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若草物語 Little Women (1949)

1868年に発表され世界中の人々に愛読され続けるルイーザ・メイ・オルコット同名小説の映画化。
製作、監督マーヴィン・ルロイ、主演ジューン・アリソンピーター・ローフォードマーガレット・オブライエンエリザベス・テイラージャネット・リーロッサノ・ブラッツィメアリー・アスターC・オーブリー・スミス共演によるMGM創立25周年記念作品。

アカデミー賞 ■ ストーリー ■ 解説


ドラマ(家族愛)

エリザベス・テイラー / Elizabeth Taylor / Pinterest


スタッフ キャスト ■

監督:マーヴィン・ルロイ
製作:マーヴィン・ルロイ
原作:ルイーザ・メイ・オルコット
脚本
アンドリュー・ソルト
ヴィクター・ヒアマン

サラ・Y・メイソン
撮影
ロバート・H・プランク

チャールズ・ショーンボーム
編集:ラルフ・E・ウィンターズ
美術・装置
セドリック・ギボンズ

ポール・グレス
音楽:アドルフ・ドイッチ

出演
ジューン・アリソン:ジョー・マーチ
ピーター・ローフォード:セオドア”ローリー”ローレンス
マーガレット・オブライエン:ベス・マーチ
エリザベス・テイラー:エイミー・マーチ
ジャネット・リー:メグ・マーチ
ロッサノ・ブラッツィ:ベア教授
メアリー・アスター:マーチ夫人
C・オーブリー・スミス:ジェームズ・ローレンス
ルシール・ワトソン:マーチ伯母さん
エリザベス・パターソン:ハナ
レオン・エイムズ:マーチ
リチャード・ワイラー:ジョン・ブルック
コニー・ギルクリスト:カーク夫人
ハリー・ダベンポート:バーンズ医師
エレン・コービー:ソフィー


アカデミー賞 ■
第22回アカデミー賞

・受賞
美術賞(カラー)
・ノミネート
撮影賞(カラー)


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー ■
19世紀半ば。
アメリカ北東部、ニューイングランド地方、
マサチューセッツ州、コンコードのクリスマス。

一面銀世界の町の片隅、マーチ家には4姉妹がいた。

長女メグ(ジャネット・リー)は、家庭的でおとなしい淑女、次女ジョー(ジューン・アリソン)は、活発で気性が激しく、小説を書くのが趣味、三女エイミー(エリザベス・テイラー)は、絵を描くことが好きで、プライドが高く美しさを鼻にかけるようなところがあり、四女ベス(マーガレット・オブライエン)は病気がちで、家族から大切にされていた。

父(レオン・エイムズ)は南北戦争に出征中で、留守を守るのは母(メアリー・アスター)と、お手伝いのハナ(エリザベス・パターソン)だった。
...全てを見る(結末あり)

帰宅した母を迎える4姉妹は、母が持参した父からの手紙を喜ぶが、伯母のマーチ(ルシール・ワトソン)の訪問を受ける。

伯母は四姉妹にクリスマスのお小遣いを渡すのだが、父親が事業に失敗したことなどの嫌味を言いながら、そそくさとその場を去る。

お小遣いで、それぞれが欲しいものを買いに行った姉妹は、帰宅して母から父の手紙を読んでもらう。

父母が、人々に献身的に尽くす姿を見た姉妹は、買ったものを雑貨店に返品し、プレゼントに換えて母親の帰宅を待つ。

そして、帰宅した母は娘達の優しい心に触れる。

翌日も、母が、早朝から出産の手伝いで出かけていることを知った姉妹は、自分達の朝食を持参し、貧しい家族の世話をする母の元に向かう。

マーチ家の向かいは、大富豪のローレンス家だったが、主人のジェームズ・ローレンス(C・オーブリー・スミス)は強面で気難しそうな老人なで、4姉妹は近寄れずに恐れていた。

