殺人の容疑者が絡む事件に関係した14歳の少年が大人の社会そして様々な”愛” を知るまでを描く、監督、脚本ジェフ・ニコルズ、主演マシュー・マコノヒー、リース・ウィザースプーン、タイ・シェリダン、サム・シェパード、マイケル・シャノン他共演のドラマ。 |
・ドラマ
■ スタッフ キャスト ■
監督:ジェフ・ニコルズ
製作
リサ・マリア・ファルコーネ
サラ・グリーン
アーロン・ライダー
製作総指揮
トム・ヘラー
ギャレス・スミス
グレン・バスナー
マイケル・フリン
脚本:ジェフ・ニコルズ
撮影:アダム・ストーン
編集:ジュリー・モンロー
音楽:デヴィッド・ウィンゴ
出演
マッド:マシュー・マコノヒー
ジュニパー:リース・ウィザースプーン
エリス:タイ・シェリダン
ネックボーン:ジェイコブ・ロフランド
トム・ブランケンシップ:サム・シェパード
シニア:レイ・マッキノン
メアリー・リー:サラ・ポールソン
ゲイレン:マイケル・シャノン
キング:ジョー・ドン・ベイカー
カーヴァー:ポール・スパークス
ミラー:スチュアート・グリア
ジェームズ:マイケル・アボットJr.
メイ・パール:ボニー・スターディバント
メイベリン・パターソン:サディー・アントニオ
助手:ジョン・ウォードJr.
プリンセス:クリスティ・バリントン
カイル ジョニー・チーク
ネルソン:ケネス・ヒル
アメリカ 映画
配給
ライオンズゲート
ロードサイド・アトラクションズ
2012年製作 分
公開
北米:2013年4月26日
日本:2014年1月18日
製作費 $10,000,000
北米興行収入 $21,590,090
世界 $29,736,490
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
アーカンソー州、デウィット。
14歳のエリス(タイ・シェリダン)は、親友のネックボーン(ジェイコブ・ロフランド)と共にボートハウスを抜け出す。
アーカンザス川に浮かぶ小さな島に向かった二人は、ネックボーンが見つけた、洪水で水面が上昇したため木の枝に引っかかっているボートを確認する。
二人は木に登りボート内を調べ、エリスは壁に付いた靴跡や食料に気づき、人がいることをネックボーンに伝える。
岸に戻った二人は、その場にあったボートの靴跡と同じものを見つけてそれをたどっていく。
二人が振り向くと、足跡の主だと思われる男(マシュー・マコノヒー)がボートの脇で釣りをしていた。
近づいて来た男とボートのことなどを話した二人は、それとの交換で食料を求められる。
ネックボーンは相手にせずに去ろうとするが、エリスは、待っている人が来ればこの場を去るという男の話を聞く。
時間がないために島を離れて町に戻り、父シニア(レイ・マッキノン)の仕事を手伝ったエリスは、叔父ゲイレン(マイケル・シャノン)と暮らすネックボーンの家に向かう。 エリスはマッドに食料を届けるつもりがあることを伝え、ネックボーンと翌日に会うことを約束する。 帰宅したエリスは、父シニアと母メアリー・リー(サラ・ポールソン)の関係を気にしながら、戸棚の缶詰などをバッグにしまう。 翌日、川の向こう岸に住む老人トム・ブランケンシップ(サム・シェパード)がどんな人物かを考えながら、エリスは、3人で食事をしたいので早く帰るようにとメアリー・リーに言われる。 その後、エリスとネックボーンは島に向かい、男に食料を渡し、彼が護身用に拳銃を持っていることに気づく。 男は、着ているシャツと拳銃が守ってくれると語る。 二人は、男が恋人を待っていることと彼の名前がマッドだということを知り島を離れる。 町に戻ったエリスは、少女メイ・パール(ボニー・スターディバント)に絡んでいた高校生を殴り倒し彼女に惹かれる。 