偶然に起きる運命のいたずら・・・それに関わる複数の男女が体験する一日を描く、製作、監督、脚本ポール・トーマス・アンダーソン、フィリップ・ベイカー・ホール、ウィリアム・H・メイシー、ジェイソン・ロバーズ、トム・クルーズ、ジュリアン・ムーア、フィリップ・シーモア・ホフマン、メリンダ・ディロン、ジョン・C・ライリー、アルフレッド・モリーナ他共演による群像劇。 |
・ドラマ
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■ スタッフ キャスト ■
監督:ポール・トーマス・アンダーソン
製作
ポール・トーマス・アンダーソン
ジョアンナ・セラー
製作総指揮
マイケル・デ・ルカ
リン・ハリス
脚本:ポール・トーマス・アンダーソン
撮影:ロバート・エルスウィット
編集:ディラン・ティチェナー
音楽:ジョン・ブライオン
出演
ジミー・ゲイター:フィリップ・ベイカー・ホール
”クイック・キッド”ドニー・スミス:ウィリアム・H・メイシー
アール・パートリッジ:ジェイソン・ロバーズ
フランク・T・J・マッキー:トム・クルーズ
リンダ・パートリッジ:ジュリアン・ムーア
フィル・パルマ:フィリップ・シーモア・ホフマン
ローズ・ゲイター:メリンダ・ディロン
クローディア・ウィルソン・ゲイター:メローラ・ウォルターズ
ジム・カーリング:ジョン・C・ライリー
スタンリー・スペクター:ジェレミー・ブラックマン
リック・スペクター:マイケル・ボウエン
グエノヴィア:エイプリル・グレイス
ルイス:ルイス・ガスマン
バート・ラムゼイ:リッキー・ジェイ
ソロモン・ソロモン:アルフレッド・モリーナ
アラン・キングマン:マイケル・マーフィー
ジミー・ゲイター(青年期):トーマス・ジェーン
デルマー・ダリオン:パットン・オズワルド
エドマンド・ウィリアム・ゴッドフリー卿/若い薬剤師:パット・ヒーリー
サーストン・ハウエル:ヘンリー・ギブソン
フェイ・バリンジャー:ミリアム・マーゴリーズ
アメリカ 映画
配給 ニュー・ライン・シネマ
1999年製作 188分
公開
北米:1999年12月17日
日本:2000年2月20日
製作費 $37,000,000
北米興行収入 $22,455,980
世界 $48,451,800
■ アカデミー賞 ■
第72回アカデミー賞
・ノミネート
助演男優(トム・クルーズ)
脚本・歌曲賞
一時曇り、雨の確立82%
ロサンゼルス郊外。
警官のジム・カーリング(ジョン・C・ライリー)は、通報を受けてある家に向かい死体を見つける。
癌で死にかけている夫アール・パートリッジ(ジェイソン・ロバーズ)のことを考え動揺するリンダ(ジュリアン・ムーア)は、死を受け入れるよう医師に助言される。
アールは、看護人フィル・パルマ(フィリップ・シーモア・ホフマン)に、息子がいることを話す。
フィルは、”フランク・T・J・マッキー”と名乗る息子を、捜し出してほしいとアールに頼まれる。
フランク(トム・クルーズ)は、女性の口説き方を男性に教える過激な指南役としてカリスマ的な人物だった。
アールが製作者である、子供番組のクイズ・ショーのホスト、ジミー・ゲイター(フィリップ・ベイカー・ホール)は、コカイン中毒の娘クローディア(メローラ・ウォルターズ)に会いに行く。 興奮するクローディアは、自分は癌で死にかけていると言うジミーを罵り、部屋から追い出してしまう。 かつて天才クイズ少年と言われ、ジミーの番組で活躍したドニー・スミス(ウィリアム・H・メイシー)は、同性愛者であり必要もないのに歯の矯正をしていた。 上司ソロモン・ソロモン(アルフレッド・モリーナ)に呼ばれたドニーは、そのことなどを追及する彼に解雇される。 現場検証は始まり、喧嘩の絶えなかった家族の、殺人事件の犯人を知っているという少年の話をジムは無視する。 時々雨、湿度99%、南東の風5メートル ジミーは、クローディアの件を妻ローズに電話で伝える。 イベント会場を沸かしたフランクは部屋に戻り、グエノヴィア(エイプリル・グレイス)のインタビューを受ける。 