船上で出会った男女が永遠の愛を誓い半年後の再会を約束するのだが・・・ 製作、原案、監督レオ・マッケリー、アイリーン・ダン、シャルル・ボワイエ共演によるラブ・ロマンスの秀作。 |
■ スタッフ キャスト ■
監督:レオ・マッケリー
製作:レオ・マッケリー
原案
ミルドレッド・クラム
レオ・マッケリー
脚本
デルマー・デイヴス
ドナルド・オグデン・ステュアート
撮影:ルドルフ・マテ
編集
エドワード・ドミトリク
ジョージ・ハイヴリー
美術・装置
ヴァン・ネスト・ポルグレイス
アルフレッド・ハーマン
音楽:ロイ・ウェッブ
出演
テリー・マッケイ:アイリーン・ダン
ミシェル・マルネー:シャルル・ボワイエ
ジャヌー・マルネー:マリア・オースペンスカヤ
ケネス・ブラッドリー:リー・ボウマン
ロイス・クラーク:アストリッド・オールウィン
モーリス・コバート:モーリス・モスコヴィッチ
アメリカ 映画
配給 RKO Radio Pictures
1939年製作 86分
公開
北米:1939年4月7日
日本:1941年6月27日
製作費 $860,000
北米興行収入 $1,750,000
■ アカデミー賞 ■
第12回アカデミー賞
・ノミネート
作品
主演女優(アイリーン・ダン)
助演女優(マリア・オースペンスカヤ)
原案・美術・歌曲賞
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
プレイボーイで名高いフランス人画家ミシェル・マルネー(シャルル・ボワイエ)は、お忍びで”ナポリ号”に乗船し、”オーシャン・ライナー”で大西洋を渡る。
ミシェルは、富豪令嬢ロイス・クラーク(アストリッド・オールウィン)と結婚するためにアメリカに向かっているという報道が世界を駆け巡る。
航海中のミシェルは、電報を受け取り開封するのだが、それが風で飛ばされ、窓からある客室に入ってしまう。
その部屋のアメリカ人歌手のテリー・マッケイ(アイリーン・ダン)に手紙の件を伝えたミシェルは、自分の名前を名乗る。
有名人を前に驚くテリーは手紙の内容を尋ね、愛を語る文面にうっとりしながらそれをミシェルに渡す。 美しいテリーが気になったミシェルは、部屋を出た彼女に話しかける。 テリーの部屋に向かったミシェルは、船旅の相手をしてほしいことを伝えるが、恋人の存在を知った彼は引き下がろうとする。 食事の誘いなら受けると言うテリーと楽しい時を過ごしたミシェルは、その後も彼女と親交を深める。 ゴシップを嫌うテリーは深入りを避けようとするものの、二人は度々、船内で出くわし、周囲の目を気にしながら行動を別にする。 ポルトガル、ポルト・サント(マデイラ)。 ミシェルが訪れたことを喜ぶジャヌーは、彼の婚約者ではないというテリーを歓迎する。 テリーはミシェルと共に礼拝堂で祈りを捧げ、ジャヌーのお茶の支度を手伝う。 ジャヌーは、婚約したミシェルについて、いつでも解消できることであり、船旅での善き女性との出会いもありえることなどを語る。 船に戻る時間になり、元ピアニストのジャヌーは、ミシェルのリクエストでピアノを弾き、テリーが曲に合わせて歌う。 ミシェルとテリーは、ジャヌーとの別れを惜しみながら船に戻る。 夜遅くまで共に過ごしたミシェルとテリーは、キスして別れる。 航海は続き、心通じ合いながらも翌日の到着で別れることになるミシェルとテリーは、互いの相手が迎えに来ることを承知で話を弾ませる。 心を決めたミシェルは、仕事を探して半年後に必ずプロポーズすると約束し、戸惑うテリーは、翌日の朝に返事をすると答えて部屋に戻る。 ニューヨーク。 ”7月1日の午後5時、世界で一番高い天国に近い場所、エンパイア・ステート・ビル、102階の展望台で会う”という約束をした二人は、船上から見えるビルを眺めながら別れる。 ミシェルとテリーは、互いの相手を合図で教えながら下船する。 ロイスに迎えられたミシェルは記者達に囲まれ、テリーも恋人ケネス・ブラッドリー(リー・ボウマン)と抱き合う。 宿泊先のホテルに向かったテリーは、エンパイア・ステート・ビルを眺めながら荷を解かずにその場を去る。 フィラデルフィア。 2月、ニューヨーク。 7月1日。 タクシーから降りて慌てたテリーは、ビルの前の通りで交通事故に遭ってしまう。 エンパイア・ステート・ビル。 雷雨となり、諦めたミシェルはエレベーターで階下に向かう。 一方、テリーは病院に運ばれ、駆けつけたケネスは、彼女が歩行困難になる可能性を医師から知らされる。 うわごとで口にしたミシェルに連絡したのかを医師に尋ねられたケネスは、テリーにそれを止められたことを伝える。 病室に現れたケネスと神父に、テリーは自分の不注意だったことを語る。 失意のミシェルはポルト・サントに向かい、ジャヌーが亡くなったことを知り、形見のショールを受け取る。 ”ワシントン・ハイツ孤児院” クリスマスが近づき、ニューヨークに戻っていたミシェルは、人気画家となっていた。 クリスマス・イヴ。 二人は軽く挨拶しただけで別れ、テリーは、素っ気ない態度で立ち去ったミシェルに説明してくると言うケネスを引き留める。 