1920年に発表された、クロード・アネの原作”Ariane, jeune fille russe”を、名コンビ、ビリー・ワイルダーとI・A・L・ダイアモンドが脚色、ゲーリー・クーパー、オードリー・ヘプバーン、モーリス・シュヴァリエ共演のロマンチック・コメディの秀作。 |
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■ スタッフ キャスト ■
監督:ビリー・ワイルダー
製作:ビリー・ワイルダー
原作:クロード・アネ”Ariane, jeune fille russe”
脚本
ビリー・ワイルダー
I・A・L・ダイアモンド
撮影:ウィリアム・C・メラー
編集:レオニード・エイザー
音楽:フランツ・ワックスマン
出演
フランク・フラナガン:ゲーリー・クーパー
アリアンヌ・シャヴァッス:オードリー・ヘプバーン
クロード・シャヴァッス:モーリス・シュヴァリエ
X氏:ジョン・マクガイヴァー
ミシェル:ヴァン・ドード
アメリカ 映画
配給 アライド・アーティスト・ピクチャーズ・コーポレーション
1957年製作 130分
公開
北米:1957年6月30日
日本:1957年8月
製作費 $2,100,000
世界 $5,000,000
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
パリ。
恋人達の街で、私立探偵のクロード・シャヴァッス(モーリス・シュヴァリエ)は、人々の情事を調査する毎日を送っていた。
シャヴァッスはX氏(ジョン・マクガイヴァー)からの依頼で、アメリカの大富豪フランク・フラナガン(ゲーリー・クーパー)と情事を重ねる、X夫人の盗撮写真を撮り帰宅する。
シャヴァッスの娘アリアンヌ(オードリー・ヘプバーン)は、父の調査ファイルに興味があり、それを読むのが趣味だった。
シャヴァッスはそれをよく思わず、チェロを学ぶ彼女に音楽に専念するよう注意する。
そこに現れたX氏は、シャヴァッスから調査の報告を受け、彼はフラナガンを殺すと言ってその場を立ち去る。 その話を聞いてしまったアリアンヌは、ハンサムで長身のフラナガンが気になってしまう。 ホテル”リッツ”で、妻の浮気現場を押さえようとしたX氏は、フラナガンの部屋に入る勇気がない。 ”コンセルヴァトワール”(パリ国立高等音楽・舞踊学校)のレッスンが終わり、X氏の動向が気になるアリアンヌは、リッツや警察に連絡するが取り合ってもらえない。 仕方なくリッツに向かったアリアンヌは、フラナガンの隣の部屋に侵入する。 アリアンヌは、バルコニー伝いにフラナガンの部屋に向かい、X氏が部屋の外にいることを彼に知らせる。 我慢の限界に達したX氏は部屋に乱入するが、フラナガンの相手をしていたのは、なんとアリアンヌだった。 謝罪したX氏だったが、妻の香水の匂いに気づき彼女を捜し始め、フラナガンはその隙に夫人を逃がす。 妻が見つからないX氏は、再びフラナガンに謝罪して部屋から立ち去る。 ひょんなことから知り合いになり、フラナガンは、いつものお遊び程度にアリアンヌを誘おうとする。 アリアンヌはフラナガンの魅力に心奪われてしまい、二人は翌日会う約束をする。 夢見心地で自宅に向かったアリアンヌは、送ってもらった、音楽学生仲間のミシェル(ヴァン・ドード)の言葉も耳に入らない。 アリアンヌは、X氏が父シャヴァッスを訪ねていたのに気づき、正体がバレそうにななるものの、何とか難を逃れる。 翌日、チェロの練習をしていると見せかけ、フラナガンの調査書に目を通していたアリアンヌは、彼の女性遍歴を知り驚いてしまう。 アリアンヌは、そんなフラナガンと会うのを止めようとするが、ホテルで待っていた彼のペースにすっかりはまり、楽しいひと時を過ごしてしまう。 しかし、フラナガンがパリを旅立つ時が来て、再会を約束して彼はアリアンヌの元を去っていく。 その後、アリアンヌはフラナガンを想い、抜け殻のようになってしまう。 アリアンヌは、フラナガンが起こす騒動やスキャンダルが掲載されている、新聞、雑誌を切り抜きチェックしていた。 