障害を持つ弟と暮らす女性と出会ったイカサマ伝道集団のリーダーの心の動きを描く、主演スティーヴ・マーティン、デブラ・ウィンガー、リーアム・ニーソン、ロリータ・ダヴィドヴィッチ、ルーカス・ハース、フィリップ・シーモア・ホフマン他共演、監督リチャード・ピアースによるコメディ・ドラマ。 |
・スティーヴ・マーティン / Steve Martin / Pinterest
■ スタッフ キャスト ■
監督:リチャード・ピアース
製作
マイケル・マンハイム
デヴィッド・V・ピッカー
脚本:ジェイナス・サーコン
撮影:マシュー・F・レオネッティ
編集
ドン・ジマーマン
マーク・ワーナー
ジョン・F・バーネット
音楽:クリフ・エデルマン
出演
スティーヴ・マーティン:ジョナス・ナイチンゲール
デブラ・ウィンガー:ジェーン・ラーソン
リーアム・ニーソン:ウィル・ブレーヴァーマン
ロリータ・ダヴィドヴィッチ:マーヴァ
ルーカス・ハース:ボイド・ラーソン
ミートローフ:フーヴァー
M・C・ゲイニー:ティニー
フィリップ・シーモア・ホフマン:マット
アメリカ 映画
配給 パラマウント・ピクチャーズ
1992年製作 107分
公開
北米:1992年12月17日
日本:未公開
北米興行収入 $23,369,280
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
カンザス州、ラストウォーター。
ジョナス・ナイチンゲール(スティーヴ・マーティン)をリーダーとするイカサマ伝道集団は、トレイラーが故障したために、この小さな町に腰を落ち着けることになる。
レストランに寄ったジョナスは、そこで働くマーヴァ(ロリータ・ダヴィドヴィッチ)を口説こうとする。
その後ジョナスは、相棒のジェーン・ラーソン(デブラ・ウィンガー)と、集会の許可申請に保安官ウィル・ブレーヴァーマン(リーアム・ニーソン)の元に出向く。
ブレーヴァーマンは、失業者が多いことと、雨が降らずに、農地の収穫に不安を抱える町民のことを考慮し、集会の許可申請を拒む。
しかし、ジョナスが弁護士に相談すると言い出したため、仕方なくブレーヴァーマンは許可を出す。 どん底の町の人々は神にすがるしかないと、ジョナスは自信を見せ、ラジオ出演して人々に神への感謝を訴える。 その後、ジョナスはゴスペル伝道集会に来るよう人々に呼びかけ、サーカスのような集会場が出来上がる。 ブレーヴァーマンは、そんなジョナスらの行動を警戒して監視を続けるものの、彼はジェーンが気になる存在になる。 集会に人々が集まり始めると、イカサマ集団の裏工作が始まり、団員のティニー(M・C・ゲイニー)やマット(フィリップ・シーモア・ホフマン)は、人々に優しく接し情報を入手して指定席に案内する。 その情報をジェーンが集計して準備を整え、そしてジョナスが派手に登場する。 ジェーンは無線でジョナスに情報を送り、彼はあたかも奇跡が起こったかのように、人々の悩みや希望を次々に当てていく。 そして、車椅子の老人が歩きだし、ジョナスの奇跡を信じた人々は熱狂する。 集まった人達は献金を惜しまず、初日の集会は大成功となり、献金の目標額を上回る。 ブレーヴァーマンは、騙されているのが明らかな人々を放っておけず、彼はジョナスに出て行くよう伝える。 しかしジョナスは、自分達の行いは、ブロードウェイのショーのようなものだと言い放つ。 翌日、マーヴァのレストランに行ったジョナスは、自分を詐欺師だと思い込んでいる彼女から、自分達が交通事故で両親を亡くし、弟のボイド(ルーカス・ハース)が松葉杖を使う生活だと知らされる。 弟の足が治るなら、どんなイカサマ伝道師の言葉も信じるとまでマーヴァに言われたジョナスだったが、さすがにボイドを歩かせる自信はなかった。 同じ頃、ブレーヴァーマンはジェーンと親交を深め、彼女に何とか詐欺の片棒を担がせるのを止めさせようとする。 そして二度目の集会は始まり、収入もないのに献金しようとする人々を見かねたブレーヴァーマンは、ジョナスの素性を調べて、人々に彼のペテンを暴露する。 帰り始める人が出始める中、ジョナスはそれを逆手に取り、人々の支持を得てしまう。 警告して会場を後にしたブレーヴァーマンは、ジェーンに職務上仕方なくやったことだと弁解する。 