第二次大戦下、戦争に翻弄される家族の絆を描く、映画史上に残る珠玉の名作。 監督ウィリアム・ワイラー、グリア・ガースン、ウォルター・ピジョン、メイ・ウィッティ、テレサ・ライト、ヘンリー・トラヴァース共演。 |
■ スタッフ キャスト ■
監督:ウィリアム・ワイラー
製作:シドニー・フランクリン
原作:ジャン・ストラッサー
脚本
アーサー・ウィンペリス
ジョージ・フローシェル
ジェームズ・ヒルトン
クローディン・ウェスト
撮影:ジョセフ・ルッテンバーグ
編集:ハロルド・F・クレス
音楽:ハーバート・ストサート
出演
ケイ・ミニヴァー:グリア・ガースン
クレム・ミニヴァー:ウォルター・ピジョン
ベルドン夫人:メイ・ウィッティ
キャロル・ベンドン:テレサ・ライト
ジェームズ・バラード駅長:ヘンリー・トラヴァース
ヴィン・ミニヴァー:リチャード・ネイ
フォーリー:レジナルド・オーウェン
ホレース:リス・ウィリアムス
ドイツ人パイロット:ヘルムート・ダンタイン
司教代理:ヘンリー・ウィルコックソン
パイロット:ピーター・ローフォード
アメリカ 映画
配給 MGM
1942年製作 134分
公開
北米:1942年6月4日
日本:1949年5月9日
北米興行収入 $5,390,000
■ アカデミー賞 ■
第15回アカデミー賞
・受賞
作品・監督
主演女優(グリア・ガースン)
助演女優(テレサ・ライト)
脚本・撮影賞(白黒)
・ノミネート
主演男優(ウォルター・ピジョン)
助演男優(ヘンリー・トラヴァース)
助演女優(メイ・ウィッティ)
編集・録音・特殊効果賞
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
1939年夏、第二次大戦前夜。
ロンドン近郊の田舎町ベルハムに住むミニヴァー家は、典型的な、イギリス中流の幸福そのものの家庭だった。
ロンドンでの買い物から戻ったケイ・ミニヴァー(グリア・ガースン)は、ベルヘム駅長ジェームズ・バラード(ヘンリー・トラヴァース)に呼び止められる。
バラードは、生甲斐にしているバラの栽培で、フラワー・ショーに出品するバラに、”ミニヴァー夫人のバラ” と命名することをケイに承諾してもらう。
その夜、幼い二人の子供達との夕食後、ケイはロンドンで帽子を、夫クレム(ウォルター・ピジョン)は車を、衝動で買ってしまったことを遠慮しながら話す。
そして、幸福を味わうためには、浪費も必要だと認め合う二人だった。
ミニヴァー家の長男ヴィン(リチャード・ネイ)が、大学から戻った日、旧家の令嬢キャロル・ベンドン(テレサ・ライト)が訪ねて来る。 キャロルは、フラワー・ショーに、バラード駅長のバラが出品されないようにしてほしいと、ケイに頼みに来たのだった。 毎年、出品されるバラの一等は、祖母のベルドン夫人(メイ・ウィッティ)と決まっていたからだ。 労働者階級が、支配者貴族に従う義務はないことを主張するヴィンと、キャロルは意見がそこで対立してしまう。 意見だけはするものの、何も行動を起こしていないことをキャロルに非難されたヴィンは、席を外してしまう。 キャロルは駅長のバラの件は撤回し、実直なヴィンが気になる存在になる。 その夜、ダンスパーティーで再会したヴィンとキャロルは、昼間のことをお互いに謝罪し、楽しい時を過ごして惹かれ合うようになる。 翌日の教会のミサで、イギリスが参戦したことが伝えられ、ミニヴァー家の使用人の恋人ホレース(リス・ウィリアムス)が出征することになり挨拶に現れる。 ヴィンもその場で空軍に志願することを告げ、キャロルにそれを伝えに行くが、クレムとケイは複雑な心境で息子の行動を見守る。 1940年5月。 キャロルを招待したミニヴァー家での食事の最中、ヴィンは両親の前で彼女にプロポーズする。 しかし、その直後に、出動命令の連絡が届いたヴィンは戦場に戻り、クレムとケイは息子の無事を祈る。 その夜、クレムもパトロール命令で出動し、ダンケルクの派遣軍を救うために小型船で現地に向かう。 数日後の朝、ケイは不時着して負傷したドイツ軍パイロット(ヘルムート・ダンタイン)を見つける。 気絶していたパイロットから銃を奪おうとしたケイだったが、意識を取り戻した彼を見て、自宅に逃げ込む。 パイロットは食べ物を要求し出て行こうとするが、彼は失神してしまい、銃を奪ったケイは警察に連絡を入れる。 危険がないことを確認したケイは、意識が戻ったパイロットを介抱する。 捕らえられることを知ったパイロットだが、勝利を信じて、それを力説する彼の言葉をケイは制止しようとするが、そこに警官が現れ、彼は連行されて行く。 その後、クレムが5日ぶりにダンケルクから戻り、心配していたケイに迎えられ、疲労困憊の彼は、死んだように眠りに着く。 目覚めたクレムは、ヴィンも無事に戦闘から帰還したことと、ケイがドイツ軍パイロットを捕らえたことを知らされて驚いてしまう。 そこに、ベントン夫人が現れ、階級の違いには目をつぶったとしても、ヴィンとキャロルの結婚を若すぎるという理由で反対する。 しかし、ベントン家の家系を調べたケイは、夫人が16歳で結婚したことなどを指摘し、彼女を納得させてしまう。 