クリストファー・ノーラン(監督、脚本)の弟ジョナサン・ノーランの短編”Memento Mor”を基にして製作された作品。 妻を殺害されたショックで記憶障害となった主人公が復讐を果たすまでを描く、主演ガイ・ピアース、ジョー・パントリアーノ、キャリー=アン・モス共演による異色のサスペンス。 |
■ スタッフ キャスト ■
監督:クリストファー・ノーラン
製作総指揮:アーロン・ライダー
製作
ジェニファー・トッド
スザンヌ・トッド
原案:ジョナサン・ノーラン
脚本:クリストファー・ノーラン
撮影:ウォーリー・フィスター
編集:ドディ・ドーン
音楽:デヴィッド・ジュリアン
出演
レナード・シェルビー:ガイ・ピアース
テディ/ジョン・エドワード・ギャメル:ジョー・パントリアーノ
ナタリー:キャリー=アン・モス
ジミー・グランツ:ラリー・ホールデン
ドッド:カルム・キース・レニー
バート:マーク・ブーンJr.
サミュエル”サミー”ジャンキス:スティーヴン・トボロウスキー
ジャンキス夫人:ハリエット・サンソム・ハリス
レナードの妻:ジョージャ・フォックス
アメリカ 映画
配給 Summit Entertainment
2001年製作 113分
公開
北米:2001年3月16日
日本:2001年11月3日
製作費 $5,000,000
北米興行収入 $25,530,880
世界 $39,723,100
■ アカデミー賞 ■
第74回アカデミー賞
・ノミネート
脚本・編集賞
(終わりから読むことをお勧めします)
ロサンゼルス。
レナード・シェルビー(ガイ・ピアース)は、テディ(ジョー・パントリアーノ)という男を射殺する。
__________
ある事件をきっかけに、”前向性健忘”になってしまったレナード・シェルビーは、今起きていることを記憶するために、ポラロイドカメラやメモ、そして体中に刺青までしてある男を追う。
そして、レナードは、テディ/ジョン・エドワード・ギャメルという男が犯人だと確信する。
レナードの胸には、ギャメルが妻をレイプして殺したという文字が刻まれていた。
__________
愛する者を殺された同情心から、レナードに協力する女性ナタリー(キャリー=アン・モス)は、彼にギャメルの情報を提供する。
レナードは、常に目に付く左手の”サミーを忘れるな”という刺青を気にする。 町でテディに出くわしたレナードは、彼とランチを共にする。 レナードは、妻(ジョージャ・フォックス)を殺され、そのショックでそれ以後の記憶を奪われたことをテディに話し、彼は犯人探しに協力しようとする。 宿泊先の部屋の鍵がないことに気づいたレナードはモーテルに戻り、フロントのバート(マーク・ブーンJr.)から自分が二部屋借りていることを知らされる。 レナードは、ナタリーとの約束をメモで知りレストランに向かう。 保険の調査員だったレナードは、顧客の一人サミュエル”サミー”ジャンキス(スティーヴン・トボロウスキー)が、小さな事故で”前向性健忘”になったことを思い出す。 サミーは、2分しか記憶が持たない身でありながら、事故前に覚えた糖尿病患者の妻のためのインシュリン注射などは問題なく行っていた。 ドッド(カルム・キース・レニー)のことでナタリーの家に行ったレナードは、彼女から恋人ジミー・グランツ(ラリー・ホールデン)を失った事を聞き、二人で一夜を過ごす。 目が覚めたレナードは、クローゼットに男を拘束していることに気づく。 そこに、レナードに呼び出されたと言うテディが現れ、彼に男の存在を知らせ、その男がトッドだと言うことを知る。 写真を見たレナードは、”始末しろ、ナタリーに聞け”というメモ書きを確認する。 ドッドが誰なのかもわからないレナードは、彼を町外れで解放しナタリーの家に向かう。 シャワーの最中にドッドに襲われたレナードは、彼を殴り倒し縛り上げた後、”ドッドをナタリーのために始末しろ”というメモを見つける。 そして、テディを電話で呼び出したレナードは眠ってしまう。 ドッドに追われていたレナードは、彼のモーテルに侵入し待ち伏せする。 車で見知らぬ男(ドッド)に追われたレナードは、路地で車を止められ銃を突きつけられ、彼は車から逃げだし走り去る。 レナードは、妻との思い出の品を焼却処分する。 妻との思い出の品を持ったレナードは、モーテルにチェックインし、恋人派遣サービスから女性を呼び寄せる。 レナードは、妻の遺品を彼女に触らせ、ベッドの横に眠らせる。 夫が心の病だと知ったサミーの妻(ハリエット・サンソム・ハリス)は、彼の病気を治そうと必至の努力をしていた。 ある日、レナードのオフィスを訪ねたジャンキス夫人は、夫が病気だと思い込んでいるだけではないのかと考え、レナードに意見を求める。 レナードは、サミーが記憶を保てると思うと夫人に告げ、彼女を安心させる。 ナタリーの家から出たレナードは、車の中に見知らぬ男(テディ)がいるのに気づく。 慌てたレナードだったが、テディは彼から聞いたサミーのことを語り、ナタリーが恋人と組んだ麻薬の売人で彼女を信用するなとレナードに忠告する。 そしてテディは、ナタリーの家には戻らずにモーテルに行くようレナードに指示する。 レナードがナタリーの家にいると、彼女がドッドに殴られて帰ってくる。 ナタリーは、テディの話をしろとレナードに言われたため、トッドに殴られたことを彼に伝える。 麻薬も金もテディに奪われたとトッドに話したナタリーは、それを信用されずに、彼女が盗んだと疑われ殴られたことをレナードに知らせる。 