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チョコレート Monster’s Ball (2001)

家族を失った男女が悲しみや問題を乗り越えて結ばれるまでを描く、製作リー・ダニエルズ、監督マーク・フォースター、主演ビリー・ボブ・ソーントンハル・ベリーヒース・レジャーピーター・ボイルショーン・コムズ他共演の恋愛ドラマ。

アカデミー賞 ■ ストーリー ■ 解説


ドラマ(ロマンス)


スタッフ キャスト
監督:マーク・フォースター
製作:リー・ダニエルズ
製作総指揮
マイケル・バーンズ
マイケル・パセオネック
マーク・アーマン
脚本
ミロ・アディカ
ウィル・ロコス
撮影:ロベルト・シェイファー
編集:マット・チーズ
音楽:アッシェ&スペンサー

出演
ハンク・グロトウスキ:ビリー・ボブ・ソーントン
レティシア・マスグローヴ:ハル・ベリー
ソニー・グロトウスキ:ヒース・レジャー
バック・グロトウスキ:ピーター・ボイル
タイレル・マスグローヴ:コロンジ・カルフーン
ローレンス・マスグローヴ:ショーン・コムズ
ライラス・クーパー:モス・デフ

アメリカ 映画
配給 Lionsgate Films
2001年製作 111分
公開
北米:2001年12月26日
日本:2002年7月20日
製作費 $4,000,000
北米興行収入 $31,273,920
世界 $44,909,490


アカデミー賞
第74回アカデミー賞

・受賞
主演女優賞(ハル・ベリー
・ノミネート
脚本賞


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー
ジョージア州。
妻に先立たれた刑務官のハンク・グロトウスキ(ビリー・ボブ・ソーントン)は、夜中に行きつけのレストランに向かい、いつものチョコレート・アイスクリームとコーヒーを注文する。

ウェイトレスのルシールと話したハンクは、同じ刑務官である不仲の息子ソニー(ヒース・レジャー)のことを訊かれ、多くを語らない。

妻を自殺で亡くした父バック(ピーター・ボイル)も警護官であり、ハンクは体調の悪い彼の世話をしていた。

黒人に偏見を持つバックは、隣人ライラス・クーパー(モス・デフ)の息子ウィリーとダリルが庭を通っていることをハンクに伝える。
...全てを見る(結末あり)

