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コレラの時代の愛 Love in the Time of Cholera (2007)

コロンビアノーベル文学賞作家ガブリエル・ホセ・ガルシア=マルケスが1985年に発表した同名小説の映画化。
50年以上も初恋の相手を想い続けた男性が愛を手に入れるまでを描く、監督マイク・ニューウェル、主演ハビエル・バルデムジョヴァンナ・メッツォジョルノベンジャミン・ブラットジョン・レグイザモヘクター・エリゾンドリーヴ・シュレイバー他共演のラブロマンス。

アカデミー賞 ■ ストーリー ■ 解説


ドラマ(ロマンス)


スタッフ キャスト ■
監督:マイク・ニューウェル

製作:スコット・スタインドーフ
原作:ガブリエル・ホセ・ガルシア=マルケス
脚本:ロナルド・ハーウッド
撮影:アフォンソ・ベアト
編集:ミック・オーズリー
音楽:アントニオ・ピント

出演
フロレンティーノ・アリーサ:ハビエル・バルデム

フェルミーナ・ダーサ:ジョヴァンナ・メッツォジョルノ
フベナル・ウルビーノ医師:ベンジャミン・ブラット
ロレンソ・ダーサ:ジョン・レグイザモ
イルデブランダ・サンチェス:カタリーナ・サンディノ・モレノ
ドン・レオ:ヘクター・エリゾンド
ロタリオ・トゥグット:リーヴ・シュレイバー
オリンピア・スレータ:アナ・クラウディア・タランコン
トランシト・アリーサ:フェルナンダ・モンテネグロ
ナサレット:アンジー・セペダ
エスコラスティカ:アリシア・ボラッチェロ
フロレンティーノ・アリーサ(青年期):ウナクス・ウガルデ
サラ・ノリエガ:ローラ・ハリング
アメリカ・ヴィクーニャ:マルセラ・マール

アメリカ/コロンビア 映画
配給 ニュー・ライン・シネマ

2007年製作 139分
公開
北米:2007年11月16日
日本:2008年8月9日
製作費 $45,000,000
北米興行収入 $4,607,610
世界 $31,337,570


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー ■
1931年。
かつて、コレラ撲滅に尽力した高名な医師であるフベナル・ウルビーノ医師(ベンジャミン・ブラット)が死亡する。

その妻フェルミーナ(ジョヴァンナ・メッツォジョルノ)の元に、51年9ヶ月4日、彼女を愛し続けたというフロレンティーノ・アリーサ(ハビエル・バルデム)が現れる。

しかし、フェルミーナはフロレンティーノを罵倒して追い返してしまう。

夫の葬儀を済ませたフェルミーナは、ある思い出にふける。
___________

1879年、コロンビアカルタヘナ
電報局で働く青年フロレンティーノ・アリーサ(ウナクス・ウガルデ)は、上司ロタリオ・トゥグット(リーヴ・シュレイバー)から、ラバを飼育しているロレンソ・ダーサ(ジョン・レグイザモ)に、電報を届けるよう命ぜられる。

フロレンティーノはダーサの屋敷で、娘フェルミーナに一目惚れしてしまい、徹夜で恋文を書き始める。
...全てを見る(結末あり)

それを喜ぶ母トランシト(フェルナンダ・モンテネグロ)から、フェルミーナの叔母エスコラスティカ(アリシア・ボラッチェロ)への関心を引くべきだと助言を受けたフロレンティーノは、何とかフェルミーナに手紙を渡すことができる。

母からは返事は期待できないと言われたフロレンティーノだったが、フェルミーナからの愛を伝える手紙が届く。

文通を続けた二人だったが、フロレンティーノはある夜、フェルミーナの屋敷を訪れて彼女に求婚する。

フェルミーナの叔母エスコラスティカが、それを承諾すべきだと伝え、彼女はフロレンティーノの求婚を受け入れる。

しかし、父親ロレンソはそれに反対し、エスコラスティカを屋敷から追い出し、フェルミーナに裕福な男を見つけることを強要する。

そして、ロレンソはフロレンティーノを呼び出し、フェルミーナから手を引くように、銃をちらつかせながら脅す。

しかし、フロレンティーノは怯まず、愛のために死ぬ覚悟もあることをロレンソに伝える。

仕方なくロレンソは、フェルミーナを山岳地帯の奥地への旅に同行させる。

従妹のイルデブランダ・サンチェス(カタリーナ・サンディノ・モレノ)のいる村に滞在することになったフェルミーナは、既にフロレンティーノから手紙が届いていることを知らされる。

