中年男性と若い女性の愛を描く、主演マーロン・ブランド、製作、監督、脚本ベルナルド・ベルトルッチ、マリア・シュナイダー、ジャン=ピエール・レオ他共演による問題作。 |
・ドラマ
・マーロン・ブランド / Marlon Brando / Pinterest
■ スタッフ キャスト ■
監督:ベルナルド・ベルトルッチ
製作
ベルナルド・ベルトルッチ
アルベルト・グリマルディ
脚本
ベルナルド・ベルトルッチ
フランコ・アルカッリ
アニエス・ヴァルダ(フランス語の台詞)
撮影:ヴィットリオ・ストラーロ
編集
フランコ・アルカッリ
ロベルト・ペルピニャーニ
音楽:ガトー・バルビエリ
出演
ポール:マーロン・ブランド
ジャンヌ:マリア・シュナイダー
トム:ジャン=ピエール・レオ
マルセル:マッシモ・ジロッティ
カテリーヌ:カトリーヌ・アレグレ
モウシェ:カトリーヌ・ブレイヤ
ローザ:ヴェロニカ・ラザール
フランス/イタリア 映画
配給 ユナイテッド・アーティスツ
1972年製作 129分(250分 オリジナル版)
公開
フランス:1972年12月15日
北米:1973年2月7日
日本:1973年6月2日
製作費 $1,250,000
北米興行収入 $36,144,820
世界 $96,301,530
■ アカデミー賞 ■
第46回アカデミー賞
・ノミネート
監督
主演男優賞(マーロン・ブランド)
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
パリ。
ある貸しアパートの一室で、アメリカ人の中年男性ポール(マーロン・ブランド)と、若いジャンヌ(マリア・シュナイダー)は、偶然、出会う。
何かを考え込むような憂鬱な表情を見せるポールは、間違い電話を受けて刺激され、ジャンヌに寄り添う。
ポールはジャンヌを抱き寄せ、彼女を求め、二人は激しく愛し合う。
その後二人は、何事もなかったかのように建物を出て、言葉も交わさずに別れる。
ジャンは、恋人で、テレビ・ディレクターのトム(ジャン=ピエール・レオ)を駅に迎えに行く。
トムは、ジャンヌを主役にした、ドキュメント映画を製作していた。 自殺した妻ローザ(ヴェロニカ・ラザール)が、死亡した現場検証は終わり、ポールはその場を掃除させる。 再びアパートに向かい、家具が運び込まれているのを知ったジャンヌは、現われたポールに、この場では名前も、お互いを知る必要もないと言われる。 簡易ホテルを経営している、ポールの元を訪ねたローザの母親は、遺書などはなく、自殺の理由も分からないこと彼から知らされる。 ポールは、自殺を認めないはずの神父の手で、葬儀を行おうとする母親に対し、怒りを露にする。 そしてポールは、アパートに向かい、異様な雰囲気の中でジャンヌと愛し合う。 トムのドキュメント撮影は続き、彼は、ジャンヌの少女時代の姿を映し出そうとする。 アパートでは、ポールとジャンヌは、ただひたすら愛し合い、そして、他愛もない両親の話などをして時間を過ごす。 ホテルの住人マルセル(マッシモ・ジロッティ)が、妻ローザの愛人だったことを、ポールは母親に知らせる。 ポールのことを知りたがるジャンヌは、彼が自分につて興味を示さないため、自らを語ろうとするが、それを遮られてしまう。 トムに会ったジャンヌは、自分が利用され、彼の思い通りにされることに苛立ち争いになるが、結局、二人は愛を確かめ合う。 マルセルの部屋に向ったポールは、お互い同じガウンを着ながらバーボンを酌み交わし、ローザのことで率直に話をする。 相変わらず、何も求めず、ただポールと愛し合うだけのジャンヌだったが、トムから結婚を申し込まれる。 ジャンヌは、恋をしたことをポールに伝えるが、彼はそんなことを気にせずに、愛欲を満たそうとする。 