その後エリスとネックボーンは、マッドが言っていた恋人ジュニパー(リース・ウィザースプーン)と似た女性を見かける。 帰宅したエリスは、シニアから離婚することになるかもしれないと言われ、メアリー・リーの父から譲ってもらったボートハウスを離れなければならない可能性を知らされる。 行政がボートハウスを解体し、仕事もなくなることを嘆く父はエリスに謝罪する。 ショックを受けたエリスは、待っていたメアリー・リーを無視して部屋に閉じこもる。 缶詰を持って島に向かったエリスは、ジュニパーのことや両親の離婚のことなどをマッドに話す。 エリスからジュニパーを町で見かけたことを聞いたマッドは、翌日、彼女の元に向かうかを考える。 翌朝、メアリー・リーと町に向かったエリスは、警察の検問で車を止められ、マッドが指名手配犯であることを知る。 ネックボーンと共に島に向かったエリスは、マッドに検問のことを知らせ、彼がある男を殺したという話を聞く。 マッドは木の上のボートを直して下し、メキシコ湾に向かうことを伝える。 誰を殺したかを質問されたマッドは、男に騙されたジュニパーが子供の産めない体にされたことで、男を追って殺したということだった。 マッドはジュニパーを守るために、ボートの修理に必要な部品を調達してほしいとエリスに頼む。 ネックボーンは代償として拳銃を要求し、マッドはそれを渡すことを約束する。 マッドの知人だというトムにも協力してもらうよう言われたエリスは、彼の家に向かう。 エリスはマッドの件をトムに話し、彼を島に連れて行く。 状況を知らされたトムはマッドの行動を痛烈に非難し、協力を拒み島を離れようとする。 エリスはマッドを見捨てられず、3人でやるしかないこと彼に言われ、ジュニパーへのメッセージを渡される。 トムを家に送り、ネックボーンは彼にマッドの父親かを尋ねる。 それを否定したトムは、マッドには関わるなと忠告して二人と別れる。 魚売りを装いジュニパーのモーテルに向かったエリスとネックボーンは、彼女に襲いかかっている男(ポール・スパークス)に飛び掛かる。 エリスは殴られてマッドのことを聞かれ、ネックボーンが魚売りだと言ってその場を凌ぐ。 男はジュニパーを脅して出て行き、エリスは、魚を買おうとした彼女にマッドからのメッセージを渡す。 内容を読み安心したジュニパーは、数日待つようにというマッドの考えに従うことをエリスとネックボーンに伝える。 ジュニパーは、それを伝えた後は手を引くようにとエリスに助言して、彼の額にキスする。 男は、モーテルから出てきたエリスとネックボーンを監視する。 エリスは、電話帳でメイ・パールの番号を調べ会う約束をする。 その後、エリスとネックボーンは、マッドに頼まれた物を調達して島に向かう。 マッドは、エリスがジュニパーに襲いかかっていた男に殴らたことを知り、それが殺した男の弟カーヴァーだと二人に伝える。 迫る危険を知らせたマッドは、カーヴァーの父親の恐ろしさも語る。 川で貝を獲るのが仕事のゲイレンは、3人を目撃して不審に思う。 マッドは、親のような存在だったトムがエリートでありCIAの暗殺者だったことも話し、ロープやチェーンソーを使いボートを降ろす作業を始める。 メイ・パールとデートしたエリスはブレスレットを贈り、ガールフレンドになってほしいことを伝え、彼女にキスされる。 翌日、トムに呼ばれたエリスは、マッドとジュニパーの関係と彼女の行動には問題があると聞かされるが、二人が愛し合っていることを理解していないと言ってその場を去る。 島に向かったエリスは、ボートが木から下ろされていたので驚く。 シニアの仕事を手伝っていたエリスは、カーヴァーの元に父親キング(ジョー・ドン・ベイカー)が現れたのを目撃する。 