近所の苦情を受けたジムは、クローディアの家に向かい、音楽やテレビのボリュームを下げるよう注意する。 怒鳴り声も聞こえたということを伝えたジムは、念のために部屋を調べる。 矯正費用など借金返済のことで悩むドニーはバーに向かい、裕福そうな老人サーストン・ハウエル(ヘンリー・ギブソン)に近づき”愛”を語る。 リンダは薬局に向かい、大量の薬を受け取ろうとするが、若い薬剤師(パット・ヒーリー)は、その多さに驚く。 クイズ・ショーは始まり、少年スタンリー・スペクター(ジェレミー・ブラックマン)らは、大人チームのルイス(ルイス・ガスマン)ら三人と対戦する。 ホストのジミーが登場してクイズは始まり、スタンリーは大人達を寄せ付けない回答をする。 配達業者に男性誌を注文したフィルは、それに掲載されているフランクの広告を見て電話を掛ける。 フィルは、受付だという担当者に緊急事態だと言って、死にかけている人物の世話をしていることを伝え、フランクがその息子だということを説明する。 インタビューを続けるフランクは、グエノヴィアには父親が死んだと答える。 リンダは、あれこれ詮索する薬剤師に腹を立てて罵りその場を去る。 フランクは、大学での調査で名前を変えたのではないかとグエノヴィアに指摘されるが、動じることなく正式な学生でなかったと答える。 ジミーは、体調に異変を感じながら番組を続ける。 ジムはクローディアにコーヒーをご馳走になり、揉めた相手が恋人ではないと言う彼女の話を聞く。 第一ラウンドが終わり、舞台裏に向かったジミーは気分が悪くなり、スタンリーはトイレを我慢できないことをアシスタントに伝える。 アールが発作を起こし、電話を掛けながら薬を床に落としてしまったフィルは焦り、彼にそれを飲ませる。 アシスタントに自分が胃癌で2ヶ月の命だと伝えたジミーはステージに戻る。 ドニーは、1960年代に天才クイズ少年だったことを客達に語る。 グエノヴィアは、フランクの過去を知る女性の話をし始め、彼がアール・パートリッジの息子であり、嘘をついていると言って追及する。 弁護士アラン・キングマン(マイケル・マーフィー)の元に向かったリンダは、愛していなかったアールの遺言書を書き変える考えを伝える。 財産目当てで結婚したリンダは、それが手に入るはずではあったが、アールが死にかけている今では、彼に対し愛があることをアランに話す。 浮気もしたと興奮して語るリンダに、遺言は変えることができず、受け取りたくなければ遺族に渡すことをアランは提案する。 それを聞き入れないリンダは、アランに対しても罵声を発して席を立つ。 スタンリーは我慢の限界に達して漏らしてしまい、回答することができない。 ジミーもその場で倒れてしまうが、自分を気遣うディレクターのバート・ラムゼイ(リッキー・ジェイ)らに、そのまま続けられることを伝える。 スタンリーの元に向かった父親リック(マイケル・ボウエン)は、息子が漏らしたことを知るものの、答えられることを確認して励ます。 ジムはクローディアと話を続けるが、無線で呼び出されて帰ろうとする。 しかし、戻ったジムはデートに誘いたいことをクローディアに伝え、二人はその夜の約束をする。 グエノヴィアは、父親アールに見捨てられたことをフランクに確認して癌で亡くなったという母親のことを聞こうとする。 ステージに戻ったジミーは、最後の対決で子供チームの代表としてスタンリーを指名する。 酔ったドニーは、バーテンダーに愛を告げながら、テレビで流れるクイズ・ショーの正解を答え、トイレで吐いてしまう。 スタンリーはジミーの要求に応えず、席を立つことを断固として拒否する。 担当が電話を替わり、フィルの伝言がフランクの元に伝わろうとする。 黙っていたフランクは時間切れだと言って、嘘つき呼ばわりしたグエノヴィアを非難してその場を去り電話を受ける。 番組が進行せずにスタッフは頭を抱えるが、スタンリーが意味不明な言葉をジミーに向けて発する。 通りで不審者を見かけたジムは、車を降りて男を追うが発砲される。 