1910~1920年代に水中レヴューのスターとして活躍したオーストラリアの女優アネット・ケラーマンの半生を描く、監督マーヴィン・ルロイ、主演エスター・ウィリアムズ、ヴィクター・マチュア、ウォルター・ピジョン、デヴィッド・ブライアン他共演のミュージカル・ドラマ。 |
■ スタッフ キャスト ■
監督:マーヴィン・ルロイ
製作:アーサー・ホーンブロウJr.
脚本:エヴェレット・フリーマン
撮影:ジョージ・J・フォルシー
編集:ジョン・マクスウィーニーJr.
音楽:アドルフ・ドイッチ
出演
アネット・ケラーマン:エスター・ウィリアムズ
ジェームズ・サリヴァン:ヴィクター・マチュア
フレデリック・ケラーマン:ウォルター・ピジョン
アルフレッド・ハーパー:デヴィッド・ブライアン
アンナ・パヴロワ:マリア・トールチーフ
アネット・ケラーマン(10歳):ドナ・コーコラン
ドク・クロノル:ジェシー・ホワイト
アルドリッチ:ハワード・フリーマン
映画監督:ウィリス・ボーシェイ
リヴィア・ビーチの警官:チャールズ・ワッツ
ガーヴェイ:ウィルトン・グラフ
アメリカ 映画
配給 MGM
1952年製作 115分
公開
北米:1952年12月4日
日本:1953年4月15日
製作費 $2,642,000
■ アカデミー賞 ■
第25回アカデミー賞
・ノミネート
撮影賞(カラー)
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
1900年、オーストラリア、シドニー。
音楽学院を経営するフレデリック・ケラーマン(ウォルター・ピジョン)の10歳の娘アネット(ドナ・コーコラン)は、小児マヒのため補強具をつけて歩行していた。
バレエを習う子供たちを羨ましそうに部屋の窓から眺めるアネットは、フレデリックから、音楽でも幸せになれると言われ励まされる。
その後、毎日姿を消すアネットを捜しにいたフレデリックは、彼女が水泳をしていたために驚き、補強具がなくても歩行できることを知る。
フレデリックの許可を得て水泳をするようになったアネットは、健常者と変わらぬ体になり、バレエも踊り、水泳大会で優勝する。
成長したアネット(エスター・ウィリアムズ)は、水泳の才能を開花させたてニューサウスウェールズ州の大会で優勝し、トロフィーを持ち帰る。 不況のために月謝が払えない生徒が増え、音楽院を閉鎖することにしたフレデリックは、そのことをアネットに話し、ロンドンの友人を頼り船で旅に出る決心をする。 航海の途中、フレデリックとアネットは、ボクシング・カンガルー”シドニー”が逃げて騒動を起こした興行師ジェームズ・サリヴァン(ヴィクター・マチュア)とドク・クロノル(ジェシー・ホワイト)に出会う。 美しいアネットが水泳で活躍していることを知っていたジェームズは、彼女は人を呼べると考える。 2日後の夜、デッキでアネットと話したジェームズは、彼女に惹かれていることを伝える。 自分をマネージャーにしてほしいと言うジェームズは、シドニーで2000人なら、ロンドンでショーをすれば5000人は集めることができるとアネットに伝える。 話を聞いていたフレデリックは、アネットは興行で稼ぐ気はなくバレエを学び、自分は音楽で生計を立てるとジェームズに伝えてその場を去る。 ロンドン。 父を励ますアネットは、トロフィーを売って生活費にする。 訪ねて来たジェームズとドクを歓迎したアネットは、テムズ川の遠泳をすれば話題になると言われ、数十キロ泳いで注目を集めてみせると言って二人を驚かせる。 パトニー・ピア。 そのことは新聞記事になり、それを知ったフレデリックはウエストミンスター橋に向かう。 橋では、アネットを一目見ようとする人々が集まり、フレデリックも彼女を見守る。 その後フレデリックはタワーブリッジに向かい、食事をとりながら泳ぐアネットに声援を送りながら、自分の娘だと言って人々に自慢する。 潮流が荒くなり、危険を感じたジェームズから中止するよう指示されたアネットは、諦めずに泳ぎ続ける。 グリニッジまで泳ぎ切ったアネットは、多くの人々に迎えられ、待ち構えていたフレデリックと抱き合う。 一躍有名人となったアネットは、報道陣から取材を受ける。 シドニーの興業が不振だと知ったジェームズは、何とかしようとする。 取材を止めさせたジェームズは、アネットを休ませる。 翌日、興行の依頼が殺到していることをジェームズから知らされたアネットとフレデリックは、水中ショーの考えがある彼から、ニューヨークのヒポドロームに出演することを提案される。 遠い上に旅費が払えないと言われたジェームズは、シドニーを売って、皆でニューヨークに向かうことをアネットとフレデリックに伝える。 