カーヴァーは、モーテルを監視して警官を二人を仲間に引き入れたことをキングに伝える。 キングは、集まっていた殺し屋と共に息子の敵を討つことを誓う。 ゲイレンに会ったエリスは、ネックボーンを問題に巻き込むなと忠告する。 キングのことをマッドに伝えたエリスは町に戻り、ジュニパーに脱出計画のことを電話で伝える。 心配するジュニパーは、愛する二人のために協力しているとエリスに言われるものの言葉を返せない。 メイ・パールを見かけたエリスは、彼女の名前を呼ぶものの無視されてしまう。 そこにカーヴァーが現れ、エリスとネックボーンに謝罪する彼は、再びマッドのことを聞くが二人は白を切る。 その後、エリスとネックボーンはボートのエンジンを手に入れる。 帰宅したエリスは、トムがマッドのために現金と酒などを用意してくれたことに気づく。 ジュニパーを迎えに行ったエリスとネックボーンは、彼女がバーに向かったことを知る。 エリスは、バーで男と楽しむジュニパーを見てトムの言ったことが正しかったことに気づく。 エンジンを島に運んだエリスとネックボーンは、ジュニパーがいないことを不思議に思うマッドに、彼女がバーで男と一緒だったことを正直に話す。 マッドは何も語らず、二人に家に帰るように伝える。 メイ・パールに電話したエリスだったが、彼女と話すことができない。 エリスがエンジンを盗んだことを知ったシニアは彼を問い詰めるが、メアリー・リーがそれを制止して夫の行為を非難する。 メアリー・リーは、エンジンを返し持ち主に謝罪するようエリスに伝える。 エリスは、エンジンは返すことができないため金を払うとシニアに伝える。 島に向かったエリスとネックボーンは、トムからの酒のボトルを空け、お守りのようにして着ていたシャツをマッドが脱いでしまったことを知る。 酒は飲んでいないというマッドは、ネックボーンにエンジンの整備を頼み、エリスにはジュニパーへのメッセージを預けて渡すよう伝える。 ジュニパーにメッセージを渡したエリスは昨日のことを謝罪されるが、マッドは嘘つきで、愛してはいるが一生共に逃げる気にはなれないと言われる。 すべて終わりだというメッセージを呼んだジュニパーは、了解したことをマッドに伝えるよう告げる。 ジュニパーの部屋を出たエリスだったが、戻ってみると、彼女がベッドで泣き崩れていたため、やはり二人は愛し合っていたと確信する。 その後メイ・パールを目撃したエリスは、一緒にいた高校生を殴り、彼女に連絡をくれなかったことを問い詰める。 高校生に殴り返されたエリスは、相手にする気などなかったとメイ・パールに言われて傷つく。 マッドの元に向かったエリスは、自分達を利用したと言って涙ながらに彼を非難して立ち去る。 ネックボーンがそれを追うが、エリスは蛇がいる小川に落ちてしまう。 それを知ったマッドは、その場にかけてあったシャツを着て小川に向かい彼を助けてボートで病院に向かおうとする。 マッドはエリスが足を噛まれたことに気づき、岸に着きバイクで病院に向かう。 エリスを医師に任せたマッドはその場を去り、不審に思った病院の事務員は彼が指名手配犯だと気づき、キングの手が回っていたためそれを知らせる。 マッドはモーテルに向かい、部屋の外に出ていたジュニパーは遠方の彼に気づき、手を振られて笑みを浮かべる。 それに応えたマッドはそのまま姿を消す。 両親に見守られながら自宅で目覚めたエリスは、見知らぬ男性に病院に運ばれ命が助かったことを知る。 自分のことで両親が心を通わせていることを知ったエリスは、二人に愛を告げる。 島に戻ったマッドはボートを水に浮かべることに成功し、約束した拳銃をネックボーンに渡す。 