1929年に発表された、W・R・バーネットの小説”Little Caesar”を基に製作された作品。 田舎町の小悪党から大都市シカゴの暗黒街の顔役に成りあがった男の運命を描く、製作ハル・B・ウォリス、ダリル・F・ザナック、監督マーヴィン・ルロイ、主演エドワード・G・ロビンソン、ダグラス・フェアバンクスJr.、グレンダ・ファレル共演の犯罪映画の代表作。 |
■ スタッフ キャスト ■
監督:マーヴィン・ルロイ
製作
ハル・B・ウォリス(クレジットなし)
ダリル・F・ザナック(クレジットなし)
原作:W・R・バーネット”Little Caesar”
脚本:フランシス・エドワード・ファラゴー
脚色:ロバート・N・リー
編集:レイ・カーティス
撮影:トニー・ゴーディオ
音楽:エルノ・ラペー
出演シ
シーザー・エンリコ”リコ”バンデロ/”リトル・シーザー”:エドワード・G・ロビンソン
ジョー・マッサーラ:ダグラス・フェアバンクスJr.
オルガ・スタッソフ:グレンダ・ファレル
トニー・パッサ:ウィリアム・コリアーJr.
サム・ヴェットーリ:スタンリー・フィールズ
”ビッグ・ボーイ”:シドニー・ブラックマー
アーニー・ローチ:モーリス・ブラック
ピート・モンタナ:ラルフ・インス
フラハティ巡査部長:トーマス・E・ジャクソン
オテロ:ジョージ・E・ストーン
アメリカ 映画
配給 ワーナー・ブラザーズ
1931年製作 79分
公開
北米:1931年1月9日
日本:1931年10月
■ アカデミー賞 ■
第4回アカデミー賞
・ノミネート
脚色賞
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
田舎町で強盗をしていたシーザー・エンリコ”リコ”バンデロ(エドワード・G・ロビンソン)は、相棒のジョー・マッサーラ(ダグラス・フェアバンクスJr.)に、しがない小悪党でいることに満足できないことを語る。
暗黒街の顔役ピート・モンタナ(ラルフ・インス)など目じゃないと息巻くリコは、チャンスさえあればのし上がって見せると言い切る。
リコの考えも理解できるジョーだったが、自分にはダンサーが向いていると言って稼業から足を洗おうとする。
それを無視するリコは、この町を出ると言って東に向かう。
シカゴ。 リコが気に入ったヴェットーリは、トニー・パッサ(ウィリアム・コリアーJr.)、オテロ(ジョージ・E・ストーン)ら仲間を紹介して”リトル・シーザー”という渾名をつける。 ”ブロンズ・ピーコック”クラブのダンサーとして雇われたジョーは、パートナーのオルガ・スタッソフ(グレンダ・ファレル)と恋仲になる。 稼業から足を洗っていなかったジョーが、拳銃を所持していることに気づいたオルガは驚く。 自分が口出しすることではないと言いつつ、オルガは銃を捨ててほしいことをジョーに伝える。 簡単にはいかないと言うジョーは、逃げる方法を考えることを提案されるが、それは無理だと答える。 縄張りを分けるヴェットーリの訪問を受けた”リトル・アーニー”ローチ(モーリス・ブラック)は、現れたモンタナを歓迎する。 モンタナの話に割って入ろうとしたリコは、アーニーに言いがかりをつけられるが、ヴェットーリに外に出ているよう命ぜられてそれに従う。 組織のボス、”ビッグ・ボーイ”(シドニー・ブラックマー)からの支持を受けたモンタナは、犯罪委員会長官アルヴィン・マクルーアの取り締まりが厳しくなるため、派手な行動は慎むようにとヴェットーリとアーニーに伝える。 モンタナは下の者の銃の使用を禁じ、リコのような男に目を光らせるようヴェットーリとアーニーに指示してその場を去る。 銃に頼らず冷静に行動しろとモンタナに言われたリコは、それに従うことを伝える。 アーニーに因縁をつけられても動じないリコは、ヴェットーリと共にその場を去る。 