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ローラ殺人事件 Laura (1944)

1942年の雑誌”Collier’s Weekly”に掲載されたシリーズのヴェラ・キャスパリーの出版著書”Laura”を基に製作された作品。
監督オットー・プレミンジャー、主演ジーン・ティアニーダナ・アンドリュースクリフトン・ウェッブヴィンセント・プライスジュディス・アンダーソン共演による”フィルム・ノワール”の代表作にしてサスペンス・ミステリーの傑作。

アカデミー賞 ■ ストーリー ■ 解説


ドラマ(サスペンス/犯罪)


スタッフ キャスト ■
監督:オットー・プレミンジャー

製作:オットー・プレミンジャー
原作:ヴェラ・キャスパリー
脚本
ジェイ・ドラトラー

サミュエル・ホッフェンシュタイン
エリザベス・ラインハルト
撮影:ジョゼフ・ラシェル
編集:ルイス・R・レフラー
美術・装置
ライル・R・ウィーラー

リーランド・フューラー
トーマス・リトル
音楽:デイヴィッド・ラクシン

出演
ローラ・ハント:ジーン・ティアニー

マーク・マクファーソン:ダナ・アンドリュース
ウォルド・ライデッカー:クリフトン・ウェッブ
シェルビー・カーペンター:ヴィンセント・プライス
アン・トレッドウェル:ジュディス・アンダーソン
ベッシー・クレアリー:ドロシー・アダムス

アメリカ映画
配給 20世紀FOX

1944年製作 88分
公開
北米:1944年10月11日
日本:1947年7月8日


アカデミー賞 ■
第17回アカデミー賞

・受賞
撮影賞(白黒)
・ノミネート
監督
助演男優(クリフトン・ウェッブ
脚色・美術賞(白黒)


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー ■
ニューヨーク
著名なデザイナーのローラ・ハント(ジーン・ティアニー)が、散弾銃で顔面を撃たれ殺害される事件が起きる。

辣腕刑事のマーク・マクファーソン(ダナ・アンドリュース)は、ローラの良き理解者だった、批評家ウォルド・ライデッカー(クリフトン・ウェッブ)を訪ねる。

ライデッカーを含めた、容疑者の全員に会おうとしていたマクファーソンは、ローラの叔母であるアン・トレッドウェル(ジュディス・アンダーソン)に会いに行く。

アンに探りを入れたマクファーソンは、その場にいたローラの婚約者のシェルビー・カーペンター(ヴィンセント・プライス)を連れて事件現場のローラのアパートに向かう。
...全てを見る(結末あり)

