スコットランドのメアリー・スチュアートとイングランドのエリザベス1世、激動の時代を生きた2人の女王の運命を描く、監督ジョーシー・ルーク、主演シアーシャ・ローナン、マーゴット・ロビー、ジャック・ロウデン、ジョー・アルウィン、ガイ・ピアース他共演の歴史ドラマ。 |
・シアーシャ・ローナン / Saoirse Ronan / Pinterest
・マーゴット・ロビー / Margot Robbie / Pinterest
■ スタッフ キャスト ■
監督:ジョーシー・ルーク
製作
ティム・ビーヴァン
エリック・フェルナー
デブラ・ヘイワード
製作総指揮
アメリア・グレインジャー
ライザ・チェイシン
原作:ジョン・ガイ”Queen of Scots: The True Life of Mary Stuart”
脚本:ボー・ウィリモン
撮影:ジョン・マシソン
衣裳デザイン:アレクサンドラ・バーン
編集:クリス・ディケンズ
音楽:マックス・リヒター
出演
メアリー・スチュアート:シアーシャ・ローナン
エリザベス1世:マーゴット・ロビー
ヘンリー・スチュアート/ダーンリー卿:ジャック・ロウデン
ロバート・ダドリー:ジョー・アルウィン
ジョン・ノックス:デヴィッド・テナント
ウィリアム・セシル:ガイ・ピアース
ベス・オブ・ハードウィック:ジェンマ・チャン
ジェームズ・ヘップバーン/ボスウェル伯:マーティン・コムストン
デヴィッド・リッツィオ:イスマエル・クルス・コルドバ
マチュー・スチュアート/レノックス伯:ブレンダン・コイル
ジョン・メイトランド:イアン・ハート
トーマス・ランドルフ:エイドリアン・レスター
ジェームズ・スチュアート/マリ伯:ジェームズ・マクアードル
メアリー・フレミング:マリア=ヴィクトリア・ドラクシ
メアリー・ビートン:アイリーン・オヒギンス
ウォルター・マイルドメイ:アレックス・ベケット
イギリス/アメリカ 映画
配給
ユニバーサル・ピクチャーズ(世界)
フォーカス・フィーチャーズ(北米)
2018年製作 125分
公開
イギリス:2019年1月18日
北米:2018年12月7日
日本:2019年3月15日
製作費 $25,000,000
北米興行収入 $16,468,500
世界 $46,672,560
■ アカデミー賞 ■
第91回アカデミー賞
・ノミネート
メイクアップ&ヘアスタイリング・衣裳デザイン賞
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
スコットランド王国女王メアリー・スチュアートは、カトリックとして生まれて0歳で即位し、宗教改革の進む祖国から幼少時にフランス王国に向かい、15歳で王太子フランソワと結婚し、18歳で未亡人となり異母兄の統治する祖国に戻った。
イングランド王国の王位継承権も持つメアリーは、女王エリザベス1世にとって危険な存在だった。
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1587年2月8日、イングランド、フォザリンゲイ城。
グレートホールに向かったメアリー・スチュアート(シアーシャ・ローナン)は、処刑を前に祈りを捧げる。
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...全てを見る(結末あり)
1561年、スコットランド。 メアリーは、ジェームズ・ヘップバーン/ボスウェル伯(マーティン・コムストン)が自分を守る誓いを立てていることを、彼とマリ伯との会話を聞き確認する。 イングランド。 重臣ウィリアム・セシル(ガイ・ピアース)と寵臣ロバート・ダドリー(ジョー・アルウィン)の意見を聞いたエリザベスは、大切な親戚であることをメアリーに伝えるようランドルフに指示する。 メアリーに忠誠を誓わせるべきだと言うセシルは、王位継承を諦めさせて、彼女を大陸に向かわせることをエリザベスに提案する。 エリザベスに友好関係を築くための手紙を書いたメアリーは、王位継承者に指名すれば王位を認めると伝える。 王室に必要な世継ぎのために女王を口説くよう、セシルはダドリーを説得する。 カトリック教徒であり祖国スコットランドへの帰国を希望するマチュー・スチュアート/レノックス伯(ブレンダン・コイル)は、その件をセシルに伝えるものの相手にされない。 