ある女性の心と身体を傷つけてしまった青年の償いと心の葛藤に苦しむ日々を描く、監督ダグラス・サーク、主演ジェーン・ワイマン、ロック・ハドソン他共演のドラマ。 |
■ スタッフ キャスト ■
監督:ダグラス・サーク
製作:ロス・ハンター
原作:ロイド・C・ダグラス
脚本:ロバート・ブリース
撮影:ラッセル・メティ
編集:ミルトン・カラス
音楽:フランク・スキナー
出演
ヘレン・フィリップス:ジェーン・ワイマン
ボブ・メリック:ロック・ハドソン
ジョイス・フィリップス:バーバラ・ラッシュ
ナンシー・アッシュフォード:アグネス・ムーアヘッド
エドワード・ランドルフ:オットー・クルーガー
トム・マスターソン:グレッグ・パーマー
アメリカ 映画
配給 ユニバーサル・ピクチャーズ
1954年製作 107分
公開
北米:1954年8月7日
日本:1955年2月13日
北米興行収入 $5,200,000
■ アカデミー賞 ■
第27回アカデミー賞
・ノミネート
主演女優賞(ジェーン・ワイマン)
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
親から遺産を引き継いだボブ・メリック(ロック・ハドソン)は、湖で高速ボートを転覆させ意識不明となる。
近所のフィリップ医師邸から蘇生器を借り、メリックは一命を取り留める。
しかし、心臓発作を起こしたフィリップ医師は、蘇生器が手元になかったために亡くなってしまう。
買い物から帰った、フィリップ医師の妻ヘレン(ジェーン・ワイマン)と娘ジョイス(バーバラ・ラッシュ)は、駆けつけていた看護師ナンシー・アッシュフォード(アグネス・ムーアヘッド)からそれを知らされる。 ショックを受けたジョイスは、遊び人のメリックのせいで父を失い彼を恨み、ヘレンは夫の突然の死に打ちひしがれる。 意識を回復したメリックは、病院内でわがままをし放題だったが、院長のフィリップ医師が亡くなったことをナンシーから知らされる。 病院で夫のオフィスの後始末をしていたヘレンは、夫が生前密かに人助けをしていたため、財産が土地家屋しかないことを知らされる。 その間に、メリックは病院を抜け出してしまい、たまたま街道でヘレンに出くわす。 ヘレンの車に同乗したメリックは、彼女が亡くなったフィリップ医師の妻で、蘇生器があれば助かったことを知る。 どうして蘇生器がなかったのかヘレンに尋ねたメリックは、自分の事故で医師が身代わりになり亡くなったことを知る。 それを聞き愕然とするメリックは、ヘレンの車を降りるのだが、その直後に倒れ気を失い病院に運ばれる。 そしてヘレンは、病院でその男性がメリックだとナンシーに知らされショックを受ける。 数日後、退院することになったメリックは、病院の請求額を無視し2万5000ドルの小切手を切りヘレンに渡そうとする。 当然のごとくヘレンは憤慨し、メリックを追い払ってしまう。 その後、泥酔したメリックは、亡くなったフィリップ医師の親友である、有名な画家のエドワード・ランドルフ(オットー・クルーガー)の屋敷の近くで事故を起こしてしまう。 ランドルフはメリックを歓迎し、報いを求めず人のために尽くすという、フィリップ医師の教えを伝授する。 メリックが早速その教えを実行すると、なんと偶然にも街角でヘレンに出くわすことが出来る。 誠意を見せようとヘレンに話しかけるメリックだったが、彼女はそれを拒む。 メリックは、その後も執拗にヘレンに近づくのたが、結果的に彼女に怪我を負わせ失明させてしまう。 ジョイスは、父の命と母の視力を奪ったメリックを恨み罵る。 その後もメリックはヘレンを訪ねるが、彼女は会おうとはしなかった。 塞ぎ込んでいたヘレンは、ようやく気持ちの落ち着きを取り戻し、ある日、湖畔である男性(メリック)に出会う。 ヘレンは聞き覚えのある声だと思うが、メリックはあえて本名を隠し、再会を約束しその場を立ち去る。 メリックはランドルフに人に尽くす決意を語るが、彼はそれに伴う代償が高くつくことを告げる。 しかし、それを成し遂げた時には、真実の愛を掴めることも付け加える。 メリックは、ジョイスの恋人の弁護士トム・マスターソン(グレッグ・パーマー)に、保険金の名目でヘレンの預金口座にに大金を振り込む。 そしてメリックは、ヘレンを専門医に見せる手はずなどを内密に進め、一度は諦めた医学の道に再び身を投じる決断もする。 