テレビ局を辞めて作家を目指す中年男性を中心に彼を取りまく者達の複雑な恋愛関係などをウディ・アレンの監督、脚本、主演で描くコメディ・ドラマ。 出演ダイアン・キートン、マリエル・ヘミングウェイ、メリル・ストリープ、マイケル・マーフィー。 |
■ スタッフ キャスト ■
監督:ウディ・アレン
製作総指揮:ロバート・グリーンハット
製作
チャールズ・H・ジョフィ
ジャック・ローリンズ
脚本
ウディ・アレン
マーシャル・ブリックマン
撮影:ゴードン・ウィリス
編集:スーザン・E・モース
音楽:ジョージ・ガーシュウィン
出演
アイザック・デイヴィス:ウディ・アレン
メリー・ウィルキー:ダイアン・キートン
エール・ポラック:マイケル・マーフィー
トレイシー:マリエル・ヘミングウェイ
ジル・デイヴィス:メリル・ストリープ
エミリー・ポラック:アン・バーン
ジェレマイア:ウォーレス・ショーン
アメリカ 映画
配給 ユナイテッド・アーティスツ
1979年製作 96分
公開
北米:1979年4月25日
日本:1980年2月23日
北米興行収入 $39,946,780
■ アカデミー賞 ■
第52回アカデミー賞
・ノミネート
助演女優賞(マリエル・ヘミングウェイ)
脚本賞
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
ニューヨーク、マンハッタン。
テレビ番組のコメディ・ライターで、2度の離婚歴がある42歳のアイザック・デイヴィス(ウディ・アレン)は、いつものようにレストランで、親友の教師エール・ポラック(マイケル・マーフィー)と話し込んでいた。
アイザックは、”ダルトン・スクール”に通う17歳の学生トレイシー(マリエル・ヘミングウェイ)を、エールは妻のエミリー(アン・バーン)を同伴していた。
トレイシーが、翌日に試験だということもあり、店を出たアイザックは、エールから、ある女性に恋してしまったという話を聞かされる。
エールとエミリーが理想の夫婦だと思っていたアイザックは少々驚いてしまい、適切な助言もできない。
翌日アイザックは、自分達の関係についての告白本を書こうとしている、2番目の妻ジル(メリル・ストリープ)に、それを止めるよう言い寄るが、彼女に相手にされない。
そんなアイザックは、楽しんではいるのだが、トレイシーとの関係で彼女に遠慮してしまう。
トレイシーはそれを気にせず、彼女の方が積極的に関係を迫っていた。
ある日、美術館にいたアイザックとトレイシーは、エールと、噂の女性メリー・ウィルキー(ダイアン・キートン)に出くわす。 アイザックは、ラドクリフ大学出身の編集者だというメリーが、知識をひけらかして、何事も批判する態度に我慢できない。 買物があると言って、その場を立ち去ったアイザックは、メリーに対する不満をトレイシーにぶつけるが、彼女はそれを気にしない。 テレビ局では、ばかげた番組に憤慨して仕事を辞めてしまうものの、アイザックは、一気に生活が苦しくなると言ってエールに愚痴をこぼす。 エールは、これが転機になると言って、そんなアイザックを励ます。 数日後、美術館のパーティーに出席したアイザックは、そこでメリーに再会する。 メリーを好かないはずのアイザックは、彼女と夜の街を歩き、ゲイだったために別れた、ジルや子供のことなどを話すうちに、意気投合する。 アイザックは、大学教授との結婚歴もあるというメリーと”クイーンズボロ橋”に向かい、夜明けまで話し込む。 メリーと別れたアイザックは、エールに電話をして、彼女への気持ちは変わらないかを尋ねる。 息子に会いにジルの家を訪ねたアイザックは、再び本のことで口論になるが、彼女は考えを変えない。 日曜日、メリーに散歩に誘われたアイザックは、食事やその後のデートに誘われるが、作家活動を始めていた彼は時間を作れないことを伝える。 トレイシーと食事をしたアイザックは、彼女がロンドンの音楽演劇学校に入学できそうだということを知らされる。 アイザックはトレイシーに同行を求められるが、自分の道を歩むよう語り、彼女のリクエストで”セントラル・パーク”に馬車で向かう。 誘いに応じないことがあるエールに腹を立てるメリーは、エミリーとは別れるという彼に、家庭は壊したくないと言って混乱してしまう。 アイザックは、小さなアパートに引っ越すが、物音が気になり眠れない。 このままの生活を続けることのできないメリーとエールは、関係を解消することになり、彼女はアイザックのアパートに寄り不満をぶちまける。 心の荷が下りたエールは、アイザックにメリーと付き合うことを勧める。 アイザックとメリーは親交を深め、やがて二人は自然に愛し合うようになる。 