マリリン・モンローがローレンス・オリヴィエと共演した「王子と踊子」(1957)の製作の舞台裏と彼女とスタッフの青年との淡い恋を描く、主演ミシェル・ウィリアムズ、ケネス・ブラナー、エディ・レッドメイン、ドミニク・クーパー、ジュリア・オーモンド、エマ・ワトソン、ジュディ・デンチ他共演のドラマ。 |
・ドラマ
・マリリン・モンロー / Marilyn Monro / Pinterest
・エディ・レッドメイン / Eddie Redmayne / Pinterest
・エマ・ワトソン / Emma Watson / Pinterest
■ スタッフ キャスト ■
監督:サイモン・カーティス
製作総指揮:ボブ・ワインスタイン
製作
デヴィッド・パーフィット
ハーヴェイ・ワインスタイン
原作:コリン・クラーク
”The Prince, The Showgirl and Me”
”My Week with Marilyn”
脚本:エイドリアン・ホッジス
撮影:ベン・スミサード
編集:アダム・レヒト
音楽:コンラッド・ポープ
主題歌:アレクサンドル・デスプラ
出演
マリリン・モンロー:ミシェル・ウィリアムズ
ローレンス・オリヴィエ:ケネス・ブラナー
コリン・クラーク:エディ・レッドメイン
ミルトン・H・グリーン:ドミニク・クーパー
ヴィヴィアン・リー:ジュリア・オーモンド
ポーラ・ストラスバーグ:ゾーイ・ワナメイカー
アーサー・ミラー:ダグレイ・スコット
ルーシー:エマ・ワトソン
シビル・ソーンダイク:ジュディ・デンチ
アーサー・ジェイコブ:トビー・ジョーンズ
オーウェン・モアスヘッド:デレク・ジャコビ
ロジャー・スミス:フィリップ・ジャクソン
イギリス 映画
配給
Entertainment Film Distributors
ワインスタイン・カンパニー
2011年製作 100分
公開
イギリス:2011年11月25日
北米:2011年11月23日
日本:2012年3月24日
製作費 £6,400,000
北米興行収入 $14,581,680
世界 $35,057,700
■ アカデミー賞 ■
第84回アカデミー賞
・ノミネート
主演女優賞(ミシェル・ウィリアムズ)
助演男優賞(ケネス・ブラナー)
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
1956年。
上流階級出身で、映画製作者志望のコリン・クラーク(エディ・レッドメイン)は、演劇界の至宝ローレンス・オリヴィエ(ケネス・ブラナー)のプロダクションを訪ねて職を得ようとするが返事をもらえない。
諦めずに毎日通うコリンは、ある日、オリヴィエと妻のヴィヴィアン・リー(ジュリア・オーモンド)に対面する。
コリンは、ヴィヴィアンの口添えで仕事がもらえることになり、オリヴィエ自身が製作、監督を兼ねる「王子と踊子」の準備を任される。
ヒロインは人気絶頂のハリウッドの大スター、マリリン・モンロー(ミシェル・ウィリアムズ)で、自分のお気に入りということもあり、コリンは、精力的に仕事をこなす。
マリリンの滞在する家を決めて、彼女の広報アーサー・ジェイコブ(トビー・ジョーンズ)にそれを確認させたコリンは、知られてしまったその家の他も確保していることを伝え、その手際の良さでオリヴィエに認められる。 パインウッド・スタジオ。 そして、マリリンは、結婚したばかりの劇作家アーサー・ミラー(ダグレイ・スコット)と共にロンドンに到着し、空港は、押しかけた報道陣などで興奮状態になる。 オリヴィエとヴィヴィアンに迎えられた二人は、滞在先に案内され、コリンは、マリリンのビジネス・パートナーでもあるミルトン・H・グリーン(ドミニク・クーパー)をオリヴィエから紹介される。 ヴィヴィアンは、オリヴィエがマリリンを口説く気だと言って、コリンに情報を流すよう伝える。 