戦地の夫の身を案ずる姉を気遣う少女の健気な姿を描く、監督ヘンリー・コスター、主演マーガレット・オブライエン、ホセ・イトゥルビ、ジミー・デュランテ、ジューン・アリソン、マーシャ・ハント、ヒュー・ハーバート他共演のミュージカル・ドラマ。 |
■ スタッフ キャスト ■
監督:ヘンリー・コスター
製作:ジョー・パスターナク
脚本:マイルズ・コノリー
撮影:ロバート・サーティース
編集:ダグラス・ビッグス
音楽:ミシェル・ミシェレット
出演
マイク:マーガレット・オブライエン
本人:ホセ・イトゥルビ
アンドリュース:ジミー・デュランテ
バーバラ・エインズワース:ジューン・アリソン
ロザリンド:マーシャ・ハント
フェルディナンド:ヒュー・ハーバート
医師:ハリー・ダベンポート
マリー:マリー・ウィルソン
ラリー:ラリー・アドラー
キケブシュ:ベン・レッシー
駅員:コニー・ギルクリスト
エルザ:キャサリン・バルフォア
ヘレン:ヘレン・ギルバート
アニータ:メアリー・パーカー
ジェーン:マドレーヌ・ルボー
マクガフ夫人:エセル・グリフィーズ
シンガー:エディ・ジャクソン
ドラマー:ジャック・ロス
ジェシー:リリアン・ヤーボ
アメリカ 映画
配給 ロウズ・シネプレックス・エンターテインメント
1944年製作 115分
公開
北米:1944年12月18日
日本:1947年5月13日
製作費 $1,744,000
北米興行収入 $3,845,000
■ アカデミー賞 ■
第18回アカデミー賞
・ノミネート
脚本賞
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
ニューヨーク。
6歳の少女マイク(マーガレット・オブライエン)は列車で到着する。
迎えに来るはずの姉バーバラ・エインズワース(ジューン・アリソン)を捜すマイクは、駅員(コニー・ギルクリスト)や警官に心配してもらう。
マイクは、バーバラがオーケストラの一員だということを皆に知らせて、姉がいるコンサートホールに向かおうとする。
ホセ・イトゥルビが指揮するオーケストラのコントラバス奏者バーバラは、ステージに現れたマイクに気づく。
イトゥルビに睨まれたマイクはステージ脇に戻り、演奏を終えたバーバラはその場に向かい彼女を抱きしめる。
叔母からの手紙を受け取っていなかったバーバラは迎えに行くことができず、これからは一時も離れないことをマイクに約束し、彼女から、”聖クリストフォロス”のお守りを見せてもらう。
バーバラを控室に呼んだイトゥルビは、楽団マネージャーのアンドリュース(ジミー・デュランテ)に、バーバラを解雇すると伝える。 イトゥルビは、戦争で演奏家が徴兵される中、そんなことをしたら楽団がつぶれてしまうと言うアンドリュースの意見を聞き入れるしかなく、バーバラを処分しなかった。 アンドリュースに感謝したバーバラは楽屋に向かい、同僚のロザリンド(マーシャ・ハント)らにマイクを紹介する。 バーバラは、戦地の夫ジョーからの手紙が来ないことが気になっていた。 マイクは、聖クリストフォロスがジョーを守ってくれるとバーバラに伝える。 同僚たちと共同生活をするバーバラは、アパートの大屋であるマクガフ夫人(エセル・グリフィーズ)が子供と犬が嫌いだということを気にするが、ロザリンドらから何とかなると言われて安心する。 マリー(マリー・ウィルソン)は、出所した叔父フェルディナンド(ヒュー・ハーバート)が訪ねて来たために驚く。 アパートに戻ったバーバラらは、マクガフ夫人に気づかれないようにしてマイクを部屋に連れて行く。 バーバラは、物音に気づき起きてきたマクガフ夫人から、手紙が来ていることを知らされて喜ぶ。 しかし、マイクを駅に迎えに行ってほしいという叔母からの手紙だった。 皆が気遣ってくれる皆に感謝したバーバラは、気分が悪くなり気絶してしまう。 意識が戻ったバーバラは、医師(ハリー・ダベンポート)の診察を受ける。 心配するマイクは、バーバラのお腹に赤ちゃんがいることを医師から知らされ、男の子か女の子はお楽しみだと言われて安心する。 そのことをバーバラと話したマイクは、幸せな気分になる。 翌日、リハーサルを始めたイトゥルビは、バーバラを気遣うマイクを叱らずに、観客席に座らせて演奏を聴かせる。 アンドリュースは、バーバラのことが気になりマイクに尋ねるが、何も教えてもらえなかった。 その後オーケストラは、陸軍キャンプを慰問するために出発することになる。 陸軍省からの電報を受け取ったロザリンドは、ジョーの戦死を知らせる内容だったために驚く。 ロザリンドらは、出産が終えるまでそれをバーバラに知らせないことも考えるが、エルザ(キャサリン・バルフォア)が電報を渡そうとする。 レストランで、ハーモニカ奏者のラリー(ラリー・アドラー)が戦地に向かうことを知ったバーバラは、ジョーの話になる。 リクエストに応えてくれたラリーの演奏を聴きながら、バーバラはジョーのことを想い涙する。 その様子を見たエルザは、電報を渡すことができなかった。 寝台車で移動するバーバラはマイクと話し、何か月も手紙が来ないジョーは二度と戻らないと考える。 マイクから、神に祈れば願いは叶うと言われたバーバラは、それを信じてジョーが戻ることを願う。 その後、オーケストラは各地のキャンプを慰問し、マイクはバーバラの体調を気遣う。 演奏中のロザリンドは、マイクが楽屋のバッグに入っていた電報を床に落としたことに気づき焦る。 