アメリカ陸軍史上に残る偉大な軍人であるダグラス・マッカーサーの太平洋戦争開戦直後から引退までを描く、監督ジョセフ・サージェント、主演グレゴリー・ペックによるドラマ。 |
・グレゴリー・ペック / Gregory Peck / Pinterest
■ スタッフ キャスト ■
監督:ジョセフ・サージェント
製作:フランク・マッカーシー
製作総指揮
リチャード・D・ザナック
デヴィッド・ブラウン
脚本
ハル・バーウッド
マシュー・ロビンス
撮影:マリオ・トッシ
編集:ジョージ・J・ニコルソン
音楽:ジェリー・ゴールドスミス
出演
グレゴリー・ペック:ダグラス・マッカーサー将軍
エド・フランダース:ハリー・S・トルーマン大統領
ダン・オハーリヒー:フランクリン・D・ルーズヴェルト大統領
サンディ・ケニオン:ジョナサン・M・ウェインライト将軍
G・D・スプラドリン:ロバート・L・アイケルバーガー将軍
ディック・オニール:カウントニー・ホイットニー大佐
アート・フレミング:秘書
ニコラス・コスター:シドニー・ハフ大佐
アディソン・パウエル:チェスター・W・ニミッツ提督
ケネス・トビー:ウィリアム・ハルゼー提督
バリー・コー:テレビ・リポーター
チャールズ・サイファーズ:フォレスト・ハーディング将軍
アイヴァン・ボナー:リチャード・K・サザーランド将軍
ウォード・コステロ:ジョージ・C・マーシャル陸軍参謀総長
マージ・デュセイ:ジーン・マッカーサー
ラッセル・ジョンソン:アーネスト・J・キング提督
ロバート・マンダン:マーティン下院議員
ジェシー・ディゾン:カストロ
アメリカ 映画
配給 ユニバーサル・ピクチャーズ
1977年製作 129分
公開
北米:1977年6月30日
日本:1978年1月
北米興行収入 $16,320,000
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
ウエストポイント。
引退を表明したダグラス・マッカーサー(グレゴリー・ペック)は、第一の故郷と考えるこの場所で、士官候補生を前に、”義務、名誉、祖国”という言葉を目標に、努力することを伝える。
__________
1942年3月、フィリピン、コレヒドール島。
真珠湾攻撃から3ケ月後、マッカーサー大将指揮下であったアメリカ・フィリピン両軍は、日本軍の攻撃に耐え忍ぶ毎日を送っていた。
ワシントンD.C.、ホワイトハウス。
ルーズベルト大統領(ダン・オハーリヒー)は、陸軍参謀総長のジョージ・C・マーシャル(ウォード・コステロ)と合衆国艦隊司令長官兼海軍作戦部長・アーネスト・J・キング(ラッセル・ジョンソン)との話し合いで、マッカーサーにフィリッピンからの撤退命令を出す。
マッカーサーは、その命令を拒否するものの、後方で軍を立て直すための準備だという参謀の考えや、家族のことを思い、已む無くそれに従う考えを示す。
潜水艦を拒み、敢て魚雷艇での移動を選んだマッカーサーは、ジョナサン・M・ウェインライト少将(サンディ・ケニオン)に残留軍を託し、海路オーストラリアに向け出発する。 海上のマッカーサーは、フィリピンに残してきた兵士のことを思うと、眠ることができなかった。 オーストラリアに到着して、大歓迎を受けるマッカーサーだったが、戦力的にフィリピンに戻ることが不可能だと知らされる。 報告に失望するマッカーサーは、名誉勲章授与が決まり、複雑な思いで民衆の前に姿を現す。 そして、マッカーサーは、必ずや軍を立て直し、フィリピンに戻ることを宣言する。 それを聞いたマッカーサーは激怒し、軍を立て直すために猛訓練を開始する。 出撃を決意したマッカーサーは、ニューギニアに侵攻して、無謀とも思える攻撃を部下に求め被害は拡大する。 その後、マッカーサーは戦果を上げて人気は次第に高まり、次期大統領候補にまで名が上がるようになる。 ハワイ。 しかし、マッカーサーは、フィリピン奪還を強い決意で主張し、ルーズベルト大統領の承諾を得る。 1944年10月23日、フィリピン、レイテ島。 12月18日。 1945年4月。 トルーマンは、マッカーサーの提唱する日本本土上陸は却下するものの、広島と長崎への原爆投下を実行し、8月15日、日本は無条件降伏する。 9月2日。 それに先立ち、フィリピン残留軍の司令官ウェインライト少将は、マッカーサーを訪ねて降伏したことを謝罪する。 一時は、ウェインライトを裏切り者呼ばわりしたマッカーサーだったが、彼の労を労い司令官に復帰させることを約束する。 その後、マッカーサーは、日本の占領軍総司令官として駐留し、日本人を敬う考えをベースに、農地改革、財閥解体、新憲法制定で、女性に選挙権を与え、日本の軍備放棄を歓迎する。 国民的英雄になったマッカーサーを、祖国に迎える準備をしていた、トルーマンの帰国要請などを彼はことごとく断り、任務に全力を傾ける。 やがて、再び大統領候補に名前が上がったマッカーサーだったが、それはかなわなかった。 1950年6月25日。 マッカーサーはトルーマンの忠告を無視し、蒋介石と会談してしまい、アメリカの朝鮮政策が敗北主義だと非難する。 その後、マッカーサーは仁川を攻略し、北側の補給路を断つことに成功し、トルーマンも潔くこの功績を認める。 中国やソ連の介入を恐れたトルーマンは、ウェーク島でマッカーサーと会談することになる。 トルーマンは、中国が介入する危険を指摘するが、兵力を過小評価するマッカーサーは反論する。 感謝祭の日、中国が国境を越えて、26万の兵を動員して攻撃を始め、アメリカ軍は窮地にたたされる。 その後、第8軍の司令官になったマシュー・リッジウェイ中将が、苦戦するもののソウルを取り戻すことに成功する。 しかし、トルーマンから攻撃中止命令が下り、マッカーサーは、私的発言の公言禁止を無視してしまう。 そして、マッカーサーは、朝鮮問題を自らが解決してしまおうとして、ついに彼は解任されてしまう。 1951年4月19日。 1953年11月。 ウエストポイント。
