1965年に発表された、ジェームズ・レオ・ハーリヒーの同名小説の映画化。 社会から疎外された2人の男の友情と生き様を描く、監督ジョン・シュレシンジャー、主演ダスティン・ホフマン、ジョン・ヴォイト、シルヴィア・マイルズ共演の秀作ドラマ。 |
・ドラマ
■ スタッフ キャスト ■
監督:ジョン・シュレシンジャー
製作:ジェローム・ヘルマン
原作:ジェームズ・レオ・ハーリヒー
脚本:ウォルド・ソルト
撮影:アダム・ホレンダー
編集:ヒュー・A・ロバートソン
音楽:ジョン・バリー
主題歌:ハリー・ニルソン”Everybody’s Talkin”(うわさの男)
出演
エンリコ・サルバトーレ”ラッツォ”リゾ:ダスティン・ホフマン
ジョー・バック:ジョン・ヴォイト
キャス:シルヴィア・マイルズ
オダニエル:ジョン・マッギーヴァー
シャーリー:ブレンダ・ヴァッカロ
タウンゼンド”タウニー”:バーナード・ヒューズ
サリー・バック:ルース・ホワイト
アニー:ジェニファー・ソルト
学生:ボブ・バラバン
リトル・ジョー:ゲイリー・オーウェンズ
ウッジー・ナイルズ:ギルマン・ランキン
富豪夫人:ジョーガン・ジョンソン
テレビ局員:アンソニー・ホランド
バーテンダー:ポール・ベンジャミン
アメリカ 映画
配給 ユナイテッド・アーティスツ
1969年製作 113分
公開
北米:1969年5月25日
日本:1969年10月18日
製作費 $3,600,000
北米興行収入 $44,785,050
■ アカデミー賞 ■
第42回アカデミー賞
・受賞
作品・監督・脚色賞
・ノミネート
主演男優(ダスティン・ホフマン/ジョン・ヴォイト)
助演女優(シルヴィア・マイルズ)
編集賞
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
テキサスのドライブイン・シアターで働いていたジョー・バック(ジョン・ヴォイト)は、ブーツとテンガロン・ハットを新調して、仕事を辞め、意気揚々とニューヨークへ向かう。
ジョーは、自分を育ててくれた祖母サリー(ルース・ホワイト)や恋人アニー(ジェニファー・ソルト)を想い出しながら、バスの旅を続ける。
ニューヨークに着いたジョーは、安宿の部屋を借りて、早速、街に繰り出す。
裕福そうな女性に声をかけてはみるものの、相手にされず落ち込んでいたジョーは、上品な子犬を連れた富豪夫人キャス(シルヴィア・マイルズ)に誘われる。
キャスに気に入られ、ベッド・インしたジョーは、自分の職業を教え”報酬”を要求する。
しかし、キャスは侮辱されたと言って取り乱してしまい、結局、ジョーは彼女に20ドル渡してしまいアパートを後にする。
その後ジョーは、バーで街に詳しそうな男エンリコ”ラッツォ”リゾ(ダスティン・ホフマン)に出会う。 ジョーはラッツォが気に入り、彼がペテン師だと客に聞かされながらも、客を取る方法を伝授される。 ラッツォは、言葉巧みに売春組織の元締めだというオダニエル(ジョン・マッギーヴァー)をジョーに紹介して20ドルせしめる。 独りでオダニエルの元に向かわされたジョーは、彼が狂信的な宗教家だとわかり部屋を飛び出す。 憤慨したジョーは、騙したラッツォを捜すが見つからず、所持金はなくなり、ホテルからも追い出されてしまう。 ジョーは、食事も出来ず仕方なく街に立ち、ゲイの学生(ボブ・バラバン)の相手をする。 結局、金を持っていなかった学生から何も受け取らず、同情して痛めつけることも出来なかったジョーは、街角でラッツォを見つける。 ケチなペテン師のラッツォを脅すものの、所持金はおろか何も奪うものがないジョーは、彼の住処に向かうことになる。 廃墟になった建物内の、電気も暖房もない部屋で惨めに暮すラッツォは、冬になったらマイアミに行くと、ジョーには理解できない話をしながら彼を歓迎する。 いがみ合いながらも二人は同居を始めるが、ラッツォは自慢気に”カウボーイ”スタイルのジョーを馬鹿にする。 ジョーを小奇麗にしたラッツォは、エスコート・サービスの客を横取りして彼を送り出し、自分がマイアミで豪遊する姿を想像する。 しかし、ジョーは追い払われてしまい、二人は寒さに耐えながら極貧生活を送る。 ジョーは、唯一の所持品のラジオを売り、献血をして小銭を手に入れるが、足が悪く体調も優れないラッツォは、寒さで衰弱していく。 廃墟の取り壊しが始まりそうな雰囲気もあり、住む場所もなくなる不安を抱える二人だったが、ジョーがあるパーティーに招待される。 会場に向かった二人は、奇怪な雰囲気に驚くが、ラッツォは食べ物に有り付きスリを働く。 