ベノ・ヴィグニーの戯曲”Amy Jolly”を基に製作された作品。 女好きのフランス外人部隊の一兵卒と妖艶なクラブ歌手との恋を描く、監督ジョセフ・フォン・スタンバーグ、主演ゲイリー・クーパー、マレーネ・ディートリッヒ、アドルフ・マンジュー共演のドラマ。 |
・マレーネ・ディートリッヒ / Marlene Dietrich / Pinterest
■ スタッフ キャスト ■
監督:ジョセフ・フォン・スタンバーグ
製作:ヘクター・ターンブル
原作:ベノ・ヴィグニー/戯曲”Amy Jolly”
脚本: ジュールス・ファースマン
撮影:リー・ガームス
美術:ハンス・ドライヤー
編集:サム・ウィンストン
音楽:カール・ハヨス
出演
トム・ブラウン:ゲイリー・クーパー
アミー・ジョリー:マレーネ・ディートリッヒ
ラ・ベシエール:アドルフ・マンジュー
セザール副官:ウルリッヒ・ハウプト
セザール夫人:イヴ・サザーン
アンナ・ドロレス:ジュリエット・コンプトン
軍曹:フランシス・マクドナルド
クィンノヴィエール大佐:アルバート・コンティ
アメリカ 映画
配給 パラマウント・ピクチャーズ
1930年製作 92分
公開
北米:1930年11月14日
日本:1931年2月
■ アカデミー賞 ■
第4回アカデミー賞
・ノミネート
監督
主演女優(マレーネ・ディートリッヒ)
撮影・美術賞
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
モロッコ。
フランス外人部隊の一兵卒、アメリカ人のトム・ブラウン(ゲイリー・クーパー)は、ある町に到着するなり、女達に色目を使う。
富豪のフランス人紳士ラ・ベシエール(アドルフ・マンジュー)は、モロッコに到着しようとする船上で、思いに耽る様子の女性アミー・ジョリー(マレーネ・ディートリッヒ)を見かける。
アミーに声をかけて名刺を渡したラ・ベシエールだったが、彼女はそれを破り捨ててしまう。
その夜、ナイトクラブに向かったベシエールは、外人部隊の副官で知人のセザール(ウルリッヒ・ハウプト)と、その妻(イヴ・サザーン)に挨拶する。 そこにトムが現れ、何食わぬ顔で愛人であるセザール夫人に手を振り、夫はそれに気づかないものの、ラ・ベシエールは二人の関係を知る。 そして、クラブの歌手となったアミーが登場し、トムは一目で彼女の魅力の虜になってしまう。 アミーは、ラ・ベシエールに再会して誘われるが、彼女はそれを断りトムの元に向かう。 トムは、眼中にないという雰囲気でアミーにあしらわれるが、彼女に部屋の鍵を渡される。 早速、アミーの部屋に向かったトムだったが、後を追ってきたセザール夫人に呼び止められる。 夫人の誘いを断ったトムはアミーの部屋で、彼女を自分のペースに巻き込めないことに戸惑いながら、普段は口にしない口説き文句を残して立ち去る。 しかし、アミーはトムを追い、二人は心を通わせて部屋に向かう。 それを見ていたセザール夫人は憤慨し、トムを殺そうとして男達を雇うが、二人の関係をセザールも気づいていた。 その後トムは、襲い掛かってきた男達を難なく叩きのめしてしまう。 しかし、トムは逮捕され、翌日、セザールの元に連れて行かれる。 ラ・ベシエールとアミーも呼び出したセザールは、名誉のために妻の名は伏せて欲しいとトムに頼む。 それを承知したトムだったが、軍法会議を免れる代わりに、セザールと共に、進軍する部隊に加わるよう命ぜられる。 その夜、トムの処遇をアミーに伝えたラ・ベシエールは、彼女に高価なブレスレットを贈り結婚を迫り、トムが部屋の外でそれを聞いてしまう。 ラ・ベシエールは、トムが部屋に入って来たためにその場を外し、彼は出撃することをアミーに伝え、ヨーロッパに向かう貨物船で逃亡する手もあると彼女に提案する。 アニーはそれに同意しステージに向かうものの、トムは、気が変わったと部屋の鏡に書き残しその場を去る。 翌朝、出撃するトムには女達が群がり、そこにアミーがラ・ベシエールに伴われて現れる。 アミーは、なぜ自分を待たなかったかをトムに尋ねるが、彼は素っ気無い態度で接し、部隊と共に出撃していく。 そんな兵士の後を追っていく女達を、アミーは興味深く見つめる。 モガドール(現エッセウィラ)からサハラ砂漠に入り、トムの部隊はセザールに率いられて進軍を続ける。 