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慕情 Love is a Many-Splendored Thing (1955)

1952年に発表された、ハン・スーイン女史によるベストセラー自叙伝小説”A Many-Splendoured Thing”を基に製作された作品。
妻帯者のアメリカ人特派員と英中の混血の女医の愛を描く、監督ヘンリー・キング、主演ウィリアム・ホールデンジェニファー・ジョーンズによるメロドラマ。

アカデミー賞 ■ ストーリー ■ 解説


ドラマ(ロマンス)

ジェニファー・ジョーンズ / Jennifer Jones / Pinterest


スタッフ キャスト ■
監督:ヘンリー・キング

製作:バディ・アドラー
原作:ハン・スーインA Many-Splendoured Thing
脚本:ジョン・パトリック
撮影:レオン・シャムロイ
編集:ウィリアム・H・レイノルズ
衣装デザイン:チャールズ・ルメア
音楽:アルフレッド・ニューマン
主題歌
Love Is a Many-Splendored Thing
作詞:ポール・フランシス・ウェブスター
作曲:サミー・フェイン

出演
ウィリアム・ホールデン:マーク・エリオット
ジェニファー・ジョーンズハン・スーイン
イソベル・エルソム:アデライン・パーマー=ジョーンズ
ジョージャ・カートライト:スザンヌ
トリン・サッチャー:ハンフリー・パーマー=ジョーンズ
マーレイ・マシソン:ジョン・キース医師
スー・ヤン:ノラ・ハン
ヴァージニア・グレッグ:アン・リチャーズ
リチャード・ロー:ロバート・ハン
ジェームズ・ホンハン・スーインの兄弟

アメリカ 映画
配給 20世紀FOX
1955年製作 102分
公開
北米:1955年8月18日
日本:1955年11月22日


アカデミー賞 ■
第28回アカデミー賞

・受賞
衣装デザイン
歌曲”Love Is a Many-Splendored Thing
音楽賞
・ノミネート
作品
主演女優(ジェニファー・ジョーンズ
撮影(カラー)・美術(カラー)・録音賞


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー ■
香港
中国イギリス人の混血女性のハン・スーイン(ジェニファー・ジョーンズ)は、夫を戦争で亡くし、 医師の不足している病院で休む間もなく働く優秀な医師だった。

ある日、スーインは、同僚医師ジョン・キース(マーレイ・マシソン)に誘われ気晴らしに、病院理事ハンフリー・ パーマー=ジョーンズ(トリン・サッチャー)のパーティに出席する。

理事夫人のアデライン(イソベル・エルソム)に歓迎されたスーインは、その場に居合わせたアメリカ人特派員マーク・エリオット(ウィリアム・ホールデン)に出会う。

エリオットは、スーインに一目惚れしてしまい食事に誘うが、彼女は仕事のためにそれを断ってしまう。

帰りの車の中でスーインは、エリオットを知るキースから、彼にはシンガポールに妻がいて、夫婦仲は悪いことを知らされる。
...全てを見る(結末あり)

