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映画 炎の人ゴッホ Lust for Life (1956) | That's Movie Talk!
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炎の人ゴッホ Lust for Life (1956)

ポスト印象派の代表的な画家フィンセント・ファン・ゴッホの悲運の半生を描く、製作ジョン・ハウスマン、監督ヴィンセント・ミネリジョージ・キューカー(クレジットなし)、主演カーク・ダグラスアンソニー・クインジェームズ・ドナルド他共演のヒューマン・ドラマ。

アカデミー賞 ■ ストーリー ■ 解説


ドラマ(ヒューマン)

アンソニー・クイン / Anthony Quinn / Pinterest


スタッフ キャスト
監督

ヴィンセント・ミネリ
ジョージ・キューカー(クレジットなし)
製作:ジョン・ハウスマン
原作:アーヴィング・ストーンLust for Life
脚本:ノーマン・コーウィン
撮影
ラッセル・ハーラン
フレディ・ヤング
編集:アドリアン・フェイザン
美術・装置
セドリック・ギボンズ
ハンス・ピータース
E・プレストン・エイムズ
エドウィン・B・ウィリス
F・ケオー・グリーソン
音楽:ミクロス・ローザ

出演
フィンセント・ファン・ゴッホカーク・ダグラス
ポール・ゴーギャンアンソニー・クイン
テオ・ファン・ゴッホジェームズ・ドナルド
クリスティン:パメラ・ブラウン
ポール・ガシェエヴェレット・スローン
テオドルス・ファン・ゴッホ:ヘンリー・ダニエル
アンナ・コルネリア・ファン・ゴッホ:マッジ・ケネディ
アントン・モーヴノエル・パーセル
ルーランニオール・マッギニス
ヴィレミーナ・ファン・ゴッホジル・ベネット
ペイロン:ライオネル・ジェフリーズ
ボスマン:ローレンス・ネイスミス
コルバート:エリック・ポールマン
ケイ:ジャネット・スターク
ヨハンナ・ファン・ゴッホ=ボンゲル:トニ・ゲリー

アメリカ 映画
配給 MGM
1956年製作 122分
公開
北米:1956年9月17日
日本:1957年9月5日
製作費 $3,227,000
北米興行収入 $2,695,000


アカデミー賞
第29回アカデミー賞

・受賞
助演男優賞(アンソニー・クイン
・ノミネート
主演男優(カーク・ダグラス
脚色・美術賞


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー
ブリュッセル
ベルギー伝道委員会は、成績の悪いフィンセント・ファン・ゴッホカーク・ダグラス)を伝道師として派遣することを見合わせる。

伝道を天職と考えていたフィンセントはそれを委員に訴え、ボルナージュ地方の炭鉱の町に派遣されることになる。

教会の説教など聞いている暇はないと貧しい労働者から言われたフィンセントは、地中奥深い場所で子供達まで働く過酷な労働環境を確かめる。

その後、人々に尽くし共に労働したフィンセントは、子供を含めた多くの死傷者がでた事故にショックを受ける。
...全てを見る(結末あり)

訪ねてきた委員から、粗末な家で悲惨な生活をしていることを追及されたフィンセントは、教会の尊厳をおとしめて伝道師の役目を果たしていないと言われる。

真のクリスチャンとして生きたいだけだと反論するフィンセントは、偽善者だと言って委員を追い払う。

その後、町を訪れたフィンセントの弟テオジェームズ・ドナルド)は、音信不通だった兄の酷い生活に驚く。

パリで画商として成功しているテオに心の葛藤などを語るフィンセントは、一旦、家に戻り考えることを提案される。

古郷で静養するフィンセントは、見て感じたものをキャンパスに描いて過ごす。

ある日、訪ねて来たいとこで未亡人のケイ(ジャネット・スターク)に対し、配慮が足りないと牧師である父テオドルス(ヘンリー・ダニエル)から注意されたフィンセントは、いつまでも悲しむのは神の考えではないと言って反論する。

食卓を囲む弟や妹達の前で相応しくない話をしたことを母アンナ(マッジ・ケネディ)からも批判されたフィンセントは、息子を心配しているからこそ意見したとテドルスから言われる。

そんなフィンセントは、ケイの存在が絵に柔らかさを与えてくれたような気がして癒される。

心優しいケイと過ごし親交を深めたフィンセントは、彼女の愛を強引に求めて迫るものの、それを拒まれる。

ケイの家を訪ねて、おじと話したフィンセントは追い払われそうになり、辛さに耐える覚悟はあると言って、手をろうそくにかざして火傷をする。

おじから、自分が邪魔をしているのではなく、ケイ自身が会うのを拒んでいると言われたフィンセントは、ショック受けてその場を去る。

酒場で、人生に絶望するクリスティン(パメラ・ブラウン)に出会ったフィンセントは、火傷を手当すると言われて彼女の家に向かう。

魅力も学もない苦労しか知らない子連れのクリスティンだったが、彼女の優しさに触れたフィンセントは同居し始める。

画家である従兄アントン・モーヴノエル・パーセル)を訪ねたフィンセントはデッサンを見てもらい、その才能と努力を認められ、色彩画を描くための道具や資金などを渡される。

