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馬上の男 Man in the Saddle (1951)

元恋人の結婚相手の嫉妬により命を狙われる牧場主の戦いを描く、監督アンドレ・ド・トス、主演ランドルフ・スコットジョーン・レスリーエレン・ドリューアレクサンダー・ノックスリチャード・ローバージョン・ラッセル他共演の西部劇。

アカデミー賞 ■ ストーリー ■ 解説


西部劇


スタッフ キャスト
監督:アンドレ・ド・トス

製作:ハリー・ジョー・ブラウン
原作:アーネスト・ヘイコックス”Man in the Saddle”
脚本:ケネス・ガメット
撮影:チャールズ・ロートンJr.
編集:チャールズ・ネルソン
音楽:ジョージ・ダニング

出演
オーウェン・メリット:ランドルフ・スコット
ローリー・ビドウェル・アイシャム:ジョーン・レスリー
ナン・メロッティ:エレン・ドリュー
ウィル・アイシャム:アレクサンダー・ノックス
フェイ・ダッチャー:リチャード・ローバー
ヒュー・クラッグ:ジョン・ラッセル
カルタス・チャーリー:アルフォンソ・ベドヤ
バーク・プライン:グイン”ビッグ・ボーイ”ウィリアムズ
ペイ・ランカーシム:クレム・ビヴァンス
リー・レップ:フランク・サリー
ジョージ・ヴァード:キャメロン・ミッチェル
ジューク・ヴァード:リチャード・クレイン
牧童:テネシー・アーニー・フォード
ラヴ・ビドウェル:ドン・ベドー

アメリカ 映画
配給 コロンビア・ピクチャーズ
1951年製作 87分
公開
北米:1951年12月2日
日本:未公開


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー
スカル牧場の牧童頭フェイ・ダッチャー(リチャード・ローバー)は町の酒場に向かい、牧場主ウィル・アイシャム(アレクサンダー・ノックス)の結婚式が行われることを皆に伝える。

牧場主のオーウェン・メリット(ランドルフ・スコット)は、恋人のローリー・ビドウェル(ジョーン・レスリー)をアイシャムに奪われたことで、仲間のバーク・プライン(グイン”ビッグ・ボーイ”ウィリアムズ)とペイ・ランカーシム(クレム・ビヴァンス)から、何か行動するようにと言われるものの、その気はなかった。

牧童のジューク・ヴァード(リチャード・クレイン)とジョージ(キャメロン・ミッチェル)兄弟に絡むダッチャーを制止したオーウェンは、その場を去ろうとする。
...全てを見る(結末あり)

