1960年に発表された、ジャン・ラルテギーの小説”名誉と栄光のためでなく/The Centurions”を基に製作された作品。 軍人としての使命を果たそうとするフランス軍部隊を率いる指揮官の戦いを描く、製作、監督マーク・ロブソン、主演アンソニー・クイン、アラン・ドロン、ジョージ・シーガル、ミシェル・モルガン、クラウディア・カルディナーレ、モーリス・ロネ他共演の戦争ドラマ。 |
・アンソニー・クイン / Anthony Quinn / Pinterest
■ スタッフ キャスト ■
監督:マーク・ロブソン
製作:マーク・ロブソン
原作:ジャン・ラルテギー”名誉と栄光のためでなく/The Centurions”
脚本:ネルソン・ギディング
撮影:ロバート・サーティース
編集:ドロシー・スペンサー
音楽:フランツ・ワックスマン
出演
ピエール=ノエル・ラスペギー中佐:アンソニー・クイン
フィリップ・エスクラヴィエ大尉:アラン・ドロン
マヒディ中尉:ジョージ・シーガル
ナタリー・デ・クレアフォン伯爵夫人:ミシェル・モルガン
アイシャ:クラウディア・カルディナーレ
ボアフラ大尉:モーリス・ロネ
アリ・ベン・サード医師:グレゴワール・アスラン
メリーズ将軍:ジャン・セルヴェ
マール:モーリス・サルファティ
オルシーニ:ジャン=クロード・ベルク
ベルテ:シル・ラモント
市長:ジャック・マリン
ギョー:ジャン=ポール・ムーリノ
アーメド:アンドレス・モンレアル
ディア:ゴードン・ヒース
サピンスキー:アルバート・シモノ
フェルナンド:ルネ・ハバール
管理責任者:アルマン・メストラル
ベトナム士官:バート・クウォーク
ミュジニエ:アル・ムロック
ラスペギー夫人:マリー・バーク
イブラヒム:アルド・サンブレル
神父:ジョージ・リゴー
マヌエル:ロベルト・ロブレス
アメリカ/フランス 映画
配給 コロンビア・ピクチャーズ
1966年製作 130分
公開
フランス:1966年10月7日
北米:1966年9月14日
日本:1966年7月22日
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
1954年5月7日、ディエンビエンフー。
”第一次インドシナ戦争”下の”ディエンビエンフーの戦い”で、フランス軍のピエール=ノエル・ラスペギー中佐(アンソニー・クイン)は、ベトミンの激しい攻撃に耐えていた。
援軍の落下傘部隊の到着に気づきながら戦いを続けるラスペギーは降下地点に向かう。
地雷原で指揮官のクレアフォン少佐が死んだことを確認したラスペギーは、その部下と共に陣地に戻る。
ラスペギーは、伯爵であるクレアフォンが妻に宛てた手紙を、彼の部下フィリップ・エスクラヴィエ大尉(アラン・ドロン)から見せられ、司令官メリーズ将軍(ジャン・セルヴェ)の戦術を批判する。
エスクラヴィエは反論し、マヒディ中尉(ジョージ・シーガル)も、志願して出撃したことをラスペギーに伝える。
ラスペギーは納得せず、エスクラヴィエは彼に襲い掛かろうとするものの、マヒディらに制止される。
そこにアルジェリア人のボアフラ大尉(モーリス・ロネ)が現れ、弾薬を確保し運んできたことをラスペギーに伝える。 その後、ベトミンの警告後の総攻撃により、ラスペギーの部隊は降伏する。 捕虜として連行されるラスペギーらは、ベトミン士官(バート・クウォーク)に反抗する。 7月22日。 その後、ラスペギーらは帰国するために船に乗船する。 アルジェ。 部隊が解散することを知らされたラスペギーは、ショックを受ける。 実家に戻ったマヒディは、両親と妹アイシャ(クラウディア・カルディナーレ)、そして隣人のアリ・ベン・サード医師(グレゴワール・アスラン)に迎えられる。 そこに、独立運動を支持する弟のシャイーブが撃たれて運び込まれるものの、既に息を引き取っていた。 マルセイユ。 