ウィルソン・コリンズ原作”Red Dust”の映画化で、同じくクラーク・ゲイブル主演で1932年に製作された「紅塵」のリメイク。 アフリカ奥地を舞台に野生動物ハンターと2人の女性との関係を描く、監督ジョン・フォード、主演クラーク・ゲイブル、エヴァ・ガードナー、グレイス・ケリー他共演のドラマ。 |
・ジョン・フォード / John Ford 作品一覧
・クラーク・ゲーブル / Clark Gable / Pinterest
・エヴァ・ガードナー / Ava Gardner / Pinterest
■ スタッフ キャスト ■
監督:ジョン・フォード
製作:サム・ジンバリスト
原作:ウィルソン・コリンズ”Red Dust”
脚本:ジョン・リー・メイヒン
撮影
ロバート・サーティース
フレディ・A・ヤング
編集:フランク・クラーク
音楽:ロバート・バーンズ
出演
クラーク・ゲイブル:ビクター・マーズウェル
エヴァ・ガードナー:エロイズ・Y”ハニー・ベア”ケリー
グレイス・ケリー:リンダ・ノードリー
ドナルド・シンデン:ドナルド・ノードリー
エリック・ポールマン:レオン・ボルチャック
フィリップ・ステイントン:ジョン・ブラウン・プライス
デニス・オデア:ジョセフ神父
ローレンス・ネイスミス:スキッパー
アメリカ 映画
配給 MGM
1953年製作 115分
公開
北米:1953年10月9日
日本:1954年4月5日
■ アカデミー賞 ■
第26回アカデミー賞
・ノミネート
主演女優(エヴァ・ガードナー)
助演女優(グレイス・ケリー)
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
ハンターのヴィクター・マーズウェル(クラーク・ゲイブル)は、ジョン・ブラウン・プライス(フィリップ・ステイントン)とレオン・ボルチャック(エリック・ポールマン)と共に、アフリカ奥地で野生動物を捕獲して売さばいていた。
ある日、彼らの元にエロイズ・Y”ハニー・ベア”ケリー(エヴァ・ガードナー)というニューヨークのダンサーが訪ねてくる。
エロイズは、インドのマハラジャに会いに来たのだが、彼は1週間前にこの地を去っていた。
仕方なくエロイズは、引き返す船便が来るまで1週間の間、その場で待つことになる。
その後、傲慢だが逞しく男らしいマーズウェルに、エロイズは心惹かれていく。 エロイズを厄介払いしようとしていたマーズウェルだったが、彼女の魅力が気になり始める。 しかしマーズウェルは、生きる世界の違うエロイズに深入りするの気はなく、彼女を到着する船に乗せようとする。 エロイズと入れ替えで、イギリスの人類学者であるドナルド・ノードリー(ドナルド・シンデン)と妻リンダ(グレイス・ケリー)が到着することになる。 マーズウェルは、エロイズに心残りもあるまま別れを告げ、彼女を船に乗せる。 ノードリー夫妻は、ゴリラの生態を観察するために来たのだが、ゴリラとの接触の難しさ危険を知るマーズウェルは、協力を断る。 その直後、ノードリーは接種した注射の副作用で発熱し、リンダは動揺して取り乱してしまう。 マーズウェルの指示通りにリンダはノードリーを介抱し、彼は回復に向かう。 リンダは、取り乱してしまったことをマーズウェルに謝罪し、適切な処置をしてくれたことを感謝する。 そこに、船が難破して立ち往生となったてめ、エロイズが戻ってくるのだが、マーズウェルは、彼女に育ちが良くひ弱そうなリンダを、気遣うよう伝える。 翌日、簡単な会話を交わした不躾なエロイズと、温室育ちのリンダは予想通り反りが合わなかった。 リンダは一人で森に出かけてしまい、動物捕獲用の罠に落ち、猛獣に襲われそうになる。 それを知ったマーズウェルは、リンダを助けに行き、猛獣を射殺して彼女を助ける。 勇敢なマーズウェルに、魅力を感じたリンダは彼に惹かれ、二人の心は通い合う。 エロイズは、二人の様子を目撃してしまい、リンダに強い嫉妬心を抱く。 その夜、ノードリー夫妻の歓迎会の席で、エロイズは昼間の行動を暗に皮肉っ、てマーズウェルを牽制する。 その後マーズウェルは、サーカスから子供のゴリラ2頭の捕獲を頼まれ、その生息地にノードリー夫妻を誘う。 ノードリーはそれを喜び、エロイズも帰国ついでに同行することになる。 エロイズには、マーズウェルがリンダと行動を共にしたいとしか見えず、彼女はますます苛立つ。 出発準備を前にブラウンは、仲のよい夫妻とトラブルにならないように、マーズウェルに釘を刺す。 ツアーは始まり、一行はアフリカの大自然を身近に感じながら目的地を目指す。 初日の野営地で、リンダはエロイズの態度が気になることをマーズウェルに伝える。 マーズウェルは、自分達が親しげにするのをエロイズに見られたことをリンダに伝える。 それを忘れようとするリンダだったが、マーズウェルは彼女が夫を愛していないことを察していて、自分の率直な気持ちを伝える。 リンダは戸惑ってしまうが、その後、夫から、マーズウェルとエロイズがただの仲ではないと言われる。 翌日、ジョセフ神父(デニス・オデア)の教会で歓迎された一行は、マーズウェルが、地元部族民との”儀式” を楽しみ、その勇気を示す。 