現れたアイシャムに呼び止められたオーウェンは、結婚に不服があるなら聞くと言われたため、心から幸運を祈ると伝える。

オーウェンと乾杯しようとしたアイシャムは、結婚式の前に飲むわけにはいかないと言って、今夜の酒代は自分のおごりだと伝えてその場を去る。

ダッチャーに声をかけられて立ち止まったオーウェンは、酔った牧童のベイルが、今回の結婚のことで侮辱するために殴り倒す。

自分がケリをつけると言うダッチャーはベイルを殴り、帰るようにと伝える。

ダッチャーからおごると言われたオーウェンは、それを断りその場を去る。

わざと人前で乾杯させられたと言うバークは、応じるべきではなかったとオーウェンに伝える。

自分ならローリーを連れて逃げるともバークは話し、オーウェンは、彼女を見たが笑顔ではなかったとも言われ、ホテルの二階に向かう。

ローリーの友人出もある隣人のナン・メロッティ(エレン・ドリュー)に声をかけたオーウェンは、ローリーと話したいことを伝える。

このままでいいのかとローリーに伝えたオーウェンは、意思は尊重すると伝える。

後悔はしないということを確認したオーウェンは、それならば幸運を祈るだけだと言って去ろうとする。

結婚式に誘われたオーウェンはそれを断り、今でも思っていると言うローリーに、君の野心に負けたことを伝える。

放浪ばかりしている相手を待ってはいられなかったと言うローリーは、心に決めたことは変わらないと伝えて、オーウェンにキスされて別れを告げる。

待っていたバークに再び責められたオーウェンは、彼と共に牧場に向かう。

結婚式は終わり、ダッチャーの仲間であるヒュー・クラッグ(ジョン・ラッセル)に誘われたナンは、土曜の夜のダンスには付き合うと伝える。

父ラヴ(ドン・ベドー)と話したローリーは、アイシャムの金を当てにする彼を追い払う。

ペイと二人で話をしたアイシャムは、5万ドルで牧場を買い取ることを提案し、何でも半分では気が済まないので、共有の池を自分のものにしたいと伝える。

仕方なく牧場を売ることに同意したペイが、オーウェンからローリーを奪ったと口にしたため、アイシャムはその言葉を気にする。

アイシャムは、二度と牧場には近づくなとペイに伝える。

父が旅立ったことをローリーから知らされたアイシャムは、彼女の望みを訊く。

既に手に入れたと言うローリーは、今までの生活から抜け出せたことに対し、アイシャムに感謝する。

結婚した以上は失望はさせないと言われたアイシャムは、結婚は契約かと尋ねる。

何かを期待させたか確認しようとするローリーに、君は正しいと言うアイシャムは、休むようにと伝える。

オーウェンの隣人になったことをアイシャムから知らされてダッチャーは、自分の出番であり、早く手を打たないとローリーは彼をいつまでも忘れないと考える。

それを気にするアイシャムは、心穏やかではなかった。

翌日、自分の牛をオーウェンに預けに来たナンは、ペイが仲間ではなくなり、アイシャムに牧場を売ったことを知る。

スカル牧場が隣になることを気にするナンは、揉め事に関わらずに、元恋人のことは忘れるようにとオーウェンに助言する。

ナンは、キャトル・ドライブに出発するオーウェンに牛を任せる。

その夜、ダッチャーらはオーウェンらの野営地を襲い牛を暴走させる。

バークに牛を追うよう指示したオーウェンは、走り去った幌馬車を追う。

幌馬車に乗り移ったオーウェンだったが、ランプが落ちて火が燃え移る。

馬車を捨てたオーウェンは、ジュークが牛の下敷きになったことをジョージから知らされる。

ジュークの死を確認したオーウェンは、先に撃たれていることに気づく。

ダッチャーらの仕業だと考えるバークは、奴らの狙いは自分だと言うオーウェンに、ローリーのことは忘れて反撃するべきだと伝える。

弟ジュークの復讐を考えるジョージが町に向かったため、オーウェンとバークは彼を追う。

町に着いたジョージは、酒場にいたダッチャーらを犯人と決めつけ、そこにオーウェンとバークが現れる。

バーテンダーがランプを撃ったために、暗闇の中で撃ち合いが始まり、ダッチャーらはその場から逃げる。

ベイルの死を確認したジョージは、供養になったとオーウェンに伝える。

翌日、ローリーと共に町に現れたアイシャムと話したオーウェンは、迷惑をかけられたことで、今後は遠慮しないと伝える。

