怪しげな美術商が幻の名画を巡る陰謀に巻き込まれながら巻き起こす騒動を描く、監督デヴィッド・コープ、製作、主演ジョニー・デップ、グウィネス・パルトロー、ユアン・マクレガー、ポール・ベタニー、オリヴィア・マン他共演のコメディ。 |
・コメディ
■ スタッフ キャスト ■
監督:デヴィッド・コープ
製作
アンドリュー・ラザー
ジョニー・デップ
クリスティ・デムブロウスキー
パトリック・マコーミック
製作総指揮:ジジ・プリッツカー
原作:キリル・ボンフィリオリ”Mortdecai”(Don’t Point that Thing at Me)
脚本:エリック・アロンソン
撮影:フロリアン・ホーフマイスター
編集
ジル・セイヴィット
デレク・アンブロージ
音楽
マーク・ロンソン
ジェフ・ザネリ
出演
チャーリー・モルデカイ:ジョニー・デップ
ジョアンナ・モルデカイ:グウィネス・パルトロー
アラステア・マートランド警部補:ユアン・マクレガー
ジョック・ストラップ:ポール・ベタニー
ジョージナ・クランプ:オリヴィア・マン
エミル・ストラーゴ:ジョニー・パスボルスキー
グレアム・アーチャー卿:マイケル・カルキン
ロマン・ロマノフ:ウルリク・トムセン
モーリス:ガイ・バーネット
ミルトン・クランプ:ジェフ・ゴールドブラム
スピノザ:ポール・ホワイトハウス
アッシャーボロードン公爵:マイケル・バーン
競売人:ニコラス・ファーレル
アメリカ 映画
配給 ライオンズゲート
2015年製作 107分
公開
北米:2015年1月23日
日本:2015年2月6日
製作費 $60,000,000
北米興行収入 $7,696,130
世界 $47,275,700
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
香港。
怪しげな美術商のチャーリー・モルデカイ(ジョニー・デップ)は、ギャングのファンとの取引で詐欺がばれてしまい脅される。
その場にいたモルデカイの忠実な従者ジョック・ストラップ(ポール・ベタニー)が、襲い掛かてきたファンの手下を叩きのめし、主人と共にその場を去る。
ロンドン。
実は破産状態だったモルデカイは、愛妻ジョアンナ(グウィネス・パルトロー)の元に戻り、屋敷の美術品を手放すことを考える。
モルデカイのちょび髭が気に入らないジョアンナは、それを剃ろうとしない彼の考えに納得しない。
財政危機を指摘されたモルデカイは、ジョアンナから、絵を売るためにオークションに参加すると言われる。 オックスフォード。 しかし、ストラーゴは何者かに殴られて気を失い、絵は奪われる。 現場の地元警察を追い払った”MI5”の捜査官アラステア・マートランド警部補(ユアン・マクレガー)は、部下のモーリス(ガイ・バーネット)と共に捜査を開始する。 オックスフォード大学の同窓生であるモルデカイを訪ねたマートランドは、3か月前にスペインの美術館が修復を依頼したゴヤの絵が盗まれたことを伝える。 原理主義者であり、シリアで訓練を受け、セネガルで戦闘に参加した、世界各地のテロに関与したストラーゴが絵を狙っているらしいということを、マートランドはモルデカイに話す。 ストラーゴが入国したことは国家の危機だと話すマートランドは、彼より先に絵を捜し出すことをモルデカイに依頼する。 モルデカイの弱みを握っているマートランドは強要し、経費と10%の報酬を払うことで手を打つ。 帰ろうとしたマートランドは、学生時代から惹かれているジョアンナとモルデカイの夫婦仲に亀裂が入っていることを確認しながら、ゴヤの件を頼み屋敷を去る。 その頃、手に入れた絵を奪われたストラーゴは、モルデカイの監視を始める。 その夜、ジョアンナに相手にされないモルデカイは、無数の女と関係を持つジョックに呆れながらも羨ましく思う。 翌日、ゴヤ専門の美術商グレアム・アーチャー卿(マイケル・カルキン)に会ったモルデカイは、彼に探りを入れる。 