フランクは担当に状況を知らされ、病気の父親の家からの電話だと言われる。 父親の面倒など見る気のないことを興奮して伝えるフランクだったが、担当は、とにかく電話に出てほしいと言って彼を説得する。 リックはスタンリーの行動に激怒し、ジムは拳銃をなくして取り乱し、クローディアはコカインを打とうとする。 スタンリーはスタジオから逃げ出し、帰宅したリンダはフィルから受話器を奪い興奮し、フランクは電話に出ずにその場を去る。 ジミーは妻ローズの元に帰ることをアシスタントに伝え、回答者は罵り合いスタジオは混乱し、リックはスタンリーを捜す。 ジムは動揺しながら涙し、リンダはアールに寄り添い、落ち着いた彼女はフィルに謝罪する。 それを理解したフィルは、アールにも謝罪してほしいと言い残し立ち去ったリンダが用意した薬を手に取る。 会場に戻ったフランクは、興奮しながら聴衆に語り掛ける。 意識の戻ったアールは、ただ一人愛した女性の妻リリーと、息子を裏切った人生を悔いていることをフィルに話す。 クローディアは、ジムとの約束の準備をしてコカインを前に彼を待つ。 スタンリーは家の窓を壊して侵入して、天才的頭脳を持った子供達の著書を調べる。 リンダは車で屋敷を出た後に、大量の薬を飲む。 フィルは、現れた交代の者に、今夜は自分が残ることを伝え、涙しながらアールに薬を与える。 ジムを待っていたクローディアはコカインを吸い、家に戻っていたジム、ジミー、ドニー、そして、フィル、アール、リンダ、フランク、スタンリーは、それぞれが考えを巡らせる。 雨のち晴れ、夜はやや風が吹く ジムはクローディアを迎えに行き、ドニーは母親の車を借りる。 フランクはアールの屋敷に向かい、フィルに迎えられる。 昼間ジムと話した少年は、車の中で意識を失っているリンダを見つけてバッグの現金を奪い、携帯電話で通報する。 ジミーは、裏切ってしまったことがあると妻ローズに告白する。 ジムとレストランに向かったクローディアは、全てを話し合おうと提案して、トイレに行くために席を立つ。 ドニーは会社に向かい、金庫の中の現金を奪う。 アールに対面したフランクは、自分と母親を見捨てた父親を罵倒し続ける。 建物を出たドニーは、鍵を折ってしまうものの、そのまま車で走り去る。 救急隊が到着して、一命を取り留めたリンダは病院に運ばれる。 ローズはジミーを責めなかったが、クローディアがなぜ話をしないのかを質問する。 トイレから戻ったクローディアは、ジムにキスをして席に着く。 ジムは、銃をなくしてしまったことを伝え、バカな女だというクローディアの話を聞こうとして、二人は再びキスをする。 ジミーは、自分が性的なイタズラをしたとクローディアが思い込んでいることを伝え、それをしたかわからないとローズに答える。 取り乱すローズは、自分にはそれが判断できないというジミーの言葉に納得できず家を出る。 動揺するクローディアは、二度と会わないことをジムに伝えて席を立つ。 フランクは、憎さしか感じないと父親アールに言いながらも、死なないでほしいことを伝えて泣き崩れる。 ドニーは、自分がしたことを考え、それを後悔して引き返す。 クローディアは自宅に向かうタクシーの中でコカインを吸い、家を出たローズは思いを巡らせる。 会社に戻ったドニーは、入口の鍵が折れていることに気づき、裏に回り建物をよじ登ろうとする。 それを目撃したジムはその場を調べようとするが、窓にカエルが衝突して驚き車を止める。 カエルは空から大量に落下し、クローディアとフィルもそれに気づく。 驚いたローズは事故を起こしてしまい、リンダが搬送される救急車も横転する。 拳銃で自殺しようとしたジミーも、天井の屋根を突き破ったカエルが当たり気を失う。 ドニーはカエルの直撃を受けて地上に落下し、ジムが車を降りて彼を助ける。 クローディアのアパートに着いたローズは、娘と抱き合い恐怖に怯える。 スタンリーは、こんなことも起きうるとつぶやきながら、状況を見守る。 意識の戻ったアールは、フランクが寄り添っていることに気づきながら息を引き取る。 