その後、アーニーを”ブロンズ・ピーコック”で襲う計画を練っていたヴェットーリは、約束の時間に現れないジョーを臆病者呼ばわりする。 その件や自分が考えた計画をヴェットーリに批判されたリコは席を外す。 遅れて現れたジョーを非難したリコは、クラブでアーニーを襲ことを伝えその協力を求める。 ジョーのクラブはアーニーの息がかかっているためかえって都合がいいと言うリコは、戸惑うジョーに仕事から外してくれと頼まれる。 それを承知しないリコは、有無を言わせずジョーを計画に加え、手引きするよう指示する。 ニューイヤーズ・イヴ。 動揺して楽屋に戻ったジョーは、マクルーアが殺されたことをオルガに伝える。 自分を疑うオルガにそれを否定したジョーは、今度こそ足を洗うべきだと言われるものの、裏切りは許されないと答える。 戻ったリコがマクルーアを殺してしまったことを知ったヴェットーリは彼を責める。 リコはヴェットーリの話を聞き入れず、縁を切るとまで言われても気にしない。 リコの運転手を務めたトニーは怯えて車で逃げ回り、事故を起こす。 現れたフラハティ巡査部長(トーマス・E・ジャクソン)を相手に、トニーが事故を起こして逃走中と聞いたヴェットーリは事件関与を否定する。 フラハティはその場を去り、現金を持って隠れていたリコは、自分の思い通りにその場を仕切ろうとする。 ヴェットーリよりも頭が切れる男だと考える仲間達はリコに付き、ヴェットーリは彼に従うしかなかった。 家に戻ったトニーは、母親に別れを告げてマクニール神父の元に向かう。 オテロに出くわしたトニーは、分け前を渡すというリコの元に向かうよう言われるが、それを拒みマクニール神父に会うと伝えて立ち去る。 それをオテロから知らされたリコは二人で教会に向かう。 そして、教会の入り口の階段でトニーはリコに射殺される。 その後トニーの葬儀が行われ、組織の懇親会が開かれる。 紹介されたリコは、一気にモンタナの下の地位に上り詰める。 暫く会っていないジョーのことをヴェットーリに聞かれたリコは、ジョーがこの世界から遠ざかるのは損だと語る そこにフラハティが現れたため、リコは彼を追い払おうとする。 動じないフラハティは、常に監視していると言ってリコを牽制する。 その頃、アーニーはリコの抹殺を企み、それを知ったジョーはオテロにその件を知らせる。 街角で襲われたリコは銃弾を受け、そこに現れたフラハティにかすり傷だと伝えるが、彼から必ず逮捕すると言われる。 今回の件はアーニーの仕業であり、ジョーからその連絡があったことをリコはオテロから知らされる。 アーニーを襲うことを決めたリコは、手下と共にオフィスに押入る。 自分の暗殺に失敗したアーニーを前に、リコは翌朝までに町を出るよう脅迫し縄張りは手に入れることを伝える。 モンタナやヴェットーリの名前を出すアーニーを相手にしないリコは、時代は変わったと言ってその場を去る。 アーニーは休暇という名目でデトロイトに追いやられ、リコは勢力を拡大する。 ビッグ・ボーイの屋敷に招かれたリコは、他言無用だと前置きされて、モンタナを切り後を任される。 リコは、やがてビッグ・ボーイの時代も終わり、街を支配する日も近いと考える。 復讐を狙うアーニーがフラハティと組み、マクルーアを殺害した犯人を捕らえようとしてダンサー達に探りを入れているため、リコはジョーを呼び出す。 ジョーがフラハティと接触したかを確かめながら、リコはより強固な信頼関係と協力を求める。 自分の人生に口出ししてほしくないジョーは答えに躊躇し、それが気に入らないリコは、オルガのせいで骨抜きにされたと言って批判する。 オルガを消すとまで言われたジョーは話を断るが、憤慨したリコは彼を許さず、今後は側近になることを強要する。 リコがビッグ・ボーイからの電話を受けている間に、ジョーは姿を消してしまう。 オルガの元に向かったジョーは彼女と共に逃げようとする。 