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ミュリエルの結婚 Muriel’s Wedding (1994)

何の取柄もない平凡な女性が新たな人生を見つけるまでを描く、監督、脚本P・J・ホーガン、主演トニ・コレットレイチェル・グリフィスビル・ハンター共演のコメディ・ドラマ。

アカデミー賞 ■ ストーリー ■ 解説


ドラマ(コメディ)


スタッフ キャスト ■
監督:P・J・ホーガン

製作
リンダ・ハウス
ジョセリン・ムーアハウス

脚本:P・J・ホーガン
撮影:マーティン・マクグラス
編集:ジル・ビルコック

音楽:ピーター・ベスト

出演
ミュリエル・ヘスロップ:トニ・コレット

ロンダ・エピンストール:レイチェル・グリフィス
ビル・ヘスロップ:ビル・ハンター
タニア・デガノ:ソフィー・リー
ベティ・ヘスロップ:ジニー・ドリナン
ディードリ・チェンバース:ジニー・ネヴィンソン
デヴィッド・ヴァン・アークル:ダニエル・ラパイン
ブライス・ノーブス:マット・デイ
ニコル:ピッパ・グランディソン

オーストラリア/フランス 映画
配給 ミラマックス

1994年製作 106分
公開
オーストラリア:1994年9月29日
北米:1995年3月10日
日本:1996年10月12日
製作費 $3,000,000
北米興行収入 $15,185,590
世界 $57,500,000


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー ■

”ブーケ”

オーストラリアクイーンズランド州、ポーポス・ピット。
ミュリエル・ヘスロップ(トニ・コレット)は、友人である花嫁タニア・デガノ(ソフィー・リー)が投げたブーケを見事にキャッチするものの、恋人もいないため、それをシェリルに譲るよう言われる。

仕方なくブーケを渡したミュリエルだったが、シェリルはそれを返し、恋人とは別れたと言って泣きながらその場を去る。

その後ミュリエルは、タニアの夫チュークが、ニコル(ピッパ・グランディソン)に誘われて愛し合っているのを目撃してしまう。

新郎が従弟だった監視員は、ミュリエルのドレスが万引きされた物と確信して警察を呼ぶ。

ミュリエルは、駆けつけた警官に連行されてしまう。
...全てを見る(結末あり)

自宅に連れて行かれたミュリエルは、市議会議長である実力者の父ビル(ビル・ハンター)から、ドレスを万引きしたのかを問われる。

失業中のミュリエルは、ドレスを買う金はないはずだとビルに言われるが、母ベティ(ジニー・ドリナン)から貰ったと答える。

ベティがそれを否定したため、ビルは、レシートを探してくるようミュリエルに指示する。

知人の息子だった警官に自分の地位を知っているかを確認したビルは、彼らにビールを振る舞おうとする。

ABBA”の崇拝者であるミュリエルは、”ダンシング・クイーン”を聴きながら、ビルが警官にビールを渡して話をつけたことを知る。

リゾート進出を考える日本人と共に家族で食事をしたビルは、高校も落第したミュリエルが、ようやく見習いの面接に行くと言っても喜びもしない。

秘書の学校に通わせても無駄金を払っただけで、法律事務所も1か月でクビになってしまった、不細工で肥満体のミュリエルと、同じような息子と娘達をビルはクズ呼ばわりする。

そこに、化粧品会社のコンサルタントである知人のディードリ・チェンバース(ジニー・ネヴィンソン)が現れたため、ビルは歓迎する。

食事の後でミュリエルは、自社で働かないかとディートリから誘われる。

友人達と集まるものの、新婚で浮気されたタニアは愚痴をこぼし、新婚旅行の代わりにバカンスに行く話になる。

その場にいたミュリエルは、一応、今でも友人だったタニア達から、自分達のイメージとかけ離れてると言われ、一緒に行動することを拒まれてショックを受ける。

ディートリとビルの関係が噂になっているため、小切手を持参して彼女の元に向かうようベティに指示されたミュリエルは、ある考えが浮かび、素敵な結婚をして皆を見返すと母に約束する。