そして、それから 翌朝、葬儀社がアールの遺体と薬を食べてしまった犬の死体を屋敷から運び出す。 リンダが病院に運ばれたという連絡を受けたフィルは、それを眠っていたフランクに伝えて電話を替わる。 フランクは病院に向かい、リンダは意識を取り戻し、スタンリーは父リックに、自分を大事にしてほしいと伝える。 矯正した歯を落下したはずみで折りながら、相手に愛されようとしてバカげたことをしたことを後悔していると、ドニーはジムに涙ながらに語る。 なくした拳銃が空から落下したことを確認したジムは、ドニーを見逃し現金を会社の金庫に戻させる。 ジムはドニーと別れた後、何をするべきか判断は難しいと考えながら、母ローズと過ごしていたクローディアの元に向かう。 そしてクローディアは、ジムの話に耳を傾け笑みを浮かべる。
...全てを見る(結末あり)
*(簡略ストー リー)
ロサンゼルス郊外。
子供クイズ・ショーの製作者アールは、癌で死を待つだけの身であった。
アールの妻リンダは、財産目当てに結婚したものの、死を前にした夫への愛と後悔で苦悩する。
看護人のフィルは、アールから息子がいる話を聞き、女を誘う指南役としてカリスマ的な人物になっていたフランクに連絡を取ろうとする。
クイズ・ショーのホスト、ジミーは、癌で余命二ヶ月の宣告をされ、自分を嫌うコカイン中毒の娘クローディアの元に向かうものの追い払われる。
その騒動などの通報を受け駆けつけた警官ジムは、クローディアに惹かれて彼女を誘う。
フィルは何とかフランクに連絡しようとする一方、インタビューを受けていたフランクは、家族に関する嘘を追及される。
かつて、天才クイズ少年として名を知られた同性愛者のドニーは会社を解雇され、歯の矯正費用の支払いなどで悩む。
その頃、体調が気になるジミーはスタジオに立ち、クイズ少年スタンリーら子供チームの連勝記録がかかるショーが始まる・・・。
__________
前作の「ブギーナイツ」(1997)でその才能を絶賛された鬼才ポール・トーマス・アンダーソンが着実にその実力を見せつけることになる、この時点での彼の最高作と言える作品。
神が天から見下ろしている物語のような展開・・・。
偶然に関わりあった者達が、紆余曲折を経ながら到達する人々の至福の瞬間を見事に描く、ポール・トーマス・アンダーソンの感性が光る。
それぞれの登場人物に起こる出来事は、冷静に見ると世間的には驚くべきことではないのだが、同時に起きる各ドラマチックな物語、そのショートカットの繋ぎ合わせによる緊張感、そして突然起きる理解不能な天変地異・・・。
かつて体験したことのないその展開はヒッチコック作品とコーエン兄弟作品をミックスしたようは迫力さえ感じる内容は圧巻だ。
第72回アカデミー賞では、助演男優(トム・クルーズ)、脚本、歌曲賞にノミネートされた。
群像劇であるために主役は限定されていないが、ポール・トーマス・アンダーソン作品でお馴染みのフィリップ・ベイカー・ホール他、豪華キャスティング各人の熱演は見ものだ。
物語のキーマンとなる、死の床で息子に会うことを望むテレビ・プロデューサー役の名優ジェイソン・ロバーズにとっては遺作となった。
人気クイズ・ショーのベテラン・ホスト、フィリップ・ベイカー・ホール、その妻役メリンダ・ディロン、娘メローラ・ウォルターズ、かつての天才クイズ少年で同性愛者のウィリアム・H・メイシー、その上司アルフレッド・モリーナ、死を前に息子との再会を望むテレビ・プロデューサーのジェイソン・ロバーズ、その妻役ジュリアン・ムーア、息子トム・クルーズ、看護人フィリップ・シーモア・ホフマン、警官ジョン・C・ライリー、天才クイズ少年ジェレミー・ブラックマン、父マイケル・ボウエン、インタビュアーのエイプリル・グレイス、クイズ・ショーの回答者ルイス・ガスマン、ショーのディレクター役のリッキー・ジェイ、弁護士のマイケル・マーフィー、ショー・ホストの若年期トーマス・ジェーン、バーの客ヘンリー・ギブソン、他パットン・オズワルド、パット・ヒーリー、ミリアム・マーゴリーズなどが共演している。