出演者の顔合わせの日、姿を現さないマリリンを呼びに行ったコリンは、彼女の”メソッド”の演技コーチ、ポーラ・ストラスバーグ(ゾーイ・ワナメイカー)に声をかける。 ドレッサーの前で涙を流すマリリンに気づいたコリンは驚きながら、彼女らを、オリヴィエや、共演者の大女優シビル・ソーンダイク(ジュディ・デンチ)他スタッフの元に案内する。 和やかに挨拶してマリリンを歓迎したオリヴィエだったが、台本読みの段階で、ポーラがマリリンに指導を始め、役を理解するためだと言って口を出す。 オリヴィエは苛立ち、グリーンに愚痴をこぼすが、マリリンの思い通りにさせないと、手が付けられなくなると言って理解を求める。 コリンは、衣装係のルーシー(エマ・ワトソン)を口説きデートの約束をする。 その後、撮影は始まるのだが、情緒不安定なマリリンは時間に遅れ、何時間も出演者やスタッフを待たせ、ようやくカメラの前に立った彼女はセリフを忘れてしまい、まともな演技ができない。 しかし、そんなマリリンを、相手をするシビルが気遣い優しく接する。 撮影は続くものの、マリリンの遅刻は続き、我慢の限界に達したオリヴィエは、彼女をシビルの元に連れて行き謝罪させようとする。 シビルは、マリリンが、カメラの前でどのように演技するかを知っている女優だと言って称え、慣れない環境で難しい役を演じようとする彼女に対し、気遣いが足りないと言ってオリヴィエを一喝する。 コリンやグリーンも配慮が必要だと助言するが、オリヴィエは怒りが収まらない。 ルーシーと親密になったコリンだったが、楽屋でマリリンの全裸を見てしまい、彼女に心惹かれるようになる。 ヒロイン”エルシー”を理解できないマリリンは、演技ができず、呆れたオリヴィエは、彼女に”セクシーであるだけでいい”という禁句を口にしてしまう。 マリリンは取り乱し、ポーラの夫リー・ストラスバーグと話すと言ってその場を去ってしまう。 ポーラの、マリリンへの気遣いなどが異常に思えて、どうしてもそれが納得できないオリヴィエは、グリーンに怒りをぶちまけるが、コリンにマリリンの様子を見に行かせる。 コリンは、マリリンが夫ミラーとの関係でも悩みを抱えていることを知る。 翌日もマリリンがカメラの前に現れないため、楽屋に向かったコリンは彼女に気に入られる。 コリンは、スタジオ内で”マリリンの恋人”と冷やかされ、ルーシーもそれを耳にする。 マリリンに手を焼くミラーは、ただのメモを見て動揺する彼女の傍では仕事もできないと言って、ニューヨークに戻ることをオリヴィエに伝える。 舞台で”エルシー”を演じたヴィヴィアンがスタジオに現れ、その場のスタッフやマリリンを激励する。 問題はあっても、スクリーンに映えるマリリンをフィルム・チェックで見たヴィヴィアンは、オリヴィエの前で、その美しさに嫉妬して涙する。 ミラーが帰国するために不安になり、マリリンはスタジオに現れる様子がなかったが、彼女からの電話でコリンが呼ばれる。 マリリンの前で緊張するコリンは、オリヴィエのことを気にする彼女の話などを聞く。 グリーンから様子を探る電話が入るが、コリンが咄嗟に考えた言い訳でマリリンは笑い始め、心がほぐれた二人は庭に出て散歩を楽しむ。 コリンは、ヴィヴィアンがエリア・カザンの「欲望という名の電車」に出演して以来、彼の考えと合わない”メソッド”を嫌っているとマリリンに語る。 マリリンは、スタジオに入ると皆に嫌われているような雰囲気を感じ、信頼できるのはポーラとコリンだけだと伝える。 スタジオに戻ったコリンは、ハリウッドに踏みにじられながらも、自分を含めて、他の誰もが近づけないマリリンの魅力を、オリヴィエが認めていることを知る。 その後コリンは、ミラーが怒っていることをグリーンに知らされ、彼女に惹かれて捨てられた自分と同じ目に遭うと言って忠告され、今後、会うことも禁じられる。 