やがて、ドイツ軍の空襲はベルハムにもおよび、町の多くの建物は被害を受ける。 数日後、荒れ果てたミニヴァー家に、新婚のヴィンとキャロルが戻り、家族はひと時の幸せを味わう。 フラワー・ショー当日、例年通りの根回しで、ベルドン夫人のバラが一等という審査結果が出る。 夫人は、ケイにそれを覆えすよう促されるが、素直に従おうとはせず意地を張る。 しかし、夫人は展示されたバラを前に考えを改め、バラード駅長に一等の栄誉を与える。 二等を自分に与えた夫人は、例年にない温かい拍手を人々から受ける。 一等のカップを受けて駅長は感激するが、敵機襲来で人々は避難し、ヴィンは再び戦場へと向かうことになる。 ヴィンを基地飛行場に送ったケイとキャロルは、帰宅途中で敵機の攻撃に遭い、キャロルは銃弾を受けてしまう。 帰宅した二人だったが、ケイの介抱もむなしく、キャロルは息を引き取る。 多くの犠牲者を出した住民は、爆撃の被害に遭った教会で、司教代理(ヘンリー・ウィルコックソン)の言葉に耳を傾ける。 ”フラワー・ショーの優勝者バラード駅長やキャロルの死が意味するのは、この戦いが軍人だけでなく、全ての人の戦いだからだ・・・団結して力の限り戦おう。” それを聞いたヴィンはベルドン夫人に寄り添い、町の人々は心をひとつにして賛美歌を歌う。 そして、イギリス空軍の戦闘機編隊が、その上空を通過し、祖国を守るために戦場に向かう。
...全てを見る(結末あり)
警備隊員となっていたクレムは、空軍少尉となり休暇で帰ったヴィンを歓迎する。
(ダンケルクの戦い)
*(簡略ストー リー)
第二次大戦前夜。
イギリスの典型的な中流家庭ミニヴァー家は、建築家の夫クレム、その妻ケイ、そして二人の幼い子供とで暮す幸せな家族だった。
そこに、大学生の長男ヴィンが帰郷してくるのだが、旧家の令嬢キャロルが、バラード駅長がフラワー・ショーに出品する”ミニヴァー夫人のバラ”の件でー家を訪れる。
キャロルは、支配階級の祖母ベントン夫人のバラの優勝が例年の決まりとなっているため、駅長のバラの出品を諦めるよう、ケイに説得を頼みに来たのだった。
そのことで対立した、若いヴィンとキャロルだったが、やがて二人はお互いを理解し愛し合い結婚を誓うことになる。
その後、イギリスが参戦し、ヴィンは空軍に志願し、父クレムは警備隊員になる。
やがて、戦火はミニヴァー家の町にも迫り、一家は不安を抱えながらの日々を送ることになる・・・。
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1937年に新聞のコラムに掲載された、ジャン・ストラーサーの短編を基に製作された作品。
1950年、グリア・ガースンとウォルター・ピジョンを主人公に、続編”The Miniver Story”が公開された。
第二次大戦下で製作された、戦意高揚、反ナチス映画で、その完成度の高さから映画史上に残る傑作となった。
本作の公開当時、イギリスの首相ウィンストン・チャーチルは、敵艦隊を撃退したほどの効果がある作品とまで言ったという。
2009年、アメリカ議会図書館が、国立フィルム登録簿に登録した作品。
第15回アカデミー賞では、作品賞以下11部門にノミネートされ、作品、監督、主演女優(グリア・ガースン)、助演女優(テレサ・ライト)、脚本、撮影賞(白黒)の6部門を受賞した。
・ノミネート
主演男優(ウォルター・ピジョン)
助演男優(ヘンリー・トラヴァース)
助演女優(メイ・ウィッティ)
編集・録音・特殊効果賞
本作後に従軍することになるウィリアム・ワイラーは、ミニヴァー家とその周辺の人々の平凡な日々を丹念に描きつつ、残酷にさえ思える、町で最も愛されていた、善人の駅長と新妻を戦争の犠牲にしてしまうストーリーを人々の団結心に変えて、彼の戦争に対する姿勢を強く示している。
その演出も、アーサー・ウィンペリスをはじめとした、イギリス人脚本家の見事なストーリーのおかげだとも言える。
アカデミー主演賞を受賞したグリア・ガースンの、その雰囲気からにじみ出る優しさと、透きとおるような美しさは、画面上で輝いている。
ただ、初公開当時は気にならなかっただろうが、12歳年下の息子役のリチャード・ネイと、翌年に結婚した事実を知りながら観ていると、どうも親子の演技に違和感を感じてしまう。
ウォルター・ピジョンの好演は、翌年再びグリア・ガースンと夫婦役で共演する「キュリー夫人」(1943)へと続き、理想の父親像としての好感度は抜群。
さらに、前年の「わが谷は緑なりき」(1941)の貧しい牧師役の演技も忘れ難い。
悲劇的な死を遂げるアカデミー助演賞を受賞したテレサ・ライト、同賞候補になったヘンリー・トラヴァースは、物語の心温まる部分を支えた陰の主人公とも言える存在だ。
また、主演グリア・ガースンをも食ってしまいそうな演技で、他の出演者を圧倒する存在であるメイ・ウィッティの、矍鑠とした演技も素晴しい。
町民レジナルド・オーウェン、戦地に向かうー家の使用人の恋人リス・ウィリアムス、ドイツ軍パイロットのヘルムート・ダンタイン、司教代理ヘンリー・ウィルコックソン、イギリス空軍パイロット役で、ピーター・ローフォードが一瞬登場する。