ライデッカーは、部屋の鍵を持っていたカーペンターを犯人だと疑うが、マクファーソンは冷静に分析を続ける。

マクファーソンと食事をしたライデッカーは、ローラのことについてを語り始める。
__________

5年前。
広告社に勤めていたローラは、ライデッカーに仕事の依頼をしたために、昼食を邪魔してしまったことで彼に責められ、侮辱まで受けてその場を立ち去る。

その後、ライデッカーはローラにもう一度会いたくなり、彼女の勤め先に向かう。

ライデッカーは、ローラへの謝罪のつもりで彼女を誘い、有名なクライアントを紹介し、やがて彼女はデザイナーとしての才能を発揮する。

社交性もあり、その美貌を生かしたローラに、ライデッカーは磨きをかけ、彼女は人々の心を捉えていく。

その後ライデッカーは、毎週二回、ローラとの夜を楽しく過ごしていたが、ある週に彼女が姿を現さなかった。

ライデッカーは、ローラがある画家との時を過ごしていることを知る。

その画家の作品について酷評した、ライデッカーの記事を読んだローラは、彼を無視するようになり、他の男も相手にしようとしなかった。

そしてローラは、アン主催のパーティーでカーペンターに出会い、彼に仕事を紹介して親密になる。

ライデッカーは、カーペンターのことを調べ上げたことをローラに伝えるが、彼女は既に彼と結婚を決めていた。

カーペンターが、アンと食事をしていたとライデッカーに言われたローラは、それを確かめて彼を見限ってしまう。

その後、田舎の家でカーペンターとのことを考えるというローラの電話が、ライデッカーにとっては彼女との最後の会話だった。
__________

そして、店を出たマクファーソンは、カーペンターとの交際を止めなかったことを後悔するライデッカーと別れる。

マクファーソンは、ローラのを尊敬していた忠実なメイド、ベッシー・クレアリー(ドロシー・アダムス)を事件現場に呼び出す。

ローラが飲みそうもない、安酒があったことを不審に思ったマクファーソンは、その件についてベッシーに尋ねるが、手がかりは掴めない。

その夜、ローラのアパートに戻ったマクファーソンだったが、現れたライデッカーに、死体に恋したと言われ、酒を飲み眠ってしまう。

暫くするとそこにローラが現れ、目が覚めたマクファーソンは驚いてしまう。

そこで、初めて自分が殺されたという事件があったことを知らされたローラは、モデルのダイアンの洋服があるのに気づき、それをマクファーソンに伝える。

殺害されたのがダイアンだった可能性が高まり、彼女はカーペンターからローラの贈り物のタバコ入れを貰っていて、彼が部屋に連れ込むにことも考えられた。

しかし、ローラはカーペンターをかばい、自分も疑われていることを知る。

そして、ローラはマクファーソンに、カーペンターとは結婚しないことを伝え彼を見送る。

その後、検死の結果、殺害された遺体がダイアンだと判明する。

ローラが、カーペンターと連絡を取り出かけることを盗聴で知ったマクファーソンはそれを追う。

マクファーソンは、ローラをアパートで降ろしたカーペンターを付け、彼女の田舎の家に向かう。

そこで、散弾銃があることを確かめたマクファーソンは、ダイアンが殺された時に、ローラのアパートにいたというカーペンターから事件の様子などを聞く。

ダイアンが誰に殺されたかは不明だったが、ローラが殺した可能性もあった。

翌朝、マクファーソンはローラのアパートに向かい、そこに現れたベッシーは、ローラが生きていたことを知り驚いてしまう。

その時、開き直ったカーペンター、そしてライデッカーが現れるが、彼はローラの顔を見て卒倒してしまう。

意識を取り戻した、ライデッカーとカーペンターはいがみ合うが、その後アンや来客が集まる。

アンは、カーペンターに結婚を迫るが断られ、ローラは自分を犯人だと疑う彼に驚いてしまう。

ローラに、カーペンターが自分に相応しいことを伝えたアンは、彼が疑われていることを心配する。

そして、マクファーソンはローラを犯人と断定し、警察に連行して尋問を始める。

しかし、マクファーソンはローラが犯人でないことを確かめたかっただけで、彼女がカーペンターへの愛もなくなったことを知りアパートに送り届け、ライデッカーの自宅を訪れる。

その頃、ライデッカーはローラのアパートで、彼女に元の生活に戻ることを提案するが、そこにマクファーソンが現れる。

マクファーソンは、ローラの散弾銃が凶器でなかったことを伝え、彼女の潔白は証明される。

しかし、ローラは自分とマクファーソンのことに立ち入り過ぎるライデッカーを突き放してしまう。

凶器の銃を探したいマクファーソンは、ライデッカーが贈った時計の中から散弾銃を見つける。

ライデッカーが、ローラを他の男に渡したくない思いで、間違えてダイアンを殺した状況を、マクファーソンは推理する。

ダイアンを殺したのは、実質的には自分だというローラを残し、マクファーソンはライデッカーを逮捕しに向かう。

それを察知したライデッカーはローラの部屋に侵入し、マクファーソンが元に戻した散弾銃に弾を込める。

その直後、マクファーソンはライデッカーが建物から出ていないことを知り部屋に戻ろうとする。

ライデッカーはローラの前に現れ、彼女をマクファーソンに奪われたくないことを伝える。

ローラは、引き金を引こうとするライデッカーに飛び掛かり、銃声を聞いたマクファーソンは部屋に押し入る。

そして、マクファーソンの同僚がライデッカーを銃撃し、彼は寄り添うローラに、”さよなら、恋人よ”と言い残し息を引き取る。


解説 評価 感想 ■

*(簡略ストー リー)
著名なデザイナーのローラ・ハントが、散弾銃で顔面を撃たれ殺害されるという事件が起きる。
辣腕刑事マクファーソンは、彼女の後見人であるライデッカーや婚約者のカーペンター、そして叔母のアンなど、犯人の可能性がある容疑者達に会い捜査を始める。
混迷を極める事件に行き詰ったマクファーソンだったが、何と彼の前に、殺害されたはずのローラ
が姿を現す。
犯人が、ローラと間違えて他の女性を殺害するという、意外な展開となる。
さらに事件は発展し、ローラ自身が犯人として疑われる・・・。
___________

当初は脚本担当だったオットー・プレミンジャーが、ルーベン・マムーリアンの降板で監督となり、結果的に彼の出世作となった作品。

妖艶な才女を取り巻く、様々な人々の人間模様、嫉妬や裏切りがうごめく、登場人物達の微妙な関係、それらが複雑に絡み合いながら、一貫して強気な担当刑事の見せる腰の据わった事件捜査などの描写、見る者をドラマに引き込んでいく、アカデミー監督賞にノミネートの、オットー・プレミンジャーの迫力ある演出は冴え渡る。

重要な小道具として使えわれる大時計や骨董、美術品の数々、ヒットしたデイヴィッド・ラクシンの主題曲なども楽しめる。

1999年、アメリカ議会図書館が、国立フィルム登録簿に登録した作品でもある。

第17回アカデミー賞では、 撮影賞(白黒)を受賞した。
・ノミネート
監督
助演男優(クリフトン・ウェッブ
脚色・美術賞(白黒)

才色兼備のヒロインを演ずるジーン・ティアニーにとっても出世作となった。
夢か、現実か・・・、彼女が生存していたことが分かる瞬間はショッキングだ。

観客から見ると実に頼れる刑事なのだが、容疑者達にはつかみ所のない男として描写されているダナ・アンドリュースも、一本筋の通った、男臭い役柄を好演している。

批評家らしい皮肉屋として、ドラマにインパクトを与えるクリフトン・ウェッブ演ずるキャラクターは強烈な印象を残し、舞台俳優としての、彼の実力を見せ付けている。

優柔不断な主人公の婚約者で、その体格の良さが際立つヴィンセント・プライス、主人公の叔母ジュディス・アンダーソン、メイド役のドロシー・アダムスなどが共演している。


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