しかし、どこに逃げても無駄だと考えるオルガは、殺されることを恐れるジョーの説得も聞かずに、フラハティに協力してリコを逮捕させようとする。 オルガはフラハティに電話をするが、リコがオテロと共に現れジョーに銃を向ける。 ジョーを撃つことができないリコはに引き上げようとする。 オテロの放った銃弾をジョーは腕に受けてしまい、そこにフラハティの車が到着し、リコらは非常階段から逃げる。 オルガは現れたフラハティに、”ブロンズ・ピーコック”襲撃とマクルーア殺害犯人がリコだと伝える。 ジョーを問い詰めたフラハティはリコの犯行を確信し、署に電話をして逮捕命令を出す。 オテロは追ってきた警官の銃弾に倒れ、リコは逃亡する。 ジョーの裏切りを知らされたヴェットーリは、押入って来たフラハティに逮捕される。 その後も逃亡を続けたリコは、貧民街の簡易宿泊所に身を隠し数か月が経っていた。 ヴェットーリは死刑となり、フラハティは新聞の記事で、肝心な時に力を発揮できなかったリコを臆病者呼ばわりする。 憤慨したリコはフラハティに電話をして復讐を誓うが、逆探知されて居場所が知れてしまう。 新聞記事を餌にしたフラハティは、思い通りになったため現場に向い街角でリコを発見する。 リコを追い詰めたフラハティは、トミーガンを構え警告して銃撃する。 ジョーとオルガのショーの看板の裏に隠れていたリコは、銃弾を受けて倒れ込む。 フラハティに声をかけられたリコは、観念しないまま息絶える。
ギャングのボス、サム・ヴェットーリ(スタンリー・フィールズ)を訪ねたリコは自分を売り込む。
...全てを見る(結末あり)
ジョーの合図でクラブを襲ったリコらだったが、その場にアーニーがいることを知り引き上げようとしていたマクルーアを射殺してしまう。
*(簡略ストー リー)
田舎町の小悪党だったシーザー・エンリコ”リコ”バンデロは、相棒のジョーと共に大都市シカゴに向かう。
暗黒街でのし上がることに異常な執着心を見せるリコは、ギャングのボス、ヴェットーリの手下になり、縄張りを分けるアーニーのクラブを襲う計画に加わる。
襲撃は成功し現金を奪ったリコは、その場に居合わせた犯罪委員会長官マクルーアを射殺してしまう。
勢いづいたリコはヴェットーリから実権を奪い、地域のボス、モンタナの下の地位となる。
大物となったリコだったが、警察のフラハティ巡査部長の執拗な捜査が始まり追い詰められていく・・・。
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「民衆の敵」(1931)、「暗黒街の顔役」(1932)と並ぶ1930年代初頭を代表する犯罪映画として映画史上に残る作品。
役者でもあったマーヴィン・ルロイが、サイレント時代を経て一流監督して認められた作品で、犯罪映画ブームを巻き起こすきっかけとなった。
後のヒューマン・ドラマなどを得意とする彼の作風とは全く違う、裏社会の内幕を描く内容であるところに注目したい。
第4回アカデミー賞では、脚色賞にノミネートされた。
2000年、アメリカ議会図書館が、国立フィルム登録簿に登録した作品でもある。
小柄ではあるが、ふてぶてしい人相と周囲を圧倒する雰囲気で画面を占領する、エドワード・G・ロビンソンは正に適役であり、クライマックス、貧民街で身を隠す惨めな生活下であっても、プライドを捨てずに死んでいく凄まじい運命をたどる男を熱演している。
主人公の相棒で、ダンサーとなるものの堅気になり切れないダグラス・フェアバンクスJr.、その恋人であり、彼女の勇気が犯罪者を倒すきっかけとなるグレンダ・ファレル、主人公の仲間ウィリアム・コリアーJr.、ジョージ・E・ストーン、主人公のボスから従う者となるスタンリー・フィールズ、街を支配するボス、シドニー・ブラックマー、主人公に追放されるギャング、モーリス・ブラック、彼らを仕切るボス、ラルフ・インス、主人公を追い詰める巡査部長トーマス・E・ジャクソンなどが共演している。