ルーシーにも見限られたコリンだったが、グリーンの目を盗み、マリリンが彼を誘う。 二人は、護衛兼運転手のロジャー・スミス(フィリップ・ジャクソン)と共に”ウィンザー城”に向かう。 コリンは、城内の図書館長であるオーウェン・モアスヘッド(デレク・ジャコビ)が名付け親だと言って中に入れたため、マリリンは歓迎される。 マリリンは職員に愛嬌をふりまき、その後、コリンの母校”イートン・カレッジ”で学生に囲まれる。 川沿いを走り出したマリリンは、服を脱ぎ全裸で入水してしまい、コリンと共に戯れて二人はキスをする。 マリリンの虜になってしまったコリンだったが、ロジャーには、深みにはまるなと通告される。 宿舎に戻ったマリリンは、スタジオでもコリンをそばに置くように指示を出す。 その後、マリリンが病気だということで呼び出されたコリンは、彼女がドアを開けようとしないために、窓から部屋に入る。 ポーラとグリーンに何とかすると言って、コリンはマリリンが言うがままにベッドで添い寝をする。 目覚めたマリリンは、コリンがなぜその場にいるかを問い、事情を説明する彼に、ミラーが、結婚を後悔していると書いた日記のことなどを話す。 コリンしか心の拠り所が見つからないマリリンは、自分に好意を寄せる彼に、ルーシーと付き合うべきだと告げる。 コリンは、好きなのはマリリンだと伝え、二人はキスしてベッドに横たわる。 マリリンに、翌日はスタジオに向かい、オリヴィエを納得させるような演技をしてほいことを伝えたコリンは、彼女と一夜を過ごす。 翌日、マリリンは、オリヴィエも満足する演技をするが、宿舎に戻り再び揉め事を起こしてコリンを呼び寄せる。 何んとか落ち着いたマリリンは、ベッドでコリンと眠りにつくが、夜中に腹痛を訴えて医師が駆けつけ、妊娠していることが分かる。 マリリンは、今回の仕事の後は、良き妻になる努力をすることをコリンに伝え、自分達のことは忘れるようにと彼に告げる。 それに納得しないコリンは、マリリンを周囲から守ることを告げる。 ”マリリン・モンロー”をこの世から葬り去り、狂った世界から彼女を救いたいことをコリンは伝え、結婚のことまで口にする。 しかし、やはり、マリリンが世界一のスターである特別な存在だと悟ったコリンは、唯のスタッフに戻ることを告げてその場を去る。 その後の撮影は順調に進み、コリンはシビルから、初恋は甘くてつらいものだと言われる。 撮影を終えたマリリンは、オリヴィエや共演者スタッフの前で自分の態度を謝罪して努力したことを伝え、ポーラとグリーンに支えられながらスタジオを去る。 コリンは、衣裳部屋に向かいルーシーを誘うが断られる。 フィルム・チェックをするオリヴィエは、スクリーン上で、天性の才能を見せるマリリンの素晴らしさを再確認し、彼女を変えようとした自分が愚かだったとコリンに語る。 オリヴィエは、監督業は他の者に任せて、次は”ジョン・オズボーン”の舞台劇に出ることをコリンに伝える。 コリンは、オズボーンの作風がオリヴィエには合わないのではないかと指摘するが、彼は、ミラーが考えを変えさせてくれたことを伝えてその場を去る。 その後、パブにいたコリンの前にマリリンが現れ、彼に感謝して別れを告げる。 マリリン・モンローは、次回作「お熱いのがお好き」に主演して、作品は、記録に残る大ヒットとなった。 ローレンス・オリヴィエは、ジョン・オズボーンの舞台劇「寄席芸人」に出演し、彼の芸歴の中でも特筆すべき高い評価を受ける作品となった。 コリン・クラークは、ドキュメンタリー作品を手掛ける映画製作者及び作家として成功した。 1995年、彼は”The Prince, the Showgirl”と”Me and My Week With Marilyn”を発表して世界的な評価を得た。
...全てを見る(結末あり)
