喧嘩が絶えないにも拘わらず愛し合う夫婦が結婚が無効だったために巻き起こる騒動を描く、監督アルフレッド・ヒッチコック、主演キャロル・ロンバード、ロバート・モンゴメリー、ジーン・レイモンド他共演のスクリューボール・コメディ。 |
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■ スタッフ キャスト ■
監督:アルフレッド・ヒッチコック
製作総指揮:ハリー・E・エディントン
脚本:ノーマン・クラスナー
撮影:ハリー・ストラドリング
編集:ウィリアム・ハミルトン
音楽:ロイ・ウェッブ
出演
アン・クラウスハイマー・スミス:キャロル・ロンバード
デヴィッド・スミス:ロバート・モンゴメリー
ジェファーソン”ジェフ”カスター:ジーン・レイモンド
チャック・ベンソン:ジャック・カーソン
アシュレイ・カスター:フィリップ・メリヴェイル
カスター夫人:ルシル・ワトソン
ガーティー:ベティ・カンプソン
グロリア:パトリシア・ファー
ハリー・ディーヴァー:チャールズ・ホルトン
クラウスハイマー夫人:エセル・デイル
アメリカ 映画
配給 RKO
1941年製作 94分
公開
北米:1941年1月31日
日本:1989年2月18日
製作費 $743,000
北米興行収入 $1,400,000
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
ニューヨーク。
結婚3年目のデヴィッド・スミス(ロバート・モンゴメリー)とアン(キャロル・ロンバード)夫妻は、喧嘩ばかりするものの二人の愛は変わらなかった。
ある朝アンは仲直りしたデヴィッドに、もう一度結婚するとしたら自分とはしないと言われてショックを受ける。
仮の話だと言って愛を伝えた弁護士のデヴィッドは、仕事場の事務所に向かう。
同級生であり同僚のジェファーソン”ジェフ”カスター(ジーン・レイモンド)にアンとの喧嘩のことでからかわれそうになったデヴィッドは、ハリー・ディーヴァー(チャールズ・ホルトン)の訪問を受ける。
アイダホ州の郡の役人であるディーヴァーは、デヴィッドとアンの結婚が無効であることを伝える。 書類が完璧ではないということだけで、結婚届の再提出が必用だということだった。 結婚届の費用2ドルを返却されたデヴィッドは、アンの写真を見たディーヴァーから、彼女が妹とよく遊んでいた知人だと言われる。 ディーヴァーは、アンによろしく伝えてほしいと言い残してその場を去る。 デヴィッドは、アンが自分の妻でないことを想像し、夕方6時半に”ミス・アン・クラウスハイマー”と会うことを予定表に書き込む。 アンに電話をしたデヴィッドは、結婚前の思い出の店”ママ・ルーシー”で食事をすることを伝える。 役目を終えたディーヴァーは、スミス夫妻のアパートの近くを通りがかったためタクシーを止めて、アンに会いに行く。 母親(エセル・デイル)と過ごしていたアンは、訪れたディーヴァーを歓迎して再会を喜ぶ。 ディーヴァーは仕事でこの街に来たことを伝え、デヴィッドのオフィスで話したことをアンに語る。 結婚の再手続きをするだけのことだと言うディーヴァーだったが、アンの母親は驚く。 デヴィッドが処理すると言って母親を落ち着かせたアンは、彼と思い出の店で食事をする予定もあるので、心配いらないことを伝える。 ディーヴァーと共に帰ろうとした母親は、それでも不安に思い、経過を知らせるようにと言ってその場を去る。 もう一度プロポーズされるだろうと考えたアンは嬉しくなり、結婚する前のスーツを着てデヴィッドと共に思い出の店”ママ・ルーシー”に向かう。 店主も変わり昔と全く違う店構えに驚いた二人は、外にテーブルをセットしてもらい席に着く。 一応、食事をしたデヴィッドは帰ると言い出し、雰囲気を楽しみたいアンは、彼に仕事場で起きたことを聞こうとする。 