...全てを見る(結末あり)
しかし、フィリピンのウェインライト少将は、人命を優先して考えた上での決断を下し、日本軍に降伏してしまう。
ルーズベルト大統領を含む、陸海軍首脳会議が行われ、チェスター・W・ニミッツ提督(アディソン・パウエル)は、西太平洋と台湾の占領を提案する。
自軍の総攻撃の後、マッカーサーはフィリピン大統領セルヒオ・オスメニャらと共に上陸し、国民に、自分が帰ってきたことを伝え、全力で共に戦い抜くことを誓う。
マッカーサーは、陸軍元帥に昇進し、部下から贈られた”五つ星”を誇らしげにつける。
ルーズベルト大統領が急逝し、副大統領ハリー・S・トルーマン(エド・フランダース)が新大統領に就任する。
東京湾沖の戦艦ミズーリ艦上で、日本の降伏文書調印式は行なわれる。
朝鮮半島で、北側が38度線を破り南に進撃し、トルーマンは派兵を決定し、マッカーサーは直ちに現地に向かう。
帰国したマッカーサーは、国民から熱狂的な歓迎を受けて、上下両院の議会に招かれ、52年間の軍歴を終える別れの言葉として、”老兵は死なず、ただ消えゆくのみ”と語り喝采を浴びる。
次期大統領にアイゼンハワーが当選し、マッカーサーは、彼が自分の副官では最高の人物だったことを、妻ジーン(マージ・デュセイ)に伝える。
マッカーサーは、士官候補生を前に”義務、名誉、祖国”という言葉を目標に努力することを語り、自分が死を迎える時に意識に残るのは、兵団、士官候補生団などであることを述べて別れを告げる。
*(簡略ストー リー)
真珠湾攻撃後のフィリピンで、日本軍の攻撃を受け続けていた、劣勢のアメリカ陸軍司令官のダグラス・マッカーサー大将は、ルーズベルト大統領の命令を受け、已む無くオーストラリアに向かう。
マッカーサーは、オーストラリア到着後フィリピンに戻ることが戦力的に不可能なことを知らされる。
フィリピン残留軍が日本軍に降伏したという報告を受け激怒したマッカーサーは、軍を立て直してニューギニアに侵攻し、そして約束通りフィリピンに戻ることに成功する。
元帥になっていたマッカーサーは、ルーズベルトの急逝後に就任した、トルーマン新大統領と意見が合わないまま終戦を迎える。
無条件降伏した日本の占領軍総司令官となったマッカーサーは、国民を敬いながら数々の改革を進めて、日本が戦争を放棄する姿勢を歓迎する。
その後マッカーサーは、朝鮮半島での北側の侵攻を制圧するため、現地に赴任し戦果をあげる。
しかし、マッカーサーは中国の介入を見抜くことができず、朝鮮問題を自らが解決してしまおうとする。
それを容認できないトルーマンは、マッカーサーを解任してしまう。
そして、熱狂的な歓迎を受け帰国したマッカーサーは、半世紀余りの軍歴を閉じようとする・・・。
__________
戦争人間ドラマの傑作「パットン」(1970)を製作したフランク・マッカーシーが、再び希代の名将を描いた作品。
単に、歴史的事実とマッカーサーの軍歴を紹介するような作品で、人間ドラマとして、その人物の奥深い描写に物足りなさを感じる。
「パットン」(1970)の二番煎じ的な雰囲気でもあり、同作のジェリー・ゴールドスミスが音楽を担当している。
歴史上の、重大な事実を順序だてて描いた物語は、歴史の再確認が出来るという意味では興味深い作りにはなっている。
参考:
マッカーサーが、潜水艦ではなく、フィリピンから敢て魚雷艇で脱出するシーンは、傑作「コレヒドール戦記」(1945)の方が劇的に描かれている。
また、ドラマの中で、陸軍元帥(五つ星)に昇進するマッカーサーだが、大元帥への昇進も検討されたものの、結局この階級は案だけで終わり昇進は見送られた。
ウエストポイント全面協力による士官候補生の栄誉行進が、ドラマの冒頭とラストで効果的に使われている。
60歳を過ぎ、「オーメン」(1976)でそのイメージを一新する見事な演技を見せたグレゴリー・ペックは、威厳や統率力のあるマッカーサーの人物像を貫禄の演技で演じ切ってはいる。
だが、翌年の「ブラジルから来た少年」(1978)の怪演に比べると、やや平凡だったようにも思える。
マッカーサーと対立するトルーマン大統領役エド・フランダース、ルーズベルト大統領役のダン・オハーリヒー、フィリピン残留軍を任されるが、已む無く降伏する司令官ウェインライト将軍サンディ・ケニオン、ニューギニアで苦戦を強いられ檄を飛ばされる将軍G・D・スプラドリン、マッカーサーの妻ジーン役のマージ・デュセイ、側近ディック・オニール、アート・フレミング、ニコラス・コスター、ニミッツ提督のアディソン・パウエル、キング提督役のラッセル・ジョンソン、ハルゼー提督ケネス・トビー、マーシャル・陸軍参謀総長のウォード・コステロなどが共演している。