小切手を現金にしたミュリエルは、タニア達が休暇を過ごすフロリダの”ハイビスカス・アイランド”に向かう。

タニアらに罵倒されたミュリエルは、その日の夜、その場にいた高校時代の同級生ロンダ・エピンストール(レイチェル・グリフィス)に声をかけられる。

同じく高校を中退していたロンダはミュリエルに親しみを感じ、彼女に気軽に話しかける。

話のはずみで婚約していると言ってしまったミュリエルは、結婚前の一人旅だと思われる。

二人は意気投合し、タニアらを嫌っていたロンダは彼女をからかおうとする。

タニアに声をかけたロンダは、彼女から一緒に楽しむことを提案されながら牽制し合う。

ロンダは、結婚式の日に、夫のチュークとニコルが愛し合っていたことをロンダに暴露する。

一緒に過ごすことなどごめんだとタニアに伝えたロンダは、ミュリエルが連れだと伝えてその場を去る。

ニコルは絶句して焦り、タニアに殴られる。

その夜、ロンダと共に”ABBA”の曲をステージで歌うミュリエルの前で、タニアとニコルは殴り合いを始める。

リゾート地で、順調に仕事をしているというミュリエルからの絵ハガキを受け取ったビルとベティは安心する。

そのハガキを見せられた雇い主のディートリは疑問に思い、ミュリエルが売り上げた金額をビルに伝える。

ビルも、その金額とミュリエルが使った金額に差があり過ぎることに気づく。

自分がクズだと時々思うと話したミュリエルは、結婚を申しこまれた素晴らしい女性だとロンダに言われる。

自宅に戻ったミュリエルは、父ビルが激怒していると母ベティから知らされ、小切手を悪用していないかを問われる。

それを否定したミュリエルは、乗って来たタクシーで家を出る。

シドニー” 花嫁の街

ロンダと共に暮らし始めたミュリエルは、ビデオ・ショップで働く。

ある日、お客のブライス・ノーブス(マット・デイ)に声をかけられたミュリエルは、彼からデートに誘われる。

それをロンダに話したミュリエルは、人生が変わったと言って喜ぶ。

名前も”マリエル”に変えると言うミュリエルは、誰かに追われているのかとロンダに聞かれる。

婚約者が警官であるため、自分を追って恋人を殺し自分も死ぬつもりだとマリエルはロンダに話す。

その夜、ブライスと共にクラブに向かったマリエルは、ロンダがアメリカ人の水兵二人と出て行ったため、ダンスをしたブライスと共にアパートに戻る。

水兵二人と愛し合っているロンダを気にしながら、マリエルはテレビをつける。

父ビルが、行方不明の自分に話しかける映像が流れたため、テレビを消したマリエルはブライスに迫られる。

警官だと言うブライスに問題ないと答えたマリエルは、彼と愛し合おうとする。

ブライスが焦って騒ぎを起こしたため、二人の水兵が全裸で現れて混乱する。

ところが、体調に異変を感じたロンダが足が動かないと言い出し、マリエルは救急車を呼び彼女を病院に運ぶ。

診断を待つ間に自宅に電話をしたマリエルは、テレビに出ていた父ビルが収賄で取り調べを受け、別居して家を出たことを知らされる。

シドニーにいることを母ベティに知らせたマリエルは、ビルもこの地にいると言われ、自分が現金を引き出したことを伝える。

住所を聞かれたマリエルは、またかけると言って電話を切り、ベティは警察の家宅捜査を受ける。

腫瘍が脊髄を圧迫して神経を刺激し、足が動かないと言われたロンダは手術が必要だと診断され、マリエルも心配する。

式が近づくと言うことにして、ウェディングドレスの試着で沈む気持ちを晴らしたマリエルは、見に来れない母が入院中で、腫瘍を除去する手術を受けると、ブティックの店員に話してしまう。

