる。 ブレスレットで取引したとミラリーに伝えたラトリッジは、ショックを受けて出て行った彼女を引き留めることはできなかった。 ファーバーからブレスレットを渡されたラトリッジは、ミラリーの将来を考え、ニックは彼女を置いて行ったのだろうと言われる。 シカゴ。 苛立つニックを落ち着かせたサッチモは、ピアノを弾いていたミード・ルクス・ルイスが気に入る。 ルーレットなどが届かないためにビフの会社に抗議に行ったニックは、対応が悪い社員に不満を訴えてその場を去る。 サッチモを慕って仲間が集まっていたことを知ったニックは、その場に現れた若者たちが、聴いたことのない音楽を演奏するバンドに興味を持ったことに注目する。 ヨーロッパに旅立つミラリーは、同行すると言うファーバーとラトリッジと共に出発する。 クラブは大盛況となり、サッチモに思い切って演奏することをニックは指示する。 イングランド、バーミンガム。 シカゴでラグタイムが大流行していることが話題になり、ニックは、その演奏者を”ジャス・バンド”と名付ける。 やがてその音楽は”ジャズ”となり、ニックは、かつての仲間を集めて売り込もうと考える。 農園で働いていたエンディも呼び寄せたサッチモのバンドは、各地の巡業も始める。 ニックのクラブで公演したウディ・ハーマンも、彼のオーケストラと共に地方を回り、サッチモはパリで公演する。 ミラリーも、同地で”ファウスト”に出演する。 公演を成功させたサッチモは、訪ねて来たミラリーを歓迎し、エンディと結婚したことを知らせる。 ニックの話をしたサッチモは、彼を恨んでいるミラリーに、将来を考えたニックは、わざと嫌われるように仕向けたと伝える。 ブレスレットはファーバーに返したと言われたミラリーは、自分の歌手生命のことを考えて、ファーバーがそれを話さなかったことと、ニックがギャンブルをやめて音楽一筋になったことを知らされる。 ニックがジャズの普及のために努力していることも知らされたミラリーは、サッチモから、これで障害はなくなったと言われる。 喜ぶミラリーの笑顔を見たサッチモはトランペットを吹き、彼女も歌声で応える。 音楽会社を設立していたニックは、秘書のホームブライト(シェリー・ウィンタース)と打ち合わせをしている際に、ロンドン公演を成功させたサッチモからの電報を受け取る。 ウディ・ハーマンの公演をシンフォニー・ホールで実現させようと考えたニックだったが、頭の固い主催者の許可がもらえない。 シンフォニー・ホールでは、ミラリーの公演が決まっていた。 ビフから、自分のクラブにウディ・ハーマンを出演させてほしいと頼まれたニックは、その場に現れた本人と気づかない彼に検討すると伝える。 ウディに必ずシンフォニー・ホールで公演させると伝えたニックは、ミラリーが来週その場で公演することを知らされる。 それに誘われたニックは、ジャズがクラシックと同等に扱われるまでミラリーには会えないとウディ伝える。 そこにラトリッジが訪ねて来たという連絡が入り、気を利かせたウディは席を外し、ニックは彼女を迎える。 目的を達成するまではミラリーに会えないと言うニックに、ニューオーリンズの出来事から立派に成功したことを認めるラトリッジは、お勧めのプログラムなので、ぜひ来てほしいと伝えて、彼と握手してその場を去る。 公演当日、ニックの席を気にするラトリッジだったが、現れたホームブライトが座る。 舞台のそでに現れたニックに気づいたミラリーは微笑み、歌い終えた彼女は、指揮をしていたファーバーのピアノ演奏と共にジャスを披露する。 ウディ・ハーマンとオーケストラも登場し、熱唱するミラリーの歌声を聴きながら、ニックは感激する。
...全てを見る(結末あり)
中古家具などを揃えて、サッチモらと”クラブ・オーリンズ”のオープンの準備をするニックは、現れたビフから、自分がテナントのオーナーだと言われる。
アメリカでの再出発を希望していたミラリーだったが、ラトリッジはこの場で公演を成功させようとする。
ニックに”請求額”を尋ねるものの、それ以上ジョークを言う気のないラトリッジは、ミラリーの公演チケットを渡そうとする。
*(簡略ストー リー)
1917年、ニューオリンズ、ストーリーヴィル、ベイスン・ストリート。
”オーフィウム・キャバレー”の経営者であるニック・デュケインは、バンドリーダーのルイ・アームストロング”サッチモ”らが演奏する音楽を楽しんでいた。
街で暮らすことになった富豪夫人のラトリッジは、オペラ歌手である娘のミラリーが、クラシック以外の音楽に接することを嫌う。
ミラリーが、音楽と共にニックにも興味を持っていることを知ったラトリッジは、娘の将来を考えて彼を街から追い出そうとするのだが・・・。
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コメディ他、様々な名作を残したアーサー・ルービンの監督作品。
ジャズの誕生から黎明期を描き、その代表的なミュージシャンが登場することで話題になった作品であり、新たな音楽を世に広めようとした人々の苦悩と努力と共に、あるカップルのロマンスが描かれている。
バンドリーダーとして登場するルイ・アームストロングが本人役として重要な役を演じ、故郷ニューオーリンズでの下積みからシカゴで頭角現す、彼自身の歩んだ道をモデルにした物語に仕上がっている。
更に、多くのミュージシャンがバンドメンバーを演じ、ビリー・ホリデイやウディ・ハーマンのパフォーマンスを含め、ファンにはたまらない内容となっている
カジノ経営者として成功しているやり手のビジネスマンで、思慮深い考えの紳士でもある主人公を好演するアルトゥーロ・デ・コルドヴァ、ニューオーリンズの音楽に興味を持ち主人公に惹かれる富豪令嬢ドロシー・パトリック、良家の子女でありながら主人公に惹かれ、交通事故死してしまうマージョリー・ロード、娘の将来を考えるヒロインの母親である富豪夫人アイリーン・リッチ、彼女からの依頼で主人公を街から追い出す大佐ジョン・アレクサンダー、ヒロインの伴奏者である音楽家役で、多くの映画音楽を担当していることでも知られるリチャード・ヘイゲマン、ギャンブラーのジャック・ランバート、主人公の部下バート・コンウェイ、本人役でルイ・アームストロング、彼のバンドに加わることになる富豪夫人のメイド役ビリー・ホリデイ、バンドメンバーでピアノのチャーリー・ビール、トロンボーンのキッド・オリー、ドラムのズティ・シングルトン、クラリネットのバーニー・ビガード、ギタリストのバド・スコット、ベースのレッド・カレンダー、本人役でウディ・ハーマン、ピアノ奏者のミード・ルクス・ルイス、トランペット奏者のマット・キャリー、そして、主人公の秘書役でシェリー・ウィンタースが端役出演している。