自分のものに近づくなと伝えたアイシャムは、オーウェンから、しっかり捕まえておくようにと言われる。

その夜、ローリーが現れたことを知ったジョージは、オーウェンから誰にも話すなと言われ、コックのカルタス・チャーリー(アルフォンソ・ベドヤ)と共に家に入る。

危険を承知で来たローリーと話したオーウェンは、プライドが高いアイシャムが、今でも自分があなたのことを好きだと思っていると言われる。

戦いは無謀だと言うローリーは、土地を売ることを提案するものの、オーウェンは、その考えはないと伝える。

説得できないことを残念に思うローリーは、自分のせいで更に人が死ぬかもしれないと考える。

自分が夫を捨てて、一緒に逃げる提案をしたら土地を売るかと訊かれたオーウェンは、その気持ちは本気であり、明日また来ると言って帰るローリーを見送る。

その様子をヒューが監視していた。

その後、オーウェンは襲撃を受けて、ジョージが何者かに撃たれて死亡する。

翌朝、チャーリーと共にスカル牧場に向かったオーウェンは、牧童の宿舎を襲撃する。

牧童のリー・レップ(フランク・サリー)に、仲間を撃った者は誰か訊いたオーウェンは、ダッチャーが現れたためにその場から逃れる。

ダッチャーは、オーウェンがジョージの敵を討ちに来たことをレップから知らされる。

数日、留守にすることをローリーに伝えるようチャーリーに指示したオーウェンは、牧場に戻る。

何者かが現れたことに気づいたオーウェンは身を潜めるものの、ダッチャーに脚を撃たれてしまう。

銃声が聴こえたナンは、オーウェンの牧場だと気づく。

誰かが来ると言われたダッチャーは、やたらに発砲したレップを責めてその場から逃れる。

牧場に着いたナンは、隠れていたオーウェンから声をかけられ、彼を家に連れて行き傷の手当てをして休ませる。

翌日、ダンスの約束をしたナンの家を訪ねたヒューは、血の付いた布を見つける。

ナンがオーウェンと一緒だと知り嫉妬したヒューは、二人を殺すことを考える。

オーウェンと殺し合いを始めたアイシャムを批判するローリーは、オーウェンを殺すと知っていたら結婚したか訊かれ、酷い質問だと伝える。

チャーリーが追跡が得意だと知ったバークは、オーウェンを捜すよう指示する。

自分を見張っているレップに銃を向けたローリーは、牧場を離れる。

山でナンを見つけたヒューは、馬車から荷物を運ぶ彼女の後を追う。

山小屋で安静にしていたため回復してきたオーウェンは、安らぎを与えてくれたナンに感謝する。

そこにヒューが現れ、銃を向けられたオーウェンは、ナンとの関係を疑われ、隙を見て彼に襲い掛かり格闘になる。

外に出て土手を転げ落ちながらも殴り合うオーウェンとヒューを、銃を持ったナンが追う。

ヒューは馬で走り去り、ナンが持っていた銃で発砲したオーウェンは、彼女が侮辱されたことが許せなかった。

ナンから、人殺しはやめてほしいと言われたオーウェンは冷静になる。

現れたヒューから、オーウェンがロック・キャニオンの隠れ家にいることを知らされたアイシャムは、男のために平気で裏切る女と一緒だと言われたために彼を銃撃する。

相手はローリーではないと言うヒューを射殺したアイシャムは、追跡するために出発する。

バークとチャーリーに合流したオーウェンは、スカル牧場の襲撃を提案されるものの、別の計画があると伝える。

オーウェンが尚も戦おうとしていると考えたナンは、帰ると言ってその場を去る。

ナンを引き留めることができなかったオーウェンは、襲撃だけを考えるバークに、それでは平和は保てないと伝える。

追跡を続けるアイシャムだったがオーウェンは見つからず、ダッチャーは休息が必要だと彼に伝える。

レップを捕らえたバークはオーウェンらの元に連れて行き、ナイフの名手であるチャーリーが彼を脅す。

オーウェンは、ダッチャーがジュークとジョージを殺し、命令したのはアイシャムであり、ヒューも殺されたことレップに白状させる。

ヒュー殺しを知ったオーウェンが町に向かったという情報を得たアイシャムは、先回りすることをダッチャーに伝える。

町に向かい、オーウェンのことをナンに尋ねたローリーは、アイシャムも彼を追っていることを知る。

オーウェンが怪我をしていることもローリーに知らせたナンは、置き去りにしてきた理由を訊かれ、アイシャムと同じで自分も半分では嫌だと答え、牧場に向かおうとするものの思い止まる。

