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マーティ Marty (1955)

容姿にコンプレックスを持つ男女の恋を描く、製作バート・ランカスターハロルド・ヘクト、監督デルバート・マン、主演アーネスト・ボーグナインベッツィ・ブレアジョー・マンテル共演によるロマンチック・コメディの傑作。

アカデミー賞 ■ ストーリー ■ 解説


ロマンチック・コメディ


スタッフ キャスト ■
監督:デルバート・マン

製作
ハロルド・ヘクト

バート・ランカスター
原作:パディ・チャイエフスキー
脚本:パディ・チャイエフスキー
撮影:ジョセフ・ラシェル
美術・装置
テッド・ハウワース

ウォルター・M・サイモンズ
音楽:ロイ・ウェッブ

出演
アーネスト・ボーグナイン:マーティ・ピレッティ
ベッツィ・ブレア:クララ・スナイダー
ジョー・マンテル:アンジー
エスター・ミンチオッティ:ピレッティ夫人
ジェリー・パリス:トーマス
カレン・スティール:ヴァージニア
オーガスタ・チオーリ:カテリーナ
フランク・サットン:ラルフ
ウォルター・ケリー:キッド
ジェームズ・ベル:スナイダー

アメリカ 映画
配給 ユナイテッド・アーティスツ
1955年製作 93分
公開
北米:1955年4月11日
日本:1955年12月25日
製作費 $343,000


アカデミー賞 ■
第28回アカデミー賞

・受賞
作品・監督
主演男優(アーネスト・ボーグナイン
脚本賞
・ノミネート
助演男優(ジョー・マンテル
助演女優(ベッツィ・ブレア
撮影(白黒)・美術賞(白黒)


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー ■
ニューヨークブロンクス
肉屋の店員マーティ・ピレッティ(アーネスト・ボーグナイン)は、気のいいイタリア系アメリカ人の青年だったが、 二枚目とは程遠いため34歳にして独身だった。

次々現れる店の客に、弟や妹が結婚しているにも拘らず、情けないと冷やかされるマーティはうんざりしてしまう。

相変わらず男だけの土曜日の夜、親友のアンジー(ジョー・マンテル)と、その日の予定を決めていたマーティは、電話で母親(エスター・ミンチオッティ)に呼び出される。
...全てを見る(結末あり)

家には、従弟のトーマス(ジェリー・パリス)と妻のヴァージニア(カレン・スティール)がいて、彼女が義母であるカテリーナ(オーガスタ・チオーリ)と折り合いが悪く、マーティの家で引きとってくれということだった。

