悪党に拳銃を奪われる失態により警視総監から犯人逮捕を命ぜられた刑事の捜査を描く、監督ドン・シーゲル、リチャード・ウィドマーク、ヘンリー・フォンダ他共演のドラマ。 |
■ スタッフ キャスト ■
監督:ドン・シーゲル
製作:フランク・P・ローゼンバーグ
原作:リチャード・ドハティ”The Commissioner”
脚本
ハワード・ロドマン
エイブラハム・ポロンスキー
撮影:ラッセル・メティ
編集:ミルトン・シフマン
音楽:ドン・コスタ
出演
ダニエル・マディガン:リチャード・ウィドマーク
アンソニー・X・ラッセル:ヘンリー・フォンダ
ジュリア・マディガン:インガー・スティーヴンス
ロッコ・ボナーロ:ハリー・ガーディノ
チャールズ・ケイン:ジェームズ・ホイットモア
トリシア・ベントレー:スーザン・クラーク
ミジェット・カスティグリオーネ:マイケル・ダン
マーヴィン:ウッドロー・パーフリー
ジョーンジー:シェリー・ノース
バーニー・ベネシュ:スティーヴ・イーナット
ベン・ウィリアムズ:ウォーレン・スティーヴンス
ヒューイ:ドン・ストラウド
アメリカ 映画
配給 ユニバーサル・ピクチャーズ
1968年製作 101分
公開
北米:1968年3月29日
日本:1968年4月5日
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
金曜日、ニューヨーク、スパニッシュ・ハーレム。
ダニエル・マディガン刑事(リチャード・ウィドマーク)と相棒のロッコ・ボナーロ(ハリー・ガーディノ)は、悪党のバーニー・ベネシュ(スティーヴ・イーナット)のアパートに押し入る。
二人は、女といたベネシュを連行しようとするが、隙を見た彼に銃を向けられる。
マディガンとボナーロは、ベネシュに銃を奪われた上に逃げられてしまう。
警視総監のアンソニー・X・ラッセル(ヘンリー・フォンダ)は、本部長チャールズ・ケイン(ジェームズ・ホイットモア)から、マディガンとボナーロの失態を知らされる。 署に戻ったマディガンとボナーロは、ベネシュが殺人の容疑者だと知らされて驚く。 焦ったマディガンは、ベネシュに何度か金を奪われているノミ屋のミジェット・カスティグリオーネ(マイケル・ダン)から情報を得ようと考える。 オフィスに着いたラッセルは、補佐のマーヴィン(ウッドロー・パーフリー)から、その日の予定を聞き副監察官の話を聞く。 盗聴により、本部長ケインが犯罪に関わっているという証拠を掴んだという報告だった。 マディガンは、妻ジュリア(インガー・スティーヴンス)に問題を起こしたことを電話で伝え、仕事のことばかり考える夫に彼女は不満を訴える。 ラッセルは、ケインが、マディガンの上司が彼らをかばわないでいることに疑問を持っているのに対し意見する。 マディガンの服装や豪勢なランチなど、刑事の生活とは思えないことで、ラッセルは彼を疑いの目で見ていた。 しかし、マディガンを優秀な刑事だと言うケインは、彼を信じていることをラッセルに伝える。 72時間以内にベネシュを逮捕するよう総監から命ぜられたマディガンとボナーロは、ミジェットの元に向かう。 昼食会に出席するため移動中のラッセルは、旧知のケインと昔話に花を咲かせ、彼に隠し事がないかを確かめる。 不動産業を営むミジェットのオフィスに向かったマディガンらは、本人がいなかったためにその場を引き上げ休息することにする。 昼食会を済ませたラッセルは、その場にいた愛人で既婚者でもあるトリシア・ベントレー(スーザン・クラーク)と話をする。 トリシアは、ラッセルとの二重生活に迷いがあることを伝えるが、彼から愛を告げられる。 一旦、自宅に戻ったマディガンは、普通の生活をしたいという口うるさいジュリアに苛立つ。 オフィスに戻ったラッセルは、息子が警官に差別的な暴力を受けたという黒人牧師の話を聞き、真実ならば処分することを約束する。 コニーアイランド。 署でボナーロと別れたマディガンは、馴染みのクラブに向かい歌手のジョーンジー(シェリー・ノース)とテーブルを共にして気を紛らす。 前日寝ていないため疲れ切ったマディガンは、一線を超えないように気を使いながら、ジョーンジーの家で仮眠をとる。 土曜日。 トリシアと一夜を共にしたラッセルは、ケインに裏切られたことを伝えるが、彼女は話し合うべきだと助言する。 職務を果たす義務があることを強調するラッセルは、夜まで自分を待っていられないというトリシアを抱きしめる。 朝から飲んでいる男から、ベネシュの居場所を知らされたマディガンとボナーロだったが、それは人違いだった。 ベネシュの件で、ケインから進展がないことを知らされたラッセルは、副監視官からの報告書を彼に見せる。 汚職の件を認めたケインは、辞職することをラッセルに伝えて席を外そうとする。 しかしラッセルは、事に至った理由の説明を求める。 ケインは、息子が原因だとラッセルが知っていたため、悪党に借金をした見返りに手入れをしないことで話をつけたことを伝える。 それを責めるラッセルだったが、子供のいない彼は、息子に対する親の気持ちが分かるかと問われる。 ラッセルはそれを否定するが、副監視官は間違いなく糾弾すると言ってケインに警告する。 ケインは、ラッセルにバッジを渡して、後の処分は任せると伝えて立ち去る。 