ショットガンを持って外に出たハンクは、戻って来たソニーの車にウィリーとダリルが近づいたために、追い払うよう指示する。

ソニーがそれに従わないために威嚇射撃してウィリーとダリルを追い払ったハンクは、自分に逆らうなとソニーに伝える。

翌日、刑務所に向かおうとしたハンクは、ライラスから子供に発砲したことを非難され、自分の土地に近づくなと伝える。

二人はソニーに呼ばれたと言うライラスは、話があるなら自分の家に来いとハンクに伝える。

とにかく近づくなと言われたライラスは、自分の指示にも従えとハンクに伝える。

殺人犯のローレンス・マスグローヴ(ショーン・コムズ)の処刑を控えるハンクは、ソニーらと共にその準備をする。

その夜、仲間達と共にバーに向かったハンクは、昼間のテストでミスをしたソニーに注意する。

イギリスでは、死刑執行の前に”モンスターズ・ボール”というパーティーを開くと言うハンクは、死刑囚のことは考えずに職務のことだけを考えろとソニーに伝える。

ローレンスの妻レティシア(ハル・ベリー)は、肥満体の息子のタイレル(コロンジ・カルフーン)を連れて州刑務所に向かう。

絵の才能があるローレンスは、描いたものや衣服を渡すと言って、もう会えないとタイレルに伝える。

レティシアに促されたタイレルは、自分の描いた絵が校内報の表紙になることをローレンスに伝える。

監獄で一人で座っている自分の絵だと言われたローレンスは、タイレルを誇りに思う。

故障しそうな車の話をしたレティシアは、家のことを訊かれ、家賃が払えないので追い出されそうだとローレンスに伝える。

レティシアと二人で話したローレンスは、看守から時間だと言われる。

タイレルに別れを告げたローレンスは、辛い思いをさせたことをレティシアに謝罪して監房に向かう。

その夜に執行される刑について同僚達と話し合ったハンクは、絵を描くと落ちつくローレンスに、道具を渡してあげるよう指示して祈りを捧げる。

所持品を看守に渡したローレンスを、ハンクとソニーが監房から移動させる。

テレビを見ていたタイレルは、レティシアが離れた隙にアイスクリームを食べる。

最後の食事が運ばれたローレンスは、監視するソニーの似顔絵を彼に渡し、気に入ってもらい感謝される。

動揺するローレンスを気遣うソニーを座らせたハンクは、ローレンスを落ち着かせる。

冷静になったローレンスは、食事に手をつけないままハンクの絵を描く。

タイレルが甘いものを食べたことに気づいたレティシアは憤慨し、彼を叱って殴る。

泣き出したタイレルをなだめるレティシアは、ローレンスからの電話を待つ。

準備が整い、ローレンスを処刑室に連れて行くソニーは、気分が悪くなり嘔吐する。

電気椅子に座らされたローレンスの刑は執行される。

ローレンスの最期を台無しにしたソニーを罵倒するハンクは、母親と同じだと言って彼に襲い掛かり、同僚に制止される。

怒りが収まらないハンクは、ソニーを罵ってその場を去る。

翌朝、ハンクに家から出て行けと言われたソニーは、銃を向けて父を居間に連れて行く。

バックがいる前でソファーに座ったソニーは、ハンクに自分を憎んでいるかを問う。

その通りだ、昔からずっと言われたソニーは、自分は愛していたとハンクに伝えて、胸を撃って自殺する。

ローレンスの所持品が届き、レティシアから父の描いた絵を渡されたタイレルは、それを部屋の壁に貼る。

翌日、車が故障して職場に遅れたレティシアは、解雇されてしまう。

ハンクとバックは、自宅の敷地内の墓地にソニーを埋葬する。

その夜、ハンクはソニーの部屋に鍵をかけ、ソファーを掃除して弾丸を見つけ、それを瓶に入れる。

ウエイトレスになったレティシアは、現れたハンクの注文を取り、チョコレート・アイスクリームとコーヒーをと言われる。

娼婦のヴェラに電話をしたハンクは、アイスクリームを食べ終わり、レティシアに勘定を払い店を出る。

ヴェラに会ったハンクだったが、愛し合う気になれなかった。

翌日、刑務所に向かいヴェレスコ所長に会ったハンクは、辞職することを伝える。

所長に引き留められたハンクだったが、考えは変わらなかった。

その夜、ハンクから刑務官を辞めたことを知らされたバックは、とても続けられないと言われるものの、愚かな考えであり、自分を見捨てた妻と同じだと伝える。

翌日、車の故障で街道に止まったレティシアは、タイレルと共に歩いて町に向かう。

あるガソリンスタンドを買うことを考えたハンクは、話を進める。

その夜、タイレルを連れて雨の中レストランから歩いて帰ろうとしたレティシアは、通りがかったハンクの車を呼び止める。

タイレルが車に轢かれて意識がないことを知ったハンクは、レティシアと共に彼を病院に運ぶ。

治療の甲斐もなくタイレルが亡くなったことを知ったレティシアは、取り乱して泣き崩れる。

ひき逃げ事件の通報を受け駆け付けた警官に事情を話したハンクは、タイレルが亡くなったことを知る。

車の座席にあったバッグをレティシアに渡したハンクは、彼女を家に送ってほしいと警官に頼まれる。

立ち退き要求が貼られたレティシアの家に着いたハンクは、彼女にお悔やみを言ってその場を去る。

翌日、ライラスに連れられたウィリーとダリルから、大好きだったソニーの死を残念に思うと言われたハンクは、二人に感謝する。

街道を歩くレティシアに声をかけたハンクは、レストランに行くと伝えて彼女を乗せる。

レティシアにチップを渡して店を出たハンクは、ガソリンスタンドに向かい契約を済ませる。

帰宅したハンクは、ガソリンスタンドを買ったことをバックに話し、自分なら刑務官を続けると言われる。