ネックボーンに頼みエリスの家に向かったマッドは、旅立つ前に話したかったと言って友情を確かめる。 エリスも昼間のことを謝罪し、マッドとジュニパーが互いに愛し合っていることを確認する。 その時、既にその場を狙っていたカーヴァーらが銃撃を始め、マッドはエリスを守ろうとする。 家の外に逃れ銃を向けられたマッドだったが、元スナイパーのトムが対岸から加勢して殺し屋を一人倒す。 銃を奪ったマッドは反撃するが、銃弾を受けながら川に飛び込む。 トムがカーヴァーらを射殺し、部屋を出たエリスがマッドの名を呼ぶが彼の姿は見えない。 拳銃を手にしてメアリー・リーを守っていたシニアは、エリスに駆け寄る。 その後、警察が駆けつけてマッドの捜索も始まる。 キングは、息のかかっていた警官から息子カーヴァーが死んだことを知らされる。 川底で貝を獲っていたゲイレンは、水面を漂うマッドを確認する。 その後、ボートハウスの解体は始まり、エリスはそれを見守るしかなかった。 トムも姿を消しマッドの遺体も見つからないままだった。 メアリー・リーと暮らしていたエリスは、シニアにアパートまで送られ、2人は愛を確かめ合う。 エリスは、近所に住む少女が手を振ってくれたことに対し笑みで応える。 マッドが修理したボートを進めるトムは、負傷しながらも生存し休んでいたマッドに外に出るようにと促す。
...全てを見る(結末あり)
*(簡略ストー リー)
アーカンソー州、デウィット。
14歳のエリスは、アーカンザス川に浮かぶ小さな島で親友ネックボーンが見つけた、洪水により木の枝の上にあるボートの元に向かう。
人がいる形跡を見つけたエリスとネックボーンは、謎の男マッドに遭遇する。
待っている人物が現れたらその場を去るというマッドに興味を抱いたエリスは、彼に協力しようとする。
その相手が恋人のジュニパーだと聞いたエリスだったが、マッドが殺人の容疑者であり、暗殺者に追われる身であることを知ってしまう・・・。
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デビュー作「Shotgun Stories」(2007)と「テイク・シェルター」(2011)により、各映画祭で多くの賞を受賞し評価の高いジェフ・ニコルズの作品。
本作も絶賛され、第65回カンヌ国際映画祭でパルム・ドールにノミネートされた。
殺人容疑者の逃亡計画を描いた内容ではあるが、それに協力する少年が、大人になる過程で体験する様々な”愛”の形を彼の目から捉えたジェフ・ニコルズの演出と脚本は秀逸だ。
両親、恋人、そして出会った謎の男女の”愛”を、誰もが持つ冒険心をきっかけに、短期間で知る少年の心の動きや動揺を見事に描いている。
恵まれない家庭環境や人間関係の細やかな描写の中で、何度も繰り返される愛情表現やその言葉が印象に残る。
主演のマシュー・マコノヒーは悪人風で登場するが、恋人の愛を純粋に求める男性をしっとりと演じている。
実力と人気を兼ね備えたハリウッドを代表するスターが、話題作だけでなく、このような地味な作品にも出演し意識を持って仕事をする・・・超一流の証と言える役者魂を感じる素晴らしい演技を見せてくれる。
複雑な女心の持ち主で主人公の恋人役のリース・ウィザースプーン、色々な意味の”愛”を知ることになる主人公に協力する少年を好演するタイ・シェリダン、その親友でこちらも重要な役を演ずるジェイコブ・ロフランド、主人公の知人であり、元CIA、暗殺者であったとも言われる老人を味わい深く演ずるサム・シェパード、少年の両親レイ・マッキノン、サラ・ポールソン、ジェフ・ニコルズ作品全てに出演する、少年の親友の叔父マイケル・シャノン、裏社会のボス役ジョー・ドン・ベイカー、その息子ポール・スパークスなどが共演している。