ニューヨーク。 アネットにはハーパーが勧めるダンサーの仕事をするよう指示したジェームズは、別行動をとろうとする。 トロフィーを売ってボストンに向かい、ロンドンと同じように遠泳をして注目を集めると言うアネットは、ジェームズからリヴィア・ビーチで泳ぐことを提案される。 リヴィア・ビーチ。 泳ぎ始めようとしたアネットは、現れた警官(チャールズ・ワッツ)の警告を無視したために逮捕される。 釈放はされたものの、酷い仕打ちを受けたアネットは憤慨し、二度と泳がないと言い張る。 アネットを落ち着かせたジェームズは、女性の将来がかかっていると言って彼女を泳がせようとする。 フレデリックからも闘い抜くべきだと言われたアネットは記者会見を開き、今後もワンピースで泳ぎ闘い抜くことを伝える。 この件は法廷論争となり、アネットは下品な露出とは認めなかった。 アネットが考案した、足を隠し露出が腕と顔だけになった新しい水着の着用を認めた裁判長は、閉廷する。 その後、カーニバルで開催されるアネットの水中シューは評判となり、多くの人々が集まる。 そして、アネットとジェームズは愛し合うようになる。 飛行機とアネットのショーを合体させる企画を思いついたジェームズは、彼女との結婚を考える。 アネットが、アルドリッチ(ハワード・フリーマン)から依頼された講演旅行に出る考えを知ったジェームズは、賛成できず彼女と喧嘩になる。 冷静になった二人は謝罪し合い、アネットは、週500ドルの講演料なら、父の音楽学校の夢がかなえられるとジェームズに伝える。 納得しないジェームズは、ビーチでの逮捕も自分の演出だったことをアネットに知らせる。 騙されたアネットは憤慨し、苛立つジェームズと再び仲たがいしてしまう。 アルドリッチの講演の企画を延期することにしたアネットは、ヒポドロームのハーパーからの出演依頼の電報を受け取ったことをフレデリックから知らされる。 ジェームズを喜ばせようとしたアネットだったが、彼はフロリダに旅立った後だった。 ニューヨーク、ヒポドローム。 アンナ・パヴロワ(マリア・トールチーフ)のバレエをステージの脇で見終わったアネットは、彼女に話しかけて、憧れの存在だったことを伝える。 アネットがバレエを習っていたことを知ったパヴロワは、その経験がショーでの動きに活かされていると言いながら、彼女の成功を確信する。 ハーパーと正式に契約を交わしたアネットは、フレデリックが劇場オーケストラの指揮者として雇われたことを知り喜ぶ。 ジェームズのことが気になるアネットは、フレデリックから、彼が興行に失敗したことを知らされる。 何としてもジェームズを捜したいアネットは、フレデリックから、今は我慢する時であり、何かを成し遂げた時に彼は戻ると言われて納得する。 その後、アネットはスターとなるが、彼女のショーの演奏中に倒れたフレデリックは、そのまま息を引き取る。 フレデリックの訃報を知ったジェームズは、ドクと共に世話になった彼の死を悼む。 賞金5万ドルがかかった大陸横断飛行に、ジェームズは挑戦しようとする。 訪ねて来たドクからその件を知らされ、ジェームズが危険を承知で飛び立つ気だと言われたアネットは、彼の飛行を諦めさせようとする。 ショーを終えたアネットはモントーク・ポイント・ステート・パークに向かい、ドクと共に飛び立とうとするジェームズを引き留める。 ドクは飛ばずに車で追跡することを知ったアネットは、ジェームズの財産を没収する裁判所命令を渡す。 興業時代の200ドルの使途不明金(指輪の代金)のことをジェームズに追及したアネットは、ネックレスと指輪を渡され説得を諦める。 無事に飛び立ったジェームズだったが、その後、激しい嵐の中、行方不明になる。 ジェームズのことを気にしながら食事をしていたアネットは、ハーパーからプロポーズされ、発表された大陸横断飛行の経過報告を聞く。 事故を起こし負傷したジェームズに連絡しようとしたアネットは、彼が病院から退院したことを知るものの、行き先は分からなかった。 クリスマス。 その後、アネットとハーパーは結婚し、映画撮影後にオーストラリアへのハネムーンに出発することになる。 ハーパーとハリウッドに向かうアネットは、列車内で物売りをするジェームズとドクを見かける。 アネットとハーパーの個室と知らずに押し入ったジェームズとドクは、気まずい思いをしながら、二人の結婚を祝福してその場を去る。 連れていた演技をする犬のことで二人が車掌と揉めて、金に困っていることを知ったアネットは、様子を見に行く。 アネットは、賢い犬の芸を見せたジェームズが車掌を納得させたために、何もせずに個室に戻る。 