デヴィッドはディーヴァーのことについては話さず、店主が母親から電話が入っていることをアンに知らせる。 電話に出たアンは、例の話はまだされていないことを母に伝え、何かあったらその場に向かうと言って電話を切る。 席に戻ったアンは、話があると言いながら自分に”素晴らしい”としか口にしないデヴィッドに呆れてしまう。 アンが帰る気になったことで安心したデヴィッドは、笑顔でそれに応える。 帰宅したデヴィッドはシャンパンを用意し、新調したパジャマを着てアンの元に向かう。 憤慨したアンはデヴィッドにシャンパンを投げつけ、なぜ結婚が無効である話をしないのかを問い詰める。 後で話すつもりだったと言うデヴィッドの言葉に納得しないアンは、彼を追い出してしまう。 会員制クラブに向かったデヴィッドはその場のサウナで、一度会ったことがあるチャック・ベンソン(ジャック・カーソン)に声をかけられる。 妻と喧嘩をしてこの場にいると言うチャックに同じ境遇だと見抜かれたデヴィッドは、無視していれば必ず迎えに来ると助言される。 とりあえずアパートに戻ってみたデヴィッドは、使用人に追い払われてしまう。 ロビーでアンを待っていたデヴィッドは、彼女が老紳士と共に帰ってきたため、憤慨して部屋に向かうがアンに相手にされない。 その夜はクラブに宿泊し、翌日、タクシーを拾ったアンと話をするためそれに乗りこんだデヴィッドは、 結婚していないので他人だと言うアンは、デヴィッドの話を聞こうともせず、彼は生活費を与えないことを伝える。 それを問題にしないアンは、タクシーを降りて職場のデパートに向かう。 アンを捜したデヴィッドは売り場で騒動を起こし、マネージャーに彼女が妻だと伝える。 既婚者は雇えないと言う会社の方針を確かめるため、社長に会ったデヴィッドは、彼が昨晩のアンの相手だったために驚いてしまう。 デヴィッドは妻だと、アンは未婚だと言い張り、騒ぎは収まらないまま、二人は現れた警備員につまみ出されてしまう。 その場で言い合う二人の周りには人だかりができ、警官が割って入っても収まらない。 デヴィッドは、再びクラブで夜を過ごすことになり、ついに正会員になってしまう。 翌日デヴィッドは、自分達の関係を修復したいと考えるジェフから、アパートに寄ってほしいと頼まれる。 偶然を装い来るように言われたデヴィッドはそれを承知し、ジェフの好意に感謝する。 アパートに向かったデヴィッドは、アンがジェフを弁護士として雇ったことを知らされる。 いろいろ調べた結果、デヴィッドは結婚が正式なものでないことが分かったとジェフに言われる。 慣習法的に言って夫婦だと言い返すデヴィッドだったが、その考えからすると、アンは財産を受け取る権利があり、また他の男性と結婚できるともジェフに言われる。 憤慨したデヴィッドは、ジェフがアンを食事に誘ったため、彼女に結婚を申し込む。 アンはジェフの食事の誘いを受け、デヴィッドはこれで全て終わりだと言って入り口に向かう。 デヴィッドはドアのチェーンを取り外して持ち去り、建物を出てジェフに嫌みを言って別れる。 アパートに戻ったデヴィッドは、エレベーターボーイに協力してもらい部屋に入ろうとするが、アンにそれを阻止される。 クラブに戻りチャックに愚痴をこぼしたデヴィッドは、翌日、彼と共に女性に会うことになり、場所はアンとジェフが食事をする”フロリダ・クラブ”にする。 フロリダ・クラブ。 品のないガーティー(ベティ・カンプソン)とグロリア(パトリシア・ファー)を紹介されたデヴィッドは、アンとジェフが席に着いたことを確認する。 アンが自分に気づいたため、デヴィッドは横に座っている魅力的な女性が相手だと思い込ませる。 動揺したアンは、デヴィッドの相手が誰なのをか気にしながらジェフと踊る。 