その後マディガンとボナーロは、ミジェットの情報で、ベネシュに女を紹介した男ヒューイ(ドン・ストラウド)がいる映画館に向かう。 ヒューイを尋問したマディガンは、ある場所を聞き出す。 荷物をまとめていたケインは、現れたラッセルからバッジを返される。 ジュリアの元に向かったマディガンは、その夜のパーティーにまともに付き合えないと言ったため彼女と口論になってしまう。 マディガンはジュリアを伴いパーティー会場に向かい、同僚のベン・ウィリアムズ(ウォーレン・スティーヴンス)に彼女を任せてその場を離れる。 電話をしようとしたマディガンはラッセルと出くわし、捜査が進展していないために動揺してしまう。 その頃、パトロール警官がベネシュらしき男を尋問しようとするが、彼らはベネシュにその場で銃撃される。 マディガンとボナーロは、ベネシュが女と会うことをヒューイから知らされる。 ベネシュの銃撃現場に駆け付けたラッセルとケインは、二人の警官のうち一人が死亡し、もう一人は重傷だと知る。 ラッセルは、発見されたベネシュが捨てた拳銃を確認する。 その場に現れたマディガンは、その拳銃が自分の物であることをラッセルに伝える。 酔ったジュリアはベンといい雰囲気になるのだが、正気に戻った彼女は夫を裏切ろうとしたことを後悔し、ホテルに送ってもらう。 日曜日。 警察はその場を包囲し、ラッセルとケインも駆けつけ、武装したベネシュとの銃撃戦が始まる。 到着したマディガンは、ケインに建物の見取り図を渡す。 マディガンとボナーロは建物に入り、女を人質に立て籠もるベネシュを説得する。 二人は部屋に突入するが、マディガンは銃弾を受けてしまい、ボナーロがベネシュを射殺する。 瀕死のマディガンは、ラッセルとケインに見守られながら、ボナーロが付き添って病院に運ばれる。 マディガンは、ジュリアと二度と会えないことを覚悟しながら病院に到着する。 ジュリアは病院に到着するもののマディガンは死亡し、話しかけてきたラッセルを彼女は人殺しだと言って罵倒し、ボナーロに支えられながらその場を去る。 ケインと共に建物を出たラッセルは、翌日、副監視官と話し合うことを約束してオフィスに向かう。
...全てを見る(結末あり)
ミジェットの居場所を突き止めたマディガンとボナーロは、ベネシュを恐れて身を隠したという彼を尋問し、街に戻るよう説得する。
ボナーロは、現れたマディガンと共に、情報を元にある場所に向かう。
ヒューイからの連絡で、ベネシュの居場所をほぼ突き止めたマディガンとボナーロは現場に向かう。
*(簡略ストー リー)
ニューヨーク、スパニッシュ・ハーレム。
刑事ダニエル・マディガンと相棒のボナーロは、連行しようとした悪党ベネシュに銃を奪われた上に逃げられてしまう。
その失態を知った警視総監ラッセルは、72時間以内に犯人を逮捕するよう命ずる。
ラッセルは、旧知である本部長のケインの汚職、今回の事件、影響力のある黒人牧師からの苦情、そして既婚者の愛人トリシアからの別れ話など多くの問題を抱えていた。
マディガンは、捜査に焦る一方、平凡な暮らしを望む妻ジュリアから小言ばかり言われて苛立つ。
ベネシュと関係するノミ屋のミジェットに目を付けたマディガンは、姿を消した彼を捜し出し情報を得るのだが・・・。
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1962年に発表された、リチャード・ドハティの小説”The Commissioner”を基に製作された作品。
原作は警視総監そのものがタイトルになっているが、本作のメインは、拳銃を奪われた刑事の捜査であり、それと並行に、様々な問題を抱える警視総監の、考えを巡らせながらの実務と私生活を描く物語となっている。
何と言っても、「ダーティハリー」(1971)へとつながるドン・シーゲルのキャリアの軌跡が、今となっては実に興味深い作品でもある。
同年の7か月後に公開される「マンハッタン無宿」(1968)でクリント・イーストウッドと組むことになるドン・シーゲルは、本作でも、タイプはやや違うものの、強引な捜査で事件を解決しようとする主人公を登場させ、後の二作につながるキャラクターとして注意しながら見ていると面白い。
その「マンハッタン無宿」や「ダーティハリー」にも出演するスターも要チェックだ。
ドン・シーゲルの、各個性を生かしながらの切れのいい演出、豪華スター競演もファンには嬉しい見逃せない作品。
撮影のラッセル・メティによる、当時の生活文化をリアルに映し出す映像、軽快なドン・コスタの音楽も印象的だ。
妻を愛しながらも、命を懸けた仕事にを重視するしかない、哀歓を感じさせる生き様を見事に演ずるリチャード・ウィドマークと、彼らに指示を出す難しい立場の警視総監として職務に徹しながらも人間味を感じさせる一面も見せる、存在感としては他を圧倒するヘンリー・フォンダも好演している。
主人公の妻インガー・スティーヴンス、主人公の相棒役のハリー・ガーディノ、本部長ジェームズ・ホイットモア、警視総監の愛人スーザン・クラーク、主人公に情報を提供するマイケル・ダン、警視総監補佐ウッドロー・パーフリー、主人公と親交のある歌手シェリー・ノース、犯人スティーヴ・イーナット、主人公達の同僚刑事ウォーレン・スティーヴンス、主人公に協力するドン・ストラウドなどが共演している。