その後、二人の文通は続くが、カルタヘナでは死の病と言われる”コレラ”が蔓延し、人々を苦しめていた。

そして、フェルミーナがカルタヘナに戻り、彼女との再会を果たしたフロレンティーノだったが、フェルミーナは彼を避けてしまう。

失意のフロレンティーノは、自宅で泣き崩れてしまう。

やがて、フェルミーナがコレラにかかたとの連絡を受け、医師フベナル・ウルビーノがダーサ家に呼ばれる。

しかし、フェルミーナは腸炎だということがわかり、父親のロレンソはフベナルに感謝する。

フベナルはフェルミーナに惹かれ、ロレンソも娘の相手として相応しい彼を手厚く持て成す。

フェルミーナは、フベナルの気持ちを受け入れずにいたが、やがて彼との交際を始め、そして結婚する。

フロレンティーノの心は傷つき、母トランシトは息子の身を案じて、叔父のドン・レオ(ヘクター・エリゾンド)に頼み込み、フロレンティーノを遠方の密林の地の仕事に就かせようとする。

フェルミーナを想いながら、フロレンティーノは蒸気船で旅を続け、ある日、乗客の女性に強引に体を求められてしまう。

それに味を占めたフロレンティーノは、フェルミーナとの誓いを破ってしまったことを後悔しつつ、カルタヘナへ戻る。

新婚旅行でパリに向かったフェルミーナが、2年も帰ってこない可能性があると、母トランシトから聞いたフロレンティーノは、再び悲しみがこみ上げ涙する。

内戦が激化し、家を失った未亡人ナサレット(アンジー・セペダ)が、フロレンティーノの家に逃げ込んでくる。

トランシトは、ナサレットをフロレンティーノの部屋に滞在させる。

そして、ナサレットはフロレンティーノの体を求め、その後、彼は女性遍歴を重ねていく。

フェルミーナのことを忘れかけていた頃、フロレンティーノは彼女がカルタヘナに戻り妊娠していることを知る。

フロレンティーノは、フェルミーナの夫フベナル医師の死を待ってまでも彼女を愛し続けることを誓う。

そしてフロレンティーノは、フェルミーナに認められるために裕福になろうと、叔父ドン・レオに仕事を紹介してもらう。

結婚生活に満足できないフェルミーナは、フロレンティーノを想いながら日々を過ごし、やがて彼がドン・レオの後を継ぎ、会社を運営するだろうということを知る。

時は流れ、カルタヘナの文化振興のためドン・レオに資金協力を求めて、フベナルがフロレンティーノの元に現れる。

彼の主宰する”詩のコンクール”で、フェルミーナをステージ上で見たフロレンティーノだったが、会場で出会ったサラ・ノリエガ(ローラ・ハリング)と結ばれる。

その間、フロレンティーノの母トランシトは精神を病み、亡くなった夫と息子の区別がつかなくなってしまう。

フロレンティーノは、若い既婚女性オリンピア・スレータ(アナ・クラウディア・タランコン)と出会い、密会を重ねるようになる。

しかし、浮気のばれたオリンピアは夫に殺されてしまい、フロレンティーノは自分の行いを悔いる。

そして、フロレンティーノの母トランシトは、正気に戻らないまま息を引き取る。

1900年。
未だに、フェルミーナを愛するためだけの人生を送っていたフロレンティーノだったが、相変わらず手当たり次第に女性を抱いていた。

フェルミーナは夫の浮気を知り、それを止めさせるのだが、彼女は従妹イルデブランダの村に旅立ってしまう。

その間、フロレンティーノは、フェルミーナの消息が知れずに苦しみ、それを忘れるために女性を求めて、その数は500人に達しようとしていた。

やがて、フェルミーナの元に夫フベナルが迎えに現れ、二人はカルタヘナに戻り、彼女の存在を映画館で知ったフロレンティーノは神に感謝する。

しかし、フベナルが若返ったように思えるフロレンティーノは、フェルミーナが夫より先に亡くなるのではと心配する。

その後、フロレンティーノは、叔父のドン・レオに頼まれて、大学に通うために街に住むことになる遠縁の女性アメリカ・ヴィクーニャ(マルセラ・マール)の面倒を見ることになる。