ダッチャーらが到着して酒場に向かい、戦いが始まることを察した人々は怯える。

アイシャムの部屋に向かったローリーは、オーウェンと決着をつけようとする彼の考えを確認する。

オーウェンとは違い、君の心を奪うことが自分にはできないようだと言うアイシャムは、死んだ男を愛し続けるがいいとローリーに伝える。

メキシコ人に扮して町に入ったオーウェンらは、保安官の元に向かう。

変装したオーウェンらが町に来て、保安官事務所に向かったことを知ったダッチャーは、その場に向かう。

アイシャムのヒュー殺害を保安官に証言したレップを牢屋に入れさせたオーウェンは、ダッチャーらが現れたために、裏口から、アイシャムがいるホテルに向かおうとする。

バークから、アイシャムと撃ち合う時にはローリーのことは忘れろと言われたオーウェンは、一人でホテルに向かう。

押し入ったダッチャーは、オーウェンがアイシャムを捕えに行ったことをバークから知らされる。

ホテルの部屋に入り、アイシャムの銃を奪ったオーウェンは、ヴァード兄弟の殺害を命じてヒューを殺したことを確認し、レップの証言もとったと伝えて告白状を見せる。

取引を提案したオーウェンは、牧場を売って町を去るようにとアイシャムに伝える。

それに同意することをアイシャムに求めたローリーは、妻としてついていくことを伝えて彼を説得する。

アイシャムは、君も勝ったが自分も勝ったとオーウェンに伝える。

ロビーに現れたダッチャーは、制止するアイシャムを銃撃してしまい、入ってきたナンを人質に取る。

契約を守ってくれたことに感謝し、牧場は譲るとローリーに伝えたアイシャムは息を引き取る。

ダッチャーから、雇い主が死ねば争う理由がないと言われたオーウェンは、ヴァード兄弟の件があると伝える。

外に逃げたダッチャーを追い詰めたオーウェンは、隙を見て反撃しようとする彼を射殺する。

オーウェンに駆け寄ったナンは、彼が再び怪我をしたことを知り、学ばない人だと伝える。

教えてほしいと言うオーウェンは、ナンと共にその場を去る。

チャーリーは、風に舞ってきたダッチャーの洒落たテンガロンハットを手に入れる。


解説 評価 感想
*(簡略ストー リー)
牧場主のオーウェン・メリットは、野心家であるために富を選び、大牧場主のアイシャムとの結婚を選んだ元恋人ローリーの考えを尊重していた。
しかし、ローリーの心を奪えないと判断したアイシャムは、ペイの牧場を手に入れてオーウェンの隣人となり彼を牽制する。
牧童頭ダッチャーに、オーウェンの牛の襲撃を命じたアイシャムは、それを実行させる。
卑劣な手段で牧童のヴァード兄弟を殺されたオーウェンは、仲間のバークらと共にアイシャムと戦う決心をするのだが・・・。
__________

1938年に発表された、アーネスト・ヘイコックスの小説”Man in the Saddle”を基に製作された作品。

冒頭は、野心のために富を求めて去った恋人の気持ちは尊重しつつ、心にしこりを残した牧場主が、彼女の幸せを願い、自分の生きる道を見極めている様子が描かれ、穏やかに物語は始まる。

結婚を”契約”と考え、役目だけを果たそうとする妻の元恋人への思いを知った牧場主が、卑劣な手段で相手を追い詰めようとする中盤から、一気にドラマは盛り上がる。

興味深いのは、恋人を捨てた女性よりも、主人公の隣人女性の存在が彼に大きな影響を与えていく展開であり、互いを尊重しながら助け合い、やがて結ばれるだろうという雰囲気で終わるラストもいい。

主人公の敵役である憎き牧場主も、死の間際で、結婚の”契約”を守ってくれた妻に感謝する姿なども描かれ、救われたような気分にもなる。

主演のランドルフ・スコットは、復讐や戦いだけでは物事が解決できないことを改めて学ぶ牧場主を熱演している。

野心のために富を選ぶものの、主人公への気持ちを捨てきれないジョーン・レスリー、彼女よりも重要度が高い役柄を演ずる真のヒロインと言える、物事を冷静に判断しながら主人公に助言する隣人のエレン・ドリュー、妻の心を奪えずに嫉妬して邪魔者を排除しようとする牧場主のアレクサンダー・ノックス、その牧場の牧童頭というよりもガンマンである殺し屋と言っていいリチャード・ローバー、その仲間であるジョン・ラッセル、主人公に雇われるコックのアルフォンソ・ベドヤ、主人公に助言する頼りになる仲間のグイン”ビッグ・ボーイ”ウィリアムズ、主人公の隣人である牧場主のクレム・ビヴァンス、ダッチャー(リチャード・ローバー)の仲間であるドジを踏むフランク・サリー、主題歌を歌う牧童のテネシー・アーニー・フォード、殺される牧童兄弟のキャメロン・ミッチェルリチャード・クレイン、ローリー(ジョーン・レスリー)の父親リチャード・クレインなどが共演している。


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