2001年に発表された、アントニア・フレーザーの著書”Marie Antoinette:The Journey”を基に製作された作品。 政略結婚でフランス王国王妃となったマリー・アントワネットの苦悩と自分らしさを追求した人世を描く、製作総指揮フランシス・フォード・コッポラ、製作、監督、脚本ソフィア・コッポラ、主演キルスティン・ダンスト、ジェイソン・シュワルツマン、リップ・トーン、ジュディ・デイヴィス他共演の歴史ドラマ。 |
・ドラマ
■ スタッフ キャスト ■
監督:ソフィア・コッポラ
製作
ソフィア・コッポラ
ロス・カッツ
製作総指揮
フランシス・フォード・コッポラ
ポール・ラッサム
フレッド・ルース
原作:アントニア・フレーザー”Marie Antoinette: The Journey”
脚本:ソフィア・コッポラ
撮影:ランス・アコード
編集:サラ・フラック
衣装デザイン:ミレーナ・カノネロ
音楽:ブライアン・レイツェル
出演
マリー・アントワネット/マリア・アントーニア・ヨーゼファ・ヨハーナ・フォン・ハプスブルク=ロートリンゲン:キルスティン・ダンスト
ルイ16世/ルイ・オーギュスト:ジェイソン・シュワルツマン
ルイ15世:リップ・トーン
ノアイユ伯爵夫人:ジュディ・デイヴィス
デュ・バリー夫人:アーシア・アルジェント
マリア・テレジア:マリアンヌ・フェイスフル
ポリニャック伯爵夫人:ローズ・バーン
ヴィクトワール王女:モリー・シャノン
ソフィー王女:シャーリー・ヘンダーソン
ヨーゼフ2世:ダニー・ヒューストン
メルシー伯爵:スティーヴ・クーガン
フェルセン伯爵:ジェイミー・ドーナン
プロヴァンス伯爵夫人:クレメンティーヌ・ポワダッツ
シャール公爵夫人:オーロール・クレマン
ランバル公妃:メアリー・ナイ
ローモン:トム・ハーディ
アメリカ/フランス 映画
配給 コロンビア・ピクチャーズ
2006年製作 123分
公開
北米:2006年10月20日
フランス:2006年5月24日
日本:2007年1月20日
製作費 $40,000,000
北米興行収入 $15,962,470
世界 $60,917,190
■ アカデミー賞 ■
第79回アカデミー賞
・受賞
衣装デザイン賞
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
1770年、ハプスブルク君主国(神聖ローマ帝国)。
14歳の皇女マリア・アントーニア・ヨーゼファ・ヨハーナ・フォン・ハプスブルク=ロートリンゲン(キルスティン・ダンスト)は、フランス王国との関係強化のため、未来の王妃として同国に嫁ぐことになる。
母マリア・テレジア(マリアンヌ・フェイスフル)から、後見人である外交官メルシー伯爵(スティーヴ・クーガン)に従うよう言われたアントーニアは祖国を旅立つ。
国境で馬車を降りたアントーニアは、今後、身の回りの世話をすることになるノアイユ伯爵夫人(ジュディ・デイヴィス)をメルシーから紹介される。
引き渡しの儀式についてをノアイユ夫人から説明されたアントーニアは、祖国を捨てる準備をするよう言われる。 付き人と別れたアントーニアは、いつも一緒だった愛犬モップスもノアイユ夫人に取り上げられる。 涙しながら衣服を全て脱がされたアントーニアは、新しいドレスを着せられて馬車に乗り旅立つ。 引き渡しの儀式が行われる場所に着いたアントーニアは、”マリー・アントワネット”として国王ルイ15世(リップ・トーン)に迎えられる。 マリー・アントワネットは、国王の孫であるで結婚相手、王太子ルイ・オーギュスト(ジェイソン・シュワルツマン)を紹介され、まだ少年の彼に微笑む。 ヴェルサイユ宮殿に到着したマリー・アントワネットは、豪華な寝室などに案内される。 5月16日。 その夜、二人は、国王以下、関係者に見守られながらベッドに入る。 翌朝、国王は二人に何もなかったと知らされる。 ノアイユ夫人に声をかけられ起床したマリー・アントワネットは、高位の者の特権である気付けをするために全裸になる。 