恥をかいたと言う息子のヘンリー・スチュアート/ダーンリー卿(ジャック・ロウデン)に侮辱されたレノックス伯は、人前で彼を殴る。 国務大臣のジョン・メイトランド(イアン・ハート)や長老派教会の創設者ジョン・ノックス(デヴィッド・テナント)らの前で話をしたメアリーは、宗教の選択は個人に任せる考えを伝える。 それに反論するノックスは女性の君主も批判し、メアリーから追放を言い渡され、その場を去る。 兄マリ伯からその件を非難されたメアリーは、新教徒の女王エリザベスならノックスも歓迎するため、二人を近づけてはならないと言われる。 正しい意見だと思うが、今は何より力が必要だとメアリーはマリ伯に伝える。 イングランドから戻ったランドルフを迎えたメアリーは、再婚の件について話す。 メアリーが再婚に無関心だと装っているというランドルフからの報告を受けたエリザベスは、自分の臣下と再婚させるのが得策だと意見される。 ダドリーをメアリーの再婚相手にすることを考えたエリザベスは、それを彼に伝える。 スコットランドに向かったダドリーだったが、再婚より王位継承権が先だと言うメアリーは、彼を相手にしなかった。 その後、エリザベスとの会談のために国境地帯に向かったメアリーだったが、それを実現させることはできなかった。 その後、エリザベスが天然痘に罹ったことを知ったメアリーは、残酷だと思いつつも、その機に王位継承権を要求しようとする。 ダドリーとの結婚を検討する条件として、メアリーは王位継承権をエリザベスに求める。 病を知られたことで動揺するエリザベスは、ダドリーの元に向かいメアリーからの手紙を見せる。 エリザベスに忠誠を誓うダドリーだったが、彼女から、自分がした提案なので今更、拒めないと言われる。 スコットランド。 気さくなヘンリーと親交を深めたメアリーは、王家の血を引く彼が、王位継承権を主張するために相応しい相手であると考えて受け入れ、結婚を決意する。 ヘンリーが女王の配偶者で満足すると思えないマリ伯は、メアリーの考えに反対する。 その件を察し警戒するセシルは、エリザベスにダドリーとの結婚を迫るが、彼女はその気になれない。 結婚を認めないという通告に対してメアリーは、エリザベスが望んだことだと反論し考えを変えようとしない。 激怒したマリ伯から、忠告を聞く気がなければ宮廷を去ると言われたメアリーは、それを止めなかった。 セシルに説得されても”結婚する女”になるつもりがないエリザベスは、スコットランドで内乱を起こすことを提案され、それを彼に任せる。 セシルはマリ伯に武器を提供し、ノックスと共に反乱を主導させる。 宴の席で酔ったヘンリーは、メアリーの秘書官である音楽家のデヴィッド・リッツィオ(イスマエル・クルス・コルドバ)と一夜を共にしてしまう。 それを知ったメアリーは、ヘンリーを起こして反乱のことを伝え、親友であるリッツィオの謝罪を受け入れる。 反乱軍に対抗するために、ヘンリーとボスウェル伯らと共に軍を率いるメアリーは、マリ伯の部隊を待ち伏せして攻撃を仕掛ける。 ボスウェル伯はマリ伯に襲い掛かるが、メアリーは攻撃を中止させて兄を見逃す。 勝利を喜びながら宮殿に戻ったメアリーは、酔ったヘンリーに強引に迫り、互いに憎しみを感じながら愛し合う。 ヘンリーはその場を去り、メアリーは、女官たちと共に懐妊を願い祈りを捧げる。 その後、身籠ったメアリーは数か月ぶりに臣下たちの前に姿を現し、王位継承者が生まれることを伝える。 その事態を受けて、マリ伯に支援する考えをセシルから知らされたエリザベスは、メアリーの懐妊を気にしていないように振る舞う。 カーライル。 宮殿内に暮らしながら絶縁状態のメアリーと話したヘンリーは、自分の地位に満足できず不満を訴えるものの無駄だった。 夫がいる身でありながら秘書官のリッツィオと戯れるメアリーを批判するノックスは、女王の子は彼の子ではないかと言って周囲を煽る。 その件を父レノックス伯やメイトランドから聞いたヘンリーは、女王が浮気をしたという証文に署名させられる。 メアリーの部屋に押し入ったメイトランドらは、リッツィオを捕えようとする。 リッツィオを庇おうとしたメアリーは、ヘンリーの許可は得てあると言われる。 レノックス伯らに剣で刺されたリッツィオは苦しみ、メイトランドは、ヘンリーに止めを刺すよう指示する。 