テリーはケネスの援助の申し出を断り、自力で歩けるようになるまで真実をミシェルに知らせないことを誓う。 クリスマス当日、体調を崩し子供達の歌の発表会に同伴できないテリーは、寝室に見舞に来てくれた子供達の歌声を聴き励ます。 その後、部屋で休んでいたテリーの元にミシェルが現れる。 電話帳で偶然に住所を知ったと言うミシェルは、劇場での態度を謝罪する。 ミシェルは、約束の日に展望台には行かなかったことをテリーに伝える。 テリーは、その場で待ち続けて気分を害したかをミシェルに尋ねられ、その通りだったと答える。 その件で多くを語りたくない様子のテリーの態度を気にしながら、ケネスとのことなどを尋ねたミシェルは、今回の再会で心の整理ができたため船に乗ることを伝える。 ミシェルは、ジャヌーの形見だったショールをテリーに渡す。 ジャヌーの不幸を知ったテリーは、その場を去るミシェルを見つめる。 ミシェルは、テリーがショールを羽織った姿を描いた絵を、画廊に来た女性が自分の思いに共感して欲しがったため、彼女に提供したことを話す。 対応した画商の話では、女性は貧しい上に・・・と話したミシェルにある思いが過る。 部屋を見回したミシェルは、その絵が壁に飾られていることに気づき呆然とする。 全てを悟ったミシェルは、ソファーに座り続けるテリーに近づき、黙っていた理由を尋ねる。 なぜテリーが不幸な目に、どうして自分が事故に遭わなかったのかを悔いるミシェルに、彼女は不注意だったことを伝える。 天国に一番近い場所、世界一高いエンパイア・ステート・ビルの展望台いるミシェルを思いながら見上げていたため、事故に遭ったことをテリーは話す。 テリーは笑顔でミシェルを抱きしめ、”あなたは絵を描き、私は必ず歩けるようになる”と語り、二人は永遠の愛を誓い合う。
...全てを見る(結末あり)
船は4時間停泊することになり、ミシェルは祖母ジャヌー(マリア・オースペンスカヤ)の家にテリーを誘う。
テリーは、全てが順調にいった場合の半年後の計画を書いたメモをミシェルに渡す。
テリーは、ホテルと契約を交わしてステージ歌手となっていた。
看板の絵描きをする傍ら絵も描いていたミシェルは、画商のモーリス・コバート(モーリス・モスコヴィッチ)から絵が売れたことを知らされ、エンパイア・ステート・ビルを眺めながらテリーとの再会を待つ。
買い物をしてケネスに再会したテリーは、彼に結婚することを伝え、ミシェルとの約束の時間が近づいていたためにエンパイア・ステート・ビルに急ぐ。
展望台でテリーを待つミシェルは、時間になっても彼女が現れないために落ち着かない。
車いす生活を送り療養を続けていたテリーは、子供達に好かれていたため、院長からその場で働くことを勧められる。
ロイスから観劇に誘われたミシェルは、ケネスと同伴して席に着くテリーと出くわす。
*(簡略ストー リー)
プレイボーイとして名高いフランス人画家のミシェル・マルネーは、ニューヨークに向かう船上でアメリカ人歌手テリー・マッケイと出会う。
二人はお互いに恋人がいたのだが、親交を深め惹かれ合うようになる。
到着の前日、決心したミシェルは、安定した生活ができるようになった半年後にプロポーズすることをテリーに伝える。
翌日まで考えたテリーは、半年後にエンパイア・ステート・ビルの展望台での再会をミシェルに約束し、二人は別れるのだが・・・
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1957年に、再度レオ・マッケリーによりケイリー・グラント、デボラ・カー主演で「めぐり逢い」が、1994年にはウォーレン・ベイティ、アネット・ベニング夫妻共演でリメイクされた。
優雅な船旅から始まる穏やかに展開するロマンスから、レオ・マッケリーが得意とする人情ドラマも挿入され、メロドラマ・タッチの終盤から感動のラストに至るまでの演出が素晴らしい。
超近代都市の象徴エンパイア・ステート・ビルを効果的に使った内容からは、ヨーロッパで戦争が近づいている時期とは思えない、当時のアメリカの豊かさを感じる作品。
第12回アカデミー賞では、作品・主演女優(アイリーン・ダン)・助演女優(マリア・オースペンスカヤ)・原案・美術・歌曲賞にノミネートされた。
主演のアイリーン・ダンは、撮影当時40歳直前なのだが10歳くらい若く見える。
ゴージャスな雰囲気で登場するものの、ミシェル(シャルル・ボワイエ)の祖母(マリア・オースペンスカヤ)に”善き女性”になる努力が幸せにつながると言うようなことを助言され、その考えを基本につつまく生きる女性を好演している。
クライマックスで、その祖母の気持ちが伝わるショールのエピソードもいい。
またアイリーン・ダンの歌唱力を生かした演出はファンには嬉しい。
その物腰などを含め、当時の女性達の心を掴んだことが想像できる、プレイボーイの画家役のシャルル・ボワイエ、その祖母役で短い出演ながら印象に残る演技を見せるマリア・オースペンスカヤ、ヒロインを支える元恋人リー・ボウマン、富豪令嬢アストリッド・オールウィン、画商モーリス・モスコヴィッチなどが共演している。