寒さに震えるマリー・アントワネットだったが、ランバル公妃(メアリー・ナイ)、シャール公爵夫人(オーロール・クレマン)、そして義妹プロヴァンス伯爵夫人(クレメンティーヌ・ポワダッツ)が次々と現れたため、なかなか下着をつけられない。 数十人もの前での朝食やノアイユ夫人の厳しい視線など、マリー・アントワネットは堅苦しい宮殿の生活に慣れようとする。 国王に寄り添う女性が公妾のデュ・バリー夫人(アーシア・アルジェント)だと知らされたマリー・アントワネットは、周囲が、平民である彼女を軽蔑していることに気づく。 マリー・アントワネットも何かと噂され、ルイ・オーギュストは彼女に興味を示さず、ベッドでも無関心だった。 懐妊の気配もないマリー・アントワネットを気遣う母マリア・テレジアは、メルシーを通じて努力するようにという伝言を伝る。 しかし、マリー・アントワネットの努力も実らず、彼女にとっては堅苦しい毎日が続く。 デュ・バリー夫人を毛嫌いする王女ヴィクトワール(モリー・シャノン)とソフィー(シャーリー・ヘンダーソン)の影響を受けるマリー・アントワネットは、夫人を冷遇するのは立場上良くないというマリア・テレジアからの手紙を受け取る。 デュ・バリー夫人を近づける方法を考えたメルシーは、彼女に声をかけるようマリー・アントワネットを説得する。 マリー・アントワネットはその指示に従いデュ・バリー夫人に話しかけ、国王は機嫌をよくする。 役目は果たしたと考えるマリー・アントワネットは、二度と夫人と話す気はなかった。 相変わらず趣味の狩猟や錠前のことばかり考えているルイ・オーギュストとの関係は進展がなく、マリー・アントワネットは、気の合うランバル公妃とばかり戯れていた。 義妹プロヴァンス伯爵夫人が先に懐妊した場合、自分が国民に恥をさらすことになるとルイ・オーギュストに伝えたマリー・アントワネットは、務めを果たすことを彼から約束される。 ルイ・オーギュストとマリー・アントワネットのことを心配する国王は、二人に医師の診断を受けさせる。 世継ぎのことで母マリア・テレジアにプレッシャーをかけられるマリー・アントワネットは焦らずに対処するのだが、義妹プロヴァンス伯爵夫人に男の子が誕生する。 それをルイ・オーギュストと共に祝福したマリー・アントワネットだったが、周囲の噂と視線が気になり動揺して涙する。 その後、マリー・アントワネットは浪費で気を紛らせる日々を送る。 正式な夜会にしか出席できない立場のマリー・アントワネットだったが、ランバル公妃に誘われて、ルイ・オーギュストと共に仮面舞踏会に出席する。 スウェーデンの軍人であるフェルセン伯爵(ジェイミー・ドーナン)に声をかけられたマリー・アントワネットは、彼の名前を聞いただけでその場を去る。 明け方となり、ルイ・オーギュストが帰りたがったため、マリー・アントワネットは宮殿に戻る。 ルイ・オーギュストとマリー・アントワネットは、国王が天然痘に罹り様態が悪化していることを知らされる。 1774年5月10日。 それにより、ルイ・オーギュストはフランス国王ルイ16世に、マリー・アントワネットは王妃となる。 6月11日、ノートルダム大聖堂(ランス)。 11月。 そんな時、兄である神聖ローマ皇帝・ヨーゼフ2世(ダニー・ヒューストン)が宮殿を訪れ、マリー・アントワネットは再会を喜ぶ。 ヨーゼフは、マリー・アントワネットの浪費壁やポリニャック伯爵夫人らとの交友関係などについて意見し、結局は世継ぎについての話になる。 国王ルイと話したヨーゼフは、必ず問題は解決するだろうという手紙を母マリア・テレジアに送る。 そして、ルイはマリー・アントワネットと愛し合い、懐妊した彼女は出産の日を待つ。 1778年12月19日。 ルイから”プチ・トリアノン宮殿”を贈られたマリー・アントワネットは、穏やかな日々を過ごす。 その後、アメリカ独立戦争で戦った軍人が招待された宮殿の祝宴で、マリー・アントワネットはフェルセン伯爵に再会する。 マリー・アントワネットはプチ・トリアノン宮殿でフェルセンと関係を持ち、やがて彼は戦場へと旅立つ。 空虚な日々が続き、マリー・アントワネットはヴェルサイユ宮殿に戻る。 その頃、国内は深刻な財政難となるが、ルイはアメリカへの派兵と援助を継続する。 貧困にあえぐ国民の王室に対する怒りは高まり、様々な噂が流れるものの、マリー・アントワネットは気にしない。 1780年11月。 1781年10月22日。 しかし、国民の不満は収まらず、マリー・アントワネットは徹底的に批判される。 1789年6月。 7月14日。 ルイと共に宮殿に残ることを決意したマリー・アントワネットは、避難するランバル公妃やメルシーに別れを告げる。 暴徒化した市民が宮殿敷地内に押入り、国王一家はパリのテュイルリー宮殿に連行される。 マリー・アントワネットは、ヴェルサイユ宮殿に別れを告げる。