店員はマリエルのために、特別に写真を撮って渡す。

手術を終えたロンダはリハビリを始めるが、足の自由がきかないことで苛立つ。

ロンダのお陰で人生に対する考えが変わったと伝えたマリエルは、必ず歩けるようになると言って彼女を励ます。

自宅に戻ったロンダはマリエルのアルバムを見つけて、彼女が花嫁衣裳店を回り、ウェディングドレス姿を写真に撮っていることを知る。

ある花嫁衣裳店でマリエルを見かけたロンダは、彼女を問い詰める。

結婚したかっただけでフィアンセもいないと言うマリエルは、シドニーに来て変われたため、かつてのダサイ自分に戻りたくないことをロンダに伝える。

マリエルは、なぜ自分が花嫁になれないのかと言って泣き崩れる。

自分を姉とまで偽っていたマリエルに呆れたロンダは、その場を去る。

父ビルからの電話で呼び出されたマリエルは、今回の件で責められ、金を返し家に戻るよう強要される。

そこにディードリが現れ、偶然だと言うビルは彼女を同席させる。

マリエルは二人が同棲していることを知り、とにかく3週間後には家に戻るよう父に指示される。

アパートに戻ったマリエルは、再び腫瘍が見つかり手術することになったことをロンダから知らされる。

母ベティから戻るようにという内容の電話があったことをロンダから知らされたマリエルは、何とか結婚相手を捜そうとする。

南アフリカ人の水泳選手で、オリンピックの金メダル候補であるデヴィッド・ヴァン・アークル(ダニエル・ラパイン)に会ったマリエルは、彼が国の事情で国籍をオーストラリアにする必要があることを知らされる。

冴えないマリエルを見てデヴィッドは気が進まないのだが、オリンピックに出場するためには仕方がなかった。

1万ドルの謝礼も受け取れることになり、恋人を装うことにマリエルは乗り気だった。

”ミュリエルの結婚”