しかし、ジョーが、ローレンス家の孫ローリー(ピーター・ローフォード)に、家の前で声をかけたのをきっかけにして、マーチ家とローレンス家の親交が始まる。

ある日、風邪でのどを痛めたローリーを見舞いに、ジョーはローレンス家を訪れる。

ローリーは、メグが気になる存在になった親友のジョン・ブルック(リチャード・ワイラー)のことをジョーに伝える。

しかし、暖炉の火でジョーのドレスが燃えてしまったため、彼女は家に帰ろうとする。

両親と死別したローリーは、墓場のような屋敷の生活が寂しく、マーチ家の、温かで楽しい様子を羨ましく思っていたのだった。

それを気の毒に思ったジョーは、ローレンスについての率直な意見をローリーに語る。

それを聞いていたローレンスは、正直なジョーを気に入り、彼女を自宅まで送り届けて、隣人としての挨拶をする。

ローリーは、そんな快活なジョーに次第に惹かれていく。

そして、ローレンス家で開かれたパーティーに、4姉妹は招かれる。

ジョーは、焦がしたドレスを繕って出かけたためにダンスが出来ず、エイミーとベスは、母親にまだ早いと言われ、その様子を見物していた。

そこにローレンスが現れ、音楽に興味のあるベスに、誰も弾かないピアノを自由に弾きに来るよう伝える。

ローリーはジョーをダンスに誘い、エイミーとベスが見ている前で二人で楽しく踊る。

しかし、ジョーがローリーと踊ったことが嫉妬され、母まで侮辱されたベスの心は傷ついてしまう。

メグはブルックと親しくなり、楽しい一時を過ごしていたが、それを聞き姉妹は帰宅し、姉3人はベスを慰め、母には内緒にすることを誓う。

ジョーは、自分達が裕福な男性と結ばれることを望むかを母に訪ねるが、彼女は、心の安らぎと自尊心を持つことが尊いことだと、ジョーに話して聞かせる。

決して結婚しないと誓ったジョーは、ローリーの誘いも無視し、仕上がった小説を出版社に持ち込む。

そんなジョーに、思いを告げようとするローリーだったが、彼女はそれに無関心で、自分や家族からメグを奪おうとするブルックもあからさまに嫌う。

そんな時、ローレンスは、ベスからプレゼントされた上靴のお礼に、屋敷のピアノを彼女に贈る。

そして、ローレンスの屋敷にお礼に行ったベスは彼に心から感謝する。

夏になり、父が戦地で負傷して入院した報せが入り、母は父の元に向かおうことになる。

しかし旅費がなく、ジョーが援助を求めた伯母は父の従軍に反対していたため嫌味を言い出す。

意地を張ったジョーは援助を断り、仕方なく美しい自分の髪の毛を売り旅費を作る。

ジョーの美しい心を称えた母は、所用があるブルックと共にワシントンD.C.に向かう。

母の留守中、ベスは猩紅熱にかかってしまい、一命は取り留めるものの、幼い彼女の体は弱ってしまう。

やがて、ベスの回復を心待ちする一家の元に、傷の癒えた父が戻り、マーチ家に喜びが満ち溢れる。

メグは、ブルックからの求婚を断るようジョーに言われていたが、伯母に、彼が自分の財産を狙う男呼ばわりされてブルックをかばう。

そして、ブルックへの気持ちに気づいたメグは、彼の求婚を受け入れてしまう。

やがて二人は結婚し、ローリーもジョーに求婚するが、彼女は作家としての希望を捨てきれず、ニューヨークに行くことを決意する。

ニューヨーク
母の友人カーク夫人(コニー・ギルクリスト)の家の家庭教師となったジョーは、下宿人でドイツ人の音楽教授ベア(ロッサノ・ブラッツィ)やメイドのソフィー(エレン・コービー)と親しくなる。

