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モダン・タイムス Modern Times (1936)

不世出の天才喜劇王チャールズ・チャップリンが製作、監督、脚本、編集、音楽を担当し、資本主義社会及び進歩し続ける文明を風刺した、ポーレット・ゴダード共演の映画史上に残る傑作コメディ。

アカデミー賞 ■ ストーリー ■ 解説


コメディ


スタッフ キャスト ■
監督:チャールズ・チャップリン

製作:チャールズ・チャップリン
脚本:チャールズ・チャップリン
撮影
アイラ・H・モーガン

ロナルド・トゥセロー
編集
チャールズ・チャップリン

ウィラード・ニコ
音楽
チャールズ・チャップリン

アルフレッド・ニューマン

出演
工員:チャールズ・チャップリン

浮浪少女:ポーレット・ゴダード
カフェのオーナー:ヘンリー・バーグマン

技士:チェスター・コンクリン
製鉄会社社長:アラン・ガルシア
ビッグ・ビル:スタンレー・スタンフォード
強盗:ハンク・マン
強盗:ルイ・ナトー

アメリカ 映画
配給 ユナイテッド・アーティスツ

1936年製作 87分
公開
北米:1936年2月5日
日本:1938年2月9日
製作費 $1,500,000
北米興行収入 $163,250


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー ■
”エレクトロ製鉄”社長(アラン・ガルシア)は、その日も、稼働し始めた工場内を監視して指示を出す。

組立工程の工員(チャールズ・チャップリン)は、スパナでボルトを締める、同じ作業を毎日延々と続けていた。

その後、社長は、生産性向上とスピード化のために開発された、自動食事マシンのデモンストレーションを見せられる。
...全てを見る(結末あり)

昼休みとなり、工員は、そのマシンの実験台にされるが、機械の不調により大変な目に遭わされ、社長は、それを導入する気にのないことを伝える。

午後、作業工程は、社長の指示により更にスピードアップされ、工員は機械の中に巻き込まれてしまい、戻ってきても、ボルトを締める動作が止まらなくなってしまう。

全てがボルトに見えてしまう工員は、女性社員や工場の外の婦人を追い回す。

婦人がそれを警官に知らせたため、工員は工場に戻り、制御室で操作盤をいじり始め、部署に戻っても奇行を続けて作業を妨害する。

社長にまでオイルをかけて、警備員に取り押さえられた工員は、精神病院に入れられる。

一応回復した工員は、退院して放浪者に戻るが、トラックが道に落とした赤旗を拾ったために、コミュニストのデモを扇動したリーダーと間違われて、警察官に逮捕されてしまう。