...全てを見る(結末あり)
14歳のマリー・アントワネットと15歳のルイ・オーギュストの挙式が行われ、華やかな祝宴が催される。
デュ・バリー夫人は宮殿を去り、そしてルイ15世は崩御する。
ルイ16世の戴冠式が行われる。
マリー・アントワネットの19歳の誕生日の祝宴が盛大に開かれる。
マリー・アントワネットは無事に女の子を出産し、マリー・テレーズと名付けられる。
母マリア・テレジアが亡くなり、マリー・アントワネットは悲しみ喪に服す。
マリー・アントワネットは、ついに王太子ルイ=ジョゼフを出産し、宮殿は喜びに包まれる。
病弱だったルイ=ジョゼフは、結核のためわずか7歳半で生涯を閉じる。
悲しみが続く中、ルイとマリー・アントワネットは、市民がバスティーユ牢獄を襲撃したという報告を受ける。
*(簡略ストー リー)
1770年、ハプスブルク君主国(神聖ローマ帝国)皇女マリア・アントーニアは、フランス王国との関係強化のため、王太子ルイ・オーギュストと結婚することになる。
アントーニアは”マリー・アントワネット”として国王ルイ15世に迎えられ、ルイ・オーギュストと対面してヴェルサイユ宮殿に向かう。
そして、15歳のルイ・オーギュストと14歳のマリー・アントワネットは結婚式を挙げる。
ノアイユ伯爵夫人から王妃になる教育を受けながら、マリー・アントワネットは、世継ぎを待望する周囲の視線や噂さにプレッシャーを感じながら苦悩する日々が続く・・・。
__________
フランス革命により刑死したフランス王国王妃として余りにも有名なマリー・アントワネットの、政略結婚から革命によりヴェルサイユ宮殿を去るまでを描く歴史ドラマ。
製作、監督、脚本を兼ねるソフィア・コッポラの感性が光る作品で、音楽や映像のポップな感覚は、歴史劇でありながら現代劇を見ているような作風などが実に興味深い。
しかし、保守的なフランス人からすると複雑な内容だったようで、”第59回カンヌ国際映画祭”の試写会では批判を受けた。
事実と違う描写も多々あり、製作者側に史実を忠実に描こうとしてはいないのは明らかで、それほど堅苦しく考える必用はないと思うが。
フランス政府全面協力によるヴェルサイユ宮殿でのロケは必見で絢爛豪華な映像、第79回アカデミー賞で見事に衣装デザイン賞を授賞した、正に芸術品のようなコスチュームの数々も素晴らしい。
製作費は4000万ドルで、北米興行収入は約1600万ドルに留まり、全世界では約6100ドルだった。
ソフィア・コッポラの初監督作品「ヴァージン・スーサイズ」(1999)にも出演したキルスティン・ダンストは、マリー・アントワネット本人とはイメージが違うのだが、そこが、新感覚的な内容ともマッチし、キュートな少女から王妃を見事に演じている。
ルイ16世のジェイソン・シュワルツマン、その祖父王ルイ15世のリップ・トーン、主人公の女官ノアイユ伯爵夫人のジュディ・デイヴィス、ルイ15世の愛人デュ・バリー夫人のアーシア・アルジェント、主人公の母マリア・テレジアのマリアンヌ・フェイスフル、王家を食い物にするポリニャック伯爵夫人のローズ・バーン、ヴィクトワール王女のモリー・シャノン、ソフィー王女のシャーリー・ヘンダーソン、ヨーゼフ2世のダニー・ヒューストン、主人公の専属外交官メルシー伯爵のスティーヴ・クーガン、主人公と関係を持つフェルセン伯爵のジェイミー・ドーナン、主人公の義妹プロヴァンス伯爵夫人のクレメンティーヌ・ポワダッツ、女官のオーロール・クレマン、同じくランバル公妃のメアリー・ナイ、そしてトム・ハーデが端役出演している。