盗まれたゴヤの絵が闇市場にあると考えたグレアム卿は、モルデカイを牽制してそれを手に入れようとする。 ジョアンナに呼び出されたマートランドは、自分とモルデカイが何を企んでいるのかを訊かれる。 修復士んのブロンウェンが事件に巻き込まれて殺されたと考えるジョアンナから、盗まれたゴヤの絵は高値がつくと言われたマートランドは、自分からは何も話せないことを彼女に伝える。 愛車の”ロールス・ロイス”(シルヴァークラウド)をアメリカの大富豪ミルトン・クランプ(ジェフ・ゴールドブラム)に売ろうとしたモルデカイは、自動車修理工のスピノザ(ポール・ホワイトハウス)の工場に向かうようジョックに指示していた。 修理費などを支払わないためにスピノザから嫌味を言われたモルデカイは、スピノザが何者か(ストラーゴ)に射殺されたために驚く。 反撃したモルデカイはジョックを撃ってしまい、車で逃げるよう彼から指示される。 久しぶりに運転したモルデカイはバックしてしまい、車の後ろにいたジョックに激突する。 無事だったジョックから裏から逃げるようにと言われたモルデカイだったが、ストラーゴに捕まってしまう。 絵を渡すようにと言われて脅されたモルデカイは、ジョックがストラーゴを車で撥ねた隙に走って逃げる。 襲い掛かて来たストラーゴを乗せて走るジョックは、衝突してボンネットにしがみついたモルデカイに驚く。 モルデカイを車に乗せたジョックは、ストラーゴを振り落として事故を起こす。 そこにマートランドが現れたため、ストラーゴはその場から逃げ去る。 自分が絵を守っていると思い込むストラーゴに襲われたことを話すモルデカイは、盗まれた絵には何かが隠されていることをマートランドに伝える。 オックスフォード、ブラックフライアーズ・ホール。 ジョアンナには、この件をランチの際に話したかもしれないとマートランドから言われたモルデカイは、それを気にしながら、ある写真を見て閃き図書館に向かう。 モルデカイは、消えたゴヤの絵である”ウェリントン侯爵夫人”をブロンウェンが発見したと考える。 絵は1943年にナチスの手により奪われ、スイスの地下銀行に眠っているということになっていた。 数百億ドルの現金がある銀行の口座番号が、その絵の裏に書かれているため、ストラーゴはそれを奪おうとしていたのだった。 トイレに行ったモルデカイは、何者かに眠らされてプライベートジェットに乗せられ、それに気づいたジョックは彼を追い機内に潜む。 ブロンウェンと関係していたアッシャーボロードン公爵(マイケル・バーン)の屋敷を訪れたジョアンナは、第二次大戦中に彼が、ゲーリング逮捕時の現場で絵を見たことを知る。 侯爵からトイレに誘われたジョアンナは、彼がいかがわしいことを考えていると思い、それを拒む。 目覚めたモルデカイは、そこがモスクワであることに気づき、現れたロシアン・マフィアのボスで、グレアム卿の顧客ロマン・ロマノフ(ウルリク・トムセン)から、ゴヤの絵のことを訊かれる。 拷問されそうになったモルデカイは、外にジョックがいることに気づき、ロマノフの手下ウラジミールと共に窓から飛び降りる。 ウラジミールをクッションにして無事だったモルデカイは、ジョックと共にサイドカーで逃走して大使館に向かう。 モルデカイがモスクワ大使公邸で保護され帰国することをモーリスから知らされたマートランドは、ジョアンナからの電話を受けて、その件を伝える。 翌日、会うことになったジョアンナは、1945年6月のある陸軍部隊の名簿を持参してほしいとマートランドに伝える。 帰国したモルデカイを空港に迎えに行ったマートランドは、ジョアンナと二人で会うために、邪魔なモルデカイをクランプの元に向かわせようとする。 マートランドから、絵を探るようにと言われたモルデカイは、アメリカ行きの便に乗せられる。 ロサンゼルス。 クランプにロールス・ロイスを届け、あるものを手に入れると伝えたモルデカイは、彼女と共にマートランドがいることに気づき、裏切られたことを知る。 