1963年に発表された、自然保護論者ファーレイ・モワットの同名自伝著書を基に製作されたディズニー作品。 カリブー(北米トナカイ)激減の調査に派遣された生物学者のオオカミの生態観察を描く、脚本カーティス・ハンソン、主演チャールズ・マーティン・スミス、ブライアン・デネヒー他共演、監督キャロル・バラードによるアドベンチャー・ドラマ。 |
・ドラマ
■ スタッフ キャスト ■
監督:キャロル・バラード
製作総指揮:ロン・W・ミラー
製作
ルイス・M・アレン
ジャック・コーファー
ジョセフ・ストリック
原作:ファーレイ・モワット
脚本
カーティス・ハンソン
サム・ハム
リチャード・クレッター
撮影:ヒロ・ナリタ
編集
ピーター・パラシェルズ
マイケル・チャンドラー
音楽:マーク・アイシャム
出演
ファーレイ・モワット/テイラー:チャールズ・マーティン・スミス
ロージー・リトル:ブライアン・デネヒー
ウテック:ザカリー・イッティマンナク
マイク:サムソン・ホーラ
アメリカ 映画
配給 ウォルト・ディズニー・ピクチャーズ
1983年製作 105分
公開
北米:1983年10月7日
日本:1984年6月9日
北米興行収入 $27,569,674
■ アカデミー賞 ■
第56回アカデミー賞
・ノミネート
録音賞
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
北極圏に生息するカリブー(北米トナカイ)が激減し、その犯人と思われるオオカミの調査のため、カナダ政府は生物学者テイラー(チャールズ・マーティン・スミス)を派遣する。
大量の資材を運ぶため、飛行機を所有している不動産業者のロージー・リトル(ブライアン・デネヒー)に協力を要請したテイラーだったが、荷物が多過ぎて次々と捨てられる。
テイラーは気乗りしないまま、どうして自分が選ばれたのか疑問を抱きながら、老朽単発機のエンジン停止の危機を乗り越え、無事に目的地付近に着陸する。
荷物を投げ捨てるように降ろし、ロージーはテイラーを置き去りにするかのごとく離陸してしまう。 独り取り残されたテイラーは、まず行動計画を立て一夜を過ごすが、翌日、犬ゾリに乗ったイヌイットのウテック(ザカリー・イッティマンナク)が現れる。 ウテックは、気を失ったテイラーをソリに乗せて住居に連れて行き、資材なども全てその場に運ぶ。 その後ウテックは姿を消し、気温が上昇したことでテイラーは行動を開始する。 テイラーは近くにオオカミの気配を感じ、現れた一匹の観察を始める。 そのオオカミをジョージと名付けたテイラーは、彼との駆け引きをしながら観察を続ける。 やがてよく似たもう一匹が現れ、テイラーはそれをアンジェリンと名付け、その後、三匹の子供も姿を現す。 しかし、テイラーの目的である、オオカミがカリブーを襲っている証拠は見つからなかった。 そんな時、オオカミが無数にいるネズミを食料にしていることが分かるが、それだけて生きていけるのか、テイラーは疑問に思う。 テイラーは、それを実感するために、自分もネズミを料理して食べ始める。 ただ単に、オオカミを観察するだけの日々が続いたテイラーの前に、ウテックに連れられた英語が話せる青年マイク(サムソン・ホーラ)が現れる。 ウテックとマイクは、テイラーが実験のためにネズミを食べていることや、様々な観察や研究に興味を持つ。 マイクは、オオカミを殺して高値で売れる毛皮で生計を立てていたのだが、ジョージ達は殺さないことをテイラーに伝える。 やがて夏は終わりに近づき、テイラーは、カリブーがイヌイットの食料になり、残った病気のカリブーをオオカミに襲わせるよう人間が仕向けたことを知る。 そして、カリブーを追ったテイラー達は、それを襲うオオカミを目撃する。 テイラーは、食べられたカリブーの死骸を調べ、それが病気だったことを確認する。 その後、テイラーはハンティングに来ていたロージーと再会するが、彼は以前とは違い、羽振りのいい生活をしている様子だった。 引き上げようとするロージーに誘われたテイラーだったが、彼はそれを断り、自分の居場所が知られていることを気にする。 キャンプに戻ったテイラーは、ジョージとアンジェリンの姿が見えないことに気づき、その直後にロージーの飛行機が湖に着水する。 テイラーは飛行機に、オオカミの尾っぽが付いているのを確認し、威嚇射撃をして彼を追い払う。 その場にいたマイクは、オオカミは移動したと言って旅立つが、彼が入れ歯を手に入れたことなどから、ジョージとアンジェリンを殺す手引きをしたことをテイラーは察する。 やがて冬となり、テイラーはジョージとアンジェリンと出会った時のように、ただその場で周囲の様子を観察する。 残されたジョージとアンジェリンの子供達は、別のオオカミの群れに引き取られる。 そして、テイラーは、現れたウテックと新たな旅に出る。
...全てを見る(結末あり)
*(簡略ストー リー)
生物学者テイラーは、カナダ政府に依頼を受け、北極圏に生息するカリブー(北米トナカイ)激減の原因と考えられている、オオカミの行動の実態調査のために現地に向かう。
不動産業者ロージーの単発機で、激寒の目的地に着いたテイラーは、イヌイットの老人ウテックに出会う。
気温の上昇と共に観察を始めたテイラーは、一匹のオオカミを見つける。
テイラーは、そのオオカミをジョージと名付け、さらにメスのアンジェリン、そして子供達を含めた彼らの観察を始める。
オオカミが、カリブーを襲う様子を目撃できずにいたテイラーは、彼らが野ネズミを餌にしていることに気づく。
しかしテイラーは、オオカミがネズミだけを食べて生きているのを疑問に思い、自分もそれを食べて生活する。
その後、姿を消していたウテックが、青年マイクを連れて現れる。
テイラーは、マイクがオオカミの毛皮を売るハンターだと知るが、ジョージ達は殺さないことを確認する。
やがてテイラーは、人間がカリブー狩りをして、病気のものだけをオオカミが襲うように仕向けていることを、ウテックらに知らされる。
そしてテイラーは、それを確かめようとして、カリブーの群れを追い移動するのだが・・・。
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自然保護論者であるファーレイ・モワットの自伝を基に、動物の生態観測の様子を、美しく雄大な大自然をバックにして、ドキュメンタリー・タッチで描く秀作。
第56回アカデミー賞では、録音賞にノミネートされた。
動物の観察を続ける主人公の姿を、淡々と描く物静かな作品ではあるが、結局は動物の生態や自然を破壊しようとする、人間の行動への強烈な批判を描写するシーンもあり、メッセージ性の強い作品でもある。
主演のチャールズ・マーティン・スミスの持ち味が十分に生かされている作品で、ユーモラスな場面も多々あるが、政府に派遣された学者だけあり、その堅実な仕事振りや、物事の実態を見つめる真摯な態度も、彼のキャラクターによく合っている。
地元民である不動産業者のブライアン・デネヒー、主人公と親交を深めるイヌイットの老人役ザカリー・イッティマンナク、逆に主人公を裏切り、オオカミ狩りの手引きをする青年サムソン・ホーラなどが共演している。