しかし、メリックは湖畔でヘレンと一緒にいる時に、ジョイスに出くわしてしまい、彼女に母親の前から消えるよう言われてしまう。 検査のためのヨーロッパ渡航費用は、へレンが自宅などを売却し、それを知られないようにメリックが買い取っていた。 そこまで尽くすメリックを見て、マスターソンは次第に良き理解者となる。 ヨーロッパに向かったヘレンは、メリックに経過が良好だという手紙を書くが、結局、医師の診断は治療法がないという結論に達する。 その後、失意のヘレンの元にメリックが現れ、絶望していた彼女は励まされる。 二人の姿を見たジョイスは、メリックがどれだけ母へレンの支えになっているかを悟り彼に謝罪する。 ヘレンとメリックは着飾って外出し楽しいひと時を過ごし、そしてメリックは、以前から気が付いていたという彼女に本名を打ち明け求婚する。 しかし、メリックの人生に、自分が負担になると考えるヘレンは即答を避ける。 ホテルに戻ったヘレンは、メリックを愛するが故に結婚できないと、辛い心情をナンシーに伝える。 そして翌朝、ヘレンはナンシーと共に姿を消し、それを知ったメリックとジョイスは二人を捜す。 5週間後。 その後メリックは、ランドルフに助言を求めようとするが彼は不在だった。 ランドルフの教えを思い出したメリックは、ニューヨークの医療センターに匿名で神経科病棟新設の寄付をする。 やがて医学博士になったメリックは、その医療センターに勤務していた。 時は流れ、メリックは医師rとなり忙しい毎日を送り、マスターソンとジョイスは結婚し、彼女は女の子を出産する。 ある日、ランドルフの訪問を受けたメリックは、ヘレンが肺炎の合併症で、ニュー・メキシコの病院で重体だということを知らされる。 ランドルフとヘレンの元に向かったメリックは、彼女の世話をしていたナンシーに迎えられる。 メリックは、緊急手術が必要だと判断するが、経験不足から自分が執刀するのを躊躇してしまう。 しかし、ランドルフに励まされたメリックは、ナンシーの手助けでヘレンの手術を行い成功させる。 メリックは徹夜でヘレンに付き添い、意識を取り戻した彼女はメリックに気づき涙する。 そして、かすかな明かりが見えることを確認したヘレンは、奇跡を信じメリックと共に病と闘い続けることを誓う。
...全てを見る(結末あり)
ヨーロッパ中を旅し二人を捜したメリックとジョイスは、一旦帰国することになる。
*(簡略ストー リー)
遊び人の道楽息子メリックが事故を起こして、彼の治療のために貸し出した蘇生器がなかったために、その持ち主である、人望の厚いフィリップス医師が亡くなってしまう。
それを知ったメリックは心を痛め、未亡人となった医師の妻へレンにあらゆる方法で謝罪して誠意を見せようとするが、それが徒となり、彼女を事故に巻き込み失明させてしまう。
亡き医師の教えを著名な画家から改心していたメリックは、ヘレンの回復のために自らを犠牲にして尽力する。
しかしヘレンは、自分がメリックに重荷だと悟り、彼の元を去り消息を絶ってしまう・・・。
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ダグラス・サーク作品でお馴染みのスタッフによる、ラブ・ロマンスの秀作で、人間の誠意と努力が、苦難を乗り越え、気高い愛となり実を結ぶという感動のドラマでもある。
第27回アカデミー賞では、ジェーン・ワイマンが主演女優賞ノミネートされた。
ドラマの中で主人公は失明し、恨みを持つ男性とは知らずに彼と親交を深めていく。
視力が回復して男性が誰かと気づくが、その時にはわだかまりが消える奇跡のドラマと思いきや、失明中に温かい男性の心に触れて、自然に相手が恨みを持つ男性だと気づくとろや、主人公の視力は、観客の期待通りには回復せず、二人の愛が希望と共に深まっていきながら終わる結末など、ダグラス・サークの心憎い演出が冴え渡る。
突然の夫の死から、失明してしまう事故に遭い、さらには深い愛情に苦悩する波乱の人生を送る女性を、ジェーン・ワイマンは、彼女らしい穏やかな演技で見事に演じている。
わがままな道楽息子から一転、改心し、人のために尽くす努力に人生を捧げる青年を演ずるロック・ハドソンは、体格のよさもあるが、画面で一際映える20代とは思えない貫禄も感じる。
主人公の娘バーバラ・ラッシュ、彼女の恋人で弁護士のグレッグ・パーマー、友人で看護師でもあるアグネス・ムーアヘッド、青年を善行へと導く神懸り的な存在の画家オットー・クルーガーなどが共演している。