故郷の村に戻ったラスペギーは、弟のフェルナンド(ルネ・ハバール)や神父(ジョージ・リゴー)に迎えれれる。 フェルナンドと共に実家に向かったラスペギーは、母親(マリー・バーク)との再会を喜ぶものの、部隊を奪われたことを話す。 クレアフォン少佐の妻である伯爵夫人ナタリー(ミシェル・モルガン)に会ったエスクラヴィエは、ラスペギーを軍に戻すための口添えを頼む。 農民のラスペギーは伝統にそぐわないと言うナタリーは、退役するべきだとエスクラヴィエに伝える。 ナタリーに会ったラスペギーは、意外にも軍への復帰に協力してもらえることになり、彼女のおじである国防相の元に向かう。 上官に逆らうことを改める条件で、ラスペギーは、アルジェリアでの任務を任されるものの、司令官はメリーズ将軍だと知らされる。 ナタリーと交際を始めたラスペギーは、指揮する部隊編成などについて話し、マヒディに連絡してあるものの連絡がないことを伝える。 ボアフラら元部下と再会したラスペギーは、第10パラシュート連隊の指揮を執り、アルジェリアに向かうことを話す。 エスクラヴィエも現れ、彼以外は共に戦うことをラスペギーに伝える。 マヒディから連絡がないことを皆に伝えたラスペギーは、エスクラヴィエが帰った後で話し合おうとする。 気分を害して去ろうとするエスクラヴィエを引き止めたラスペギーは、彼を部隊に誘う。 その後ラスペギーは、部隊の訓練を始める。 アルジェ、第12軍管区司令部。 マヒディの家を訪ねたラスペギーらだったが、荒れ果てて人は住んでいなかった。 ラスペギーは、隣人のベン・サードから、マヒディの家族の話を聞く。 その後、舞台を率いガフェスに向かう途中、地雷に気づいたラスペギーは、それを爆破する。 ”FLN/民族解放戦線”のゲリラの襲撃を受けたラスペギーは、敵の機関銃を奪うようボアフラに指示する。 戦闘を終えたラスペギーは、敵の武器が友軍のものだと知り、30名の戦死者を確認する。 ガフェスに着いたラスペギーは、市長(ジャック・マリン)の元に向かい、待ち伏せされたことを伝える。 非協力的な市長に従う気のないラスペギーは、独自のやり方で行動を開始する。 ラスペギーは、エスクラヴィエと共にヘリコプターで周辺を偵察する。 山岳地帯に潜むゲリラは、ヘリが去った後で姿を現し、その指揮を執るのは、弟シャイーブの死をきっかけにFLNに加わったマヒディだった。 待ち伏せしたことで偵察が強化されたマヒディは、そのまま山に潜み、全国の同志が立ち上がるのを待ち、フランスを追い払う考えを部下に伝える。 それに疑問を感じるアーメド(アンドレス・モンレアル)だったが、ガフェスに戻り情報を入手するようマヒディから指示される。 部下のオシーニ(ジャン=クロード・ベルク)とマール(モーリス・サルファティ)に付近を偵察させたラスペギーは、襲撃された農場にヘリで向かう。 町を守れないことで苛立つ市長を無視したラスペギーは、通訳のアーメドを信用する。 マールらに、ゲリラのリーダー、マヒディが抜けたがっていると伝えたアーメドは、ラレムの隠れ家に案内する。 それを知ったエスクラヴィエは、部下を連れてラレムに向かい、マールらが殺されていることを確認する。 ボアフラらは、制止するエスクラヴィエの話を聞かずに村の男たちを殺害する。 翌日、それを知ったラスペギーは、行いを虐殺と認めるが、死体を放置して、各地に警告するよう村人に伝える。 ラスペギーから責任を追及されたエスクラヴィエは、除隊を希望するものの却下される。 マヒディが隣の村にいることを知ったラスペギーは、その場に向かう。 村にマヒディがいないことを確認したラスペギーらは、潜んでいたゲリラを追う。 ゲリラに水を届けようとした男を拷問したボアフラは、マヒディらが山にいることを聞き出し、ラスペギーに伝える。 ボアフラが拷問したことが許せないエスクラヴィエは、ラレムで殺せばよかったと言って彼を非難する。 