決めたことなので反対しても遅いと伝えたハンクは、バックの言葉を気にしない。

レティシアの店に向かい、仕事を終えた彼女を送ったハンクは、ガソリンスタンドのことを話す。

助けてくれた理由を訊かれたハンクは、そうすべきだと思ったからだと言って、息子が死んだことを話す。

自分がいい父親でなかったことが分かったと言うハンクは、息子はいい子だったとレティシアに伝える。

だからあの夜、泣き叫ぶ自分を見て何とかしなければいけないと思ったと言うハンクを、レティシアは家に誘う。

話が弾むハンクは、夫が描いたと言う絵をレティシアから見せられ、それがローレンスが描いたものだと分かり動揺する。

ローレンスは処刑されたと話しタイレルの絵も見せたレティシアは、ハンクから、父親の才能を継いでいると言われる。

タイレルが自分を愛していたことや太っていたことなどを笑いながら話すレティシアは、息子を想い涙する。

二人は愛し合い、一夜を過ごしたハンクは、ローレンスの写真が飾られた洗面所で吐いてしまう。

帰宅したハンクは、バスルームで倒れて足を怪我したバックのことを気遣う。

ライラスの元に向かったハンクは、売るつもりのソニーの車の整備を頼み、ウィリーとダリルに洗車とワックスがけをしてもらいたいと伝える。

翌日、整備を終えた車をレティシアに譲ったハンクは、その夜も彼女と愛し合う。

質屋で指輪を売ったレティシアは、ハンクのためにテンガロンハットを買う。

それを持ってハンクの家に向かったレティシアは、その場にいたバックと話し、タバコが欲しいと言われる。

体に悪いと思いながらも、仕方なくタバコを渡したレティシアは、ハンクへの贈り物は預かると言うバックから、黒人であることを侮辱される。

憤慨して家から出てきたレティシアを戻ったハンクが引き留めるが、彼女は話を聞かずにその場を去る。

バックを施設に入れることにしたハンクは手続きを済ませ、父に別れを告げてその場を去る。

そのことをレティシアに伝えたハンクだったが、話をしてもらえない。

ハンクは、ガソリンスタンドにレティシアの名をつける。

立ち退きを迫られたレティシアは強引に追い出され、迎えに来てくれたハンクの家に向かう。

タイレルの荷物はソニーの部屋に置くと言うハンクと共に中に入ったレティシアは、ソニーの写真を見せてもらう。

ベッドに入った二人は求め合い、ハンクはアイスクリームを買いに出かける。

ソニーの部屋でタイレルの写真をを見て息子を想うレティシアは、ローレンスが描いたソニーとハンクの絵を見つける。

ハンクとソニーがローレンスの刑を執行した刑務官だと知ったレティシアは動揺し、怒りがこみあげて涙する。

帰宅したハンクを呆然として見つめるレティシアは、アイスクリームを外の階段で食べようと言われる。

庭の墓地を見つめアイスクリームを食べるレティシアは、ハンクから”きっとうまういく”と言われ、笑みを浮かべながら夜空を見つめる。


解説 評価 感想

*(簡略ストー リー)
ジョージア州。
妻に先立たれた刑務官のハンク・グロトウスキは、部下である息子ソニーと、黒人に偏見を持つ病気の父バックと暮らしていた。
ハンクとソニーらは、黒人の死刑囚ローレンスの刑を執行する。
その際に無様な姿を見せた不仲のソニーを家から追い出そうとしたハンクだったが、ソニーは拳銃自殺してしまう。
ローレンスの妻レティシアは、肥満体の息子タイレルと共に貧しい生活を続けて立ち退きを命ぜられ、職も失ってしまう。
ハンクの行きつけのレストランでウエイトレスとして働き始めたレティシアは、ある雨の夜、街道でタイレルが車に轢かれてしまったために取り乱す。
通りがかったハンクに助けてもらったレティシアだったが、病院に運ばれたタイレルは亡くなる。
絶望するレティシアは、気遣ってくれるハンクに感謝し、やがて二人は惹かれ合うようになるのだが・・・。
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製作のリー・ダニエルズと、ドイツ出身のマーク・フォースターの演出による作品で、二人にとっての出世作となった。

家族を失った男女が、悲しみや様々な問題を乗り越えて結ばれるまでを描く恋愛ドラマ。

アメリカ南部を舞台にした物語は、根強い人種偏見の中で生きる主人公が、様々な出来事や出会いにより、穏やかな人生を歩む道を見つけるまでが深く描かれている。

邦題は意味不明なのだが、原題の”Monster’s Ball”とは、死刑執行前に刑務官たちが行うパーティーであることが、ドラマの中で主人公により語られる。

第74回アカデミー賞では、アフリカ系アメリカ人としては初となるアカデミー主演女優賞をハル・ベリーが見事に受賞した。
*ノミネート 脚本賞

主演のビリー・ボブ・ソーントンは、父ほどの人種偏見は持たない人物として登場し、運命的に出会った自分が死刑を執行した囚人の妻との愛で将来に希望を持つ主人公を淡々と演じながら好演している。

ハル・ベリーは、最愛の夫と息子を失った悲しみを乗り越えながら、主人公と共に生きようとする複雑な心境の女性を見事に演じている。

父親に愛されずに自殺する主人公の息子ヒース・レジャー、主人公の父親である人種差別主義者のピーター・ボイル、ヒロインの肥満体の息子コロンジ・カルフーン、その父親で死刑囚のショーン・コムズ、黒人であるために主人公と当初は対立するものの、その後に親交を深める隣人モス・デフなどが共演している。


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