隣の女性と連れの男性に不審に思われたデヴィッドは、自分で顔を殴り鼻血を出して帰ると言い出すが、ガーティーに手当てされてしまい恥をかく。 その場を出て不機嫌なまま、これから何をしたいかをジェフに聞かれたアンは、夜通し遊びまわると言って遊園地に向かう。 楽しんだ二人だったが、遊具が故障して高所で止まってしまい、雨になっても下りることができず、ジェフは風邪をひきそうになる。 ようやく下りることができた二人は、独身のジェフの家に向かい、彼は着替えて再び出かけようとする。 アンは、風邪をひきそうなジェフを気遣いグラスに酒を注ぐが、彼はアルコールが飲めなかった。 くしゃみをするジェフに薬だと言って酒を勧めたアンは、彼がそれを一気に飲んだため、もう一杯グラスに注ぐ。 グラスを一気に空けたジェフは、朦朧としながら帰ると言うアンを見送る。 翌日、アパートの前でアンが外出するのを待っていたデヴィッドは、タクシーに乗った彼女を追う。 アンが法律事務所の前で降りたため、自分に会いに来たと思ったデヴィッドはオフィスに向かう。 ところがアンは、その場に来ていたジェフの両親(フィリップ・メリヴェイル/ルシル・ワトソン)に会うのが目的だった。 焦るデヴィッドはジェフのオフィスに向かい、仕事の話がある振りをしてアンの様子を窺う。 ジェフの両親に挨拶したデヴィッドは、息子のパートナーだと言ってアンを紹介される。 アンと知り合いだと言うデヴィッドに親しみを感じるカスター夫妻は、彼女とジェフの新婚旅行についてなどを話し始める。 デヴィッドは話に割って入り、アンについて知人以上の関係のように詳しく語り、カスター夫妻を混乱させる。 アンとは3年間寝食を共にしたという話まで聞いたカスター氏は、ジェフに話があると言って妻を伴い席を外す。 ジェフは、アンがどういう女性であるのか両親から問い詰められる。 アンは、善良なジェフと両親を不幸にすると言ってデヴィッドを痛烈に批判する。 その後、アンとジェフは両親と共にスキー場で休暇を過ごすことになり山小屋に向かう。 スキーを楽しもうとしたアンとジェフは、その場にデヴィッドが現れたために驚く。 しかし、デヴィッドは倒れてしまい、アンとジェフは彼を小屋の中に運びベッドに寝かす。 酔ったデヴィッドを介抱するアンは、休暇旅行を楽しみにしていたことをうわ言で言う彼を気の毒に思ってしまう。 しかし、それはデヴィッドの策略で、彼は自分を案ずる二人の同情を誘う。 眠ったデヴィッドの髭を剃ってあげようとするアンは、いつもやっていることだとジェフに伝える。 部屋に戻ったジェフは、デヴィッドとの3年間の結婚生活の意味をアンに伝え、自分との生活はやめた方がよいのではないかと語る。 幸せにする自信はあるが、その気持ちがデヴィッドにはかなわないと言うジェフは、自分との結婚を諦めるようアンに伝える。 アンがデヴィッドなしでは生きられないことを悟ったジェフは、陰で二人を支えることを約束する。 今一度デヴィッドの様子を見に行ったアンは、彼を起こさないよう窓越しに部屋を覗く。 ところが、デヴィッドが平然とリンゴを食べていたため、アンは彼の企みを知り復讐しようとする。 アンはデヴィッドを罵倒し、自分を愛しているためジェフを受け入れられないと言う彼の言葉を否定し、ジェフと結婚することを伝える。 投げやりになったデヴィッドは、好きなようにすればいいとアンに言い放つ。 ジェフの元に戻ったアンは、結婚する意思を確かめる。 喜んでするが結論を急ぎすぎるとアンに忠告するジェフは、気分を変えるために食事に行くことを提案する。 アンは、デヴィッドがニューヨークに戻ろうとすることを知り動揺する。 食事を済ませたアンは、デヴィッドの帰る時間が気になり、芝居をしてソリを山小屋に急がせる。 デヴィッドの不謹慎な考えと行動を受け入れられないアンだったが、最後には傷つけてしまったと言って彼のことを心配する。 