刑務所帰りの男と高級コールガールの関係を描く、監督、脚本ニール・ジョーダン、主演ボブ・ホスキンス、キャシー・タイソン、マイケル・ケイン、ロビー・コルトレーン他共演のミステリー・ドラマ。 |
■ スタッフ キャスト ■
監督:ニール・ジョーダン
製作
パトリック・カサヴェッティ
スティーブン・ウーリー
製作総指揮
ジョージ・ハリスン
デニス・オブライエン
脚本
ニール・ジョーダン
デヴィッド・リーランド
撮影:ロジャー・プラット
編集:レスリー・ウォーカー
音楽:マイケル・ケイメン
主題歌:ナット・キング・コール”モナ・リザ”
出演
ジョージ:ボブ・ホスキンス
シモーヌ:キャシー・タイソン
デニー・モートウェル:マイケル・ケイン
トーマス:ロビー・コルトレーン
アンダーソン:クラーク・ピータース
キャシー:ケイト・ハーディ
ジーニー:ゾーイ・ナゼンソン
メイ:サミ・デイヴィス
ジョージの妻:ポーリン・メルヴィル
ブライトンの小人:ケニー・ベイカー
ブライトンの小人:ジャック・パーヴィス
イギリス 映画
配給 Island Pictures
1986年製作 104分
公開
イギリス:1986年5月
北米:1986年6月13日
日本:1987年3月21日
製作費 £2,000,000
北米興行収入 $5,794,180
■ アカデミー賞 ■
第59回アカデミー賞
・ノミネート
主演男優賞(ボブ・ホスキンス)
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
ロンドン。
出所した中年男ジョージ(ボブ・ホスキンス)は、娘のジーニー(ゾーイ・ナゼンソン)に会いに行くものの、元妻(ポーリン・メルヴィル)に追い払らわれる。
その様子を見ていた近所の住人に八つ当たりして揉めたジョージは、現れた友人トーマス(ロビー・コルトレーン)になだめられる。
推理小説マニアのトーマスから刑務所に送ってもらった本のことなどを話したジョージは落ち着く。
トーマスが預っていてくれた車”ジャガー”(Mk2)に乗って出かけたジョージは、ウサギを買ってデニー・モートウェル(マイケル・ケイン)の元に向かう。
時代が変わったと言われ、それをトーマスに止められたジョージだったが、モートウェルの身代わりとなり7年も刑務所暮らしをしたのだから問題ないと答える。
モートウェルは不在だったが、運転手の仕事を与えられたジョージはポケベルを持たされる。 呼び出されたホテルで高級コールガールのシモーヌ(キャシー・タイソン)と会ったジョージは、彼女を車に乗せ客がいる場所を回る。 その日の仕事を終えたシモーヌをアパートに送ったジョージは、服を買うようにと言われて現金を渡される。 翌日、その服装をシモーヌに批判されたことで憤慨したジョージは、仕事を辞めると言って車を止める。 シモーヌを車から降ろしたジョージは、クビにしろと言って彼女を置き去りにする。 しかしジョージは、その場をうろつくシモーヌに声をかけて謝罪し車に乗せる。 その語シモーヌは、昨晩と同じように娼婦街の”キングス・クロス”に向かう。 車を止めたジョージは、客が必ずリピーターとなるとシモーヌから言われ、自信ありげに話す彼女の言葉に聞き入る。 翌日、シモーヌに呼び出されたジョージは、服装を整えるべきだと言われてスーツを買い与えられる。 シモーヌとホテルに向いロビーで待っていたジョージは、モートウェルを見かけて彼に話しかける。 迷惑そうなモートウェルは、仕事中なので電話をすると言ってジョージを追い払う。 シモーヌと共に再びキングス・クロスに向かったジョージは、娘ジーニーと同じ年頃の娼婦達に驚く。 ポン引きに因縁をつけられたジョージは、憤慨して相手を痛めつけて車で走り去る。 