信心深いエロイズは教会で祈りを捧げ、ジョセフ神父に懺悔を願い出て、心を静めてからリンダと話をする。 エロイズはリンダに、マーズウェルのような粗野な男に走らず、夫を大切にするようにと友人として忠告するが、彼女は聞く耳を持たなかった。 その後、像の密猟者とのトラブルで行政官が襲われていることがわかり、エロイズが帰国できなくなる。 ブラウンは、エロイズから、第二次大戦で亡くした夫の話を聞き、それを忘れようとした彼女が、マーズウェルに出会い心が揺れ動いていることを知る。 日が経つにつれ、マーズウェルとリンダの気持ちは高まり、彼女は夫を拒んでしまう。 やがて、一行はゴリラの生息地に近づき、エロイズを残してマーズウェルらは現場に向かう。 マーズウェルはリンダに対する気持ちを抑えきれず、夫に真実を伝えるよう彼女に助言する。 エロイズは、そんなマーズウェルが、本気で恋をしているという心内を知り、寂しさを隠しきれない。 翌日、リンダを残してきたノードリーは、マーズウェルに彼女への愛を語る。 それを聞いたマーズウェルは、リンダから手を引くことを決心するが、ボルチャックがノードリーに二人の関係をほのめかしてしまう。 ノードリーに真実を話せず、自分の不甲斐なさを情けなく思うマーズウェルは荒れるが、それをエロイズが慰める。 酔ったマーズウェルが、エロイズと酒を酌み交わしていると、そこにリンダが現れる。 マーズウェルは、わざとエロイズと親密なところをリンダに見せつける。 今までのことは冗談だとまでマーズウェルに言われたリンダは取り乱し、彼に向かって銃を発砲し傷を負わせる。 駆けつけたノードリーに、機転をきかせたエロイズが、マーズウェルに罪をなすりつけてリンダをかばう。 翌日、ノードリーとリンダ、そしてエロイズは引き返そうとする。 ゴリラを捕獲するために残るマーズウェルは、自分に相応しいと言ってエロイズに結婚を迫る。 しかし、エロイズは意地を張って帰りのボートに乗ってしまい、仕方なくマーズウェルは引き返そうとする。 マーズウェルは、船上のブラウンにエロイズを宜しく頼むと声をかける。 それを聞いたエロイズはマーズウェルの愛を知り、ボートを降りて彼の元に向かう。
...全てを見る(結末あり)
*(簡略ストー リー)
アフリカ奥地。
野生動物のハンター、ビクター・マーズウェルの元に、ニューヨークのダンサーであるエロイズが現れる。
エロイズは手違いで帰ることになるが、彼女は粗野だが男らしいマーズウェルに心惹かれる。
マーズウェルもエロイズが気になる存在となるが、現れたイギリスの人類学者のノードリーと妻のリンダを迎え、若くて美しい彼女の魅力に惹かれる。
それに嫉妬していたエロイズは、帰国することになるのだが、船が立ち往生して引き返してくる。
その後、マーズウェルとリンダは急速に接近して親密になる。
二人を気にしながら、エロイズは、ゴリラの生息地へのツアーに同行することになるのだが・・・。
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ジョン・フォードの演出と豪華スター競演が話題の作品で、アフリカを舞台にした冒険映画の魅力と、男女の微妙な三角関係が絡み合う見応えある作品に仕上がっている。
エヴァ・ガードナーの、気は強いものの傷つきやすくもある女性像は、フォード作品ではよく登場するアイルランド気質丸出しの気性の荒い女性とまではいかないものの、その描写などを含めて随所で彼らしいタッチが出ている。
また、フォード一家の面々というほどではないが、主人公の仲間達などの描き方もいかにもフォードらしい。
雄大な大自然などを見事に映し出している、ロバート・サーティースの撮影も注目だ。
第26回アカデミー賞では、両ヒロインが主演女優(エヴァ・ガードナー)、助演女優賞(グレイス・ケリー)にノミネートされた。
原題”モガンボ”とはスワヒリ語で愛の言葉を表す。
驚きなのは、本作は音楽がないことだ。
全編、アフリカの部族音楽や歌で通しているという珍しい作品。
主演のクラーク・ゲイブルは、親子ほど違う二人の美女を相手に、悠然と構ながらも心動く男くさい男性を貫禄十分に演じている。
50代になったばかりにしては、渋過ぎる感じもするが・・・。
エヴァ・ガードナーとのシーンで、彼の魅力が倍増する感じを受ける。
ドラマの中で彼女が、あなたには合わない男とグレイス・ケリーに助言するところなどでは、最もだと頷きたくなってしまうほどだ。
アカデミー主演賞候補になったエヴァ・ガードナーは、妖艶な美しさに加え、主人公に嫉妬しながら、人生経験が豊富で逞しさもある女性を熱演している。
相手がクラーク・ゲイブルだけに、彼女ほどの女優でないと釣合わないのも事実だ。
一方、美しいが、上品過ぎて浮いてしまっているように見えないでもないグレイス・ケリーだが、育ちのいい初心な女性を好演している。
揺れ動く女性の心を良く表現しているがエヴァ・ガードナーに比べて、彼女のアカデミー助演賞候補は、当時の人気が先行しているとも言える。
人類学者のドナルド・シンデン、同僚ハンターのエリック・ポールマン、フィリップ・ステイントン、神父デニス・オデアなどが共演している。