港をうろつく浮浪少女(ポーレット・ゴダード)は、父親が失業中であり、幼い妹達のために盗みをして、必死に飢えをしのいでいた。

投獄されてしまった放浪者は、麻薬を隠し持っていた囚人が、塩の容器にそれを入れたことに気づかず、食事に塩をお振りかけて食べてしまう。

放浪者の挙動はおかしくなり、更には怖いもの知らずとなった彼は、脱獄しようとした囚人を叩きのめして所長に感謝される。

その頃、路上では失業者の騒動が起きて、少女の父親が死亡する。

法律により、子供達は施設に送られることになるが、少女は逃げ出してしまう。

監房で優雅な生活を送っていた放浪者は、脱獄の阻止により釈放されることになる。

放浪者は、居心地がよいために、その場に留まることを希望するが、推薦状を受け取り、就職できると所長に言われる。

造船所で働き始めた放浪者だったが、誤って建造中の船を沈めてしまい、刑務所に戻る覚悟を決める。

少女は独りでひもじい思いをしていたが、パン屋の車からパンを盗み逃げ去る。

そこに通りがかった放浪者に、少女はぶつかってしまい警察官に逮捕されそうになる。

放浪者が身代わりになり警官に連行されるが、目撃者が盗んだのは少女だと伝えたために、彼は解放される。

逮捕されて刑務所に戻りたい放浪者は、無銭飲食をしてわざと警官に逮捕される。

護送車に乗せられた放浪者は、捕まった少女と再会する。

少女は悲しくなり泣き出すが、その場から逃れようとして、事故を起こした車から放り出される。

放浪者は少女を逃がすが、彼女に誘われて一緒に逃走する。

二人は、幸せそうな夫婦の家の前で、自分達もそのような生活ができればいいと言ってそれを想像し、必ず家を手に入れると意気込む。

そんな時、街のデパートの夜警が怪我をして騒動になり、そこに通りがかった放浪者は少女に促されて、職を得るために支配人の元に向かい推薦状を見せる。

職を得て、閉店後の警備を任された放浪者は、少女を呼び寄せてカフェで食べ物を手に入れる。

その後、二人は4階のおもちゃ売り場でローラースケートを楽しみ、5階の寝具売り場で、放浪者は少女を豪華なベッドで眠らせる。

その頃、店内にビッグ・ビル(スタンレー・スタンフォード)ら強盗が押し入り、彼は、放浪者が工場の同僚だったことに気づく。

ビッグ・ビルは、放浪者に仲間(ハンク・マン、ルイ・ナトー)を紹介して、自分達が強盗ではなく、空腹なだけだと伝えて酒を酌み交わす。

翌朝、少女は目が覚めて店の外に出るが、放浪者は婦人服売り場で寝ていたところが見つかり、クビになり警察に連行される。

10日後。
放浪者は釈放され、彼を待っていた少女は家を見つけたことを伝える。

野原の掘っ建て小屋ではあったが、二人にとっては夢のような場所であった。

翌朝、少女が盗んできた食材で食事をしていた放浪者は、新聞記事で製粉所が再開されたことを知り、職を得るためにその場に急ぐ。

何とか工場に入り込んだ放浪者は、機械技士(チェスター・コンクリン)の助手となり、機械の整備を始める。

ドジばかりする放浪者のお蔭で、技士は機械に挟まれてしまい、その状態で昼食をとることになる。

昼休みが終わり、機械が動き出して技士はそこから出られるが、ストライキが起きて、放浪者は工場から追い出される。

入り口で、揉め事を起こした放浪者は、再び逮捕されてしまう。

1週間後。
街角で踊っていた少女は、カフェのオーナー(ヘンリー・バーグマン)に目をつけられ、ダンサーとなり認められるようになる。

さらに1週間後。
釈放された放浪者は、迎えに来てくれた少女が、職を得て身なりを整えていることを喜ぶ。

少女は、店のオーナーに放浪者を推薦し、彼は歌も歌えるウエイターとして、試しに雇ってもらえることになる。

その頃、少女は、収容施設から逃亡したということで、指名手配されていた。

何んとかウエイターをこなしていた放浪者だったが、騒動を起こす寸前で、オーナーから、自信のない歌を歌うことを命ぜられる。

少女は放浪者と歌の練習をして、歌詞を忘れそうな彼のカフスに、それを書いて励ます。

安心した放浪者は客の前に出て踊り始め、勢い余ってカフスが外れてしまう。

それに気づかないままで歌いだした放浪者は、カフスがないことに気づき焦ってしまうが、少女が、とにかう歌うようにと指示する。

仕方なく放浪者は、意味不明な歌詞で歌い始め、表情豊かな見事なパントマイムとパフォーマンスは大いに受ける。

放浪者は絶賛されて少女は喜び、オーナーも納得して彼に本採用を伝える。

しかし、踊り始めようとした少女は、捜査官に逮捕されそうになり、それを庇った放浪者と共に逃亡する。

夜明けとなり、放浪者は、努力も報われずに嘆く少女を励まし、二人は笑みを浮かべながら、当てもなく街道を歩むのだった。


解説 評価 感想 ■

*(簡略ストー リー)
製鉄工場の工員(チャップリン)は、単調な流れ作業を毎日し続け、精神的に不安定になり、作業妨害を始めたために解雇され、精神病院に入れられる。
回復した工員は放浪者となり、ひょんなことからコミュニストと間違われて逮捕され、刑務所に入れられてしまう。
誤って、隠されていた麻薬を口にしてしまった放浪者の挙動は過激になり、脱獄囚を叩きのめした結果、刑期を短縮されて釈放される。
所長に推薦状をもらった放浪者だったが、造船所の仕事で失敗し、街で、パンを盗んだ浮浪少女に出会う。
放浪者は無銭飲食で再び逮捕されるものの、捕まった少女と共に逃亡して親しくなる。
二人は意気投合し、いつか必ず家を持つという希望を抱きながら、放浪者は、デパートの警備員の職を得るのだが・・・。
__________

既に量産体制期を過ぎていたものの、チャールズ・チャップリンが製作、監督、脚本、編集、音楽を担当した「街の灯」(1931)以来の作品であり、彼の代表作の中の一作と言える。

1989年、アメリカ議会図書館が、国立フィルム登録簿に登録した作品でもある。

トーキー時代には入っていたが、頑なにそれを拒絶するチャップリンが、ついに肉声の歌を披露した歴史的な作品でもある。

しかし、その曲”ティティナ”の歌詞は何語でもないという、チャップリンのこだわりが徹底しているところも注目だ。

また、スタンダード・ナンバーとなり多くのアーチストによりカバーされた、”スマイル”の美しいメロディは秀逸である。

アメリカを追放状態だったチャップリンが、再び迎えられた第44回アカデミー賞授賞式(1972)で、彼がオスカーを受取る際に、会場の全員でこの曲が歌われたことはあまりにも有名なエピソードだ。

チャップリンの、全身、指先までに全ての思いが込められたパフォーマンスは、古さなど全く感じさせない、美しさを感じる、正に芸術と言える素晴らしさだ。

まだ40代半ばではあるが、既に伝説的な存在であったチャップリンの、当然ながら、全く手抜きのない、曲芸に耐える肉体的なタフさも感じる演技には、信じ難いほどだ。
*特に、有名なデパート内でのローラースケートの場面などは圧巻である。

当時としては破格の製作費150万ドルをかけただけあり、近代的マシンや、工場内の機械仕掛けのセットの素晴らしさなども印象に残る。

妻ではなく内縁だとする見方が多い、この年にはチャップリンと来日している浮浪少女役を演ずるポーレット・ゴダード、カフェのオーナー、ヘンリー・バーグマン、製粉工場の技士役チェスター・コンクリン、製鉄会社社長のアラン・ガルシア、その会社の同僚でデパートに押し入るスタンレー・スタンフォード、その仲間ハンク・マン、ルイ・ナトーなどが共演している。


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