ハリウッド。 ハーパーは落ちていた指輪に気づき、ジェームズからアネットに贈られたものだと気づく。 撮影は始まり、アネットは水槽に飛び込むが、ガラスが水圧に耐えられずヒビが入り、その後、割れてしまう。 大量の水と共に水槽から放り出されたアネットは、重傷を負う。 その事件を知ったジェームズは病院に駆けつけるものの、2週間通ってもアネットと面会できなかった。 現れたハーパーと共にアネットの病室に向かったジェームズは、主治医から、脊椎血腫により暫くは足が動かせない可能性が高いことを知る。 アネットに声をかけたジェームズは、売り込みに成功して映画の主役となる犬”リンチンチン”の話などをする。 幼い頃に小児マヒと闘い、その後も努力したことを話すジェームズから、ハーパーと一緒なら必ず立ち直れると言われたアネットは戸惑う。 現れたハーパーは、ジェームズの言う通りであり、必ず乗り換えられるとアネットに伝える。 生き方を変えるようジェームズに説教したハーパーは、アネットを幸福にできるのは君だと伝える。 アネットに別れを告げるハーパーは、回復したら契約が待っていると伝えて、ジェームズに指輪を渡してその場を去る。 ジェームズに指輪をはめてもらったアネットは、彼との愛を確かめる。
...全てを見る(結末あり)
友人は亡くなり、音楽学校が閉鎖されていることを知ったフレデリックは、所持金がわずかしかなくなる。
霧の中で泳ぎ始めたアネットはグリニッジを目指し、ジャームズとドクがボートで彼女を追う。
ヒポドロームの支配人アルフレッド・ハーパー(デヴィッド・ブライアン)に会ったジェームズとアネットは、水中バレエの企画を売り込むものの、彼女の知名度が低いことを指摘する彼に相手にされない。
女性は肌を隠すのが常識だったビーチに、ジェームズと共にワンピースの水着で現れたアネットは、人々の注目を集める。
巨大な水槽で、アネットの水中ショーが行われる。
アネット主演によるハリウッド映画”神の娘”の企画が入ったハーパーは、彼女にプロポーズの答えを求める。
撮影を始める監督(ウィリス・ボーシェイ)の指示を受けたハーパーは、アネットを呼びに行く。
*(簡略ストー リー)
1900年、オーストラリア、シドニー。
10歳のアネット・ケラーマンは、小児マヒのために歩行困難だった。
水泳で体力をつけたアネットは歩けるようになり、やがて水泳の才能も開花させる。
成長したアネットは、音楽教師の父フレデリックと共にロンドンに向かう。
航海中に出会った興行師ジェームズから、テムズ川の遠泳を提案されたアネットは、それを成功させて注目される存在になる。
その後、大水槽があるニューヨークのヒポドロームでの水中レヴューの企画をジェームズから提案されたアネットは、希望に燃えて渡米するのだが・・・。
__________
1910~1920年代に水中レヴューのスタートして活躍した、オーストラリアの女優アネット・ケラーマンの半生を描く、ショービジネスの派手さと共に、マーヴィン・ルロイの情緒豊かな演出が見どころの伝記ドラマ。
MGM作品であり、エスター・ウィリアムズの水中レヴューを最大の見せ場にしているために、ミュージカルに分類されている。
少女時代に身体的な問題を克服し、その意志の強さでスターとなったアネット・ケラーマンの生き様を描いた内容は、MGMのスター、エスター・ウィリアムズのための役柄と言っても過言ではなく、スケール感がある、美しい彼女のパフォーマンスを存分に楽しめる。
伝記映画ではあるが、脚色されている場面も多く、主人公のアネット・ケラーマンはヒポドロームの支配人と結婚する内容なのだが、実際は、1912年にマネージャーのジェームズ・サリヴァンと結婚し、彼女が亡くなる1975年まで結婚生活は続いた。
主人公がパトニー・ピアからグリニッジまで約20キロを泳ぐ、序盤のテムズ川の遠泳シーンがなかなか興味深く描かれている。
第25回アカデミー賞では、撮影賞(カラー)にノミネートされた。
主演のエスター・ウィリアムズは、その美しさと共に見事な水中レヴューを披露し、ファンを大いに楽しませてくれる。
経験の浅い興行師ではあるが、主人公を支え愛し合うようになるマネージャー役のヴィクター・マチュア、その相棒ジェシー・ホワイト、音楽教師である主人公の父親ウォルター・ピジョン、大劇場ヒポドロームの支配人で主人公と一旦は結婚するデヴィッド・ブライアン、バレエダンサー、アンナ・パヴロワのマリア・トールチーフ、10歳の主人公ドナ・コーコラン、主人公に講演を依頼するハワード・フリーマン、プロデューサーのウィルトン・グラフなどが共演している。