腫瘍を切除したロンダは車椅子で式に出席し、タニアらがマリエルの付添人をすることを知る。

ビルの件や偽装結婚ではないかという噂が広がり、マスコミも殺到する中、ウェディングドレスに身を包んだマリエルが到着し、タニアはその美しさに驚く。

ビルと共に満面の笑みで現れたマリエルは、デヴィッドの元に向う。

デヴィッドは動揺し、マリエルは感激しながら誓いの言葉を交わす。

遅れて着いたベティは、ビルに寄り添うディートリを気にする。

マリエルに気づいてももらえないベティは、ショックを受ける。

出席者に祝福されるマリエルは、教会の外にいたロンダに気づき、有名になった自分が、タニアら皆を見返したことを伝える。

見捨てられたのも同じだと言って、母と共にバスで故郷に帰ることを伝えたロンダは、航空券を用意したマリエルを罵倒してその場を去ろうとする。

自分に辛く当たるロンダの気持ちが理解できないマリエルだったが、”ミュリエル”の足元にも及ばないサイテーの女になったと言われてしまう。

タニアらは、手のひらを返したようにロンダにも好意的に接し、今後の面倒をみることを約束する。

新居に向かったマリエルは、金が目的ではなかったことをデヴィッドに見抜かれ、自分は金メダルだけを目指すと言って彼女を相手にしない。

ショッピングセンターで靴がきついことが気になり、販売していたサンダルを履いてそのまま店を出てしまったベティは、監視員に見つかってしまう。

警察に駆け付けたビルはその件を処置するが、家には戻らないと言って、離婚してディートリと結婚することをベティに伝える。

できそこないの家族のせいで、自分が窮地に立たされたと言ってベティを罵り、ビルはその場を去る。

働きもしない息子を追い出そうとしたベティは、自分も同じだと言われて愕然とする。

その後、母ベティが亡くなったことを知ったマリエルは自宅に戻る。

その場にいたディートリから、ベティが心臓発作で亡くなったことを知らされたマリエルは、母が身をもってビルを救ったと言われる。

ベティのアルバムを見たマリエルは、自分の結婚式の記事の切り抜きなどに気づき、母が睡眠薬自殺だったことを妹から知らされる。

医師が来た時には薬の瓶がなくなっていたことに気づいた妹が、父ビルに口止めされたと知ったマリエルはショックを受ける。

ベティの葬儀が行われ、前首相からの弔電を受け取ったビルは満足する。

マスコミがそれに反応したこと確認したビルの表情を見て、居たたまれなくなったマリエルは席を立つ。

教会の外にいたデヴィッドは、マリエルを気遣う。

自分が変わったと思っていたマリエルは、父と同じだった言って後悔して涙する。

マリエルを慰めるデヴィッドは彼女に寄り添い、そして二人は愛し合う。

これ以上、嘘は付けないと言うマリエルは、一緒に住めないことをデヴィッドに伝える。

お互い愛していないことを確認した二人だったが、デヴィッドは一緒に暮らしたいと伝える。

指輪を返したマリエルは、デヴィッドのオリンピックでの勝利を祈りその場を去る。

弟や妹の面倒をみるようにとビルに言われたミュリエルは、父親がするべきだと反論して、使った金の一部を返す。

お互いにダメ人間だと言うミュリエルは、それを子供達にも理解させるべきだと伝える。

前首相の弔電も手を回したことを話すビルは、市議会議員も辞職して給付金をもらう身だと言って、情けない自分についてを語る。

家には戻らないと言うミュリエルの考えを受け入れたビルは、連絡をよこすようにと伝えて娘を見送る。

タニアらの馬鹿げた話を聞いていたロンダは、現れたミュリエルから一緒にシドニーに戻って欲しいと言われる。

デヴィッドのことをタニアに聞かれ別れたと答えたミュリエルは、なぜ自分が行くと思ったかをロンダに問われ、友達だからだと答える。

ロンダの母親は勝手な話をするミュリエルを批判するが、ロンダはそれに同意する。

一緒には住めないと母に伝えたロンダは、タニアらを罵倒する。

反論するタニアを無視し、母親に別れを告げたロンダは、ミュリエルと共に旅立つ。

タクシーに乗ったミュリエルとロンダは、ポーポス・ピットの思い出を捨てて、新たな人生を歩み始める。


解説 評価 感想 ■

*(簡略ストー リー)
オーストラリアクイーンズランド州、ポーポス・ピット。
肥満体で不細工、高校も中退した何の取柄もないミュリエル・ヘスロップは、市会議員でもある町の実力者の父ビルにもクズ呼ばわりされていた。
一応、友人だったタニア達から交友を断られたミュリエルは、素敵な結婚をして彼女らを見返すことを考える。
仕事のためにビルから預かった小切手で現金を引き出したミュリエルは、タニアらが休暇を過ごすリゾート地に向かう。
その場でもタニアらに相手にされないミュリエルは、高校の同級生で同じく中退したロンダに出くわして意気投合する。
家に戻り、家族の現金を使い込んだことが問題になっていることを知ったたミュリエルは、ロンダと共にシドニーに向い、”マリエル”と名前を変えて人生を変えようとするのだが・・・。
__________

ダメ家族の一員でありその代表のような長女が、新たな人生を切り開くための奮闘記を、自らの脚本により味わい深く描いた、P・J・ホーガンの人情味溢れる演出手腕が見所の作品。

純粋なコメディ・タッチで始まる物語は、友人の病や家族の崩壊で深刻なドラマ展開ともなるが、成長した主人公の希望に満ちた表情で終わる、爽やかな雰囲気で締めくくられる。

1970年代に世界を席巻した、”ABBA”の曲が随所で効果的に使われているところも注目だ。

役柄のために20キロ近く体重を増やしたというトニ・コレットは、ゴールデングローブ賞の主演女優賞にノミネートされた他、その演技は高く評価され、後に世界的スターになる才能を見せてくれる。

同じような境遇の主人公と意気投合し苦楽を共にする親友のレイチェル・グリフィス、町の実力者である主人公の父親を好演するビル・ハンター、家族愛に恵まれない主人公の母親ジニー・ドリナン、主人公を嫌う友人ソフィー・リー、同じくピッパ・グランディソン、主人公の父親の愛人ジニー・ネヴィンソン、オリンピックのために主人公と結婚する水泳選手ダニエル・ラパイン、主人公に惹かれる警官マット・デイなどが共演している。


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