自分を嫌うように仕向けることがデヴィッドにとって最善だと考えたアンは、山小屋に戻り、彼に聞こえるようにジェフといちゃつく独り芝居をする。 壁の向こうから聞こえるその様子に嫉妬したデヴィッドは、アンの部屋に向かい、扱いは心得ていると言って彼女を乱暴に扱う。 アンはジェフを呼ぶが、デヴィッドを叩きのめそうとしないためジェフを批判する。 その場に現れたカスター夫妻は騒ぎを見て驚き、ジェフは、結婚は絶対に許さないと父親に言われる。 アンは、ジェフもデヴィッドも嫌いだと言って部屋を出る。 苦笑いするデヴィッドに、まだまだ序の口だと言われたジェフは、両親と共に山小屋を去る。 スキーを履きその場から出て行こうとするアンを押し倒したデヴィッドは、いつか殺してやると彼女に言われながら、その場に泊まる準備をする。 尚も騒ぐアンだったが、観念してデヴィッドに愛を伝える。 デビッドはアンにキスして、彼女はようやく大人しくなる。
...全てを見る(結末あり)
デヴィッドは、チャックの横に座っていた魅力的な女性に心を奪われるが、相手は彼女ではなかった。
★ヒッチコック登場場面
上映から約42分アパートのビルから出てきたロバート・モンゴメリーと友人で同僚役のジーン・レイモンドが去った後、入り口前を通り過ぎる男性がアルフレッド・ヒッチコック。
うっかりしていると見逃してしまう。
*(簡略ストー リー)
ニューヨーク。
結婚3年目のデヴィッド・スミスとアン夫妻は、喧嘩ばかりするものの二人の愛は変わらなかった。
ある日、弁護士のデヴィッドは老役人ディーヴァーの訪問を受け、自分とアンの結婚が手続き上のミスで無効だと知らされる。
再び新婚気分を味わう良いチャンスだと考えたデヴィッドは、アンにそれを伝えないまま、結婚前の思い出の店で彼女と食事をすることを考える。
デヴィッドから言われる前にそれを知ってしまったアンは、もう一度プロポーズされるかと思い期待する。
ところが、デヴィッドが食事をしても何も話さないため、アンは憤慨してその件を追及し、彼をアパートから追い出してしまう。
困惑するデヴィッドを尻目に、”独身”となったアンは、彼の親友で同僚でもあるジェフとの親密な関係を夫に見せつける・・・。
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アルフレッド・ヒッチコックの渡米後初期の作品で、純然たるコメディ作品。
恐怖やサスペンス色は皆無の作品なのだが、主人公夫妻の凄まじい”戦い”が繰り広げられる。
映像的な斬新さや独特のヒッチコック・タッチは見られないが、典型的なスクリューボール・コメディとしての面白さは凝縮された内容で、当時の雰囲気を感じさせる楽しい作品に仕上がっている。
日本では北米公開からなんと48年後の1989年だった。
本作公開の翌年の1942年、戦時国債キャンペーンのため移動中に33歳の若さで飛行機事故死したキャロル・ロンバードは、ビッグ・スター、クラーク・ゲイブル夫人として貴婦人的な印象しかない方が多いかもしれないが、本作のようなスクリューボール・コメディの代表的な女優として大活躍した。
アメリカ人としては非常に小柄な彼女だが、その美貌と共に男性を寄せ付けないような威圧感もあり、女性を超越した雰囲気のある女優だった。
日本では娘のエリザベス・モンゴメリー(奥さまは魔女/サマンサ役)の方が有名だと言うのがやや悲しい、ヒロインの夫をコミカルに演ずる名優ロバート・モンゴメリー、彼の同級生でもあり同僚役ジーン・レイモンド、その両親フィリップ・メリヴェイルとルシル・ワトソン、夫が会員制クラブで知り合う男性ジャック・カーソン、彼が誘う女性ベティ・カンプソン、パトリシア・ファー、主人公に結婚の無効を知らせる役人チャールズ・ホルトン、主人公の母エセル・デイルなどが共演している。