シモーヌに毎日キングス・クロスに行く目的を聞いたジョージは、彼女の部屋で話をする。 かつて自分もあの場にいたと言うシモーヌは、暴力的なヒモのアンダーソン(クラーク・ピータース)の存在をジョージに知らせる。 運よくあの場を抜け出せたシモーヌは、友人のキャシー(ケイト・ハーディ)を捜そうとしていたことをジョージに伝えて協力を求める。 危険地帯なので近づけないシモーヌの頼みに、ジョージは考えておくと答える。 翌日、ジーニーに会ったジョージは妻と別れた理由を聞かれて、自分が悪い男だったとしか答えられない。 その後、キャシーを捜し始めたジョージは歓楽街に向い、モートウェルの部下から情報を仕入れる。 ”キャシー”だと言われ、客として顔を殴られている少女(サミ・デイヴィス)に会ったジョージだったが、人違いだったことをシモーヌに伝える。 モートウェルに会ったジョージは、シモーヌから客と何をしているかを聞き出し、それを教えてほしいと言われる。 学校の前でジーニーを車に乗せたジョージは、自分と会いたがる娘の気持ちを知り嬉しく思う。 昼間のキングス・クロスに向かったジョージは、昨晩の”キャシー”がその場に立っているのを見かける。 車に近寄る”キャシー”はジョージに気づき、下手だった言われたため殴られたことを彼に伝えて非難する。 誤解だと言って車から降りて”キャシー”を捕まえたジョージは、彼女が殴られて追い出されたことを知り落ち着かせる。 カフェで話をしたジョージは、彼女が”キャシー”ではなくメイという名前だと知る。 カウンターにメイのアイスクリームを取りに行ったジョージだったが、彼女は店を出て男の車に乗り去ってしまう。 その後、客のアラブ人と何をしているのかとシモーヌに尋ねたジョージは、お茶を飲んでいると言われて戸惑う。 それをモートウェルに言わなければならないと話すジョージは、アラブ人と会ってお茶を飲むシモーヌの写真を使用人から渡される。 アダルト・ビデオ・ショップに荷物を届けたジョージは、シモーヌが出演するビデをのパッケージを見て驚きそれを持ち帰る。 モートウェルに会ったジョージは、シモーヌがお茶を飲んでいただけだと伝える。 それを信じないモートウェルは写真を見せられるものの冗談だと思い、尚もお茶だと言い張るジョージに、証拠写真を盗み撮りするよう強要する。 シモーヌは、モートウェルが女を使い客の弱みを握ろうとしていることをジョージに伝える。 部屋でビデオを見せたジョージは、驚くシモーヌから相手の男がアンダーソンだと知らされる。 アンダーソンから酷い仕打ちを受けていたシモーヌは取り乱すが、その気持ちを理解しようとするジョージに、少女らが金で弄ばれている現実を伝える。 片を付けることを考えたジョージは、トーマスに銃を調達させる。 アンダーソンを尾行したジョージは、サウナに向かった彼がモートウェルに会い、ブロンドの子を用意するよう指示されていることを知る。 その後もアンダーソンを付けたジョージは、教会でキャシーと思われる少女に声をかける。 ジョージは、少女がアンダーソンと共に車に乗るのを確認する。 ホテルで客といるシモーヌの部屋に押入ったジョージは、キャシーを見つけたことを彼女に知らせる。 シモーヌのアパートの部屋にエレベーターで向かったジョージは、待ち構えていたアンダーソンに襲われて腕を切られる。 アンダーソンの姿が見えなくなったため部屋に向い、シモーヌに傷の手当てをしてもらったジョージは、彼女を連れてトーマスの家に向かう。 翌朝、銃を手に入れたジョージは、モートウェルの屋敷に侵入する。 隠し撮りのマジックミラーの前で老人に迫られているキャシーを確認したジョージは、隙を見て彼女を隠し部屋に引き入れる。 老人が部屋を出たのを見てキャシーの洋服を持ち出したジョージは、シモーヌに頼まれたことを彼女に伝えてその場から抜け出す。 