ホテルに戻ったポールは、ローザの亡骸に語りかけ、自分が夫ではなく、単なる”泊まり客”であり、代役のマルセルのことも触れながら、彼女を罵倒する。 しかし、ポールは泣き崩れてローザに謝罪し、どうしていいか分からないことを伝える。 その後ジャンヌは、アパートにポールが姿を現さなくなったために動揺する。 ジャンヌはトムを呼び寄せ、その場で新生活を始めようとするが、彼はそこが気に入らなかった。 その帰り道、”ビル・アケム橋”で、ジャンヌの後を追ったポールは、もう終りだと言う彼女に、再び始まることを告げて、妻の自殺を含め、自分についてを話し始める。 人が変わったようなポールは、ジャンヌをボールルームに連れて行き、愛を伝える。 酔った二人は、コンテストが開かれているフロアに乱入して踊り始め、審査員に追い払われる。 ジャンヌは、結婚することを伝えてその場を去り、ポールは彼女をどこまでも追っていく。 自宅に戻ったジャンヌは、押し入ってきたポールを、軍人だった父親の銃で銃撃する。 ポールはベランダに向かい、景色を見ながら、その場で崩れ落ちる。 ジャンヌは呆然としながら、”男の名前も知らない・・・”と、つぶやき続ける。
...全てを見る(結末あり)
*(簡略ストー リー)
パリ。
簡易ホテルを経営するアメリカ人ポールは、妻が自殺して、その理由も分からず、失意の内に街をさ迷う。
ポールは、ある貸しアパートの部屋を見に行き、そこに現われた若い女性ジャンヌと出会う。
間違い電話に刺激を受けたポールは、突然、ジャンヌに迫り、強引に愛し合ってしまう。
その後、二人は、何事もなかったように別れ、ジャンヌは恋人で、テレビ・ディレクターのトムの元に向う。
ポールは、妻の死の原因や、彼女が宿泊客のマルセルと関係していた理由も分からないまま、全く違った”世界”(アパートの部屋)でジャンヌに会い、愛欲を満たす。
ジャンヌは、名前も知らず、また自分自身に興味を示さないポールとの、異様な性愛に身を任せ、平行して、トムとのノーマルな愛も深めていくのだが・・・。
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極端に言えば、人間を超越しているような思考の持ち主ベルナルド・ベルトルッチが、凋落したスターであったとはいえ「ゴッドファーザー」(1972)で復活し、その演技が絶賛されていたマーロン・ブランドと組み、弱冠30歳にして、希代の名優を”操った”とまで言われた、衝撃的な作品でもある。
余りにも有名な、”芸術かポルノか”という論争ばかりが騒がれる作品で、250分というオリジナル完全版を観てはいないが、当時としては驚きの描写も今観るとそれほど過激ではない。
1970年代初頭の時代背景を考えると、信じ難いような映像表現であっただろうし、イタリアでは上映禁止となり、出演したマーロン・ブランドやマリア・シュナイダーにとっても、かなり辛い経験をすることになる曰くつきの作品。
話題が話題を呼び、北米興行収入は約3600万ドル、全世界では、約9600万ドルという驚異的な大ヒットとなった。
第46回アカデミー賞では、監督賞ベルナルド・ベルトルッチ、マーロン・ブランドが主演男優賞にノミネートされた。
ヴィットリオ・ストラーロの美しい人物描写、音楽のガトー・バルビエリも、終盤にかけてかなり刺激的な楽曲が印象に残る。
自殺した妻を想う哀愁、情欲の悪魔としての醜い姿、そしてユーモアも交えた、マーロン・ブランドの、役者としての完全復活を見せ付けるような、観る者を圧倒する演技は秀逸だ。
撮影当時まだ19歳、大人の女性に成り切っていない雰囲気もあるマリア・シュナイダーも熱演し、惜しみなく裸体を披露するが、全くいやらしさがない清潔感もある。
彼女の恋人、現在に至るまで活躍を続けるジャン=ピエール・レオ、主人公の妻と関係するホテルの宿泊客マッシモ・ジロッティ、主人公の妻ヴェロニカ・ラザールなどが共演している。