マーティは、叔母のことなので、それに賛成し、肉屋を主人から買い受ける計画がるということを、銀行員のトーマスに相談をする。

翌日、詳しい話をすることになったマーティは、帰宅するトーマスらを見送る。

その後マーティは、一月前に映画館で会った女性を誘うものの、断られてしまい落胆する。

仕方なく家で食事をしたマーティは、何かと言えば結婚の話を始める母の言葉にうんざりしてしまう。

自分の容姿に劣等感を感じるマーティは、女性と付き合う気のないことを母親に伝える。

それでも優しいマーティは、母の言葉に従い、夕食後にアンジーとダンスホールに向かう。

手の早いアンジーは相手を見つけるものの、マーティは、いきなり断られてしまい、その後は、女性に声をかけらなかった。

マーティはある男から、連れの冴えない女性を追い払う手助けを5ドルで頼まれるが、女性の気持ちを考えない男の無礼に呆れてそれを断る。

それが気になったマーティは、その女性クララ・スナイダー(ベッツィ・ブレア)が、侮辱されるのを目撃してしまう。

バルコニーで泣いているクララを気遣ったマーティは、彼女に声をかけてダンスに誘う。

クララはマーティの胸で泣き崩れ、その後、ダンスを踊った二人は、自分達が同じような境遇だと知る。

確かにクララは、美人とは言えない女性であったが、マーティは、彼女といると信じられないほど会話が弾み、何より楽しくて仕方なかった。

その頃、ピレッティ夫人は、妹カテリーナの元に向かい、散々、嫁の愚痴を聞かされるが、彼女に引越しを承知させる。

ダンスホールを出た二人だったが、マーティーの話は途切れず、近くのカフェでコーヒーを飲みながら、時を忘れて遅くまで話し込んでしまう。

高校の化学の教師のクララは、誠実なマーティなら、肉屋を買い取る話もうまくいくはずだと彼を励ます。

マーティと同じように、親離れできないクララは、友達をつくるのが苦手で、人生を楽しむことが出来なかった。

そんなクララを、魅力ある女性だと励ましたマーティは、友人のラルフ(フランク・サットン)に誘われるが、それを断る。

マーティはクララを自宅に連れて行き、帰ろうとする彼女に強引にキスしようとして断られてしまう。

自分のとった、失礼な態度を恥じるマーティを気遣ったクララは、キスに慣れていなかっただけで、また会いたいということを彼に伝える。

マーティは、クララを家まで送ろうとして、彼女の心を受け止めて軽くキスをして抱き寄せる。

そこに、トーマスの家に行っていた母親が帰宅し、彼女は、妹が嫁と揉めていることをクララに話す。

クララが、嫁と姑は一緒に住まないのが一般的だという、現実的な意見を述べたため、母親は戸惑いを見せる。

その後、マーティはクララをバス停まで送り、彼を捜していたアンジーがそこに現れる。

マーティは、クララを送った後に家に帰るつもりだったため、自分も付き合うというアンジーの誘いを断ってしまう。

その後、マーティはクララを自宅まで送り、翌朝の約束をして彼女と別れる。

帰宅したクララは、マーティに出会ったことを両親に語るが、幸せな気分が先にたち、話が支離滅裂になってしまう。

父(ジェームズ・ベル)は、クララが自立するきっかけをつかんでくれたことを喜ぶが、翌日、その相手(マーティ)が電話してくるかを心配する。

自宅に戻ろうとするマーティは、興奮して、その夜は眠れそうもなかった。

翌朝、ミサに行く準備をしていたマーティは、肉屋を買い取る資金として、銀行預金を使うことを母親に告げるのだが、彼女は機嫌が悪い。

一方、母を追い出すことになったトーマスは、努力が足りないと妻ヴァージニアに不満を漏らし、朝から苛立っていた。

その後、引越してきた叔母を歓迎する、一人だけご機嫌なマーティは、トーマスに肉屋の件を相談し始める。

しかし、トーマスは、母親のことでヴァージニアと口論を始めてしまい、マーティの相談を聞くどころではない。

それどころか、昨日とは打って変わり、トーマスは、独身のマーティが、冒険をしようとする気持ちが理解できないことを彼に伝える。

ピレッティ夫人は、妹カテリーナに、昨夜のマーティと女性の話をするが、すぐに彼が所帯を持つ準備を始めると言われてしまう。

その直後、マーティは、その通りの話を始め、母親は、カテリーナの例もあり、益々不安が募る。

おまけに、母親はクララがイタリア人でないことも不満で、マーティに、彼女が気に入らないことをはっきりと伝える。