トレイシーに会ったアイザックは、他の女性を愛していることを伝える。 アイザックに、同世代と付き合うよう助言されたトレイシーは傷ついてしまう。 その後、エミリーがメリーに会いたがり、アイザックはエールにそれを確認して4人は顔を合わせる。 アイザックは、意識し合うメリーとエールが気になる。 ある日メリーは、アイザックとのデート中に元夫ジェレマイア(ウォーレス・ショーン)に出くわす。 アイザックは、ジェレマイアが、メリーの話で想像していた人物とかけ離れていたために驚いてしまう。 そんな時、ジルの本が出版されて、それをメリーやエールにからかわれ、アイザックは意気消沈してしまう。 ジルの元に向かったアイザックは不満をぶつけるのだが、何も聞き入れない彼女に、映画化の話まであると言われてしまう。 そのことをメリーに話したアイザックだったが、彼女は、エールを未だに愛していることを伝える。 ショックを受けたアイザックは怒る気にもなれず、必ず破局すると予測してその場を去る。 学校で授業中のエールの元に向かい、アイザックは、理解できない彼とメリーの関係を痛烈に批判する。 その後、エミリーに会ったアイザックは、彼女がエールの浮気に気づいていたことなどを知り、トレイシーと別れたことを後悔していることなどを伝える。 エミリーは、アイザックがメリーをエールに紹介したために今回の状況に至ったと考え、彼を恨んでいることを伝えるが、アイザックは言葉を返さなかった。 アイザックは、小説のアイデアをテープレコーダーに録音していたが、ふとトレイシーを思い出し彼女の元に向かう。 ロンドンに旅立つトレイシーを引き止めたアイザックだったが、18歳になった彼女は、経験を積めと言われた助言に従うことを伝える。 トレイシーは、半年後に戻る自分が、変わらないことを信じるよう伝えて、戸惑うアイザックを納得させる。
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*(簡略ストー リー)
ニューヨーク、マンハッタン。
テレビ番組のコメディ・ライターで、二度の離婚歴がある42歳のアイザック・デイヴィスは、17歳の学生トレイシーと付き合っていた。
アイザックは、親子ほど年の違う関係に遠慮気味で、トレイシーの方が積極的だった。
そんなアイザックは、親友のエールから、妻以外の女性に恋してしまったことを知らされる。
同じ頃アイザックは、子供もいながらゲイだと分かり離婚した二番目の妻ジルが、自分達のことを告白本にして出版することを知り、彼はそれを阻止しようとするものの相手にされない。
その後、エールの浮気相手のメリーに会ったアイザックは、知性を自慢して何事も批判する彼女の態度が我慢できない。
テレビ局では意見が合わず、辞職してしまったアイザックは、一転、作家を目指そうとする。
そんな時アイザックは、メリーに再会して、好きになれないはずの彼女と意気投合し、街を歩きながら、明け方まで話し込んでしまう・・・。
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ジョージ・ガーシュウィンの”ラプソディ・イン・ブルー”をバックに映し出される、モノクロ画面によるマンハッタンの景色・・・。
ウディ・アレン作品であることを考えながら、その雰囲気のある描写に、思わず引き込まれてしまう。
粋なオープニングに酔いしれていると、観ている者にとっては理解できないような、混沌とした恋愛関係が展開する。
小説のアイデアを考える、主人公のセルフにあるように、必要でもない精神的な問題を、次々と作り出そうとする”マンハッタン”の人々の物語という、気の利いたフレーズが印象に残る。
終始、子供にしか見えなかった主人公の恋人の少女が、彼の言葉によって大人に成長し、逆に主人公を納得させるラスト、そのシニカルな描写も秀逸だ。
第52回アカデミー賞では、助演女優(マリエル・ヘミングウェイ)と脚本賞にノミネートされた。
年齢差を考えれば理解できないでもないが、若い恋人の純粋な愛を受け入れないために、哀れな男としてラストを迎える主人公ウディ・アレン、理解不能な言動はあるものの、魅力的な都会人としての一面も見せるダイアン・キートン、彼女との関係を断ち切れずに、友人である主人公を傷つけてしまうマイケル・マーフィー、その妻役で、当時のダスティン・ホフマン夫人アン・バーン、少女から大人の考えに成長するラストは、逞しささえ感じるマリエル・ヘミングウェイ、主人公の元妻役メリル・ストリープ、ヒロインの元夫ウォーレス・ショーンなどが共演している。