疎遠だった妹の結婚式に出席するために息子と実家を訪れた情緒不安定気味な作家が自分を見つめ直す姿を描く、監督、脚本ノア・バームバック、主演ニコール・キッドマン、ジェニファー・ジェイソン・リー、ジャック・ブラック、キアラン・ハインズ、ジョン・タトゥーロ他共演のドラマ。 |
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■ スタッフ キャスト ■
監督:ノア・バームバック
製作:スコット・ルーディン
脚本:ノア・バームバック
撮影:ハリス・サヴィデス
編集:キャロル・リトルトン
出演
ニコール・キッドマン:マーゴー
ジェニファー・ジェイソン・リー:ポーリン
ジャック・ブラック:マルコム
ゼイン・パイス:クロード
キアラン・ハインズ:ディック・クーズマン
ハリー・フェイファー:メイジー・クーズマン
ジョン・タトゥーロ:ジム
フローラ・クロス:イングリッド
セス・バーリッシュ:トビー
マシュー・アーキン:アラン
アシュリー・アトキンソン:ベッキー
マイケル・カレン:ヴォルジャー
イーニッド・グラハム:ヴォルジャー夫人
アメリカ 映画
配給 Paramount Vantage
2007年製作 92分
公開
北米:2007年11月16日
日本:未公開
製作費 $10,000,000
北米興行収入 $1,959,400
世界 $2,897,760
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
成功してはいるもののノイローゼ気味の作家マーゴー(ニコール・キッドマン)は、疎遠だった妹ポーリン(ジェニファー・ジェイソン・リー)の結婚式出席のため、11歳の息子クロード(ゼイン・パイス)と共に、ロングアイランドの実家に向かう。
友人もいないポーリンが、交際1年で結婚を決意したことをクロードに話すマーゴーは、絶対にうまくいかないと伝える。
自宅からの電話にも出ないマーゴーは、迎えに来たポーリンの婚約者マルコム(ジャック・ブラック)とポーリンの娘イングリッド(フローラ・クロス)の車に乗って、クロードと共に実家に向かう。
不躾で見た目も冴えないマルコムのことを、マーゴーは気にする。 実家に着いたマーゴーとクロードは、ポーリンに歓迎される。 マルコムが、頭はいいが無職で、絵を描いたり新聞に音楽批評を投稿しているだけだとポーリンから聞いたマーゴーは、彼が魅力もない自由人だということに不安を感じる。 妊娠したらしいということをマーゴーに話したポーリンは、マルコムとイングリッドには教えていないことを伝える。 お互いをどこかおかしな人種と決め付けているマーゴーとポーリンは、シックリこない。 夫ジム(ジョン・タートゥーロ)との離婚を考えるマーゴーは彼と電話で話し、それを受け入れてほしいと伝え、まだクロードには話さないようにと言われる。 その夜、クロードと話したマーゴーは、ポーリンが妊娠していることと、彼女の頭はおかしいと言い出す。 マーゴーの話の内容を気にするクロードは、薬を飲んだのではないかと考える。 ポーリンも、マーゴーの様子が普通でないことをマルコムに話す。 翌日、庭にある木に登るのが得意だったとポーリンから言われたマーゴーは、クロードにそれを見せようとしてその気になる。 木に登れたマーゴーは満足するが、下りられなくなってしまい、消防士を呼ぶことになる。 この地で対話集会を開く予定もあることをポーリンに話しながら、森を散歩していたマーゴーは、子供を乱暴に扱う隣人のヴォルジャー夫妻(マイケル・カレン/イーニッド・グラハム)に意見して言い合いになる。 その後、ヴォルガー家の子供の靴が落ちていたため、嫌がらせのように感じたマーゴーはショックを受ける。 午後になり、マーゴーは、迎えに来た仕事仲間のディック・クーズマン(キアラン・ハインズ)と出掛ける。 家に戻ったマーゴーは、ディックが対話集会の相手で、彼の小説を共同でシナリオ化していることえをポーリンらに話す。 ディックの家に招待されたマーゴーらだったが、送って来たマルコムは遠慮して帰ってしまう。 マーゴーとディックの関係を気にするクロードは、失神してプールに落ちてしまう。 ポーリンがクロードを助けて、マーゴーが彼を水から引き上げる。 家に帰ったマーゴーは、マルコムがディックの娘メイジー(ハリー・フェイファー)を見る目が気になることをポーリンに伝える。 森に向かったマーゴーは、子供の靴を拾いヴォルジャー家に届けに行き、メモを置いて去ろうとする。 家を覗いたマーゴーは、一頭の豚を処置している夫婦の異様な光景に驚く。 