当初は支え合ったものの、苦しい生活から抜け出すことができないクリスティンは、経済力のないフィンセントに不満を訴える。

フィンセントが、画商やモーヴからも相手にされないことを知ったクリスティンは、彼を罵倒して苦しめる。

父テオドルスの危篤を知り帰郷することになったフィンセントは、前の生活に戻ると言うクリスティンから、別れを告げられる。

古郷に戻ったフィンセントは、亡くなった父テオドルスと理解し合えなかったことを悔やむ。

パリで一緒に暮らすことをテオから提案されたフィンセントは、それを断り、彼の支援を受けながら描き続ける。

その後、フィンセント自身は描く意欲を感じる日々を送るのだが、住民は彼を変人扱いする。

それを妹のヴィレミーナジル・ベネット)から知らされたフィンセントは、家族に迷惑をかけたくないことを伝えて、出て行く決心をする。

パリ
印象派の画家達の画風に驚いたフィンセントは、それを教えなかったテオを責める。

手紙に書いたと言われたフィンセントは、今までの考えを覆す色彩にショックを受けたことをテオに伝える。

画家達に会いたいと言って興奮するフィンセントを連れて、翌日、テオカミーユ・ピサロを訪ねる。

光や色彩を習得しようとするフィンセントは、ジョルジュ・スーラらからそれを学び、寝食を忘れて描き、意見を聞くために眠っているテオを起こす。

フィンセントの絵の素晴らしさを認め、いつか必ず評価されると言うテオは、夜は眠らせてほしいと兄に伝える。

ある日、画家ポール・ゴーギャンアンソニー・クイン)と出会ったフィンセントは、豪放磊落な彼の性格に惹かれる。

フィンセントアルルに旅立ったことを知ったテオは、友人が認めない兄の才能を信じる。

アルルに着いたフィンセントは、美しい自然の中で自由に絵を描ける場所を見つける。

昼夜を問わず描き、神経が参るほどそれに没頭する日々が続き、時々、酒場で過ごすフィンセントは、テオが結婚するという知らせを受ける。

ヨハンナ(トニ・ゲリー)にフィンセントからの手紙を読んで聞かせたテオは、ゴーギャンを呼んでほしいと言う兄の望みを叶える。

ゴーギャンを歓迎したフィンセントは、彼のために描いたひまわりの絵を飾った部屋に案内する。

絵は描いているものの、フィンセントの乱れた生活を気にするゴーギャンは、自分の模索する画法を語る。

激しく意見が衝突する二人だったが、酒を飲み町に出て鬱憤を晴らす。

ゴーギャンとの生活で幸せを実感するフィンセントだったが、絵に関することでは口論になった。

この地の自然を愛するフィンセントとは違い、厳しい気候風土が合わないゴーギャンは不満をぶつける。

制作の苦しみとゴーギャンへの気遣いで神経を使うフィンセントは、彼に歩み寄ろうとする。

それを迷惑に思うゴーギャンは、苦しみも知らず弱音を吐き、弟の支援で生きるフィンセントを批判する。

敵意を見せたフィンセントを見限ったゴーギャンは、孤独を恐れるフィンセントを相手にせず、その場を去る。

カミソリを手にしてゴーギャンを追ったフィンセントだったが、相手を前にして手出しできず家に戻る。

苦しんだ末にフィンセントは、左耳たぶを切り落としてしまう。

家に戻ったゴーギャンは、その場にいた警官からフィンセントが重傷だと言われ、医師が治療を始める。

フィンセントの精神状態が不安定であったことを警官に伝えたゴーギャンは、出て行くと言ってその場を去る。

一命を取り留めたフィンセントだったが、住民達からは変人扱いされて、からかわれる彼は苦しみ混乱する。

病院に入れられたフィンセントを見舞ったテオは、施設に入ることを決めた兄に、パリで一緒に暮らすことを提案する。

自分自身や周囲の者を傷つける可能性があるため、それを拒むフィンセントは、落ち着くまでだと言って施設に入ることをテオに希望する。

1889年5月、サン=レミ=ド=プロヴァンス
フィンセントを迎えた精神科医療施設のペイロン医師(ライオネル・ジェフリーズ)は、診察の結果、継続的な治療が必要であることをテオに手紙で知らせる。

