ギリシャ悲劇の最高傑作”オイディプス王”をモチーフにした、ウディ・アレン監督、脚本、主演による作品。 養子をとった男性が優秀なその子の母親を捜すことを考え悪戦苦闘する姿を描く、ヘレナ・ボナム=カーター、ミラ・ソルヴィノ、ジャック・ウォーデン、ピーター・ウェラー、F・マーリー・エイブラハム、クレア・ブルーム、オリンピア・デュカキス共演のロマンチック・コメディ。 |
■ スタッフ キャスト ■
監督:ウディ・アレン
製作総指揮
ジーン・ドゥーマニアン
J・E・ボーケア
製作:ロバート・グリーンハット
脚本:ウディ・アレン
撮影:カルロ・ディ・パルマ
編集:スーザン・E・モース
音楽:ディック・ハイマン
出演
レニー・ワインリブ:ウディ・アレン
アマンダ・スローン・ワインリブ:ヘレナ・ボナム=カーター
リンダ・アッシュ:ミラ・ソルヴィノ
ケヴィン:マイケル・ラパポート
ジェリー・ベンダー:ピーター・ウェラー
コロスのリーダー:F・マーリー・エイブラハム
テイレシアース:ジャック・ウォーデン
スローン夫人:クレア・ブルーム
カッサンドラ:ダニエラ・ファーランド
ジョカスタ:オリンピア・デュカキス
アメリカ 映画
配給 ミラマックス
1995年製作 95分
公開
北米:1995年10月27日
日本:1996年12月1日
製作費 $15,000,000
北米興行収入 $6,700,000
■ アカデミー賞 ■
第68回アカデミー賞
・受賞
助演女優賞(ミラ・ソルヴィノ)
・ノミネート
脚本賞
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
コロスのリーダー(F・マーリー・エイブラハム)は、”レニー・ワインリブ”に起きる、時を超えた悲劇を予測する。
ニューヨーク。
スポーツ・ライターのレニー(ウディ・アレン)と妻アマンダ(ヘレナ・ボナム=カーター)の間には子供がなかった。
アマンダは、反対するレニーの意見を聞き入れずに、生まれたばかりの男の子を養子にする。
ところが、レニーは男の子を引き取った途端に、その子にマックスという名前を付けて溺愛する。
マックスは、外見もよく優秀で性格もよい少年に成長する。
しかし、画廊に勤めるアマンダが、後援者であるジェリー・ベンダー(ピーター・ウェラー)の協力で、独立を希望していることで、レニーは二人の関係を気にする。 その後レニーは、マックスの遺伝子のことなどを考えて、父親は亡くなっているのだが、母親を捜してみたくなる。 レニーは、コロスのリーダーの制止も聞かず、マックスの母親捜しに執念を燃やし、ポルノ女優”リンダ・アッシュ”という女性にたどりつく。 女優では売れなかったリンダは、今では娼婦だということと電話番号も分かる。 悲劇の予言者カッサンドラ(ダニエラ・ファーランド)は、この件から手を引くことと、アマンダが、ベンダー家の隣の家を買うことを阻止するようにレニーに伝える。 リンダ(ミラ・ソルヴィノ)に連絡を入れたレニーは、彼女と会うことになる。 そして、リンダと対面したレニーは、その美しさと若さに驚いてしまう。 レニーは、魅力的なリンダが体を売り、未だにポルノ映画に出ようとすることに意見したため、彼女は憤慨しレニーを追い出してしまう。 しかし、レニーは益々リンダに興味を持ち、何度も電話をして変質者呼ばわりされながらも、彼女と食事をすることになる。 レニーは、マックスの優秀さを考えて、リンダの家族に才能ある者がいないかなど探りを入れる。 犯罪者ばかりの中で、叔父が数学の天才だったことと、子供が一人いることをリンダは認めるが、レニーには、親しくなったら話すと語る。 その後、レニーはリンダを競馬場に連れて行き、彼にとっては、バカげた人生を送っているとしか思えないことを伝えてながら楽しい時を過ごし、再会を約束して別れる。 レニーはあるパーティーで、アマンダが画廊を開くという話を、彼女の母(クレア・ブルーム)から聞き驚いてしまう。 再びリンダに会ったレニーは、彼女にまともな生活をさせようとする。 そんなリンダは、子供を養子に出し、それを後悔していることをレニーに話す。 コロスのリーダーとカッサンドラは、アマンダのことを気にかけずに、リンダの生活に立ち入り過ぎるレニーに警告する。 カッサンドラは、レニーにある男が近づき、脅されると付け加える。 翌日、レニーのオフィスに現れたリンダは、元締めに会って話をつけ、足を洗いたいことを彼に伝える。 リンダに頼まれたレニーは、仕方なく元締めに会い、彼女が足を洗いたい考えだということを伝える。 レニーは殺すと言われ脅されるが、コロスのリーダーに立ち向かうよう指示される。 怯えるレニーだったが、相手が”ニューヨーク・ニックス”のチケットを欲しがっていることを知り、それを渡す条件で、リンダを自由にすることを約束させる。 