スピード狂のスティーブ・マックイーンが自身のプロダクション”ソーラー・プロ ”で製作した”ル・マン24時間レース” を描くアクション映画。 |
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■ スタッフ キャスト ■
監督:リー・H・カッツィン
製作総指揮:ロバート・E・レリア
製作:ジャック・N・レディッシュ
脚本:ハリー・クライナー
撮影
ルネ・ギッサールJr.
ロバート・B・ハウザー
編集
ジスレーヌ・デジョンケール
ドナルド・W・アーンスト
ジョン・M・ウッドコkック
音楽:ミシェル・ルグラン
出演
スティーブ・マックイーン:マイケル・ディレイニー(ポルシェ/20)
ジークフリート・ラウヒ:エリッヒ・スターラー(フェラーリ/8)
エルガ・アンデルセン:リサ・ベルゲッティ
ロナルド・ライヒ=フント:デビッド・タウンセンド
フレッド・アルティナー:ヨハン・リッター(ポルシェ/21)
ルイーズ・エドリンド:アンナ・リッター
リュック・メランダ:クロード・オーラック(フェラーリ/7)
クリストファー・ワイト:ラリー・ウィルソン(ポルシェ/22)
アンジェロ・インファンティ:ルーゴ・アブラッテ(フェラーリ/5)
ジャン=クロード・バーク:ポール=ジャック・ディオン(ポルシェ/22)
ミシェル・スカレラ:ビート・スカリージ(フェラーリ/6)
アメリカ 映画
配給 National General Pictures
1971年製作 108分
公開
北米:1971年6月23日
日本:1971年7月
製作費 $7,573,800
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
フランス、ル・マン。
アメリカ人レーサー、マイケル・ディレイニー(スティーブ・マックイーン)は、前年の”ル・マン24時間レース”で、自分との接触事故で死亡した、ベルゲッティのことを想い事故現場でたたずむ。
そして、今年もレースの時が来て、世界中から、ドライバーと数十万人の観客が集まる。
レース当日、ベルゲッティの妻リサ(エルガ・アンデルセン)も見つめる中、午後4時の時報と共にレースはスタートする。
その後、ドライバー交代でキャビンに向かうディレイニーは、リサと顔を合わせて、簡単な会話を交わす。
周回を重ね、各車ピットインしてドライバー交代をするが、気まぐれな天気は雨を降らす。 そして、トップを快走し、新記録を樹立していたプライベート・チームのポルシェに、トラブルが発生する。 レースはポルシェのワークス・チームとフェラーリの一騎打ちになりそうな展開となり、ディレイニーとフェラーリのエリッヒ・スターラー(ジークフリート・ラウヒ)は各方面から注目される。 各車はレインタイヤに交換するが、コースのいたるところでスリップするマシンが出て、ついに事故が起きる。 2時間を経過し、トップはフェラーリ、続いて2位はワークス・チームのポルシェだったが、その事故で、両マシンは温存していたレインタイヤに急遽交換しようとする。 ほぼ同時にピットに入った両マシンだったが、ディレイニーのポルシェが、先にピット・アウトしてトップを奪う。 やがて日が暮れて夜になり、レースはこう着状態が続き、観客は、カーニバルのような会場周辺の雰囲気を楽しむ。 交代したディレイニーは、ビュッフェでリサを見かけて彼女と同席し、再び、この地を訪れた理由などを問う。 その間もレースは続き、夜が明けた13時間後の午前5時、ディレイニーとスターラーが再びマシンに乗る。 トップのディレイニーを、12秒差で追うスターラーはスピンしてしまい、後続のクロード・オーラック(リュック・メランダ)のフェラーリが、それを避けようとしてクラッシュしてしまう。 その事故を一瞬意識したディレイニーは、前方のマシンにコースを遮られ、ガードレールに激突してしまう。 ディレイニーは幸い軽傷だったが、その事故を知ったリサは、重傷を負ったオーラックの元に駆けつける。 そのリサに群がるマスコミを見て、診察を終えたディレイニーが歩み寄り、彼女を救い出す。 ピット・インしたスターラーは、ディレイニーのリタイヤとオーラックの無事を知らされ、再びコースに戻る。 