モートウェルは、走り去るジョージの車を目撃する。 カフェに寄ったジョージは、キャシーが麻薬を打たれていることを知らずに彼女と話す。 そこにトーマスに連れられたシモーヌが現れ、ジョージは車で待つ。 ブライトン。 ひきつけを起こすキャシーのために薬を買ってくるようシモーヌに頼まれたジョージは、彼女に拳銃を渡して部屋を出る。 薬を買って戻ったジョージは、シモーヌとキャシーが愛し合う関係だと気づき呆然とする。 キャシーを眠らせたシモーヌは、ジョージを桟橋の散歩に誘う。 よく散歩すると言うシモーヌに、どんな男とするのかと言って突然おどけ始めたジョージは、普通の男と女の関係ができないのかを問う。 それができないと言うシモーヌに、自分がレズに利用されていたと嘆くジョージだったが、そこにアンダーソンらが現れる。 アンダーソンらを叩きのめしたジョージは、シモーヌとホテルの部屋に戻るが、そこにはモートウェルが待ち構えていた。 モートウェルに殴られたシモーヌは、拳銃を手にして発砲する。 足を撃たれたモートウェルは更に銃撃され、シモーヌは現れたアンダーソンらも射殺する。 自分にも銃を向けるシモーヌに撃てと言うジョージは、彼女を殴って銃を奪い、その行為を責める。 モートウェルらと自分が同じなのかとシモーヌを非難するジョージは、涙しながらその場を去る。 その後、トーマスの仕事を手伝うジョージは、自分の考えた物語を話して聞かせる。 そこに現れたジーニーと共に語り合うジョージは、トーマスを誘い三人で散歩に出かける。
...全てを見る(結末あり)
ジョージは、シモーヌと共にキャシーをホテルに連れて行く。
*(簡略ストー リー)
ロンドン。
出所した中年男ジョージは、ボスのモートウェルの身代わりで7年も刑務所に入っていたため彼の元に向かう。
モートウェルは不在だったが、運転手の仕事を与えられたジョージは、高級コールガールのシモーヌを迎えに行く。
不躾で品が悪くだらしない服装などをシモーヌに非難されたジョージは、スーツを買い与えられ何とか仕事をこなす。
そんなジョージは、シモーヌが毎日行きたがる娼婦街で、友人の少女キャシーを捜していることを知り協力を求められる。
その後、危険地帯の歓楽街に向いキャシーを捜し始めたジョージだったが・・・。
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中年男の悲哀を裏社会の泥臭さと共に描く物語であり、人の道を外れた者達の心の中を切実に描く、ニール・ジョーダンの繊細な人間描写が光るヒューマン・ドラマとしても楽しめる作品。
不器用で品もなく荒っぽい男だが、人間味あふれる主人公を好演するボブ・ホスキンスの演技は世界中で絶賛された。
彼は、第59回アカデミー賞では主演男優賞にノミネートされ、カンヌ国際映画祭男優賞、英国アカデミー賞主演男優賞、ゴールデングローブ賞主演男優賞、ニューヨーク映画批評家協会賞主演男優賞などを受賞した。
タイトルとなっているナット・キング・コールの名曲”モナ・リザ”が効果的に使われ、裏社会の陰鬱さが多く描かれる中で、それとは対照的な彼の他の曲と共に心地よさを感じさせてくれる。
また、刑務所帰りの父親を避けることなく慕う娘との関係を映し出す、人情味豊かな描写も素晴らしい。
主人公が関係する高級コールガールのキャシー・タイソン、主人公のボス、マイケル・ケイン、主人公の友人ロビー・コルトレーン、ヒロインの元ヒモのクラーク・ピータース、ヒロインが救おうとする友人ケイト・ハーディ、主人公の娘ゾーイ・ナゼンソン、売春婦の少女サミ・デイヴィス、主人公の元妻ポーリン・メルヴィル、ブライトンの桟橋の小人役ケニー・ベイカーとジャック・パーヴィスなどが共演している。