彼女とも逢引を重ねるようになったフロレンティーノは、ある日、大物が亡くなった報せである大聖堂の鐘の音を聞く。

フベナルが亡くなったことを知ったフロレンティーノは、フェルミーナを訪ね、51年9ヶ月と4日、この日を待ち続けたことを伝える。

しかしフェルミーナは、夫が亡くなったその日に現れて、無神経な言葉を口にしたフロレンティーノを、屋敷から追い払ってしまう。

自分の人生から消えてくれとまで書かれた、フェルミーナの手紙を受け取ったフロレンティーノは、アメリカに別れを告げ、昔のようにフェルミーナへの思いを綴った手紙を何通も送る。

やがてフェルミーナは、フロレンティーノを受け入れて屋敷に招き、彼から受け取った手紙の素晴らしさに心癒されたことを伝える。

自分を訪ねてくるフロレンティーノが、汚らわしいと言う娘を屋敷から追い出したフェルミーナは、フロレンティーノに誘われて蒸気船の旅に出る。

別の部屋を取った二人だったが、旅の終わる前日についに結ばれる。

フロレンティーノは、船をどこにも寄港させずに航行できるかを、船長に尋ねる。

特例で、コレラが発生した場合の、警告の旗を掲げればそれが出来ると知ったフロレンティーノは、自分の会社の船をそれに従わせて旅を続ける。

そして、53年7ヶ月と11日の間、フェルミーナを待ち続けたフロレンティーノは、彼女に永遠の愛を約束する。


解説 評価 感想 ■

*(簡略ストー リー)
温厚で思慮深く詩を愛する青年フロレンティーノ・アリーサは、裕福な商人の娘フェルミーナと出会い一目惚れしてしまう。
二人は、やがて愛を語り合うようになるのだが、フェルミーナの父親ロレンソの反対で二人は引き離されてしまう。
その後フェルミーナは、コレラの撲滅に尽力する医師フベナルと結婚することになる。
失意のフロレンティーノは、フェルミーナへの愛の苦しみから逃れるために、他の女性を求め続けるのだが・・・。
__________

50年以上も初恋の相手を想い続ける、生真面目な男の、一途な愛物語と言えば堅苦しく聞こえるが、穏やかな青年の愛への強い情熱が、初恋の人を想うばかりに、何百人もの女性と関係するという”矛盾”を、マイク・ニューウェルは、繊細且つ大胆な描写で描いている。

注目は、本作の北米公開5日後に公開される「ノーカントリー」(2007)で、恐怖の殺人鬼を演ずる、ハビエル・バルデムの怪演であり、彼の役者としての奥深さを知る上でも、興味深く貴重な作品。

役柄が、物腰も穏やかな男性なので違和感はないが、殺人鬼”アントン・シガー”を思いつつ彼の演技を見ていると、涙をこぼし大泣きする姿などが実に新鮮に見える。

50年以上もの間の、主人公達の衰えを見事なメイクで映し出してはいるが、世界遺産でもあるカルタヘナのロケが、今一生かされていなかったところなどは残念だ。

半世紀以上もの間の、女性の肉体的な変化などを、体当たりで演ずるジョヴァンナ・メッツォジョルノ、その夫で医師のベンジャミン・ブラット、父親のジョン・レグイザモ、従妹のカタリーナ・サンディノ・モレノ、主人公に事業を継がせる叔父ヘクター・エリゾンド、青年期の主人公の上司リーヴ・シュレイバー、母親フェルナンダ・モンテネグロ、関係を持つ女性達、アナ・クラウディア・タランコンアンジー・セペダローラ・ハリングマルセラ・マール、そして主人公の青年期を演ずるウナクス・ウガルデなどが共演している。


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