電話すると言っていた、エリオットからの連絡はないものと思っていたスーインだったが、病院に戻った途端に彼から食事の誘いの電話が入る。

そして約束の日の満月の夜、スーインは、エリオットに警戒心を抱気ながらも、船上レストランで彼と食事をする。

二人は、お互いの身の上や家族のことなどを正直に語り合い、もう会えないというスーインに、再び誘うことを告げてエリオットは去って行く。

一週間後、エリオットからシンガポールに向かうという連絡が入ったスーインは、帰り次第電話すると言う、彼の言葉に期待もしてしまう。

その日の午後、買い物に出たスーインは、旧友で同じ混血女性スザンヌ(ジョージャ・カートライト)に出くわす。

スーインは、容姿を変えて中国人としての誇りを捨てようとするスザンヌに、自分は、故郷の中国に帰るつもりがあるという意思を伝える。

香港に戻ったエリオットは、病院にいるスーインの元に向かい、彼女を泳ぎに誘う。

スーインは一度はためらうものの、 病院の激務の苦労を忘れさせてくれるエリオットに惹かれ始めていたのも事実で、彼と共に浜辺に向かう。

妻のことなどを正直に話すエリオットと、混血だということを気にするスーインは、自分が彼に相応しくないことを伝える。

スーインの友人ノラ・ハン(スー・ヤン)と夫ロバート(リチャード・ルー)の、対岸の家に泳いで渡った二人は、誰の目からも似合いのカップルだった。

その後、浜辺に戻ったエリオットはスーインに愛を告げ、彼女も自分の心を彼に委ねる。

スーインは、将来に不安を抱えながら、互いの立場の壁を越え、エリオットの愛を受け入れるかを迷う。

翌日、病院の裏の丘の木の下で会う約束をした二人だったが、スーインは、エリオットがいないことに気づき、その場を立ち去ろうとする。

しかし、エリオットが待っていたことを知ったスーインは、彼への気持ちが愛に変わる。

数日後スーインは、妹の不祥事で故郷の重慶に戻ることになり、独りで暫く気持ちを整理したいということをエリオットに伝える。

未だに中国の血にこだわり、重慶に向かうというスーインの考えを非難するエリオットは、彼女を見限ってしまう。

重慶に向かう機内で、スーインはスザンヌに出くわすが、彼女が付き合っているイギリスが、病院の理事ジョーンズだということが分かる。

故郷に到着して一族に再会したスーインは、妹が外国人の家で暮していることを知らされる。

妹に会ったスーインは、彼女が、中国を捨てて自分のように国外で暮らしたいということを知り、それに力を貸すことを約束する。

その後、スーインなしではいられないことを悟ったエリオットが、彼女を追って現れる。

エリオットは、離婚手続きを済ませてから、結婚したいということをスーインに伝える。

スーインはそれを受け入れ、エリオットと共に親族に結婚の許しを得ようとする。

そして、スーインは結婚を承諾されるものの、親族から縁を切られてしまう。

香港に戻ったエリオットは、妻との離婚調停のためにシンガポールに向かい、その後、スーインに喜びの一報を送る。

実は、妻に離婚を拒まれていたエリオットは、ショックを隠せないが、スーインは今までどおり、彼に尽くすことを誓い励ます。

その後、エリオットは取材でマカオに向かうことになり、スーインも後から向かうことにする。

そんな時、スーインは病院の理事夫人アデラインに呼び出され、既婚者エリオットとの関係が、病院の品位を落とすとまで言われてしまう。

それを気にする間もなく、スーインはエリオットのいるマカオへと向かう。

マカオでの、満ち足りた時を過ごす二人だったが、エリオットの元に朝鮮戦争勃発寸前の連絡が入り、二人は急遽、香港に帰る。

香港に戻ったスーインは病院をクビになり、出発が決まったエリオットと丘に向かい、彼の身を案じながら二人は愛を確かめ合う。

そして、エリオットの帰りを、その丘で待つと伝えたスーインは、別れを惜しみながら彼を見送る。

同郷医師の、帰国の誘いを断ったスーインは、交通事故で病院に運ばれ、傷の癒えた身寄りのない女の子と共に友人ノラの家に向かい居候することになる。

ノラや同じ友人のアン・リチャーズ(ヴァージニア・グレッグ)は、気疲れしてやつれるスーインを気遣う。

スーインは、戦場から届くエリオットからの手紙を、心の支えに生きる毎日を送っていたが、アンがエリオットの戦死記事が記載された新聞を持参して現れる。

動揺するスーインだったが、その日に届いたエリオットからの手紙を読みながら、現実を受け止める。

その後スーインは、エリオットと待ち合わせの約束をした丘に向かい、彼の面影を想い起こして泣き崩れる。

そして、スーインの心の中で、エリオットは彼女に話しかける。

”僕たちは幸せだった、素晴しい愛を知ったのだから・・・”。


解説 評価 感想 ■

*(簡略ストー リー)
中国イギリスの混血女性医師ハン・スーインは、香港の病院で激務をこなし、多忙な毎日を送っていた。
そんな時スーインは、アメリカ人特派員エリオットと出会う。
別居中の妻がいるエリオットだったが、彼は一目惚れしたスーインを食事に誘う。
その後も、忙しい合間を縫って親交を深める二人だったが、スーインは、混血だということを気にし、エリオットとの愛に戸惑う。
その後も、真摯な態度でスーインへの愛を貫こうとするエリオットの気持ちを、ついに彼女も受け入れる。
しかし、祖国を捨てる覚悟を決めかねるスーインと、妻との離婚問題を抱えるエリオットに、大きな壁が立ちはだかる・・・。
__________

混血の女医と妻帯者の愛を描く、メロドラマ風のラブ・ロマンスは、当時、女性を中心に受けて大ヒットした。

その要因の一つとなるのは、アカデミー賞に輝いた、ポール・フランシス・ウェブスター作詞、サミー・フェイン作曲の主題歌である”Love Is a Many-Splendored Thing”で、この曲なしには本作のヒットはなかったと言ってもいい。

第28回アカデミー賞では、歌曲賞、そして音楽賞と衣装デザイン賞を受賞した。
・ノミネート
作品
主演女優(ジェニファー・ジョーンズ
撮影(カラー)・美術(カラー)・録音賞

作品賞にはノミネートされたものの、作品自体の評価はそれほど高くなかったのも事実だ。

監督のヘンリー・キングの演出も平凡とは言われたが、クライマックス、そしてラストに向けての盛り上がりは、上記の主題歌と共に、映画史上に残る名シーンとして永遠に語り継がれるだろう。

主演のウィリアム・ホールデンは、あまり気乗りしないで出演したと伝えられる、2年前の「第十七捕虜収容所」(1953)でオスカーを獲得し、正に全盛期を迎えている頃の作品でもあり、男性の目から見ても、清潔感のある真摯な行動などが魅力的な人物を好演している。

作品のもう一つの魅力、アカデミー主演賞にノミネートされたジェニファー・ジョーンズの美しさは出色だ。

当時、デヴィッド・O・セルズニック夫人として大作に出演が続く中、絶頂を極める彼女の美しさは輝いている。

その美しさを際立たせる、こちらもアカデミー衣装デザイン賞を受賞した、チャールズ・ルメア担当による、彼女が着る多彩なチャイナドレスなども素晴しい。

同じくアカデミー賞を受賞する、アルフレッド・ニューマンのドラマチックな音楽、美しい香港をを映し出したレオン・シャムロイの撮影も見事だ。
(撮影賞はノミネートに終わる)

病院理事夫人イソベル・エルソム、理事トリン・サッチャー、同じ混血であるスーイン(J・ジョーンズ)の友人ジョージャ・カートライト、友人ヴァージニア・グレッグ、スー・ヤン、その夫リチャード・ルー、同僚医師マーレイ・マシソンスーインの弟ジェームズ・ ホンなどが共演している。


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