アマンダはベンダーに迫られるが、家族のことを考えるとそれを受け入れられない。 レニーがチケットを用意して、リンダは足を洗うことができたために彼に感謝し、一から出直しパートナーを探すことを伝える。 若手ボクサーのケヴィン(マイケル・ラパポート)に目をつけたレニーは、ボクシングを辞めてタマネギ農場に戻るという彼を、リンダに紹介しようとする。 ケヴィンにもそれを伝えたレニーは、二人を会わせる準備を始める。 同じ頃、ベンダーは再びアマンダを口説き、彼女の心は揺れ動く。 レニーは、ケヴィンにリンダを紹介してその場を去り、二人はギクシャクしながらも親交を深め、再会を約束する。 盲目の預言者テイレシアース(ジャック・ウォーデン)が、レニーの前に現れ、アマンダとベンダーの関係を知らせる。 帰宅したレニーは、アマンダにベンダーのことを尋ねるが、彼女は迷っていることを伝えて別居を提案する。 リンダの元に向かったレニーは、途中ケヴィンに出くわし、リンダの素性を知った彼は憤慨して、レニーを非難して立ち去る。 レニーは、ケヴィンに殴られたリンダを労わり、自分もアマンダに去られたことを彼女に伝え、二人は自然に求め合う。 アマンダはベンダーと会うものの、やはり迷ってしまう。 コロスのリーダーに、リンダとのことを聞かれたレニーだったが、彼は、アマンダが恋しくなったことを伝える。 そこにアマンダが現れ、レニーのいない人生は考えられないことを彼に伝え、二人は愛を確かめ合う。 その後リンダは、農場に戻ったケヴィンを訪ねて謝罪するが、それは受け入れられなかった。 失意のリンダだったが、故障で着陸したヘリコプターのパイロットの青年と出会い、理想の男性を見つけて結婚する。 レニーとリンダは愛し合ったことで、彼女は妊娠して女の子を出産する。 リンダはそれをレニーには伝えずに、その後、二人は会わなかった。 ある日、レニーとリンダは、デパートのおもちゃ売り場で偶然出くわして、二人は、相手の子が自分の子供だと知らずに別れる。 コロスは、人生が悲劇ばかりではないことを語り、レニーとアマンダ、そして、リンダやケヴィンンにも幸せが訪れたことを伝える。
...全てを見る(結末あり)
*(簡略ストー リー)
コロスのリーダーは、スポーツ・ライター、レニー・ワインリブの悲劇を予測する・・・。
ニューヨーク。
レニーは、妻アマンダが自分の反対を押し切り養子をとったことに驚くが、一転、マックスと名付けた男の子を溺愛する。
優秀で性格もよいマックスの遺伝子が気になり、レニーは子供の母親を捜してみたくなる。
何んとか実母リンダを見つけたレニーは、彼女がポルノ女優で娼婦であると知る。
リンダと対面したレニーは、若くて美しい彼女に驚いてしまい、益々、興味を持つ。
その後レニーは、リンダにまともな生活をさせようとするのだが、画廊に勤めるアマンダが独立することで、その支援者ベンダーと彼女の関係も気になる。
悲劇が現実になりつつある状況で、コロスのリーダーらは、レニーの行動を修正しようとするのだが・・・。
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養子の実母捜しから、様々な困難やトラブルに巻き込まれていく主人公の姿を滑稽に描きながら、コロスやギリシャ神話の預言者などを登場させて、主人公の軌道修正をさせようとするファンタジックな展開の奇抜なアイデアなど、ウディ・アレンの変幻自在な演出も光る、実に楽しい作品。
第68回アカデミー賞では、各映画賞で絶賛されたミラ・ソルヴィノが、見事に助演女優賞を受賞した。
・ノミネート
脚本賞
*授賞式で、強面のポール・ソルヴィノが、娘の受賞に感激して興奮し涙した姿を思い出す。
主演のウディ・アレンは、行動を修正しようとするコロスや預言者にちょっかいをだされながら、問題を解決していく姿が実に可笑しいのだが、全く釣り合わないヒロインとのツー・ショットが、妙に微笑ましい描写なども心和む。
ハーヴァード大学を優秀な成績で卒業して、フランス語や中国語も堪能なミラ・ソルヴィノは、愛と美と性を司るギリシア神話の女神の”アフロディーテ”を、現代人として象徴的に演じ、その見事なセリフ回しなどで才女ぶりが窺える。
仕事での独立と夫婦間の問題に悩む、主人公の妻ヘレナ・ボナム=カーター、彼女に言い寄る後援者のピーター・ウェラー、コロスのリーダー、F・マーリー・エイブラハム、ヒロインと付き合うボクサーのマイケル・ラパポート、盲目の預言者テイレシアース役のジャック・ウォーデン、アマンダ(H・B=カーター)の母クレア・ブルーム、カッサンドラのダニエラ・ファーランド、そして、ジョカスタ役オリンピア・デュカキスなどが共演している豪華キャストも注目だ。