ヘリが現れ、密告されてことに気づいたマヒディらは身を隠す。 近づくヘリを攻撃したマヒディは、ラスペギーの反撃を受ける。 着陸したラスペギーを確認しながら、マヒディらはその場から逃げる。 アルジェ。 チュニスから大量の武器が入り、ゲリラが大軍を組織する可能性をメリーズから知らされたラスペギーは、それに対抗する作戦の指揮を任される。 警察の仕事だと言って断ろうとしたラスペギーは、ラレムのことがパリに知れれば終わりだと言われ、従うしかなかった。 市内は警戒態勢に入り、ラスペギーの部隊は、ゲリラの協力者を探し出そうとする。 独立支持派のデモで街が混乱する中、エスクラヴィエは娼婦だと言うアイシャと出会う。 カスバにアイシャを送ったエスクラヴィエは、彼女と再会を約束する。 娼婦に扮して地下活動を続け、ベン・サードと共に兄マヒディに協力していたアイシャは、爆破テロに加担する。 危機的状況を打破できないラスペギーは、警察の極秘情報を入手する。 その頃アイシャは、エスクラヴィエを利用する目的で付き合い始める。 エスクラヴィエは、危険だと言うラスペギーから、カスバの女との交際を禁じられる。 警察の情報で、マヒディの隣人ベン・サードが戦犯だと知ったラスペギーは、彼を連行して尋問する。 ベン・サードがマヒディの居場所を知っていると考えるラスペギーは、それを聞き出そうとする。 その場にマッチ箱爆弾を置いたベン・サードは、監禁される。 連行されたアイシャを調べたラスペギーは、彼女がエスクラヴィエと付き合っていることを知る。 エスクラヴィエを呼び、それを確認したラスペギーは、ベン・サードの仲間だと彼に伝える。 ラスペギーらが部屋を出た瞬間に爆発が置き、逃げだしたベン・サードは射殺される。 エスクラヴィエの元に向かったラスペギーは、アイシャからベン・サードとの関係を訊き出すよう命ずる。 自分が利用されたことを知ったエスクラヴィエは、アイシャを痛めつける。 爆弾を作った男も捕らえられ、アイシャを再び尋問しようとしたラスペギーは、憲兵司令官からの召喚状を受け取り、告発されたことを知らされる。 ラレムの事件が問題になったラスペギーは、パリに向かうことになる。 アイシャがマヒディの妹だと聞き出したエスクラヴィエは、それをラスペギーに伝える。 マヒディを殺さないことを条件に、武器の在りかも聞き出したエスクラヴィエは、それをラスペギーに約束させる。 オーレス山にマヒディが潜んでいることを知ったラスペギーは、エスクラヴィエらと共に部隊を率いて現地に向かう。 ラスペギーの部隊を確認したマヒディは、攻撃を始める。 ボアフラは、ラスペギーからマヒディは殺すなと言われ、数人で岩山を登る。 救護ヘリが到着し、マヒディはそれへの攻撃を制止する。 ボアフラが無謀な行動を始め、オシーニらと共にヘリに乗り込んだラスペギーは飛び立つ。 負傷者を運ぶと言って、ヘリへの攻撃を許さないマヒディだったが、着陸したラスペギーらは背後から攻撃を仕掛ける。 部下を失ったマヒディは、ラスペギーから降伏するようにと言われるものの、ボアフラに射殺されてしまう。 約束を破ったボアフラに覆いかかったエスクラヴィエは、ラスペギーに制止される。 勝利にこだわるラスペギーを侮辱したエスクラヴィエは殴り倒され、これで縁を切れると彼に伝える。 アルジェ。 除隊するエスクラヴィエは、その様子を見つめる。 エスクラヴィエは、ラスペギーらが勲章を授与される姿を見つめながらその場を去る。 ”独立”の落書きを消す近くで、違う落書きをする男を目撃したエスクラヴィエは、苦笑いしながら故郷に向かう。
...全てを見る(結末あり)
休戦委員会が開かれて協定が成立し、ラスペギーの部隊はフランスのキャンプに向かう。
マヒディは、国内が混乱しているため、エスクラヴィエからパリ行きを勧められるものの、友に別れを告げて故郷に向かう。
祖国に戻ったラスペギーは、エスクラヴィエらと別れる。