その後、ジョックと共にクランプの屋敷に向かったモルデカイは、淫乱娘のジョージナ(オリヴィア・マン)に迎えられ、さっそく迫られる。 そこに現れたクランプは、ロールス・ロイスのルーフの内張りを剥がし、隠されていた”ウェリントン侯爵夫人”を取り出す。 自分が運び屋だったと知ったモルデカイは、修復士のブロンウェンから絵が出たと聞いて、スピノザに連絡して車に隠したとクランプから知らされる。 絵の裏を見たモルデカイは、口座番号が書かれていないことを確認する。 クランプから、夜に開かれるパーティーに出席するようにと言われたモルデカイは、ジョックと共に絵を奪う方法を考える。 モルデカイとジョックは、パーティーの最中に書斎に忍び込み、絵を奪うことを決める。 パーティーは始まり、その場に現れたストラーゴは、手を組んでいたジョージナに、モルデカイの気を引くようにと指示して、食べ物に薬を振りかける。 ジョージナに誘われて踊ったモルデカイは、ジョアンナが現れたために焦る。 梯子を運ぶジョックに気づいたモルデカイはその場に向かい、窓から書斎に侵入するものの、クランプが殺されていることに気づく。 部屋に忍び込み絵を奪ったストラーゴに、口座番号はなかったと伝えたモルデカイだったが、透明インクで書いてあると言われる。 ジョックがストラーゴに襲い掛かろうとするが、ジョアンナを連れて現れたジョージナに銃を向けられる。 ジョアンナから、ジョージナとストラーゴがグルだと言われたモルデカイは驚く。 そこにマートランドが現れ、ストラーゴは逃亡する。 ジョージナが絵を奪ってその場から逃れ、ストラーゴの車に乗り走り去る。 モルデカイとジョアンナ、そしてジョックは、マートランドが運転するロールス・ロイスでストラーゴとジョージナを追う。 モーテルに逃げ込んだストラーゴは、絵の口座番号を確認しようとするが、マートランドらが押し入る。 マートランドが投げたライターの火が溶剤に引火し、部屋は爆発する。 ストラーゴとジョージナは逃亡し、モルデカイは警察の取り調べを受ける。 それを終えたモルデカイは、絵が偽物だったことをジョアンナから知らされ、絵はバニーという男が持っているということだった。 ブロンウェンは絵を見つけたのではなく、贋作を描いたと言われらモルデカイは驚く。 絵の話を聞いたクランプはそれをスピノザに伝え、ジョージナからの情報で絵を盗んだストラーゴを待ち伏せたスピノザが、それを奪ったのだった。 ジョアンナは、アッシャーボロードン公爵にトイレに誘われたことを思い出し、いかがわしい行為が目的ではなく、彼が絵を見せたかったのだと気づき、モルデカイと共に屋敷に向かう。 侯爵が亡くなったことを知った二人は、屋敷内のトイレに向かい、”ウェリントン侯爵夫人”がその場に飾ってあることを確認する。 誰に渡しても自分達の立場が悪くなると判断したモルデカイは、ゴヤをシェリダンの絵に見せかけてオークションに出すことを考える。 その後、モルデカイとジョアンナは、グレアム卿に絵を見せて、興味を抱く彼を罠にはめる。 絵は焼いたと確信していたマートランドは、モルデカイが市場で絵を売ろうとしていることをモーリスから知らされる。 ロマノフやストラーゴ、ファンらもそれを知り、オークション会場に向かう。 絵をすり替えようとしたモルデカイはロマノフの手下ウラジミールらに捕まるが、ジョックに助けられる。 絵を倉庫に運んだモルデカイは、ストラーゴに襲われるものの、ジョアンナが電気を切った隙に絵をすり替える。 マートランドらも現れ、会場ではモルデカイの出展した絵の競売が始まる。 ジョックがファンの手下に襲われているのを知ったモルデカイだったが、助けている暇はなかった。 会場に現れたストラーゴはジョアンナの横に座り、彼女を脅して絵を落札するよう指示する。 