招待客のシャーリー(ブレンダ・ヴァッカロ)がジョーを気に入り、ラッツォが仲介して20ドルで彼女との交渉を成立させる。 立ち去ろうとしたラッツォは階段から転げ落ちてしまい、それを気にしながらジョーはシャーリーのアパートに向かう。 まともにシャーリーを抱けなかったジョーは、彼女にゲイ呼ばわりされたため、一気に燃え上がり一夜を過ごす。 満足したシャーリーは、ジョーを友人に紹介して、彼に20ドルを渡して別れる。 食料や薬を買ってラッツォの元に戻ったジョーは、彼が歩けなくなったことを知らされる。 絶望して恐怖に怯えるラッツォを寝かせたジョーは、医者を呼ぼうとする。 ラッツォはそれを断り、自分を気遣うジョーにフロリダに行きたいことを伝える。 順調に客を取れるかもしれない時に、お荷物を背負ってしまったジョーは苛立つが、彼はラッツォを見捨てられなかった。 街角で、ビジネスマンのタウンゼンド”タウニー”(バーナード・ヒューズ)に声をかけられたジョーは、ゲイの彼を痛めつけて金を奪ってしまう。 ジョーは、フロリダに向かうために、衰弱したラッツォをバスに乗せる。 夜が明けて、ラッツォは尿を漏らしてしまったことをジョーに伝え惨めさに涙するが、勝手にトイレ休息したと彼は笑い飛ばす。 フロリダに入り、ジョーはラッツォの着替えを調達し、自分のブーツとテンガロン・ ハットも捨ててしまう。 バスに戻ったジョーはラッツォを着替えさせ、今後の生活などを話し始める。 ラッツォが問いかけに答えないのに気づいたジョーは、彼が息を引き取ったのを知り、それを運転手に伝えバスを止める。 そのまま終点まで行くことになり、ジョーは周囲の目を気にしながら、ラッツォの肩を抱き呆然とマイアミの景色を見つめる。
...全てを見る(結末あり)
*(簡略ストー リー)
青年ジョー・バックは、若さを武器にジゴロになるため、テキサスからニューヨークにやって来る。
容姿と人の良さが売りのジョーだったが、自分の思い描いていたような生活は出来ず、ペテン師のラッツォに騙されてしまう。
所持金もなくなり、宿から追い出されてしまったジョーは、街角でラッツォを見つけて脅しをかける。
しかしジョーは、ひ弱なラッツォを見て痛めつけることも出来ない。
二人は共同生活を始め、冬を前にフロリダへ行く夢を抱くラッツォだったが、極貧生活は続き、ついに行き詰ってしまう・・・。
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言わずと知れた、アメリカン・ニューシネマの代表作の中でも、ベストと言っていい作品。
1994年、アメリカ議会図書館が、国立フィルム登録簿に登録した作品でもある。
第42回アカデミー賞では、作品、監督、脚色賞を受賞した。
・ノミネート
主演男優(ダスティン・ホフマン/ジョン・ヴォイト)
助演女優(シルヴィア・マイルズ)
編集賞
イギリス人監督ジョン・シュレシンジャーは、惨めさや孤独を抱えながら生きる男達と、1960年代後半のアメリカ社会の縮図を的確に捉えて、ニューヨーク・ロケを効果的に生かしそれらを見事に描写している。
田舎者を裏切ったペテン師が、本来ならば半殺しにされてもおかしくない状況の中で、貧困生活に疲弊しきった二人は、いがみ合いながら惨めな共同生活を始める、その姿が痛々しいほどリアルだ。
そんな生活を予想もしていない主人公が、意気揚々と大都会に向かう、オープニングで流れる軽快な主題曲、ハリー・ニルソンの”Everybody’s Talkin”(うわさの男)は、当時、大ヒットした。
共にアカデミー賞で主演賞にノミネートされ、そして両者共に現在でも活躍を続ける、若きダスティン・ホフマンとジョン・ヴォイトの出色の名演は見ものだ。
共にその役柄に成り切った、というか現実そのもののような自然な演技、両者30歳になったばかりとは思えない感情表現など、デビュー間もない二人にとっての、初期の代表作となった。
序盤のわずかな出演でアカデミー賞(助演)候補になった有閑マダムのシルヴィア・マイルズ、狂信的な宗教家ジョン・マッギーヴァー、ジョー(J・ヴォイト)がパーティで出会う婦人ブレンダ・ヴァッカロ、彼に言い寄るゲイのビジネスマン役で、金を奪われてしまうバーナード・ヒューズ、ゲイの学生ボブ・バラバン、ジョーの祖母役ルース・ホワイト、恋人ジェニファー・ソルトなどが共演している。
本来の邦題は”カーボーイ”なのだが、都会をイメージさせるために、車の”カー”を当てたと言う話は真実なのだろうか?
信じ難いとしか言いようがない・・・。