メリーズ将軍に呼ばれたラスペギーは、ガフェスに向かい、ゲリラの活動を制圧するよう命ぜられる。
マヒディは、戻ったアーメドの勝手な行動を非難し、奪ったマールの銃で彼を射殺する。
反乱を鎮めることに成功したラスペギーは、満足するメリーズ将軍から、大佐昇進の手続きをすると言われ、ラレムでの警告が効果的だったことを知らされる。
ナタリーらが見守る中、戦功により部隊は全員が表彰され、将軍に昇進したラスペギーらは勲章を授与されることになる。
*(簡略ストー リー)
1954年。
”第一次インドシナ戦争”下の”ディエンビエンフーの戦い”で捕虜となったフランス軍の指揮官ピエール=ノエル・ラスペギー中佐は、休戦協定終結と共に帰国する。
部隊は解散してしまい、ラスペギーは、戦死した指揮官の妻で伯爵夫人のナタリーの口添えにより復帰し、アルジェリアに向かうことになる。
それがきっかけとなりナタリーと交際を始めたラスペギーは、部下のエスクラヴィエやボアフラらと共に訓練を始めてアルジェリアに向かう。
アルジェの司令部に着いたラスペギーは、”FLN/民族解放戦線”のゲリラを制圧するために、部隊を率いてガフェスに向かう。
その頃、ラスペギーの部下だったアルジェリア人のマヒディは、独立運動をしていた弟が殺されたことをきっかけに、ゲリラの指揮官となり山岳部に潜んでいた・・・。
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実在の軍人マルセル・ビジャールを主人公のモデルにして執筆した、ジャン・ラルテギーの小説”The Centurions(名誉と栄光のためでなく)”を元に、製作を兼ねるマーク・ロブソンが監督した作品。
軍人としての使命を果たすため、任務を全うしようとする指揮官の戦いと共に、かつての部下とも戦うことになる運命や恋愛なども描きながら、アクションとしても楽しめる、マーク・ロブソンの演出手腕が見どころの作品。
全体的にはまずまず見応えがある作品なのだが、気になるのが、物語の流れがおかしい場面がある。
(ロングバージョンはないようなのだけど・・・)
まず、”FLN/民族解放戦線”のゲリラのリーダーになるかつての戦友マヒディのことを主人公のラスペギーらが知る、その経緯の描写がない。
(私が見逃したのか・・・?)
また、エスクラヴィエとマヒディの妹アイシャが交際を始めるのだが、”これでお別れ二度と会えない・・・”と、彼女が言って別れた次の場面で再び二人は会っていて、翌日も会う約束をするなどなど・・・。
それはともかく、ロケはスペイン各地で行われたということで、フランス及びアルジェリアの人々が観るとどう感じるかは不明だが、ロバート・サーティース撮影による、市街の様子や山岳地帯の戦いの雰囲気はよく出ている。
ヨーロッパ映画でも成功しているハリウッドのスターである、主人公を演ずるアンソニー・クインは、その存在感で他を圧倒し、難しい立場の指揮官を好演している。
二枚目過ぎて、女性とのシーンはハマっているものの軍人の役は似合わない、オーバーアクションも気になる主人公の部下アラン・ドロン、その戦友でありながら、祖国に戻り独立運動に加わりリーダーとなるジョージ・シーガル、その妹で地下活動に加担するクラウディア・カルディナーレ、主人公と交際するようになる伯爵夫人ミシェル・モルガン、無謀な行動をとる主人公の部下モーリス・ロネ、地下活動家である医師のグレゴワール・アスラン、主人公の上官である司令官ジャン・セルヴェ、主人公の部下モーリス・サルファティ、ジャン=クロード・ベルク、主人公と対立する市長のジャック・マリン、ベトミンの士官バート・クウォーク、神父のジョージ・リゴー、主人公の弟ルネ・ハバール、他、ジャン=ポール・ムーリノ、ゴードン・ヒース、アルバート・シモノ、アルマン・メストラル、アル・ムロック、アルド・サンブレルなどが共演している。