その後、レースの様子を確認したディレイニーはキャビンに戻り、待ち構えていたリサを中に招き入れる。 リサは再び事故に直面し、どうして他の事に命を懸けないのかディレイニーに問い質すが、彼は、真剣に生きるにはこの道しかないことを彼女に告げる。 レースも大詰めに入り、トップのポルシェがトラブルでピットに入る。 すると、2位のフェラーリも、最終ドライバー交代でスターラーが乗り込もうとするが、こちらもスターターのトラブルが発生してしまう。 ポルシェのチーム・マネージャーのデビッド・タウンセンド(ロナルド・ライヒ=フント)は、ディレイニーに最後の走りを任せる決断をする。 これが最後のレースと決めていた、ポルシェのドライバーのヨハン・リッター(フレッド・アルティナー)は、潔くディレイニーにシートを譲る。 その間に、ルーゴ・アブラッテ(アンジェロ・インファンティ)のフェラーリがトップの座を奪う。 残り8分、前を走るフェラーリとポルシェを追い、スターラーとディレイニーもようやくピットを飛び出す。 最終ラップ、トップのアブラッテのフェラーリはパンクで脱落、優勝はラリー・ウィルソン(クリストファー・ワイト)のポルシェ、続く2位にスターラーとデッドヒートを繰り広げたディレイニーが入る。 優勝は逃したものの、ディレイニーはワークス・チーム優勝に貢献し、スターラーと健闘を称え合う。 そして、レースに命を懸ける男達の姿を見たリサは、ディレイニーに笑みを浮かべ、彼もそれに応える。
...全てを見る(結末あり)
*(簡略ストー リー)
前年の、”ル・マン24時間レース”の事故に関わり、ライバルを死なせてしまったアメリカ人レーサーのマイケル・ディレイニーは、再びレースに戻ってくる。
事故死したドライバーの妻リサもサーキットに現れ、それを意識しながら、ディレイニーは、ポルシェ・チームのドライバーとしてレースに挑む。
そしてレースはスタートし、ライバルのフェラーリとトップ争いを続けていたディレイニーは、一瞬、隙を見せた瞬間クラッシュしてしまい、リタイヤすることになる。
幸い軽傷で済んだディレイニーに、リサは、なぜ危険なドライバーを続けるのかを彼に問う。
しかし、ディレイニーは、それが自分の生きる道だと言い切る。
レース終盤、チーム・マネージャーの決断で、再びハンドルを握ることになったディレイニーは、マシンに乗りライバルのフェラーリを追う・・・。
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マックイーンとエルガ・アンデルセン、それにジークフリート・ラウヒなど以外の出演者は、ほとんど役者らしいセリフもなく、全編がレースの模様を淡々と伝える、ドキュメンタリータッチで描かれている。
ドラマ性もなく、一般向けするような内容でないため、アメリカ国内及び世界でも、興行的に成功したとは言えない作品だが、日本だけは大ヒットし、マニアの中では評価する声も多い。
当初、「荒野の七人」(1960)や「大脱走」(1960)でマックイーンと組んだ、ジョン・スタージェスが監督に予定されていたのだが、カーレース本来の醍醐味を描くことに執着したマックイーンとスタージェスは対立し、それが実現しなかったという経緯がある。
しかし、実際の1970年のレースに参加しながら撮影された映像や、マックイーン所有のポルシェ917Kなどを駆使した迫力あるシーンは見応え十分だ。
マックイーン作品「華麗なる賭け」(1968)で、音楽を担当したミシェル・ルグランの、レースの緊張感とは対照的な、落ち着いた美しい主題曲は印象に残る。
寡黙なヒーロー、マックイーンの表情や仕草は、本物のプロレーサーの雰囲気を感じさせる。
目玉の共演者がいないことで失敗した作品と言われるが、マックイーンの無言のアップシーンが多用され、ファンにとっては満足できる作品とな
っている。
前年の「パットン」(1970)で、主人公パットン将軍を分析するドイツ軍将校を演じたドイツ人俳優のジークフリート・ラウヒが、フェラーリのドライバーとしてライバル・レーサーを演じ、また前年に主人公との接触で夫を亡くした女性役でエルガ・アンデルセンが共演している。