差別や乱れる社会の中で生きる幼馴染みのパキスタン人とイギリス人青年の交流を描く、監督スティーヴン・フリアーズ、出演ゴードン・ウォーネック、ダニエル・デイ=ルイス、ロシャン・セス他によるドラマ。 |
・ドラマ
・ダニエル・デイ=ルイス / Daniel Day-Lewis / Pinterest
■ スタッフ キャスト ■
監督:スティーヴン・フリアーズ
製作
サラ・ラドクリフ
ティム・ビーヴァン
脚本:ハニフ・クレイシ
撮影:オリヴァー・ステイプルトン
編集:ミック・オーズリー
音楽
ルーダス・トナリス
スタンリー・マイヤーズ
ハンス・ジマー
出演
オマール・アリ:ゴードン・ウォーネック
ジョニー:ダニエル・デイ=ルイス
ナセル・アリ:サイード・ジャーフリー
フセイン・アリ:ロシャン・セス
レイチェル:シャーリー・アン・フィールド
タニア・N・アリ:リタ・ウルフ
サリム・N・アリ:デリック・ブランシュ
イギリス 映画
配給 Mainline Pictures
1985年製作 97分
公開
イギリス:1985年11月16日
北米:1986年3月7日
日本:1985年3月20日
製作費 £650,000
北米興行収入 $2,451,550
■ アカデミー賞 ■
第59回アカデミー賞
・ノミネート
脚本賞
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
1980年代、ロンドン。
パキスタン人青年オマール・アリ(ゴードン・ウォーネック)は、元新聞記者だったアル中の父親フセイン(ロシャン・セス)の世話をしながら暮らしていた。
ある日オマールは、大学に戻るまでの間、叔父ナセル(サイード・ジャーフリー)の元で働くようにとフセインに言われる。
ナセルの経営するガレージに向かったオマールは、麻薬密売人のサリム(デリック・ブランシュ)を紹介されその場で働き始める。
洗車係から経理を任され、ナセルの屋敷に招待されたオマールは、彼の友人達にも紹介される。
オマールは、ナセルの娘タニア(リタ・ウルフ)にも気に入られ、父の跡を継ぎ、ランドリーも任されるのかを問割れる。
楽しい時を過ごしたオマールは、酔ったサリムと妻を車で送ろうとするが、途中で若者達に取り囲まれる。
オマールは、その中に幼馴染みのジョニー(ダニエル・デイ=ルイス)がいることに気づき彼に近づく。 ジョニーは、電車に飛び込み自殺した、オマールの母親の話などをして彼を見逃す。 帰宅したオマールは、ジョニーに会ったことをフセインに伝えるが、彼らが人種差別主義者だと言われる。 昇給してランドリーを任されたことを伝えたオマールは、フセインに洗濯ができるのか聞かれる。 翌日、ナセルとランドリーに向かったオマールは、荒れ果てた店の経営を自分に任せて欲しいことを伝えて、叔父にそれを了承してもらう。 ところが経営はうまくいかず、オマールはサリムに支援を約束されるものの、彼の仕事もしくじってしまい無能呼ばわりされる。 その間、オマールはジョニーを捜し、彼からの連絡を受けて、店で今後の経営に付いてを語る。 オマールは、謝罪しに来たサリムの麻薬を横取りし、ドラッグをジョニーにさばかせて、事業資金を作ろうとする。 それがバレたオマールはサリムに脅されるが、ジョニーと共にナセルの店を立て直していることを伝える。 オマールにナセルを紹介されたジョニーは、彼の仕事もすることになる。 希望が見え始めたオマールは、ジョニーにキスされてしまい戸惑う。 その時、ジョニーの仲間達が店に現れ、パキスタン人に手を貸す彼の行為を批判し、自分達を見捨てないでほしいと彼は言われる。 オマールはジョニーの愛を受け入れ、彼が悪事を働いた過去を忘れたいことを知らされる。 サリムは、資金を得たオマールらを不審に思うのだが、ナセルはそれを気にしない。 ナセルは、荒っぽいジョニーを使い、アパートの住人を追い出しす。 まともに住む家もないジョニーは、ナセルに仕事ぶりを買われて部屋を提供される。 見違えるように改装された店のオープンを待つ客達を前に、オマールはジョニーと愛し合おうとする。 ジョニーは、世話になったオマールの父も現れることを知り、迷惑をかけたことを語る。 ナセルが、愛人レイチェル(シャーリー・アン・フィールド)を連れて店に現れ、甥の仕事ぶりを喜び、彼女と共にその場でダンスを踊る。 愛し合っていたオマールとジョニーはナセルらに気づき、急いで服を着て開店する。 オマールは、父が来ないことをナセルから知らされる。 そこにタニアが現れたためにナセルは焦り、ジョニーに招待され、お祝いの花束を渡した彼女は、レイチェルと対面する。 タニアはレイチェルに嫌味を言い始め、ナセルは、娘と結婚を申込み誘うようにと伝える。 レイチェルは、世代が違い自分を待っていてくれるのはナセルしかいないとタニアに言い返して店を出る。 気分を害したレイチェルは憤慨し、自分が呼んだのではないと言うナセルを見限りその場を去る。 オマールは、家を出たいと言うタニアに求婚し、それを知ったジョニーは不機嫌になり店を出る。 サリムに金を返すよう要求されたオマールは、従わなければ店を失うと再び脅される。 ジョニーの元に向かったオマールは、店に戻り仕事をするよう命じ、暫く一人になりたいことを伝える。 良い一日だったことをオマールに伝えたジョニーは、店に戻り現れたフセインに気づき話しかける。 