そしてレナードは、ナタリーからドッドの情報を聞き、彼の元に向かおうとする。 帰宅したナタリーは、恋人ジミーがテディに会い、大金と共に姿を消したことをレナードに告げる。 ナタリーはテディが誰かをレナードに聞き、ドッドを殺しを依頼する。 レナードがそれを断ると、ナタリーが妻を侮辱したため、彼はナタリーを殴り倒す。 ナタリーは家を出て車で待機し、記憶を失わない前にメモを取ろうとするレナードの様子を窺う。 暫くするとナタリーが戻り、ドッドに殴られたことをレナードに告げる。 ナタリーの家に戻ったレナードは、妻が殺された時に、第三者がいて殴られたことなどを警察に話しても、信じてもらえなかったことなどを語る。 ナタリーから呼ばれたレナードは、彼女が働くバーに向かい、記憶障害のことなどを話す。 サミーが病気だと思い込んでいると考えた妻は、夫に最後のテストをする。 妻はそれを信じ、サミーに何度もインシュリンの注射をさせ、それに気づかない夫の前で息を引き取る。 そして、サミーは施設に入り、妻の死さえも忘れてしまった。 サミーは、記憶力のある自分を演じ、それを人に見せたかっただけだった。 ”事実6 ナンバーSG137IU”という重要なメモを、足に刺青で残すため、店に向かったレナードをテディが訪ねる。 テディはレナードが刑事に追われていることを伝え、町を出るよう忠告し、”ジョン・G”とジミーが麻薬の売人だと知らせ立ち去る。 テディの写真には”騙されるな”というメモがあり、レナードの上着のポケットには、ナタリーからの呼び出しのメモがあった。 レナードがナタリーのバーに着くと、その車を見た彼女がジミーと勘違いして声をかける。 レナードのモーテルに電話をかけてきていたギャメル刑事が、彼をロビーに呼び出す。 ギャメルは、侵入捜査官だと言って自分を”テディ”と呼ぶようレナードに伝え、彼を独りでジミーの元に行かせる。 郊外の廃墟に向かったレナードは、現れたジミーを殴り倒し服を脱ぐよう指示する。 レナードはジミーの首を絞め、気を失った彼の服を奪う。 そして、ジミーは”サミー”と言いながら息を引き取る。 そこにテディが現れ、レナードは彼を締め上げる。 テディはジミーを誘き出し、麻薬取引の金を奪おうとしたことと、彼がサミーを知っていたのは、レナードが話の度にそれを語ったからだと説明する。 更に、レナードの妻は殺されず、記憶障害になった彼を見て自分自身が精神的ダメージを受けたことも知らせる。 サミーは保険金を騙し取ろうとして、レナードがそれを暴いたのだった。 糖尿病だったのはレナードの妻で、彼女をレイプした犯人はレナードが既に殺し、復讐を果たしたこともテディは彼に伝える。 テディと別れたレナードは、彼の写真に”騙されるな”とメモする。 レナードは、テディにやらせられたことを忘れるために写真を燃やす。 そしてレナードは、テディの車のナンバー”SG137IU”を重要なメモとして残す。 レナードは、ジミーの車を奪い走らせ、刺青の店の前で急停車する。 ”SG137IU”のメモを見たレナードは、自分が何を考えていたのか分からなくなる。
__________
...全てを見る(結末あり)
__________
__________
__________
__________
__________
__________
__________
__________
__________
__________
__________
__________
__________
__________
__________
__________
__________
*(簡略ストー リー)
元保険調査員レナード・シェルビーは、妻を殺されたショックで記憶障害の”前向性健忘”になってしまう。
レナードは障害を背負いながら、記憶を消さないためにメモやポラロイドカメラを使い、さらに体中にタトゥーを入れる。
妻の復讐を誓ったレナードは、謎の人物の協力を得ながら、犯人探しに奔走する・・・。
__________
冒頭の、フィルムを巻き戻しながら始まる戦慄の映像も衝撃的な、綿密に練り上げられた脚本と編集手法が大いに話題を呼んだ問題作。
第74回アカデミー賞では、脚本と編集賞にノミネートされた。
北米では、大規模な拡大公開がされなかったため、興行的にはそれほどのヒットとはならなかったが、作品自体は高い評価を受けた。
普通のドラマ展開であれば、それほど複雑なストーリーのだ、物語を結末から逆再生していくという手法を採用したことで、事件に神秘性が加わり緊迫感も増している。
「フォロウィング」(1998)で長編デビューしたクリストファー・ノーランが、その後の活躍を予感させて、一気に注目された作品でもあり、その巧みで斬新な映像感覚は、見事としか言いようがない。
物語の半ば過ぎから、心地よい謎解きが始まるのかと思いきや、結局は、その謎が逆に深まってしまい、何度も見直してみたくなるところなどは心憎い演出だ。
体中のタトゥーなどで、異様な雰囲気の復讐鬼として登場する、元保険調査員のガイ・ピアース、刑事ということではあるが、それも謎の協力者ジョー・パントリアーノ、同じく謎の女性である、麻薬の売人キャリー=アン・モス、その恋人役ラリー・ホールデン、売人の元締カルム・キース・レニー、モーテルのフロント係マーク・ブーンJr.、主人公が調査する顧客スティーヴン・トボロウスキー、その妻ハリエット・サンソム・ハリス、主人公の妻ジョージャ・フォックスなどが共演している。