そんなある日、アリアンヌはミシェルと行ったオペラで、女性を伴って現れたフラナガンを目撃する。 二人は再会するが、フラナガンはすぐにはアリアンヌを思い出せず、ようやく気づいた彼は翌日に会う約束をする。 翌日、以前と同じリッツの部屋に、フラナガンはアリアンヌを招き入れ、二人は小楽団の演奏する”魅惑のワルツ”を聴きながら踊る。 デートを重ねた二人だったが、アリアンヌが男性達との付き合いを自慢げに語る姿を見て、今度はフラナガンが嫉妬して彼女の虜になってしまう。 フラナガンは、アリアンヌがテープ・レコーダーに吹き込んだ男性遍歴(父の依頼人のリスト)がどうしても気になる。 サウナで偶然会ったX氏から、フラナガンは私立探偵のシャヴァッスを紹介される。 早速シャヴァッスを訪ねたフラナガンは、実は名前も知らないアリアンヌについての調査を依頼してしまう。 自分の依頼人に似ている男性の、情報ばかりが浮上してくる調査対象の女性を不審に思ったシャヴァッスは、それが娘のアリアンヌだということに気づく。 報告書を完成させたシャヴァッスはフラナガンの元を訪れ、娘アリアンヌが、彼には相応しくない相手だということを正直に伝え、彼女と別れてほしいと言い残し立ち去る。 フラナガンは現れたアリアンヌに、他の女性の元に旅立つことを伝え、シャヴァッスの言葉通り、彼女の前から姿を消す決心をする。 駅までフラナガンを見送りに行ったアリアンヌは、目に涙をためながら強がりを言い別れを告げる。 全てを知っているフラナガンは、アリアンヌが愛しくなり、走り始めた列車内に彼女を抱き上げる。 それを、ホームで見ていたシャヴァッスは、二人を笑顔で見送る。
...全てを見る(結末あり)
*(簡略ストー リー)
パリの私立探偵のシャヴァッスは、浮気調査で、アメリカ人大富豪フランク・フラナガンの動向を探っていた。
妻がフラナガンと浮気をしているらしいということを知ったX氏は、彼を殺すためホテルに向かう。
シャヴァッスの娘アリアンヌは、それを知り、フラナガンに興味を持ち、X氏の妻を逃がす協力をする。
そしてアリアンヌは、フラナガンに心奪われてしまう。
フラナガンもアリアンヌが気に入り、プレイボーイの彼は、早速、彼女に言い寄り誘う。
夢見心地のアリアンヌは、フラナガンとの楽しいひと時を過ごすのだが、彼はパリを離れることになる。
フラナガンを想い、抜け殻のようになってしまったアリアンヌだったが、パリに戻った彼が女性と同伴してオペラに現れ、自分のことをあまり覚えていないことを知る。
その後、再びデートを重ねる二人だったが、アリアンヌはフラナガンの気を引くために男性遍歴をちらつかせる。
それにより、今度はフラナガンが嫉妬し始め、アリアンヌの虜になってしまう・・・。
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コメディ、ロマンス、サスペンスなど、話題作を立て続けに製作していたビリー・ワイルダーの小粋なラブロマンスで、やつれているようにも見える、ゲーリー・クーパーの晩年の名作でもあり、ヒロインのオードリー・ヘプバーンは「麗しのサブリナ」(1954)以来となるビリー・ワイルダー作品の出演となった。
普通に芽生える恋愛としては、親子以上の年齢差に見えてしまう主人公の二人だが、プレイボーイの大富豪と純情な音楽学生という、ロマンチックな筋立てがそれをカバーする。
モーリス・シュヴァリエの老練にして円熟の演技とフランス語訛りのナレーション、パリのロケ、また主人公ゲーリー・クーパーの行くところ、必ず現れるヴァイオリン奏者4人組が奏でる”魅惑のワルツ”のメロディが、恋人達の街の雰囲気を効果的に盛り上げている。
30歳に近づくオードリー・ヘプバーンだが、その愛くるしさはジバンシィの衣装に映える。
クライマックスで彼女が頭に巻くスカーフは、”アリアンヌ巻き”と呼ばれ当時、大流行した。
後に「ティファニーで朝食を」(1961)で、気の利いた”ティファニー”の店員を演じて印象に残るジョン・マクガイヴァーも、妻の浮気を探る夫役で好演している。