ジョニーが、政治活動家にでもなったのかと思っていたフセインは、ただの洗濯屋だと言い放つ。 フセインは、息子オマールには洗濯屋などになってほしくないことも語り、大学に行かせたいとジョニーに伝える。 この国がどうなるかを見極めるには、教育を受けなくてはならないと言うフセインは、大学に戻るようオマールを説得して欲しいと頼む。 本人次第だと答えるジョニーの言葉を遮り、オマールを説得をするよう伝えたフセインは、その場を去る。 翌日、ジョニーはナセルの屋敷に向かい、オマールに会うのだが、サリムに金を要求されていることで相談される。 ナセルの妻は、レイチェルに呪いをかけると言って意味不明な薬を作り夫と言い争う。 盗みをするしかないと考えたジョニーは、オマールにそれを伝えて実行に移す。 その後、オマールとジョニーはナセルのパーティーに招待される。 ジョニーはタニアを屋敷から連れ出し、オマールは、サリムに金を渡すものの、信頼関係を確認するために試しただけだと彼から言われる。 雨の中、自転車で戯れていたジョニーとタニアがその場に突っ込み、それを見たナセルは、娘に愛想を尽かして消え去るよう伝える。 ナセルの友人のランドリーを、立て直すことを約束したオマールは、それをサリムに話し出資を提案する。 オマールとジョニーを連れて屋敷を出たサリムは、途中でジョニーの仲間に車で衝突し怪我をさせる。 店を視察したオマールは、立て直せることを確信して、サリムもそれに乗ることを確認する。 しかしジョニーは、仲間を傷つけたサリムが関わることを嫌う。 店で仕事を始めたジョニーは、旅立つと言うタニアに誘われるものの、オマールを見捨てられないことと、彼と寝たことを伝える。 レイチェルに会ったナセルは、妻の薬が彼女の腹部を爛れさせて、幻覚のようなものを見ることを知らされる。 ナセルは、レイチェルに別れ話を切り出され、二人は短くも楽しい日々だったことを認め合い別れる。 その後、ナセルはフセインの元に向かい、ベッドに横たわる兄と抱き合う。 その頃、店でオマールを待っていたサリムの車が、ジョニーの仲間に壊される。 それに気づいたサリムは、男達に叩きのめされる。 フセインは、この国に抵抗することはできないことをナセルに伝え、故郷に帰る提案をする。 仲間達を制止し、サリムを逃がそうとしたジョニーは、喧嘩をしたくないことを彼らに伝える。 ナセルは、今後の世の中の動きが読めないことをフセインに伝える。 店に現れたオマールは、サリムとジョニーが痛めつけられていることを知る。 パトカーが近づき、仲間達は店の窓を割りその場から逃げる。 自分は終わりだが、オマールはビジネスで成功すると伝えたナセルはフセインを安心させる。 フセインは、オマールにタニアとの結婚を勧めているのかをナセルに尋ねる。 その時ナセルは、線路の脇に立つ娘タニアに気づき、どこに行くのかを尋ねるが、彼女は父とフセインの目の前で電車に飛び込む。 オマールに介抱されたジョニーは、仕事を辞めることを伝える。 その場を去ろうとしたジョニーだったが、オマールとの愛を確かめる。 そして、アパートに向かった二人は、ふざけ合い楽しい時を過ごす。
...全てを見る(結末あり)
*(簡略ストー リー)
1980年代、ロンドン。
パキスタン人の青年オマール・アリは、元新聞記者だがアル中の父フセインの世話をしながら暮らしていた。
そんなオマールは、大学に戻る間、叔父ナセルの元で働くようにと父に言われる。
オマールはナセルの経営するガレージで働き始め、彼や麻薬密売人サリムに気に入られる。
その後オマールは、荒れ果てたランドリーを任されることになる。
ところが経営はうまくいかず、オマールは、街で見かけた、かつて悪の道に染まっていた幼馴染みのジョニーを誘い、店を立て直そうと考える。
オマールはジョニーの”才能”を生かし、サリムのドラッグを横取りして資金を作り、店を見違えるように改装する。
そして、ジョニーの”愛”も受入れたオマールは、生まれ変わったランドリーの開店の日を迎えるのだが・・・。
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テレビ用に製作された作品であるが、劇場公開されて好評を得た。
誇りを持ち異国で生き抜こうとする外国人社会の逞しさや、人の考えが荒んでいくイギリス社会の問題を鋭く描いたスティーヴン・フリアーズの力作。
テレビから映画界に移り長いキャリアを積み、彼の才能が高く評価されるきっかけになった作品でもある。
第59回アカデミー賞では、脚本賞にノミネートされた。
登場人物の各個性が興味深く、また平均的に描かれている作品であり、中でも、本作でその才能を開花させた、ダニエル・デイ=ルイスが余りにも魅力的だ。
荒れた人生を送る彼の役柄は、力強さと優しさ、そして弱さも感じられる、役以上に人を惹きつけるオーラを感じる役者だ。
現在の映画界で屈指の演技派となった、その原点とも言える彼のナイーブな演技は必見、注目だ。
余談だが、サッカー”ミルウォールFC”の熱烈なサポーターのダニエル・デイ=ルイスが、それをセリフにしているところも面白い。
ビジネスを通し、他国の社会を知り成長する主人公の青年を演ずるゴードン・ウォーネック、その父親役ロシャン・セス、その弟の実業家サイード・ジャーフリー、娘リタ・ウルフ、実業家の愛人シャーリー・アン・フィールド、麻薬の密売人デリック・ブランシュなどが共演している。