ジョックを見捨てられないモルデカイは彼を助けて会場に向かい、絵に1000万ポンドの値をつけ、その後、絵の値段は急上昇して3000万ポンドでグレアム卿が落札する。 諸経費と800万ポンドの税金滞納などでわずか2642ポンドしか受け取れなかったモルデカイは、マートランドから、絵は政府が差し押さえたと言われる。 情報を探り夫を守るために気を持たせたとマートランドに伝えたジョアンナは、モルデカイと共にその場を去る。 その後、ロールス・ロイスも戻り安堵するモルデカイは、ジョアナから、偽物をつかまされたロマノフが、グレアム卿をどうするか心配だと言われる。 責任を取らされたグレアム卿は、ロマノフから拷問を受ける。 一緒にバスタブに入り、モルデカイの髭を剃り落そうとしたジョアンナだったが、彼の愛を知りそれをやめる。 キスした二人だったが、思わず吐き気をもよおしてしまう。
...全てを見る(結末あり)
絵画修復士ブロンウェンが、国際テロリストのエミル・ストラーゴ(ジョニー・パスボルスキー)に殺され、”フランシスコ・デ・ゴヤ”の名画を盗まれる。
モルデカイとマートランドは、修復士ブロンウェンの殺害現場を調べ、その場にジョアンナが現れる。
ストラーゴが搭乗していることに気づかないまま、ジョックとロールス・ロイスと共に到着したモルデカイは、ホテルにチェックインしてジョアンナに電話をする。
■ 解説 評価 感想 ■
*(簡略ストー リー)
ロンドン。
破産状態の美術商チャーリー・モルデカイは、オックスフォード大学の学友だった”MI5”の捜査官マートランド警部補から、盗まれたゴヤの絵を捜すことを依頼される。
破産を心配する妻ジョアンナに相手にされないモルデカイは、忠実な従者のジョックと共に絵の行方を追うのだが、それを盗もうとして失敗した国際テロリストのストラーゴに襲われる・・・。
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1972年に発表された、キリル・ボンフィリオリのスリラー小説”Mortdecai”シリーズの”Don’t Point that Thing at Me”を基に製作された作品。
「ミッション:インポッシブル」(1996)や「スパイダーマン」など多くの話題作の脚本で知られるデヴィッド・コープの監督作本で、魅力的なキャスティングなどが話題になった。
製作を兼ねる超大物ジョニー・デップの他、グウィネス・パルトロー、ユアン・マクレガー、ポール・ベタニー、オリヴィア・マンなどの出演だけで客を呼べるという雰囲気はあったが、残念ながら酷評されてしまった作品。
超大作「ローン・レンジャー」(2013)も失敗に終わり、ややスランプと言われたジョニー・デップの意欲作ではあったが、コメディとして、ティム・バートン作品のような独特の個性を出すこともできなかった彼は、妻役のグウィネス・パルトローと共にラジー賞にノミネートされてしまった。
古風なドタバタ喜劇風に仕上げるつもりだったのかと思えるような努力は窺えるが、デヴィッド・コープの演出に切れもない。
コメディではあるが、彼に脚本を担当してほしかったというのが正直なところだろうか。
主演のジョニー・デップは、こういう役は演じられるはずなのだが、何もかもがミスキャスト気味なのが残念だ。
主人公の妻を魅力的に演じてはいるグウィネス・パルトロー、彼女に心を寄せる事件を担当する”MI5”の捜査官のユアン・マクレガー、絶倫男である主人公の忠実な従者ポール・ベタニー、アメリカの大富豪(ジェフ・ゴールドブラム)の娘オリヴィア・マン、彼女と組み絵を追う国際テロリストのジョニー・パスボルスキー、美術商のマイケル・カルキン、その顧客でロシアン・マフィアのウルリク・トムセン、マートランド(ユアン・マクレガー)の部下ガイ・バーネット、事件に絡む自動車修理工のポール・ホワイトハウス、幻の名画を手に入れた公爵のマイケル・バーン、オークションの競売人ニコラス・ファーレルなどが共演している。