それを拒んだヘンリーだったが、レノックス伯に強要されてリッツィオを刺す。 息を引き取ったリッツィオに寄り添うメアリーは、親友の死に涙する。 メアリーから裏切り者と言われたヘンリーは、メイトランドから、戻ってくるマリ伯が補佐になることを知らされる。 マリ伯は宮廷に戻り、兄と臣下が王位を狙うと考えたメアリーは、彼らに騙されたと言うヘンリーと共に脱出を考える。 宮廷から離れたメアリーとヘンリーは、ボスウェル伯の元に向かい軍の支援を受ける。 軍勢で劣るために不利だと考えたマリ伯は、メイトランドと共にメアリーの元に向かう。 リッツィオ殺害計画にヘンリーは関与していないと言っていると二人に伝えたメアリーは、夫が証文に署名したことを知り、恩赦と引き換えにそれを渡すことを要求する。 ダドリーから、スコットランドで起きた政変を知らされたエリザベスは、女官のベス・オブ・ハードウィック(ジェンマ・チャン)らと戯れながら、今は関わりたくないと伝える。 マリ伯と話し合ったメアリーは、平和な国で王となる子を育てたいと言って、男なら”ジェームズ”と名付けると兄に伝える。 感激したマリ伯は、愛情に値しない兄だとメアリーに伝えて涙する。 その後、メアリーは難産の末に王子”ジェームズ”を出産し、代母となることを望まれたエリザベスは、それを受ける考えを伝える。 エリザベスが子を産めば後継者に、そうでない場合はジェームズが引き継ぐことを条件に、メアリーは和解を提案する。 それを受け入れたエリザベスは、反論するセシルに対し、自分が世を去った後の後継者についての現実論を述べる。 リッツィオ殺害計画の証文をヘンリーに見せたメアリーは、偽造だと言う彼の言葉を信じられず、宮廷から去ることを命じ別居することになる。 ヘンリーが未だに王位を狙っているとボスウェル伯から忠告されたメアリーだったが、彼を排除する案には賛成できない。 ボスウェル伯を信頼するメイトランドは、彼の手を借りてある計画を実行する。 カーク・オ・フィールド。 それをメアリーに知らせたボスウェル伯は、王子を女官に預けて、自分の城に避難するよう彼女に指示する。 それに従ったメアリーは、王子を女官に任せて宮廷を去る。 自分が夫になるようにという、議会からの要請を受けたとメアリーに伝えたボスウェル伯は、ヘンリーを暗殺したことに気づいた彼女に、指示に従わなければ二度と助けないと言って脅す。 ボスウェル伯との婚礼を済ませたメアリーは権限を失い、ノックスにより、女王の夫暗殺計画が人々に伝えられ、女王排斥運動は国内に広まる。 メアリーの退位に発展しかねない状況になり、国王になれるはずの話がなくなるボスウェル伯は、マリ伯とメイトランドを責める。 メアリーに退位を迫るメイトランドは、王子が成人するまでマリ伯を摂政にすることを提案する。 自分の名を付けた甥を人質にするのかとメアリーに言われたマリ伯は、王子を国王にしたければ退位するようにと彼女に伝える。 それを拒むメアリーに、国民全体が敵だと伝えたメイトランドは、納得しない彼女との話し合いを諦める。 イングランドに向かったメアリーは、ある村の小屋でエリザベスに会う。 援軍は送れなくとも庇護を約束したエリザベスは、姉そして代母になり手を組んでほしいと言われる。 王座により自分は男として生きるしかなくなったと伝えたエリザベスは、納得しないメアリーに、かつらをとって刈り込んだ髪を見せる。 美しく大胆で王子もいるメアリーに嫉妬していたと言うエリザベスは、それが失脚した理由だと伝える。 今後の保護を約束したエリザベスは、処刑するまでかと問うメアリーから、ヘンリー8世の娘だと言われるものの、父とは違うと伝える。 自分の敵と手を組まない限りは安全を保障すると言えわれたメアリーは、敵に手を貸すとしたらあなたに仕向けられた時であり、妹である女王を殺すことになるとエリザベスに伝える。 その場を去ったエリザベスは、メアリーを安全な城に案内するようベスに指示する。 18年後。 女王暗殺を企てた証拠である手紙が見つかり、エリザベスは、迷いながらも死刑執行許可の署名をして、メアリーを想い涙する。 処刑台に向かったメアリーは、殉教者を示す鮮やかな真っ赤なドレスで断頭台の前に立ち、国王として果たせなかった、二つの王国を一つにする夢をジェームズに託す。 断頭台に首を置いたメアリーは、平和が来ることを祈る。
エジンバラ。