しかし、ジェーンは人々の心を癒すジョナスの行為を擁護し、個人攻撃を続けるブレーヴァーマンを非難する。 その夜、ジョナスはキリストの像に細工し、翌日それを奇跡と言い切り、一躍、世の中から注目を浴びる存在になる。 そして、近隣地域から、ラストウォーターの人口を上回る人々が集まり、集会は一大イベントになってしまう。 ジョナスが、自分を束縛しようとするのも嫌ったジェーンは、ブレーヴァーマンと親密になる。 ブレーヴァーマンはジェーンにプロポーズするが、彼女は答えを返せない。 熱狂する大集会は始まり、現れたボイドを見て力が尽きたと逃げ出したジョナスは、人々のアンコールで再びステージに上がる。 そして、神にすがるボイドがキリスト像に手を触れると、彼は松葉杖を捨てて歩き始め、その場に現れたマーヴァの目の前で本当の奇跡が起きる。 奇跡が起きるはずはなく、マーヴァとボイドに騙されていたと動揺するジョナスは、仲間達に煽られ、大都市で大儲けをする話に乗ろうとする。 それを聞いたジェーンは、ボイドを利用することを阻止しようとしてジョナスを見限る。 一団に同行したいというボイドに、ジョナスは自分が何もしていない、ただのショーだったことを告げるが、起きたこと全てを尚も信ずる彼の頼みを聞き入れる。 マーヴァに感謝されたジョナスは、ボイドを迎えに行かなくても、愛していなかったわけでないという伝言を彼女に伝える。 ジョナスは、イカサマではない真実の奇跡が起きたことと、人々が本気で信仰にすがる姿を見て、この商売から足を洗うことを決意する。 そしてジョナスは、ジェーンと仲間達やボイドを残し独り旅立つが、町には恵みの雨が降り、再び奇跡が起きる。 ジェーンはジョナスが旅立ったことを知り、人々は神に感謝して集会場に集まる。
...全てを見る(結末あり)
*(簡略ストー リー)
各地を回るイカサマ伝道集団のリーダー、ジョナス・ナイチンゲールは、全ては自分の思い通りになると思い込む自信過剰な伝道師だった。
ジョナスは、移動車の故障で立ち寄った田舎町で、相棒のジェーンと共に、現地で集会の許可を取るためブレーヴァーマン保安官の元に向かう。
ブレーヴァーマンは、不景気な町での集会を拒むのだが、ジョナスに押し切られ仕方なくそれを許可する。
ブレーヴァーマンの監視下で集会は始まり、一団はいつものように巧妙な裏工作で集会を成功させる。
ブレーヴァーマンは人々が騙されるのを見過ごしていられず、ジョナスを町から追い出そうとする。
それに対抗したジョナスは、キリスト像に細工をして、究極の奇跡が起きたように見せかけて世間の注目を浴び、更に大規模な集会を開こうとするのだが・・・。
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イカサマ伝道集団の手口がハイテク(当時の)を駆使していたり、見世物に徹しているステージ上の演出などの盛上げ方は、正にショー・ビジネスそのもだ。
人々の熱狂や興奮も、現実味がありそうだと感じてしまうところなどがアメリカという国の興味深さだ。
イカサマや詐欺師ということは抜きにして、主人公の伝道師を演ずるスティーヴ・マーティンの信じ難いほどのワンマン・ステージの熱演は見ものだ。
人を騙し続けてきた男が、人々の信仰心により起きた奇跡を目の当たりにして改心し、独り旅立つラストは感動的でもある。
演技派デブラ・ウィンガーやリーアム・ニーソンの出演は、コメディだけで終わらせるつもりのない、製作者の意気込みの現われだ。
2人のロマンスに加え、ロリータ・ダヴィドヴィッチとルーカス・ハースの健気に生きる姉弟愛もイカサマ集団の派手さとは対象的に描かれ、メリハリのある演出となっている。
ただ、自分達にはあまり馴染みのないことなので、安易には言えないが、信仰を茶化し過ぎているようなところが本国アメリカでは受け入れられず、批評家、一般の評価共に良くなかったのも事実だ。
それが理由かは不明だが、魅力的なキャストにも拘らず興行的には不振に終わり、日本では劇場未公開だった。
また、後のオスカー俳優、実力派フィリップ・シーモア・ホフマンや、ロックシンガーのミートローフ、強面の男M・C・ゲイニーなどが、イカサマ集団の一員として個性を発揮しているのも注目だ。