名優ウィリアム・ハートとイザベラ・ロッセリーニが、亀裂の生じた夫婦関係を修復するまでを描く、コスタ・ガブラスの娘ジュリー・ガヴラスの演出、脚本によるドラマ。 |
・ドラマ
・ウィリアム・ハート / William Hurt / Pinterest
■ スタッフ キャスト ■
監督:ジュリー・ガヴラス
製作
シルヴィー・ピアラ
ベルトラン・フェヴル
脚本
ジュリー・ガヴラス
オリヴィエ・ダザ
撮影:ナタリー・デュラン
編集:ピエール・アベレ
音楽:ソディ・マルシシェヴァー
出演
アダム:ウィリアム・ハート
メアリー:イザベラ・ロッセリーニ
ノラ:ドリーン・マントル
ジュリア:ケイト・アシュフィールド
ジェームズ:エイダン・マクアードル
ベンジャミン:ルーク・トレッダウェイ
マヤ:アルタ・ドブロシ
シャーロット:ジョアンナ・ラムリー
リチャード:サオモン・カロウ
フランス/ベルギー/イギリス 映画
配給 Les Films du Work
2011年製作 89分
公開
フランス:2011年7月13日
北米:2012年4月13日
日本:2012年2月4日
製作費 €3,500,000
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
ロンドン。
著名な建築家のアダム(ウィリアム・ハート)と妻メアリー(イザベラ・ロッセリーニ)は結婚して30年、三人の子供達ジェームズ(エイダン・マクアードル)、ジュリア(ケイト・アシュフィールド)、ベンジャミン(ルーク・トレッダウェイ)も独立して、孫にも恵まれた円満夫婦だった。
元医師であるイギリス人の母ノラ(ドリーン・マントル)と他界したイタリア人の父を持つメアリーは、アダムの授賞式の日、記憶の空白に気づき、精密検査を受ける。
主治医は、異常のないことを伝え、運動や活動的な生活を送るようメアリーに助言する。
その後、運動などをしてみるが飽きてしまったメアリーは、老いを感じ、周囲の男性も自分に見向きもしないことに気づく。 しかし、水泳インストラクターにクラスに誘われ、メアリーは、友人のシャーロット(ジョアンナ・ラムリー)に、それを自慢げに話す。 それでもメアリーは、記憶のことや60歳目前の年齢など、不安を抱えていることを話す。 その頃アダムは、若いスタッフ、マヤ(アルタ・ドブロシ)達と共に、美術館の設計に取り組もうとするが、同年代のリチャード(サオモン・カロウ)らに反対され、老人ホームを手がけるように言われる。 シャーロットの紹介で、ある財団で働こうとしたメアリーは、老人扱いされたためにその場を立ち去り、帰りのバスで席を譲られて気分を害してしまう。 アダムの元に向かったメアリーは不満をぶつるが、仕事で忙しい彼は相手にしていられない。 予算が出ないことを、マヤ達に伝えたアダムだったが、彼女らの熱意に負けて、彼は手助けすることを決める。 メアリーは、そんなアダムを理解できず、シャーロットの主催する初老の女性達の集会を自宅で開き、ベッドや電話機まで介護用にしてしまい、二人の間に亀裂が生じ始める。 リチャードには内緒で、プロジェクトに取り組んでいたアダムだったが、彼に美術館の設計の現場を見られそうになる。 しかし、部屋に入るマヤを見たリチャードは、アダムが彼女と関係していると思い込み、冷やかして退散する。 夜は若者達と美術館の仕事、昼間は老人ホームの設計で過労気味のアダムは、メアリーとの関係は悪化するばかりだった。 美術館設計のため、メアリーの母親ノラに資金援助を頼もうとしたアダムだったが、財産はないと言う彼女は、景気のいいジェームズに頼むよ提案する。 アダムは、メアリーが普通に戻るまでと言ってオフィスに寝泊りすることになり、ジュリアはそれを、心配して母メアリーの元に向かう。 メアリーはジュリアに多くを語らず、彼女の気遣いに対し、全く問題ないことを伝える。 アダムは、資金援助の話をするために、ジェームズのオフィスを訪ねるが、同行したマヤがその話を切り出す。 