マイクを叱ってしまったロザリンドは、彼女に謝罪して許してもらう。 兵士たちとの会食会が開かれ、大佐がイトゥルビのピアノ演奏をリクエストしたのを、自分を指名したと思い込んだアンドリュースは、ピアノを弾き始めてしまう。 大佐はやめさすようとするが、アンドリュースの演奏と歌は、兵士たちに大いに受けて会場は盛り上がる。 その様子を楽しむバーバラは、ロザリンドがバッグを手放さないことが気になる。 移動中のバスの中でバーバラは、バッグの中の電報のことをロザリンドに尋ねる。 皆の様子が少し前から気になっていたバーバラは、自分にも友人がいて電報は来るとしかロザリンドに答えてもらえなかった。 宿舎に着いたバーバラはイトゥルビと話し、手紙が来ない夫のことで悩んでいることを伝えて涙する。 イトゥルビは、バーバラのために”ショパン”の”ワルツ第14番”を弾き、彼女を励ます。 楽団は各地を回りニューヨークに戻り、マリーは、文書偽造のプロであるフェルディナンドに、ジョーを装ってバーバラに手紙を書いてもらおうとする。 マリーに説得されたフェルディナンドは、それを引き受ける。 その後、手紙を受け取ったバーバラは、無事だったジョーが4か月間、孤島にいたことを知り喜び、電報のことで疑ったロザリンドに謝罪する。 バーバラからそれを知らされたマイクは、マクガフ夫人に見つかってしまう。 マクガフ夫人は、遊びに来たというマイクが気に入り歓迎し、嫌いなのは男の子とオス犬だとロザリンドらに伝える。 マイクが神に感謝するために教会に行こうとしたため、バーバラも同行する。 ロザリンドらは、フェルディナンドが約束通り手紙を書いてくれたと考えるが、数週間すればバレてしまうと思うと不安だっために、自分たちも教会に向かう。 バーバラの出産の日、コンサートを控えるロザリンドらは病院で待機していた。 アンドリュースが迎えに来たためにロザリンドらはホールに向かうが、マイクは、泣きながらバーバラから離れないと約束したと言って、席を立とうとしない。 仕方なくマイクと残ることにしたアンドリュースは、天使が赤ちゃんを運んでくると信じている彼女に合わせて話をする。 演奏の準備をするマリーは、訪ねて来たフェルディナンドから旅費を貸してほしいと言われ、彼に感謝する皆がカンパして金を渡す。 手紙のお礼だと言われたフェルディナンドは、書いていないために受取れないとマリーに伝える。 それを知ったロザリンドは驚くとともに、生きていたジョーから手紙が届いたことに気づき、フェルディナンドを抱きしめる。 喜ぶロザリンドらはステージに向かい、イトゥルビは”ヘンデル”のオラトリオ”メサイア”の演奏を指揮する。 ロザリンドらは涙しながら演奏し、アンドリュースと共に到着したマイクは、男の子が産まれたことを教えようとする。 それに気づいたロザリンドは、皆にそのことを教える。 マイクから男の子だと知らされたイトゥルビは、指揮を続ける。 病院のベッドでは、バーバラが息子と共に幸せを実感する。
...全てを見る(結末あり)
*(簡略ストーリー)
ニューヨーク。
6歳の少女マイクは、オーケストラの一員である姉バーバラを訪ねるために列車で到着する。
戦地にいる夫ジョーからの連絡が途絶えたことを気にするバーバラが、妊娠していることを知ったマイクは、姉のことを気遣う。
ロザリンドら楽団員から可愛がられたマイクは、陸軍キャンプを慰問する旅に同行することになる。
そんな時ロザリンドは、ジョーが戦死したという電報を受け取るものの、皆と相談してバーバラに内緒にすることにするのだが・・・。
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第二次世界大戦の最中、戦地に向かった男性奏者に代わり女性を中心に結成されたオーケストラのメンバーと、それに加わることになった少女を主人公にして描く、ヘンリー・コスターの細やかな人間描写が見どころの心温まる作品。
世界的な指揮者であるピアニストのホセ・イトゥルビがオーケストラの団長を演じ、数々の名曲が登場するミュージカル・ドラマとして大いに楽しめる。
戦争の悲惨さも漂わせる内容の中で、希望や幸せに満ち溢れる雰囲気で終わるラストの盛り上がりと感動は、オーケストラの演奏と共に頂点に達する。
戦意高揚的な場面もはあるが、マイルズ・コノリーの見事な脚本は、第18回アカデミー賞で脚本賞にノミネートされた。
撮影当時7歳のマーガレット・オブライエンは、既に何作もの作品に出演していたが、天才子役の名に相応しい演技で、愛らしい少女を好演している。
楽団長として厳しく指導するものの、団員を温かい目で見守るホセ・イトゥルビ、彼の物語だけで映画が成立しそうな見事なパフォーマンスを見せてくれる、人情味のある楽団マネージャーを愉快に演ずるジミー・デュランテ、戦地の夫の身を案ずる主人公の姉を演ずるジューン・アリソン、彼女の同僚である美しいマーシャ・ハント、同じくマリー・ウィルソン、彼女の叔父で、犯罪者でありながら団員に協力するヒュー・ハーバート、医師のハリー・ダベンポート、演奏も披露してくれるハーモニカ奏者のラリー・アドラー、楽団員のベン・レッシー、駅員のコニー・ギルクリスト、楽団員のキャサリン・バルフォア、ヘレン・ギルバート、メアリー・パーカー、マドレーヌ・ルボー、アパートの大屋エセル・グリフィーズ、その使用人リリアン・ヤーボ、歌手エディ・ジャクソン、ドラマーのジャック・ロスなどが共演している。