コリンは、作品の”第三助監督”となるが、名ばかりの雑用係として忙しい毎日を送る。
__________
*(簡略ストー リー)
イギリス演劇界の至宝ローレンス・オリヴィエは、ハリウッドの大スター、マリリン・モンローを迎えて、コメディ作品「王子と踊子」を、自らが監督して製作しようとしていた。
上流階級出身で、何不自由なく暮らせる身の青年コリン・クラークは、映画製作者を目指してオリヴィエのプロダクションを訪ね、下働きとして雇われる。
コリンは、マリリンを迎えるための準備を始めて忙しい毎日を送り始める。
やがてマリリンは、結婚したばかりの劇作家アーサー・ミラーとロンドンを訪れ、大歓迎を受けてスタジオ入りする。
しかし、薬に頼り情緒不安定なマリリンは、撮影に遅れ、セリフも忘れて演技にならず、周囲に迷惑をかける。
オリヴィエは、マリリンを起用したことを後悔して撮影は長引き、その後も事態は一向に改善されない。
そんな時、コリンがマリリンの心の拠り所になり、二人は急接近するのだが・・・。
__________
1995年に発表された、本作で重要な役を演ずるコリン・クラークの回顧録”The Prince, The Showgirl and Me”と”My Week with Marilyn”を基に製作された作品。
マリリン・モンローが情緒不安定でトラブルメイカーだったことは有名な話なのだが、業界人としては、ほぼ素人であったコリン・クラークの彼女との体験を基にしたストーリーというところが非常に興味深い。
リアルタイムでマリリン・モンローの活躍を知る方はご存じだと思うが、人間を超越したような彼女の存在が、実にうまく表現されている。
世界的なスターであり、映画、演劇界の巨人ローレンス・オリヴィエをも納得させる、マリリン・モンローのスクリーン上の魅力と、乱れる私生活とのギャップは、平凡な生活を送る者には理解できない映像として衝撃的でもある。
第84回アカデミー賞では、主演女優賞(ミシェル・ウィリアムズ)と助演男優賞(ケネス・ブラナー)にノミネートされた。
ミシェル・ウィリアムズが、モンローを完璧に演じたと言われ絶賛されたのだが・・・。
自分としては、モンローを演ずる演技は見事ではあったが、やはり、本人の魅力を表現し切れていないところを常に気にしながら観る結果となった。
このような作品は、かえって本人に似過ぎない方が良い場合があるのだが、なぜか納得いかないのは、ドラマ中のローレンス・オリヴィエのセリフではないが、やはり、モンローが特別な才能の持ち主であり、誰も近づくことができない、世界の何億もの人々を魅了できる特別な存在だったからだろう。
対するローレンス・オリヴィエを演じたケネス・ブラナーの演技には惚れ惚れしてしまった。
あの物腰や話し方、さすがに尊敬する人物を演じているだけあって、見事に演じ切っている。
主人公とも言える、彼の目でドラマが進行するコリン・クラークを好演するエディ・レッドメインは、彼自身の母校でもあるイートン・カレッジを見学するシーンも面白い。
マリリンのビジネス・パートナー、ミルトン・H・グリーン役のドミニク・クーパー、ローレンス・オリヴィエの当時の妻である女優ヴィヴィアン・リーを演ずるが、イメージが違い過ぎるのが気になるジュリア・オーモンド、”アクターズ・スタジオ”の創設者リー・ストラスバーグ夫人で、モンローの演技コーチのポーラ・ストラスバーグ役のゾーイ・ワナメイカー、アーサー・ミラーのダグレイ・スコット、コリン・クラークとデートするスタジオ衣装係で、「ハリー・ポッター」シリーズのハーマイオニー役のエマ・ワトソン、大女優で共演者、そしてモンローの理解者でもあるシビル・ソーンダイク役のジュディ・デンチ、モンローの広報担当トビー・ジョーンズ、”ウィンザー城”の図書館長デレク・ジャコビ、モンローの護衛兼運転手フィリップ・ジャクソンなどが共演している。