数週間後。 その頃、部隊は敵と遭遇し、セザールの命令でトムが斥候に出ることになる。 トムは攻撃を受けながら前進するが、同行したセザールが銃弾に倒れて命を落とす。 ラ・ベシエールと暮らしていたアミーは、豊かさに満足する生活を送っていた。 そんなアミーは、セザールの戦士とトムの帰還を知らされても驚かなかった。 しかし、夜会の最中、部隊帰還に気づいたアミーは、席を外してトムを捜してしまう。 負傷した可能性があるトムはアマルファに残り、帰還兵には含まれていないことを知ったアミーは動揺し、その間ラ・ベシエールは心穏やかでなかった。 ラ・ベシエールの元に戻ったアミーは、直ぐにアマルファに向かうことを彼に告げる。 それに付き添うことになったラ・ベシエールが、車を手配して現地に到着する。 アミーは、負傷したという嘘がバレたトムが、他の部隊に移されたことを知る。 酒場にいたトムを見つけたエミーは、ラ・ベシエールとの生活を選ばせようとする彼の気持ちを察しながらも、トムが自分のことを想っていることに気づく。 翌日、行軍の準備をするトムは、アミーとラ・ベシエールに紳士的に別れを告げる。 トムは笑顔を見せてアミーに別れを告げ、部隊と共に砂漠に向かう。 それを見送るアミーは心揺れ動き、ラ・ベシエールに別れを告げて、女達と共に裸足のまま部隊の後を追う。
...全てを見る(結末あり)
ラ・ベシエールは、トムのことを諦めきれずに塞ぎ込むアミーを誘い出す。
*(簡略ストー リー)
モロッコ入りしたフランス外人部隊の一兵卒で、アメリカ人のトム・ブラウンは、早速、女達に色目を使う。
同じく現地に着いた富豪のフランス人紳の士ラ・ベシエールは、謎めいた女性アミー・ジョリーに船上で会い心惹かれる。
そんなアミーは、クラブ歌手として男達を魅了し、トムも例外なく彼女の虜になってしまう。
トムは、アミーから密かに部屋の鍵を渡されて彼女の部屋に向かう。
しかし、トムの愛人のセザール夫人がそれに気づき怒りが収まらず、男達を雇い彼の殺害を命ずるものの、トムは難なく男達を叩きのめす。
トムと妻との関係に気づいた部隊副官セザールは、名誉のために妻の名を伏せるよう彼に頼む。
トムはそれに従うのだが、軍法会議の代わりに、セザールと共に前線に向かうことになる。
それをアミーに伝えたトムは、二人で逃亡することも考えるが、彼女がラ・ベシエールに見初められたことを知り、部隊に戻り出撃する。
その後ラ・ベシエールは、塞ぎ込むアミーに優しく語りかけ屋敷に迎えていた。
そんな時アミーは、トムの帰還の知らせを受けるのだが・・・。
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トーキー映画初期の名作であることは言うまでもなく、日本でも翌1931年に公開され、初めて日本語字幕が付けられた作品でもある。
1930年代初頭の時代背景を頭に入れながら観ると、その作風に驚嘆し正に傑作に値する作品と言える。
エキゾチックな雰囲気の中で登場する、周囲の女性達とは、異質の美を感じさせるマレーネ・ディートリッヒの魅力、その彼女が、自慢の脚線美を見せて男達を悩殺する姿など、ジョセフ・フォン・スタンバーグの、”女性の美”を追求して意識させる描写が印象的だ。
映画史上に残る、余りにも有名なラストシーンで、白い砂に、ハイヒールを脱ぎ捨てる素足のアップで、ヒロインの、主人公に対する愛の深さを伝える演出なども秀逸だ。
1992年、アメリカ議会図書館が、国立フィルム登録簿に登録した作品でもある。
第4回アカデミー賞では、監督、主演女優(マレーネ・ディートリッヒ)、撮影、美術賞にノミネートされた。
主演の若きゲイリー・クーパーは、ややぎこちない演技ではあるが、本作によって大スターの道を歩み始め、その後の彼の演じるヒーロー的なキャラクターと比べてみると興味深く、初々しい姿も実に新鮮だ。
そのゲイリー・クーパーがファーストクレジットではあるが、彼と同じ年には思えない、妖艶な魅力で、ドラマを支配するマレーネ・ディートリッヒの美しさは際立ち、初めてクラブのステージに立つシーンは圧巻だ。
主人公二人の関係を冷静に見守る、思慮深い富豪紳士アドルフ・マンジュー、主人公に妻を奪われる部隊副官役のウルリッヒ・ハウプト、その妻イヴ・サザーンなどが共演している。