ある日、ジョーの元に、エイミーと伯母が訪ねてくる。

伯母は、エイミーとヨーロッパに旅立つことになり、自分を連れて行ってくれる約束だったジョーは意気消沈してしまう。

さらに、ベスの具合が悪いことや、ヨーロッパに向かったローリーが、ニューヨークに来たにも拘らず、自分に会いに来なかったことを知ったジョーは、ショックを受ける。

ジョーとベアは、オペラ鑑賞や観劇を共にして意気投合し友情は深まる。

しかしベアは、ジョーの小説に対し”心に感じた事だけを書こう”と、彼女のためを思い忠告する。

ベスの様態を案ずるジョーは、ベアの言葉を聞き帰郷する決心をする。

彼女に心を寄せるようになっていたベアは、それを寂しく思いながらも再会を誓う。

長い冬は続きベスの心は曇る一方だったが、ジョーが戻り、マーチ家は春のような雰囲気に包まれる。

しかし、ジョーはベスの死が迫っていることを父から知らされ、そして、彼女は、春を待たずに亡くなってしまう。

ジョーはベスの想い出を書き綴り、小説”私のべス”の原稿をベアに送る。

やがてジョーにも、愛が大切なものに思えてくる。

初夏の候、エイミーとローリーが、ヨーロッパで結婚して帰国し、双子が生まれたメグ一とブルックや、伯母などもマーチ家集っていた。

そこに、ベアが、”私のベス”を本にしてジョーに渡すために訪れる。

雨の中、ローリーに言伝だけ残して帰ろうとするベアに気づいたジョーは、彼に駆け寄り感謝を述べる。

2人には深い愛情が芽生え、ジョーはベアをマーチ家に招き入れる。


解説 評価 感想 ■

*(簡略ストー リー)
19世紀半ば、マサチューセッツ州。
マーチ家の4姉妹の、長女メグ、次女ジョー、三女エイミー、四女ベスは、家族に大切にされていた。
父は南北戦争に出征中で、留守を守る母と裕福だが口うるさい伯母のマーチが近くに住んでいた。
両親が、人々に献身的に尽くす姿を見ている姉妹は、自分達も父母の力になろうとする。
向かいの大富豪のローレンスは、強面で気難しそうな老人なで、四姉妹は屋敷に近寄れずに恐れていた。
しかし、ジョーが、ローレンスの孫ローリーに声をかけたのをきっかけに、彼女は屋敷を訪れる。
屋敷で寂しく暮らすローリーは、マーチ家の温かで楽しい様子を羨ましく思っていたのだった。
そんな時、自分について正直に意見するジョーを気に入ったローレンスは、隣人としてマーチ家に向かい、正式に挨拶して、両家の親交が始まる・・・。
__________

クリスマスで物語が始まるものの、それがテーマの作品ではないが、家族や人々の愛に包まれた作品として、個人的に、クリスマスになると無性に見たくなる作品でもある。

アカデミー美術賞を受賞した、アメリカ北東部の田舎町を再現した雪景色や、その雰囲気は出色で、当時の若手スター達の共演も話題を呼んだ心温まる作品。

本作の他、3度映画化されている物語で、キャサリン・ヘップバーンが、次女のジョー役を演じている1933年度版が、作品自体の評価は最も高い。

心の旅路」(1942)などと同様、心洗われるような人々の優しさを、様々な表現の仕方で描くマーヴィン・ルロイの演出は見事で、清らかで美しく、人々の良心が心から伝わる珠玉の名作。

何度見直しても、アドルフ・ドイッチの主題曲を聴くだけで、胸が熱くなり涙してしまう素晴らしい作品でもある。

第22回アカデミー賞では、美術賞(カラー)を受賞した。
・ノミネート
撮影賞(カラー)

余談だが、本作を初めて見たテレビ放映時の日本語の吹き替えで、主人公ジョーの驚いた様子を伝えるセリフが”驚き桃の木!!”だったことがなぜか気になっていた。
その後、英語では”クリストファー・コロンブス!!”と言っているを知った時のことを、子供心に妙に覚えている。
*ローリーも、ジョーが髪の毛を売った時、そのヘアースタイルを見て、思わず口にするセリフだ。

前記のように、キャサリン・ヘップバーンのジョーと何かと比較されてしまうジューン・アリソンなのだが、ハスキーボイスが勝気な主人公役にぴったりで、特にこの後、日本での彼女の人気は急上昇した。

前年の「イースター・パレード」(1948)でも、同様のお坊ちゃまを演じたピーター・ローフォードも、嫌味のない富豪の御曹司の青年を好演している。

病気で命を落とす四女ベスのマーガレット・オブライエンと、本作が遺作となったC・オーブリー・スミスの親交は、人々の優しさを象徴するエピソードとして印象に残る。

まだ17歳の、エリザベス・テイラーの際立つ美しさと、しっかり者の長女ジャネット・リーも、上品な美しさで作品に彩を添える。

エリザベス・テイラーが、美貌にさらに磨きをかけようと、洗濯バサミで鼻をつまみ鼻を高くしようとする場面を観て、真似をした方は大勢いるはずだ。

ハリウッドに進出したばかりの、イタリア人スターロッサノ・ブラッツィは、好演するものの評判とはならず、一度帰国して、1950年代に入り、再びアメリカの作品に出演して、評価を高めることになる。

夫の留守を守る、思慮深く優しい母メアリー・アスター、皮肉屋だが思いやりもある伯母ルシール・ワトソン、頼れるお手伝いさんエリザベス・パターソン、そして、M・アスターとは、「若草の頃」(1944)でも夫婦を演じ、同じくM・オブライエンが娘役でもあった、家族を愛する父親レオン・エイムズ、この後1作に出演し、この年に他界する医師役ハリー・ダベンポート、メグ(J・リー)と結婚する紳士リチャード・ワイラー、ジョー(J・アリソン)の下宿の女主人コニー・ギルクリスト、そのメイドのエレン・コービーなどが脇を固めている。


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