その後マーゴーは、子守を頼んだメイジーが、体臭が気になるとクロードに話す会話を聴いてしまう。 メイジーに気をつけるようにとクロードに忠告したマーゴーは、ポーリンとマルコムそしてディックと共に出かけることを伝える。 留守番をしたクロードは、ポーリンが妊娠していることをイングリッドに話してしまう。 外で音がすることに気づいたクロード、イングリッド、メイジーは、ヴォルジャー家で豚の丸焼きをしている様子を塀の隙間から覗く。 運転のことでポーリンと口論になったマルコムは車を止めて、森に走って行った彼女を追う。 その間、車の中で、家に来るようにとディックから誘われたマーゴーは、1年も口説かれ続けていたが、なかなかその気になれない。 メイジーを意識しているとイングリッドから言われたクロードはそれを否定し、戻って来たマーゴーの元に向かい一緒にベッドに入る。 妊娠を知ったイングリッドが動揺しているため、秘密をバラしたマーゴーに怒りを感じるポーリンは、支えになってほしいことをマルコムに伝える。 結婚を無理強いしたくなかったと言うポーリンは、マルコムに妊娠していることを話して喜んでもらえる。 ポーリンが、様々な薬といかがわしい写真やビデオを隠してあることを知ったマーゴーは、クロードに彼女は偽善者だと話す。 愛犬ウィザードがいなくなってしまい、皆で捜しに行ったマーゴーは、秘密をクロードに話したことをポーリンから責められ、話さなくても自分で察する子だと伝える。 マーゴーに祝福されたマルコムは、お陰で子供の件を知り、風変わりな自分の遺伝子が受け継がれることなどを話す。 隣の家に向かい、ヴォルジャーを結婚式に招待しようとしたポーリンとマルコムは、庭の木を切れと言われる。 その下で式を挙げると伝えたポーリンだったが、迷惑していると言われて、式に招待する話をするどころではなかった。 ヴォルジャーに何も言えなかったマルコムは、問題は隣人ではなくマーゴーで、殴りたいほどのバカな女だと批判する。 気を使っている自分の気持ちを理解せずにいると言って、マルコムはポーリンも批判するが、その場で彼女と愛し合い満足する。 現れたジムはポーリンに歓迎され、皆で食事をしながら、渡したプレゼントを開けるようマーゴーに促す。 それは山荘で吐くためのスリッパで、既に持っているために喜べないマーゴーは、ジムと共にドライブする途中で話し合うことになる。 愛犬を車に轢かれた女性を車に乗せて病院に連れて行ったジムだったが、マーゴーはバカなことをすると言って彼の親切心を批判する。 マーゴーの言動が可笑しいと思えたジムは、薬の飲み過ぎではないかと考える。 自分でもどうしていいか分からないマーゴーは泣き出してしまい、送った後で帰ってほしいとジムに伝える。 家に戻ったマーゴーはポーリンと話し、クロードにも情況をうまく言えないと伝える。 ディックと愛し合い、ジムと息子への愛情も曖昧であると話すマーゴーは、無視される年代になった女を抱く男は貴重だとポーリンから言われる。 一番大切な友達だとマーゴーに伝えたポーリンは、式に出席する気になった本当の理由は、ディックに会うためだったはずだと彼女に問う。 明確には答えないマーゴーは、マルコムとは結婚するべきではないと言って、釣り合う男がいるはずだとポーリンに助言する。 窓際にいたマーゴーは、ヴォルジャーがゴミ箱に何かを捨てたために注意する。 翌日、ゴミ箱を片付けていたマルコムは、豚の足を見つける。 イングリッドと共にウィザードを捜していたクロードは、現れたヴォルジャーの息子に襲われて痛めつけれれる。 家に戻り、それをマーゴーに知らせたクロードは、隣人を怒らせたせいだと言って母を非難する。 ポーリンと話したクロードは、自分達の結婚生活をネタにして記事に書かかれ、それが原因で破局したたために、マーゴーと絶縁状態になったことを知らされる。 ジムを山荘に帰したことをディックに話したマーゴーは、ここに住む気があると伝えるものの、誘ってはいないと彼から言われてしまう。 ポーリンとクロードも出席して対話集会が始まり、ディックがマーゴーに意地の悪い質問をしたため、彼女は動揺して傷ついてしまう。 マーゴーを気遣うクロードは、ポーリンといるように指示される。 誰よりもマーゴーが愛していることをクロードに伝えたポーリンは、今は彼女にとって難しい時期だが、心配いらないと言って安心させる。 翌日マーゴーは、クロードが変わってしまったと言って嘆き、彼はショックを受ける。 庭の木を切り始めたマルコムは、ポーリンとマーゴーの話などをしながら動揺し始め、涙ながらにメイジーと関係したことを話す。 