女官のメアリー・フレミング(マリア=ヴィクトリア・ドラクシ)やメアリー・ビートン(アイリーン・オヒギンス)らと共に海岸から上陸したメアリーは、ホールリード宮殿に向かい、異母兄ジェームズ・スチュアート/マリ伯(ジェームズ・マクアードル)に迎えられる。
メアリーが帰国したことを大使のトーマス・ランドルフ(エイドリアン・レスター)から知らされた女王エリザベス1世(マーゴット・ロビー)は、マリ伯のことを気にするものの、新教を守ると約束した彼は味方だと言われる。
レノックス伯は、息子ヘンリーと共にメアリーの元に向かう。
マリ伯に会ったレノックス伯は、息子ヘンリーを王にして、自分たちが国を動かすことを考える。
建物を爆破されたヘンリーは、一命は取り留めるものの殺害される。
1587年2月8日、イングランド、フォザリンゲイ城。
幽閉されていたメアリーは、グレートホールに向かう。
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■ 解説 評価 感想 ■
*(簡略ストー リー)
1561年、スコットランド王国。
フランスから帰国したスコットランドの女王メアリー・スチュアートは、イングランドの女王エリザベス1世に対し、正式な王位継承権を求める。
メアリーに忠誠を誓わせるべきだという考えをエリザベスに伝えた臣下のセシルは、彼女と寵臣ダドリーを結婚させようとするものの思うようにいかない。
自分の臣下をメアリーの再婚相手にするという考えに従ったエリザベスは、ダドリーを彼女の元に向かわせるもののその計画は失敗する。
その後セシルは、メアリーの異母兄マリ伯を支援し、スコットランドに内乱を起こそうとするのだが・・・。
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ジョン・ガイの伝記”Queen of Scots: The True Life of Mary Stuart”を基に製作された作品。
イギリス演劇界を代表する演出家ジョーシー・ルークの映画デビュー作であり、若手期待の人気女優シアーシャ・ローナンとマーゴット・ロビーが、メアリー・スチュアートとエリザベス1世を演ずることで話題になった作品。
スコットランドとイングランドそれぞれの女王として、従姉妹でありながら争い、時に手を取り合ったメアリー・スチュアートとエリザベス1世の運命を描く歴史ドラマ。
従姉妹としての考えを尊重しながら関係を維持する二人の女王が、王位を狙う者たちや世継ぎ問題で苦悩する臣下たちの画策に翻弄されながら、それぞれの生きる道を探る姿が、ジョーシー・ルークの女性らしいスマートな感覚で描かれた作品。
第91回アカデミー賞では、メイクアップ&ヘアスタイリング、衣裳デザイン賞にノミネートされた。
当初、出演が予定されたスカーレット・ヨハンソンの代役として主演したシアーシャ・ローナンは、肖像画を見る限り主人公のメアリー・スチュアートに似た雰囲気であり、ハリウッドを代表する実力派スターとして、20代前半にして既に貫禄を感じさせる演技を見せてくれる。
様々なメイクで登場するマーゴット・ロビーも、王国の統治や世継ぎ問題で苦悩するエリザベス1世を好演している。
メアリーの2番目の夫となるヘンリー・スチュアート/ダーンリー卿のジャック・ロウデン、エリザベスの寵臣ロバート・ダドリーのジョー・アルウィン、反女王派である長老派教会の創始者ジョン・ノックスのデヴィッド・テナント、エリザベスの臣下ウィリアム・セシルのガイ・ピアース、エリザベスの女官ベス・オブ・ハードウィックのジェンマ・チャン、メアリーの3番目の夫ジェームズ・ヘップバーン/ボスウェル伯のマーティン・コムストン、メアリーの秘書官である音楽家デヴィッド・リッツィオのイスマエル・クルス・コルドバ、ヘンリーの父親マチュー・スチュアート/レノックス伯のブレンダン・コイル、国務大臣ジョン・メイトランドのイアン・ハート、イングランド大使トーマス・ランドルフのエイドリアン・レスター、メアリーの異母兄ジェームズ・スチュアート/マリ伯のジェームズ・マクアードル、メアリーの女官メアリー・フレミングのマリア=ヴィクトリア・ドラクシ、同じくメアリー・ビートンのアイリーン・オヒギンス、イングランドの財務長官ウォルター・マイルドメイのアレックス・ベケットなどが共演している。