その日の午後、マーティは家でアンジー達と集まっていたが、クララの悪口を言う彼らの話を聞かされ嫌気が差してしまう。

そんな周囲の言葉を気にしたマーティは、クララに電話をするのをためらい夕方になってしまい、出かけたアンジー達を捜しにいく。

その頃クララは、家でマーティからの電話を待っていたが、両親とテレビのバラエティー・ショーを見ていても、惨めさで涙がこみ上げてきてしまう。

マーティはアンジー達に合流するものの、結局、彼らは、偉そうなことを言っても、相手がいない寂しい男達だった。

アンジー達の優柔不断な話を聞き飽きたマーティは、クララに電話することを決心をする。

”美しくなくても彼女といると楽しいんだ、俺は電話をするぞ!!”とマーティは言い放ち、アンジーに、いつ結婚する気だと説教する。

そしてマーティは、電話ボックスのドアを閉め、興奮しながら弾む心を落ち着かせてクララに電話をかける。


解説 評価 感想 ■

*(簡略ストー リー)
肉屋で働くマーティは、父親を早くに亡くし、弟や妹のために家族を支え、34歳の現在まで独身でいる気のいい青年だった。
周囲が、母親を含め結婚のことばかりを口にするため、マーティは、そのことでうんざりしてしまう。
自分が、醜い男だと決め付けるマーティは、気が進まないまま、その週末も、同じく独身である友人アンジーとダンスホールに向かう。
そこでマーティは、連れの男性に侮辱されて泣いている、高校教師クララが気の毒になり、声をかけてみる。
同じような境遇の二人は、お互いに興味を示し、特にマーティは堰を切ったように、止め処もなく話が弾み楽しい時を過ごす。
二人は惹かれ合うのだが、自分に自信が持てないまま、不器用ながらもほのかな愛を育てようとする。
翌日も、クララと会う約束をしたマーティだったが、相手を見つけた彼に、今度は母親は小言を言い始める。
そんなマーティは思い悩み、クララを誘うのをためらってしまう・・・。
__________

本作公開の2年前に、パディ・チャイエフスキーが手がけて大評判になったテレビ・ドラマを、彼自信が脚色して映画化した作品。
美男、美女が恋をして・・というハリウッドお決まりの物語とは正反対の主人公の男女が、苦悩しながら、人生の喜びを得るだろうという、当時ほとんど前例のなかったストーリーを描き、大胆に映画化して絶賛された、ロマンチック・コメディの傑作。

バート・ランカスターが、ハロルド・ヘクトと組んで設立した、ヘクト=ランカスター・プロの作品。

1994年、アメリカ議会図書館が、国立フィルム登録簿に登録した作品。

第28回アカデミー賞では8部門にノミネートされ、作品、監督、主演男優(アーネスト・ボーグナイン)、脚本賞を受賞した。
・ノミネート
助演男優(ジョー・マンテル
助演女優(ベッツィ・ブレア
撮影(白黒)・美術賞(白黒)
*さらに、カンヌ映画際でもパルム・ドールを受賞している。

テレビの演出家出身の、若きデルバート・マンの初監督作品で、派手さのない市民の、ごく普通の生活を淡々と描いている。
人の心の美しさや優しさを、ユーモアを交え、押し付けがましくなく描いた彼の演出は見事で、いきなりアカデミー監督賞を受賞することになる。

エンドロールで流れるロイ・ウェッブの主題曲も実に楽しいメロディで、ほのぼのした雰囲気で作品を見終わることが出来る。

本作以前もそれ以後も、いかつい悪役が最も似合うアーネスト・ボーグナインが、初めて主演した一世一代の当たり役にして絶賛された作品。
彼の人間味溢れる素朴な演技は、忘れ難い名演として、今観ても全く色あせることはない。
誠実で愛嬌もあり、体全体からほとばしるような、エネルギーを感じさせるラストの男意気は痛快でもあり、拍手を贈りたくなる。

ジーン・ケリー夫人として、共に彼の全盛期を支えたベッツィ・ブレアの、冴えない女性に成りきった演技力の高さも評価され、アカデミー助演女優賞にノミネートされた。

個性的な共演陣も素晴しく、アカデミー助演賞候補になる、偉そうなことを言っても実は寂しい男、主人公の友人ジョー・マンテル、息子が直面する恋愛に戸惑ってしまう主人公の母エスター・ミンチオッティ、嫁姑戦争に巻き込まれる、主人公の従弟ジェリー・パリスとその妻カレン・スティール、姑のオーガスタ・チオーリ、主人公の友人フランク・サットンなど、芸達者な役者がしっかりと脇を固めている。


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