憤慨したポーリンは、メイジーを追及しようとするものの逃げられてしまう。 娘メイジーからマルコムとの関係を知らされたディックは、彼を痛めつける。 マーゴーからマルコムと結婚してはダメだと言われたポーリンは、力になりたいと言う彼女に怒りをぶつけて追い出そうとする。 その時、イングリッドが木の近くに横たわていることに気づいたポーリンは、彼女を助ける。 愛犬ウィザードと共にマルコムが海岸から現れ、木は倒れて結婚式用のテントは潰れてしまう。 マーゴーとポーリンは、クロードとイングリッドを連れてその場を去る。 運転するマーゴーはブレーキが利かないことに気づき、何とか車を止めて歩き始めた4人は、フェリーに乗って町に向かいホテルに泊まる。 ジムに電話をしたマーゴーは、クロードを山荘に向かわせようとする。 自分のことをクロードに話したとポーリンから言われたマーゴーは、手帳に気づいた彼女から、また自分をネタにするのかと非難される。 母親の家に行くことを考えたマーゴーだったが、一緒にベッドに入ったポーリンから、山荘に行くようにと言われる。 どのようにして自分のことをクロードに話したのかとマーゴーから訊かれたポーリンは、直ぐ気が変わる人だと言ったと伝える。 翌日、マルコムに電話をしたポーリンは、彼から謝罪される。 母親と妹のベッキー(アシュリー・アトキンソン)が迎えに来たことに気づき、ポーリンとイングリッドは二人の元に向かう。 クロードをバスに乗せようとしたマーゴーは、自分に責任転嫁しようとするポーリンやダメな男のマルコムのことなどをクロードに話しながら、混乱して涙する。 自分のせいで式を台無しにしたのではないとクロードに伝えたマーゴーは、一緒にいたいと言う彼に山荘に向かうよう指示する。 クロードを無理矢理にバスに乗せたマーゴーだったが、出発したバスを追いかけて止める。 バスに乗ったマーゴーはクロードの横に座り、必至にはしたので息が切れたと伝える。
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*(簡略ストー リー)
ロングアイランド。
ノイローゼ気味の作家マーゴーは、疎遠だった妹のポーリンの結婚式に出席するため、11歳の息子クロードと共に実家を訪れる。
ポーリンの婚約者マルコムが、魅力もない自由人だということを不安に思うマーゴーは、お互い、おかしな人種と決め付けているポーリンとの仲もシックリこない。
夫ジムとの離婚を考えるマーゴーは、仕事仲間のディックに口説かれるていたが、その気にもなれない。
ポーリンの妊娠を知ったマーゴーは、それをクロードに話してしまい、彼からその件を知らされたポーリンの娘イングリッドは動揺してしまう。
秘密を話したマーゴーをポーリンは批判し、その後、家族、姉妹の間で騒動が続けて起きる・・・。
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日本では未公開に終わった作品ではあるが、まず、”Margot”は通常”マーゴー”と読むのが正しいし、その読み方に加えて、このおかしな邦題には頭を傾げてしまう・・・。
魅力的なキャスティングではあるが、拡大公開されることなく、商業的な成功を狙った作品ではない。
監督は、主人公の妹役ジェニファー・ジェイソン・リーの当時の夫でもあるノア・バームバック。
元々の性格でもあるようにも思わせる、また薬のせいかが不明な、ノイローゼ気味の主人公と妹の関係を描きながら、主人公の息子クロードの視線で捉えている雰囲気を感じさせる、ノア・バームバックの演出に注目したい。
離婚問題や、母親離れができない思春期に差し掛かった少年の心の変化、戸惑いなどが繊細に描かれている。
11歳の息子を持つ母親には見えない、相変わらず美しさが際立つニコール・キッドマンは、情緒不安定気味でわがままな女流作家を好演している。
主人公を上回る存在感を見せて熱演する妹役のジェニファー・ジェイソン・リーは、実はニコール・キッドマンよりも5歳も年上なのに、姉妹関係の違和感を感じない。
いかにもダメ男風の妹の婚約者を彼らしく演ずるジャック・ブラック、母離れが出来ない、難しい年頃の主人公の息子ゼイン・パイス、主人公の仕事仲間兼愛人になりつつあるキアラン・ハインズ、その娘ハリー・フェイファー、主人公の夫ジョン・タトゥーロ、妹の娘役フローラ・クロス、主人公らの友人セス・バーリッシュとマシュー・アーキン、主人公の妹アシュリー・アトキンソン、隣人夫妻マイケル・カレンとイーニッド・グラハムなどが共演している。