塞ぎ込むものの回復の兆しが見えるフィンセントは、病室の鉄格子の外に見えるアルピーユ山脈や麦畑を描く。

やがて野外でも描くようになったフィンセントだったが、死や闇が見えるその画風の変化をペイロンは気にする。

しかしペイロンは、発作は起きるものの体力は回復したフィンセントの退院を認める。

パリ
テオヨハンナに歓迎されたフィンセントは、絵が売れたことを知らされ、お祝いに画家仲間を呼ぶと言われる。

その後、オーヴェル=シュル=オワーズに向かい、美術愛好家でもあるポール・ガシェ医師(エヴェレット・スローン)を訪ねたフィンセントは、発作についてを話す。

気にせずに絵を描くようガシェから助言されたフィンセントは、治療には期待できないまま、彼の指示に従い描き続ける。

そんなある日、町では祭が開かれ、その騒ぎの中、フィンセントは発作が起きる。

麦畑で描いていた際、失意のどん底であり、出口が見えない闇を感じたフィンセントは、持っていた銃を手にして発砲する。

一命を取り留めたフィンセントだったが、ガシェの診断で治療できない状態だと分かり、安静にしているしかなかった。

駆けつけたテオに、家に帰りたいと言い残したフィンセントは、静かに息を引き取る。

テオは、哀れな兄フィンセントの死を悲しむ。


解説 評価 感想
*(簡略ストー リー)
ブリュッセルベルギー伝道委員会は、成績の悪いフィンセント・ファン・ゴッホを伝道師として不適格と判断するが、それを天職と訴える本人の意向を聞き入れ、ボルナージュ地方の炭鉱の町に派遣する。
しかし、貧しい人々と共に働き伝道活動を疎かにしたフィンセントは、破門されてしまう。
パリで画商として成功している弟テオから、故郷で静養することを提案されたフィンセントは、趣味で絵を描きながら過ごすものの、いとこケイへの愛を受け入れられずにショックを受ける。
貧しい女クリスティンとの生活も続かず、父の死をきっかけに故郷に戻ったフィンセントは、そこでも変人扱いされてパリテオの元に向かう。
印象派の画家達の画風に驚きながら、豪放磊落なゴーギャンに出会ったフィンセントは、彼と意気投合する。
やがて、アルルに移ったフィンセントは、美しい自然の中で絵を描き続け、ゴーギャンを呼び寄せるのだが・・・。
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1934年に発表された、アーヴィング・ストーンの小説”Lust for Life”を基に製作された作品。

生前は苦しみ続け、37歳の若さでこの世を去った悲運の画家フィンセント・ファン・ゴッホの半生を描くヒューマン・ドラマの秀作。

冒頭とエンドロールの前に、本作への協力を惜しまなかった関係者、美術館などが紹介される。
それを見るだけでも、フィンセント・ファン・ゴッホの偉大な業績が改めて確認できる。

クレジットはされていないが、ジョージ・キューカーの協力の下で、流れるようなドラマ展開を見せるヴィンセント・ミネリの演出は、正に美術絵画を鑑賞しているような美しさがある。

その素晴らしい映像は、後にデヴィッド・リーン作品の「アラビアのロレンス」(1962)、「ドクトル・ジバゴ」(1965)、「ライアンの娘」(1970)で3度アカデミー撮影賞を受賞することになるフレディ・ヤングラッセル・ハーランが担当している。

第29回アカデミー賞では、ポール・ゴーギャンを演じたアンソニー・クインが助演男優賞を受賞し、主演男優(カーク・ダグラス)脚色、美術賞にノミネートされた。

ドラマチックな内容を盛り上げる、ミクロス・ローザらしい勇壮な音楽も印象に残る。

容姿もフィンセント・ファン・ゴッホを思わせる、役になり切っている雰囲気のカーク・ダグラスは、苦しみながら絵を描き続ける主人公を熱演している。

フィンセント・ファン・ゴッホと意気投合しながらも、画法などで意見が対立するポスト印象派の代表的な画家ポール・ゴーギャンを演じ、「革命児サパタ」(1952)に続き見事にアカデミー助演賞を受賞したアンソニー・クインは、他を圧倒する存在感で好演している。

主人公である兄フィンセント・ファン・ゴッホを支えるテオ・ファン・ゴッホジェームズ・ドナルド、主人公と一時期暮らす貧しい女パメラ・ブラウン、美術愛好家でもある医師ポール・ガシェエヴェレット・スローン、主人公の両親ヘンリー・ダニエルマッジ・ケネディ、主人公の従兄である画家アントン・モーヴノエル・パーセルルーランニオール・マッギニス、主人公の妹ヴィレミーナ・ファン・ゴッホジル・ベネット、精神科医のライオネル・ジェフリーズ、医師ローレンス・ネイスミス、主人公が思いを寄せるいとこのジャネット・スタークテオの妻ヨハンナ・ファン・ゴッホ=ボンゲルのトニ・ゲリー、他エリック・ポールマンなどが共演している。


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