それを制止したアダムは、その場を引き揚げるのだが、ジェームズは、父とマヤの関係を疑ってしまう。 両親が離婚の危機にあると判断したジェームズは、ジュリアとベンジャミンを実家に呼び寄せて話し合う。 三人は、ベンジャミンの展覧会に両親を誘い、そこで二人の様子を見ることになる。 展覧会の日、子供達は両親を見失ってしまい、アダムとメアリーはお互いに気づくが、手振りで挨拶しただけで、語り合うこともなくその場を後にする。 その後、メアリーはインストラクターと、アダムはマヤと愛し合ってしまう。 メアリーはそれを後悔し、アダムは、リチャードに、当然、愛ではないと言われ、取るに足らないことだと冷やかされる。 不安になったメアリーは、医師であるジュリアに診てもらおうとするが、結局はアダムを愛していることにも気づき、彼と話し合うべきだと助言される。 アダムの元を訪ねたジェームズは、父が老いで悩んでいると思っていたのだが、単に資金難の援助を求めていたと知り、安心して彼を抱き寄せてその場を去る。 メアリーは、アダムに手紙を書くことをシャーロットに伝えるが、彼女は、孤独な自分のようにならないためにも会うべきだと伝える。 そんな時、母ノラが倒れたとの連絡を受けたメアリーは、彼女が病院に行きたがらずに、騒ぎを起こしていることを知る。 胃癌だったことをメアリーに知らせたノラは、その場に駆けつけていたアダムには話してあったこと伝え、医者を呼ぶことは承知して、動揺する娘を抱き寄せる。 その後ノラは亡くなり、葬儀の日にアダムは、オフィスに引っ越すことを子供達に告げる。 ところが、メアリーの乗ったエレベーターが止まってしまい、アダムが残ることになる。 葬儀は始まるが、ジェームズが修理人を呼び忘れたことに気づき、急いでそれを手配する。 気まずい時間を過ごしていたアダムとメアリーだったが、彼女が、自分は変わる努力をすることを告げる。 更にメアリーは、幸せな家庭生活だったことをアダムに伝え、修理の終わった二人は墓地に急ぐ。 孫の、祖父母の墓もここに?という言葉で、アダムはメアリーの手をとり、一生一緒だと言って、二人は愛を確かめ合う。
...全てを見る(結末あり)
*(簡略ストー リー)
著名な建築家アダムと妻メアリーの夫婦は、三人の子供達も独立し、円満な日々を送っていた。
そんな時メアリーは、記憶の空白に気づき、異常がないことを医師から知らされ、活動的な生活を心がける。
ところが、若いスタッフとのプロジェクトに取り組むアダムが、以前にも増して仕事に没頭し始め、メアリーとの間に亀裂が生じ始める。
アダムは仕事場に寝泊りするようになり、若い女性スタッフと父との関係を気にする子供達は、何とか、両親のシニア離婚の危機を回避しようとするのだが・・・。
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名匠コスタ・ガブラスの娘ジュリー・ガヴラスによる、随所にユーモアも交えた小気味いい演出が楽しめる作品。
アメリカ資本の入っていない小作ではあるが、円熟とも言える、ウィリアム・ハートらしい落ち着いた雰囲気の抑えた演技、母親イングリッド・バーグマンの面影を残すイザベラ・ロッセリーニの、彼をも上回る存在感ある演技も光る。
夫婦間の問題を描く作品ではあるが、当然、子供達にとっても一大事であり、その修復に一役買う様子も、なかなかうまく表現されている。
周囲の助言や思いやりを受けながら、結局は自分達で、人生の新たな道を探すことができるラストも爽やかに描かれている。
メアリー(I・ロッセリーニ)の母親ドリーン・マントル、長女ケイト・アシュフィールド、長男エイダン・マクアードル、次男ルーク・トレッダウェイ、主人公の女性スタッフ、アルタ・ドブロシ、メアリーの友人ジョアンナ・ラムリー、主人公の同僚サオモン・カロウ など、実力派ベテランが顔を揃えた共演陣も注目だ。